ー ISRAEL NOW!ー
 
「エルサレムの平和のために祈れ」 詩 122
(本誌の発行は、原則として毎週土曜です。)
◯ 治安

【ヒズボラからロケット弾飛来が続く中、イスラエル・レバノンが電話会談実施】(Y,P,H)
イランとの休戦期間に入り3日目となる10日もヒズボラからのロケット弾・無人攻撃機による攻撃は続き、国境部を中心に32回のサイレンが作動した。
午前1時ごろにはテルアビブなどの中央・南部に向けて長距離ロケット弾が発射され、事前警告のない突然のサイレンにより、約100万人がシェルターへの避難を余儀なくされた。午後からは国境部だけでなく約20km離れた地点にもロケット弾が飛来し、迎撃ミサイルの破片のアラブ人集落にある学校への落下や、車両や住宅などの物的被害が報告されている。
また国防軍はアメリカからの要請を受けて南レバノンでの軍事作戦を大幅に縮小しているが、ヒズボラによる無人攻撃機で予備役兵1人が重傷、もう1人が軽傷している。
そんな交戦状態と並行してこの日、アメリカではイスラエル・レバノンの両駐米大使が、レバノン米大使と国務省高官による仲介のもと電話会談を実施した。本格的な交渉を開始する前の停戦に関して意見の相違があるものの、来週火曜日には米国務省内で両大使による対面での会談が行われることで両国間は合意するなど前進が見られたもよう。
なお当初はフランスも仲介役として関与していたものの、ヒズボラ武装解除やイラン戦争などにおける同国の姿勢にイスラエルは不信感を強めたため、同国による仲介を拒絶したとの報道もあり、最終的には米国のみを通じて対話が始まることとなった。
(4/10)

 

【国境部のヒズボラ拠点で包囲作戦、脅威の新型ドローンをヒズボラが使用】(Y,P,H)
南レバノンで軍事作戦を継続している国防軍の第98師団は13日、イスラエルとの国境から3kmの場所にあるビント・ジュベイルでの包囲作戦を完了した。
同町は国境部のシーア派の町であることからヒズボラの拠点となっており、イスラエルに対するロケット弾や無人攻撃機の発射のほか、10/7のような越境攻撃の拠点となる可能性が高いと指摘されてきた。
包囲戦では精鋭ラドワン部隊を含むテロリストたちとの近距離の銃撃戦などで100人以上が排除され、現在残っているテロリストの数は50人以下とのこと。同町では住宅内に発射装置を隠し少人数で持ち出し、発射後に再び屋内へ戻るといったゲリラ的戦術が取られていたことが分かっている。
一方でヒズボラからのロケット弾・無人攻撃機による攻撃はこの日も続いている。イランとの休戦後もヒズボラによる攻撃は続いており、国境部ではここ1週間で50回以上サイレンが作動している自治体もある。この日も海岸部のナハリヤで住宅に着弾するなど各地で物的被害が確認されている。
さらにこの日は最北端の町キリヤット・シュモナで光ファイバーによる有線制御型の無人攻撃機が着弾。このタイプは電波妨害の影響を受けにくく、最大約50kmの飛行と約5kgの爆薬搭載が可能とされる。ロシア軍がウクライナで運用した際には戦術上の「ゲームチェンジャー」とも指摘された装備であり、イスラエルに対して使用されたのは初めて。
(4/13)

 

【イランへのスパイ行為でナザレのアラブ系市民を起訴】(Y,P,H)
イスラエル当局はイランのためにスパイ活動を行った疑いで、北部ナザレ在住の32歳のアラブ系市民の女性を起訴した。
捜査によると被告は昨年10月から約半年間にわたり活動していたとされる。シンベトと警察の調べによれば、被告はイランによる攻撃対象となっているハイファの石油精製施設や北部の軍関連施設などを撮影し、情報をイラン側の工作員に送信していた。また、交通省の外部委託企業に勤務していた立場を利用し、同省のシステムへのアクセス権を悪用し元軍・情報機関幹部の個人情報を入手しこれも提供していたとされる。
被告はユダヤ人やイスラエル、またイスラエルで公務に就くアラブ系市民に対して、ヘイトスピーチ的発言を繰り返していたとのこと。そんな個人的思想もありイランのためのスパイ活動であると途中からは認識しながらも関与を続け、暗号資産を通じて約1000ドルの報酬を受け取っていたほか、イラン側に対して国防軍の新兵教育を行う部門に攻撃を行うよう助言もしていたことが判明している。
こうした事案の背景にはアラブ系市民と国家との複雑な関係性がある。そこに物価上昇などの厳しい経済状況も重なり、イラン諜報部がイスラエル国内のアラブ系市民に接触しスパイ行為を持ちかけるケースが近年増加傾向にあり、特に昨年の戦闘以降その動きが顕著になっているとされる。
(4/15)

◯ 内政

【ネタニヤフ首相「作戦が無ければイランは核武装していた」】(Y)
11日夜の安息日明けにネタニヤフ首相はビデオ声明を発表し、再び今戦争での成果を強調した。
戦争が完全に終わっていないとしながらも現時点で歴史的偉業を達成しているとし、続けて「(去年・今年と)2つの軍事作戦を行っていなければ、核兵器を保有していた」とイランの核兵器保有阻止という意味で大きな意義があったと語った。
また今戦争でもイスラエル側に大きな被害を引き起こした弾道ミサイルにも言及、「数千発のミサイルを保有する」ような状態に近づいていたとし、ミサイルの脅威を排除することにも成功したと強調した。
ただ成果を強調すると同時に、国内への批判も。軍・諜報部に関しては、「今回”は”、正確なリアルタイムで機密情報が届いた」と、10月7日を連想させるような皮肉・批判が込められている発言もあった。
さらに戦果を懐疑的に報道する自国メディアについては「イランのプロパガンダを反映」と評し、野党による戦争運営に対する自身への批判に関しても「イランに利用されている」と語るなど、自身への批判=イランへの加担といったレトリックが散見された。
また上記のような発言の他にメディアからは開戦から質疑応答を含む記者会見を一切行っていないことへの批判の声が上がっている。
(4/11)

 

【ホロコースト追悼日、首相・大統領が国家式典で演説】(Y,P,H)
13日から14日にかけてイスラエルはホロコースト追悼日を迎え、ホロコースト博物館である『ヤッド・バシェム』や教育機関はもちろん、職場などでもホロコーストの犠牲者を想起・追悼する式典や時間が持たれた。
13日夜の国家式典はイランとの先行き不透明な休戦期間中ということで一般参列者が居ない形で行われ、ホロコースト生存者が追悼のかがり火に採火。その後ネタニヤフ首相が演説し、現在のイスラエルはホロコーストという最も弱い状態とは対極の「最も強い状態」にあると語った。
また首相として「ホロコーストが再び起こることはない」と決意を毎年してきているというところから、イスラエル殲滅を掲げるイランに言及。今回の戦争を通じイランによるホロコーストとも言える惨劇・脅威を「防ぐことに成功した」と戦果を強調した。
首相の前にはヘルツォグ大統領が登壇、昨年の追悼日に強制収容所を訪れていたホロコースト生存者の女性が、その中でひ孫の戦死の報を受け取りその後間もなく亡くなったという出来事に触れ、過去・現在・未来をイスラエル国家が貫いているとした。
また長期化する戦争における現政権の責任や首相の恩赦問題から、再び国内での分裂が進んでいることへ警鐘を鳴らし、「分裂の代償がどれだけ大きいかは歴史が教えている。家族が引き裂かれてはならない」と、国内の一致を訴えかけた。
国内ではホロコースト追悼が行われるなか、欧州からは悲しいニュースも。ポーランドの極右議員が国会でイスラエルの国旗のダビデの星をハーケンクロイツ(ナチスの鉤十字)に置き換えたものを掲げ、ルーマニアのユダヤ人墓地では墓標などへの破壊行為があったことが判明するなど、ホロコーストに繋がった反ユダヤ主義が欧州で感じられる日となった。
またイタリアのメローニ首相がイスラエルとの防衛協定の自動更新を見送る方針を発表、イスラエルに対する向かい風を強く感じさせる追悼日となった。
(4/13-14)

◯ 国際情勢

【米イが合意に至らず、イスラエルは米の強い姿勢に満足感】(Y,P,H)
パキスタン・イスラマバードで11日、アメリカとイランによる交渉が行われた。交渉は3度に渡り同日深夜まで計21時間近く行われ、合意が得られることなくバンス副大統領は米国へと帰国した。
バンス氏は「(超えてはならない)レッドラインははっきりさせたが、イランは受け入れなかった。イランが核兵器を追い求めないという肯定的なコミットメントが必要。私たちが提示したのは最善であり、最後の提案だ」と語った。反対にイラン側は外務省を通じ「不法で過剰な要求」を避けるようにと警告した。
焦点は引き続き60%の濃縮ウラン450kgの行方と今後のウラン濃縮の可否とホルムズ海峡の開放についてで、交渉決裂という言葉が使用されているが両国とも再交渉の意思は示している。
この結果を受けて翌12日にイスラエル関係者はアメリカが提示したレッドラインはイスラエルと完全に共有されており、イランに対して譲歩することなく強い姿勢で交渉を行ったことに満足感を示しており、「悪い合意であるならば、合意がない方がまだ良い」とコメントしている。
また同日の米高官の発言から、イランがヒズボラなどのテロ組織に対する支援停止に関しても拒否したことが明らかになっている。バンス副大統領は再度の交渉に関して示唆しているが、イスラエルはイランへの空爆再開に対する準備を進めつつ、交渉の行方を左右するトランプ大統領の判断を注視している。
(4/11-12)

 

【ガザ支援船団、スペインから再びガザ沿岸へ】(Y,P,H)
去年9~10月に環境活動家のグレタ・トゥンベリ氏らが乗船し、ガザ地区へ食料や医療物資を届けることを目的としガザ上陸を試みた「グローバル・スムード船団」が12日、2度目の物資搬入を目指しバルセロナから出航した。今回の船団は前回の約2倍となる合計約70隻・約70カ国1000人の活動家たちによって構成されるとのことで、地中海航行中に順次加わって行く予定。
船団のスポークスマンによると、イラン・レバノンとの交戦によりガザへの国際的な人道危機への関心が薄れてしまっているため、今回の主たる目的は「国際社会のガザに対する沈黙への抗議」とその趣旨を説明している。
一方、ガザの人道状況をめぐっては、10月7日の開戦から昨年10月の休戦までの約2年間で、国連の推計によると317人が栄養不良により死亡したとされる。しかしそれ以降のここ半年間については、公式な統計は公表されていない。
(4/12)

 

【米がホルムズ海峡を封鎖、イスラエルは交戦再開の可能性が高いと認識】(Y,P,H)
イラン時間の13日17:30、アメリカ軍はトランプ大統領の指示を受けてホルムズ海峡への封鎖措置を開始した。アメリカは海峡封鎖の即時解除を求めていたが、イランは恒久的停戦案が締結するまで封鎖解除を拒否。それを受けて米中央軍はイラン国内の港を出入りする船舶に対する交通封鎖を開始した。
イランが封鎖していた海峡を封鎖し返すことにより、石油輸出などが不可能となるなどの経済的打撃を加えることで、ウラン濃縮停止や濃縮ウランの搬出などといった米側が提示している内容をイランが受け入れるよう、圧力を掛けるのが大きな狙い。
この米による海峡封鎖開始をイスラエル政府は支持すると同時に、交渉継続よりも交戦再開の可能性が高まったとも認識しており、イランによるイスラエル攻撃というシナリオも考えられると米国との連携と警戒態勢を強めている。
しかしイスラエルはイランのウラン濃縮について無期限の放棄を求めているが、バンス副大統領とネタニヤフ首相の電話会談によると米側は無期限には固執しておらず期限付きの禁止でも良いとしているといった、イ米間の微妙な立場の違いなどに関してもイスラエルメディアは報道している。
(4/13)

 

【米国務省でイスラエル・レバノン大使が歴史的対談】(Y,P,H)
ヒズボラからのロケット弾攻撃と国防軍の南レバノンでの軍事作戦が続くなか14日、ルビオ国務長官が仲介役となり在米のイスラエル・レバノン両大使の間での直接協議が行われた。
ルビオ国務長官は「(一度きりの)イベントではなくプロセスであり、時間が掛かる」と述べつつも、安全保障上の恒久的解決を目指す出発点となるこの場を「歴史的な集いである」と評した。両国間が対面して公式の協議を行うのは30年以上ぶりのことで、レバノン政府はヒズボラからの警告を押し切って今回の場に大使を出席させている。
そんな背景もあり両国間の立場の差は大きいが、ライター在米イスラエル大使は「平和と(イスラム過激派との対極としての)分別の勝利とも言える出来事。北部市民の安全に関しては交渉以前の問題だというイスラエルの立場を鮮明にし、それに関してはレバノン側の理解も得られている」と、協議後に肯定的なコメントをしている。
この会談後には、2国間での直接対話が始まることで一致したとの発表が。そして16日には、ネタニヤフ首相とレバノンのアウン大統領が電話会談を行う予定だと報道されている。
(4/14)

 

【首脳会談中止から一転、レバノン戦線で10日間の休戦成立】(Y,P,H)
16日はレバノン戦線において大きな転換点となった。
イスラエル時間15日深夜にトランプ大統領は「両国首脳が最後に直接対話してから34年が経ったが、明日それが再び実現する」と述べ、ネタニヤフ首相とレバノンのアウン大統領による電話会談が翌16日に行われると明言した。これと並行して米国はイスラエルに対しヒズボラを含むレバノンとの休戦受け入れを強く働きかけていた。
しかし16日になると、アウン氏はルビオ国務長官に対しネタニヤフ氏との首脳会談に応じない意向を伝え、予定されていた電話会談は中止となった。14日の両国大使による直接協議とトランプ氏による上記の発表により高まっていた前向きな機運は一時的に後退したかのように見られた。
ところがその後、事態は急転。トランプ氏は16日午後にアウン氏と直接電話会談を行い、近くレバノン戦線での休戦が成立するとの見通しを伝達。その直後自身のSNSでイスラエル・レバノンとの首脳会談を経て「2人とも金曜日午前0時からの10日間の休戦に合意した」と発表した。さらに両首脳をホワイトハウスに招待し、対面での歴史的な首脳会談の実現にも言及した。
今回の休戦は10日間の期限付きで、イスラエル軍は撤退せず現状での配置を維持する見通し。今後はバンス副大統領およびルビオ国務長官が仲介し、両国間での恒久的停戦に向けた交渉が進められる予定とされている。この動きについては、イランとの交渉を円滑に進めるためレバノン戦線を安定化させる狙いがあるとの見方も。
今後の交渉において最大の焦点となるのは、ヒズボラの武装解除。現レバノン政権は過去と比べて前向きな姿勢を示している一方、単独での実行は不可能であり国際社会の協力も含め、どのように両国共の脅威となっているヒズボラの非武装化を進めるかは依然不透明である。
ネタニヤフ氏は声明で「レバノンとの平和を前進させるための休戦合意」と歴史的な好機であるとの面を強調しているが、イスラエル国内の軍関係者や専門家の間ではヒズボラの武装解除の実現性について悲観的な主張が大勢を占めている。なお、休戦発効から約2時間後の17日午前2時ごろには、ヒズボラによるロケット弾発射が確認され、休戦違反もすでに発生している。
(4/16)


[情報源略号表]
 文末の( )内の記号が情報源です。(掲載日が異なる場合もあり。)
 P=エルサレム・ポスト  https://www.jpost.com/(英語)
 H=ハアレツ       http://www.haaretz.com/(英語・ヘブライ語)
 Y=イディオット・アハロノット http://www.ynetnews.com/(英語・ヘブライ語)

[転載・引用・再配布について]
 教会活動等の非営利目的ならばOKです。ユダヤ人および
 各宗教教派に批判的な文脈での引用はしないで下さい。

 
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