ー ISRAEL NOW!ー
 
「エルサレムの平和のために祈れ」 詩 122
(本誌の発行は、原則として毎週土曜です。)
◯ 内政

【テロリストに死刑を認める法律成立、様々な角度から賛否が】(Y,P,H)
30日夜、イスラエル国会でテロリストに対し死刑を科すことを可能とする法案が採決され、賛成62、反対48の賛成多数で可決・成立した。
この法案はベングビル国家治安相が党首を務める極右政党「ユダヤの力」によって提出されたもので、殺人を伴うテロ行為を行った者に対し、西岸地区民には原則として死刑を適用(裁判官の判断により終身刑も可能)、イスラエル市民については死刑または終身刑を科すことができると定めている。
またイスラエル市民に対する適用には「イスラエル国家の存在否定を目的とした場合」という条件が付されており、極右ユダヤ人によるテロ行為は実質的に対象外の内容に。
この非対称性に対して、国内外から強い批判が上がっている。また同法は審議の段階から国際社会の懸念を招いており、ネタニヤフ首相は採決を欠席するとの見方もあったが最終的に出席し賛成票を投じた。中道のラピード野党議長は10/7のテロリストは適用対象とならないことを指摘、「ハマスの夢を叶えるもので、(総選挙を見据えた極右の)政治的パフォーマンスに過ぎない」と批判。
さらに外交関係者からも、ユダヤ人によるテロに適用されない点について国際社会への説明が困難との懸念が示されている。また同法は最高裁による違憲審査の対象となる可能性が高く、無効との判決が下される可能性も報道されている。
(3/30)

◯ 国際情勢

【交戦28日目:イスラエルが非稼働の原子炉を空爆、米は猶予期間を延長】(Y,P,H)
27日午後、イスラエル国防軍のペルシャ語報道官がイラン西部アラク周辺に対して緊急退去勧告を発出し、その数時間後、同市郊外にある重水炉を空爆した。
重水炉は核兵器の原料となるプルトニウムの生成に関係する施設で、当時は稼働していなかったが、イスラエルは昨年6月の戦闘時にも同施設を攻撃している。軍報道官は前回の攻撃以降、イラン側に再稼働の動きが見られたことを受けた措置だと説明している。
さらにその直後には、イラン中部ヤズドにあるウラン処理施設への空爆も実施したと発表した。同施設では採掘されたウラン鉱石から不純物を除去し、イエローケーキ(ウラン精鉱)を生産していたとされる。
この日は軍事基地や弾道ミサイル関連施設など数十か所も攻撃対象となり、イスラエルメディアは核関連施設への攻撃について「戦局のギアを一段階上げた」とトップニュースで報じている。
一方、イランからの弾道ミサイル攻撃も続き、中央部を中心に南部を含め計7回の攻撃が確認された。日中の攻撃では軽傷者数人にとどまったが、深夜の攻撃ではクラスター弾が使用され、テルアビブ周辺の10か所に着弾し、1人が死亡、8人が負傷した。
外交面ではトランプ大統領が前日からこの日にかけてイランとの交渉が順調に進んでいると強調。米軍によるエネルギー施設攻撃の延期について、イラン側が7日間の延長を求めたのに対し、「10日間の猶予を与えた」と発言している。
一方で、約5000人の海兵隊と第82空挺師団の数千人、合わせて約1万人の中東派遣準備が進められているとも報じられており、停戦交渉と軍事圧力の双方を並行させる動きが続いている。
(3/27)

 

【交戦29日目:フーシ派が参戦、空軍はヒズボラの記者兼戦闘員を排除】(Y,P,H)
この日はイランおよびヒズボラに加えイエメン・フーシ派も攻撃に加わり、戦線の拡大が見られた。南部を中心に約8回広範囲でサイレンが鳴り、フーシ派は早朝に弾道ミサイル、昼前に巡航ミサイル、夜には無人攻撃機を発射したが、いずれも迎撃された。
これに対しイスラエル側は「フーシ派はイランへの軍事圧力を分散させる狙いで参戦しているが、主戦場はあくまでイラン。適切なタイミングで対応する」として、現時点でフーシ派への空爆は優先度が低いとしている。28日午後には、ユダ低地の農業共同体に数百kg規模の大型弾頭の弾道ミサイルが着弾し、13人が負傷。人的被害は限定的だったものの爆風により周辺の住宅が大きく損壊し、100台以上の車両が破壊されるなど甚大な物的被害が発生した。
また前日深夜のクラスター弾によるテルアビブでの犠牲者に関しては、シェルターに避難できなかった52歳の警備員が破片により死亡したと、身元や当時の状況に関する最新報道がなされた。
イスラエルはこの日もイランへの空爆を継続し、弾道ミサイルの開発・製造施設や海軍関連の軍事産業拠点などを標的とした。またイランメディアはテヘラン市内の工科大学が米国とイスラエルによる空爆を受けたと報じている。
北部戦線では、イスラエル空軍がヒズボラ系メディア「アルマナール」の記者アリ・シュエブを標的とした攻撃を実施し、排除したと発表した。軍によると、同人物は記者として活動する一方で、ヒズボラの精鋭部隊「ラドワン部隊」に対し、イスラエル軍の配置情報を伝達するなど同部隊員として活動していたとされる。また同じ攻撃では、ヒズボラおよびイランからの支援が指摘されている「アル・マヤディーン」の女性記者も死亡したと報じられている。
(3/28)

 

【交戦30日目:パキスタンでサウジ・エジプトなど4カ国による外相会議】(Y,P,H)
29日もイランおよびヒズボラによるミサイル攻撃により、広範囲で10回以上サイレンが発動。攻撃の半数以上はベエルシェバを含む南部を標的としており、この日はテルアビブではサイレンは確認されなかった。南部では住宅地の近くに大型ミサイルが着弾し、約350メートル離れた住宅にも大きな被害が及ぶなど、広範囲で物的被害が発生した。
さらに午後の攻撃では、迎撃後のミサイルの一部が国内最大規模の有害廃棄物処理施設に落下し火災が発生、数時間にわたり黒煙が上がった。煙に有害物質が含まれる可能性があるとして、周辺住民には軍から屋内待機の指示があったがその後危険性はないことが確認されている。
地上戦でも被害が出ている。27日深夜、南レバノンで作戦中の空挺部隊がヒズボラのロケット弾攻撃を受け、22歳の兵士1人が死亡した。この兵士は米国から兵役のために帰還した米系ユダヤ人で、他にも3人が負傷している。さらに別の戦闘も含め、南レバノンでは10人以上の兵士が負傷し、北部の病院で治療を受けている。
ヒズボラによる国境地帯への攻撃が続く中、ネタニヤフ首相とカッツ国防相はザミール参謀総長ら軍幹部とともに北部軍司令部を訪問し、住民に対して現状への理解を求めるとともに経済支援を約束した。
大局的には同日、パキスタンのイスラマバードで仲介国パキスタンに加え、サウジアラビア、エジプト、トルコの外相が会談を実施した。主な議題はホルムズ海峡の封鎖解除でエジプトのスエズ運河方式を参考にした通行料制度(これにサウジは反発)や、参加国による共同管理体制などが議論された。
またサウジは安全保障の観点から、いかなる合意においてもイランのミサイル開発への強い制限とテロ組織への支援停止を求めており、これらの立場は米国とも共有される見通しとなっている。
(3/29)

 

【交戦31日目:北部の石油施設に再びミサイルが着弾】(Y,P,H)
30日もイランおよびヒズボラによる攻撃が続き、広範囲で計8回サイレンが作動した。この日のイランによるミサイル攻撃の半数以上は南部を対象としていたが、中央部や北部にも飛来が確認されている。
午前11時ごろには、イランとヒズボラによる同時攻撃が北部ハイファを標的に行われ、同市内にある石油精製施設のガソリンタンクにイランのクラスター弾が着弾。火災が発生し市内と湾内に一時黒煙が立ち上ったが、危険物質の漏えいなど大規模な二次被害は確認されていないとされる。去年のイラン戦争でも1度着弾して死者が出ており、今回の戦争でも施設内に弾道ミサイルが着弾するのは2回目となる。
また29日深夜には南レバノンでヒズボラによる対戦車ミサイル攻撃があり、機甲部隊の19歳の兵士が死亡、指揮官1人が重傷を負った。
イスラエル軍は国境地帯での掃討作戦を継続しており、一部地域では国境から約10キロ地点、リタニ川周辺にまで進出している。北上するにつれヒズボラとの戦闘は近距離化し、迫撃砲や対戦車ミサイルへの対応時間が限られる(数秒)こともあり死傷者は増加傾向にある。
大局的には、トランプ大統領がイラン国内に隠されている濃縮ウランの確保を目的とした特別地上作戦について検討していると米大手メディアが報じた。作戦は複雑で兵士たちを危険に晒すことから実行の可否は未定だが、イランの核保有を長期的に阻止するための選択肢の一つとして可能性が模索されているよう。
(3/30)

 

【交戦32日目:南レバノンで4人が死亡、首相「イラン≠生存の脅威」と明言】(Y,P,H)
31日、イランからの弾道ミサイル攻撃は中央部に4回確認され主に午前中に集中したが、サイレンの回数自体は比較的少なかった。一方で北部ではヒズボラによるロケット弾や無人攻撃機による攻撃が相次ぎ、サイレンの大半を占めた。中央部へのミサイルの多くは迎撃されたものの朝の攻撃ではクラスター弾が使用され、テルアビブおよび周辺地域で着弾、約10人が軽傷を負った。
イスラエル軍はこの日もイラン国内の弾道ミサイル製造施設や発射台、防空システム拠点への空爆と並行し、南レバノンではヒズボラ戦闘員に対する地上作戦も続行。リタニ川以南では約20年にわたり本格的な地上作戦が行われなかった地域でも作戦が開始されている。こうした中、国境から約3.5キロのシーア派系の村で前日に実施された作戦においてナハル旅団の精鋭部隊の兵士4人が戦死し、さらに6人が負傷(うち1人は重傷)したことが発表された。
またネタニヤフ首相は翌日から始まる過越祭を前にビデオメッセージを発表し、出エジプトの「十の災い」になぞらえて、イランの核・ミサイル開発など5つの脅威と代理勢力による5つを合わせた「現代の十の災い」に言及し、イスラエルがイランに深刻な打撃を与えていると戦果を強調。「もはや我々の存在を脅かすことはできない」と述べ、イランが現時点でイスラエル生存への脅威ではなくなったとの認識を示した。この発言については停戦を模索する米国の動きと歩調を合わせたものとの見方もある。
しかし米政府内からは相反するメッセージが。ヘグセス国防長官は「今後数日が戦場での決定的局面となる」と述べ、実際にこの日米空軍は約900キロ級のバンカー・バスターを用いてイスファハーンの軍事・核関連施設に対する大規模空爆を実施している。また中東海域には3隻目となる空母が派遣されるなど、停戦模索とは裏腹に戦争の長期化や本格化を示唆する動きも続いている。
さらにサウジアラビアやUAEなど湾岸諸国は、「イラン指導部に核問題を含めた抜本的な変化が見られるまで戦争を止めるべきではない」として戦争継続を働きかけており、停戦か戦争続行か先行きが見通せない状況が続いている。
(3/31)

 

【交戦33日目:ミサイル飛来の中の祭り、トランプ氏「2・3週間で撤退」】(Y,P,H)
4月となったこの日イランおよびヒズボラによる攻撃は通常よりも多く、テルアビブを中心とする中部では計11回のサイレンが鳴り、ヒズボラによる中央部への攻撃も確認されている。攻撃の多くは朝および夕方以降に集中しており、過越祭の特別な夕食の時間帯を狙った可能性が指摘されている。
朝の攻撃ではクラスター弾により複数箇所で着弾が発生、14人が負傷。テルアビブ北部では就寝中だった11歳の少女が重体となっているほか、広範囲で物的被害が報告されている。連日の攻撃を受ける中央部では、公共シェルターや地下駐車場に集まって共同体で祭りの食事を取る様子も見られた。
イスラエルはこの日もイラン国内の軍事施設やミサイル製造拠点、核開発関連施設への空爆を継続した。軍高官は「戦前に戦略的に重要とされた標的の大半に対して攻撃を実施し、目標はほぼ達成された」と述べ、イランが核・弾道ミサイル開発能力を戦前の水準に回復するには相当な時間を要するとの見方を示した。
このコメントにあるようにイスラエルの比重はイランからヒズボラへと移っており、同組織からのロケット弾攻撃の増加は空軍戦力がイラン戦線に集中していることの影響とも指摘されている。
外交面ではトランプ大統領が「2~3週間以内にイランから撤収する」と発言し、「戦争の目的はイランの核兵器保有阻止にある。核保有が長期間不可能だと判断されれば撤収する」と述べた。また、合意の有無にはこだわらない姿勢も示し、停戦合意や外交的解決を必ずしも前提としない考えを明らかにした。
さらにホルムズ海峡の安全確保のためNATOや日本を含むアジア諸国に海軍による支援を要請したが、各国の反応が鈍いことにも言及、戦後にNATOからの離脱を検討する可能性にも言及した。「NATOは張り子の虎だ」と述べるなど、同盟に対する不満も示している。
(4/1)

 

【交戦34日目:祭りに合わせて2倍のミサイル飛来、浮き彫りになるホルムズ海峡での温度差】(Y,P,H)
2日もイランによる弾道ミサイル攻撃により、中央部を中心に北部を含め計7回、広範囲でサイレンが鳴らされた。夜にはエルサレムおよび中央部に対し、フーシ派からの弾道ミサイルも飛来。さらに北部国境地帯ではヒズボラによるロケット弾や無人攻撃機の攻撃が約2時間おきに発生し、多くの市民がシェルターとの往復を強いられる中で過越祭を迎える状況となっている。
祭り開始からの24時間で20発以上の弾道ミサイルが発射されており、これは今までの1日平均の約2倍の数字。大半は迎撃されたものの、一部は着弾や破片落下により被害をもたらし数人の負傷者が出たほか、各地で物的被害が発生した。住宅の損壊により避難生活を余儀なくされる住民も出ている。
イスラエルおよび米国による対イラン攻撃も続いている。テヘランと西部キャラジを結ぶ高速道路の橋が空爆により破壊され、イランメディアはこれを中東有数の高さを持つ橋で、近年完成したばかりの重要インフラだと報じている。この攻撃についてはその後、トランプ大統領が自身のSNSで言及しており、米国による攻撃だと後に判明。
またイスラエル国防軍はこの2日間で約650発の爆弾を用いてイラン国内の約400の拠点を攻撃したと発表した。西部では弾道ミサイル発射部隊の指揮官を複数排除したほか、テヘランへの空爆では革命防衛隊の資金源である石油取引を担う部門の司令官を排除したとしている。この人物はヒズボラなど代理勢力への資金供給にも関与しており、「抵抗の枢軸」における財政面で重要な役割を担っていたとされる。
大局的にはホルムズ海峡の封鎖解除が引き続き最大の焦点に。この日、イギリス主導で35か国が参加するオンライン会議が開催されたが、具体的な打開策は出なかった。またフランスのマクロン大統領は軍事力による封鎖解除は「非現実的だ」とし、イランとの対話による解決を主張。一方でサウジアラビアやUAEなどは自国のエネルギー安全保障に直結する問題であるため、間接的な形も含めた軍事力の行使が必要としており、対応をめぐる国際社会の立場の違いが鮮明となっている。
イスラエルメディアの一部は、当事国と乖離したこの発言に関して皮肉を込めて報じている。
(4/2)


[情報源略号表]
 文末の( )内の記号が情報源です。(掲載日が異なる場合もあり。)
 P=エルサレム・ポスト  https://www.jpost.com/(英語)
 H=ハアレツ       http://www.haaretz.com/(英語・ヘブライ語)
 Y=イディオット・アハロノット http://www.ynetnews.com/(英語・ヘブライ語)

[転載・引用・再配布について]
 教会活動等の非営利目的ならばOKです。ユダヤ人および
 各宗教教派に批判的な文脈での引用はしないで下さい。

 
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