【米イが合意に至らず、イスラエルは米の強い姿勢に満足感】(Y,P,H)
パキスタン・イスラマバードで11日、アメリカとイランによる交渉が行われた。交渉は3度に渡り同日深夜まで計21時間近く行われ、合意が得られることなくバンス副大統領は米国へと帰国した。
バンス氏は「(超えてはならない)レッドラインははっきりさせたが、イランは受け入れなかった。イランが核兵器を追い求めないという肯定的なコミットメントが必要。私たちが提示したのは最善であり、最後の提案だ」と語った。反対にイラン側は外務省を通じ「不法で過剰な要求」を避けるようにと警告した。
焦点は引き続き60%の濃縮ウラン450kgの行方と今後のウラン濃縮の可否とホルムズ海峡の開放についてで、交渉決裂という言葉が使用されているが両国とも再交渉の意思は示している。
この結果を受けて翌12日にイスラエル関係者はアメリカが提示したレッドラインはイスラエルと完全に共有されており、イランに対して譲歩することなく強い姿勢で交渉を行ったことに満足感を示しており、「悪い合意であるならば、合意がない方がまだ良い」とコメントしている。
また同日の米高官の発言から、イランがヒズボラなどのテロ組織に対する支援停止に関しても拒否したことが明らかになっている。バンス副大統領は再度の交渉に関して示唆しているが、イスラエルはイランへの空爆再開に対する準備を進めつつ、交渉の行方を左右するトランプ大統領の判断を注視している。
(4/11-12)
【ガザ支援船団、スペインから再びガザ沿岸へ】(Y,P,H)
去年9~10月に環境活動家のグレタ・トゥンベリ氏らが乗船し、ガザ地区へ食料や医療物資を届けることを目的としガザ上陸を試みた「グローバル・スムード船団」が12日、2度目の物資搬入を目指しバルセロナから出航した。今回の船団は前回の約2倍となる合計約70隻・約70カ国1000人の活動家たちによって構成されるとのことで、地中海航行中に順次加わって行く予定。
船団のスポークスマンによると、イラン・レバノンとの交戦によりガザへの国際的な人道危機への関心が薄れてしまっているため、今回の主たる目的は「国際社会のガザに対する沈黙への抗議」とその趣旨を説明している。
一方、ガザの人道状況をめぐっては、10月7日の開戦から昨年10月の休戦までの約2年間で、国連の推計によると317人が栄養不良により死亡したとされる。しかしそれ以降のここ半年間については、公式な統計は公表されていない。
(4/12)
【米がホルムズ海峡を封鎖、イスラエルは交戦再開の可能性が高いと認識】(Y,P,H)
イラン時間の13日17:30、アメリカ軍はトランプ大統領の指示を受けてホルムズ海峡への封鎖措置を開始した。アメリカは海峡封鎖の即時解除を求めていたが、イランは恒久的停戦案が締結するまで封鎖解除を拒否。それを受けて米中央軍はイラン国内の港を出入りする船舶に対する交通封鎖を開始した。
イランが封鎖していた海峡を封鎖し返すことにより、石油輸出などが不可能となるなどの経済的打撃を加えることで、ウラン濃縮停止や濃縮ウランの搬出などといった米側が提示している内容をイランが受け入れるよう、圧力を掛けるのが大きな狙い。
この米による海峡封鎖開始をイスラエル政府は支持すると同時に、交渉継続よりも交戦再開の可能性が高まったとも認識しており、イランによるイスラエル攻撃というシナリオも考えられると米国との連携と警戒態勢を強めている。
しかしイスラエルはイランのウラン濃縮について無期限の放棄を求めているが、バンス副大統領とネタニヤフ首相の電話会談によると米側は無期限には固執しておらず期限付きの禁止でも良いとしているといった、イ米間の微妙な立場の違いなどに関してもイスラエルメディアは報道している。
(4/13)
【米国務省でイスラエル・レバノン大使が歴史的対談】(Y,P,H)
ヒズボラからのロケット弾攻撃と国防軍の南レバノンでの軍事作戦が続くなか14日、ルビオ国務長官が仲介役となり在米のイスラエル・レバノン両大使の間での直接協議が行われた。
ルビオ国務長官は「(一度きりの)イベントではなくプロセスであり、時間が掛かる」と述べつつも、安全保障上の恒久的解決を目指す出発点となるこの場を「歴史的な集いである」と評した。両国間が対面して公式の協議を行うのは30年以上ぶりのことで、レバノン政府はヒズボラからの警告を押し切って今回の場に大使を出席させている。
そんな背景もあり両国間の立場の差は大きいが、ライター在米イスラエル大使は「平和と(イスラム過激派との対極としての)分別の勝利とも言える出来事。北部市民の安全に関しては交渉以前の問題だというイスラエルの立場を鮮明にし、それに関してはレバノン側の理解も得られている」と、協議後に肯定的なコメントをしている。
この会談後には、2国間での直接対話が始まることで一致したとの発表が。そして16日には、ネタニヤフ首相とレバノンのアウン大統領が電話会談を行う予定だと報道されている。
(4/14)
【首脳会談中止から一転、レバノン戦線で10日間の休戦成立】(Y,P,H)
16日はレバノン戦線において大きな転換点となった。
イスラエル時間15日深夜にトランプ大統領は「両国首脳が最後に直接対話してから34年が経ったが、明日それが再び実現する」と述べ、ネタニヤフ首相とレバノンのアウン大統領による電話会談が翌16日に行われると明言した。これと並行して米国はイスラエルに対しヒズボラを含むレバノンとの休戦受け入れを強く働きかけていた。
しかし16日になると、アウン氏はルビオ国務長官に対しネタニヤフ氏との首脳会談に応じない意向を伝え、予定されていた電話会談は中止となった。14日の両国大使による直接協議とトランプ氏による上記の発表により高まっていた前向きな機運は一時的に後退したかのように見られた。
ところがその後、事態は急転。トランプ氏は16日午後にアウン氏と直接電話会談を行い、近くレバノン戦線での休戦が成立するとの見通しを伝達。その直後自身のSNSでイスラエル・レバノンとの首脳会談を経て「2人とも金曜日午前0時からの10日間の休戦に合意した」と発表した。さらに両首脳をホワイトハウスに招待し、対面での歴史的な首脳会談の実現にも言及した。
今回の休戦は10日間の期限付きで、イスラエル軍は撤退せず現状での配置を維持する見通し。今後はバンス副大統領およびルビオ国務長官が仲介し、両国間での恒久的停戦に向けた交渉が進められる予定とされている。この動きについては、イランとの交渉を円滑に進めるためレバノン戦線を安定化させる狙いがあるとの見方も。
今後の交渉において最大の焦点となるのは、ヒズボラの武装解除。現レバノン政権は過去と比べて前向きな姿勢を示している一方、単独での実行は不可能であり国際社会の協力も含め、どのように両国共の脅威となっているヒズボラの非武装化を進めるかは依然不透明である。
ネタニヤフ氏は声明で「レバノンとの平和を前進させるための休戦合意」と歴史的な好機であるとの面を強調しているが、イスラエル国内の軍関係者や専門家の間ではヒズボラの武装解除の実現性について悲観的な主張が大勢を占めている。なお、休戦発効から約2時間後の17日午前2時ごろには、ヒズボラによるロケット弾発射が確認され、休戦違反もすでに発生している。
(4/16)