ー ISRAEL NOW!ー
 
「エルサレムの平和のために祈れ」 詩 122
(本誌の発行は、原則として毎週土曜です。)
◯ 治安

【休戦数時間後には市民が南レバノンへ、米はイスラエルを公に批判】(Y,P,H)
午前0時に10日間の暫定的休戦が成立してから一夜明けた17日には、南レバノンやベイルート・ダヒヤ地区から避難していたレバノン市民が自宅に戻る動きが見られた。
ヒズボラの本拠地でもある同地区をはじめとしたベイルート南部に戻って来た市民の中には、自宅が空爆により瓦礫と化していると例も多く見られ、「住める状況ではなく荷物をまとめ別のところへ移住する」との声もあれば、ヒズボラの旗を瓦礫の上に立てて忠誠を誓うシーア派系市民の姿も散見された。
またテロリストの南レバノンへの移動を防ぐため国防軍が空爆したリタニ川の橋では、深夜から突貫の修復作業が行われ翌朝からは南部へ戻る多くの市民により大渋滞が発生した。リタニ川以南への移動に関してはイスラエルだけでなくレバノン軍も国民に自粛を要請していたが、通行再開の様子がメディアでは伝えられておりカオス状態となっている。
今回の休戦ではイスラエル軍は撤退することなく、休戦成立時と同じ国境から4~10kmの範囲に展開されたままの状態となっている。休戦に入った後もレバノン市民からは散発的な攻撃の事例が報告されており、これを受け現地時間17日午後にトランプ大統領は自身のSNSを通じて、「アメリカはイスラエルに対してレバノンを空爆することを禁止している。十分だ」とイスラエルを批判した。
このトランプ氏による公での厳しい批判に対してイスラエル側は驚きを見せていると同時に、米がイラン・レバノン共に外交的な収束を強く望んでいることから、イスラエルに対して戦闘再開を許可する可能性は低くなったとの見方が広がっている。また報道によるとアメリカはレバノンだけでなく、シャラア大統領率いるシリアとも交渉のテーブルに着くようイスラエルに対して強く働き掛けている。
(4/17)

 

【ハマス統治下でガザの女性たちが性的搾取を証言】(Y)
英デイリー・メール紙が19日にガザの女性市民たちによる貴重な証言を報道、ハマスによる性的被害の実態が明らかになった。その中の一例ではある女性が生活苦からハマス軍事部門『カッサム旅団』の司令官に助けを求めたところ、同旅団の構成員が多く住む地区のテントで性的な被害を受けたという。周囲のガザ市民たちもこれについて認識していたものの、ハマスから厳しく口止めされていたと取材に対して語っている。
また別の例ではハマスの慈善団体のメンバーが食料箱や救急セット100シェケル(5300円)分の見返りとして、「売春婦のようなことを強要された」といった事例も。このような現象についてはハマス軍部内から、性的被害のターゲットとなりやすいのは慈善団体の支援に依存している未亡人や離婚した女性たち、との内情が匿名で語られている。
元ガザ市民である平和活動家によるとイスラエルとの戦闘中よりも現在の方が女性の性的搾取の状況は劣悪であり、宗教・伝統的社会ということもあって被害者が表立って声を上げることはないため、表面化するケースは少ないと指摘している。
また現在ガザでは未成年女性の結婚・妊娠例が増加しているなど、メディアではなかなか報じられないが、ハマス統治下で多くのガザの女性たちが苦しんでいることが分かっている。
(4/19)

 

【国防軍兵士が南レバノンの教会でイエス像を破壊、軍は犯人を特定し処分】(Y,P,H,独自調査)
19日夜にSNS上で南レバノンに軍事作戦に従事していた国防軍兵士が地元の教会にある十字架に掛かったイエス像をハンマーで破壊している動画が投稿され、世界中に拡散された。国際メディアもこれを大きく取り上げ、問題は国際的な批判を生んでいる。
国防軍はその後独自調査を行い、AI生成ではない実際のものだったと認め「兵士に求められている価値観からは完全に逸脱したもので重く受け止めている」と釈明。あわせて、関与した兵士の特定と適切な処分を進めるとともに、地元コミュニティと協力して像の修復を行う方針を示した。
また、翌20日にはサアル外相やネタニヤフ首相も破壊行為を非難し、キリスト教徒に対する遺憾の意を英語で発信した。これに関してはイスラエル国内でも非難する声が大半だが、SNSでは右派色の強いユダヤ教正統派のなかからは兵士を擁護するような声やキリスト教がユダヤ教と同胞であるとするような主張に対して「キリスト教は偶像崇拝」と反論する様子など、キリスト教の立ち位置やリスペクトの必要の有無などに広がった議論がネット上では見られている。
また極右閣僚からの非難声明はなく、ネタニヤフ氏の声明も英語のみというあくまで国際社会向けだけであることなどに関しても、批判の声が。今回の出来事はユダヤ教を中心としたイスラエル社会における、複雑な側面を改めて浮き彫りにしている。
その後このイエス像を破壊した兵士は軍事刑務所での30日間の拘留処分を受け、国防軍は地元共同体と共同で新しい像を設置している。
(4/19-21)

◯ 内政

【厳粛な戦没者追悼日、元人質が家族の墓を訪問】(Y,P,H)
20日夜にイスラエルは戦没者追悼日を迎え全国でサイレンが鳴り、戦死者やテロ犠牲者約2万5千人のために黙とうが捧げられた。その直後にはユダヤ教の聖地でもある嘆きの壁で国家式典が行われ、ヘルツォグ大統領やカッツ防衛相、軍トップであるザミール参謀総長が参列し演説を行った。
ヘルツォグ大統領は預言者デボラやダビデ王などの聖書時代からイスラエルは戦争の中でも「命の歌」を歌ってきたとし、中東戦争や10月7日に命を落とした男女の兵士たちの詩を紹介。それを受けて、現状の「戦争の世代」が勇気をもって戦後を夢見、「希望の歌」を歌うようにと平和への願いを語った。
ザミール参謀総長も聖書に描かれる戦いに言及しつつ、民族全体が安全保障という重荷を共同で背負うべきと述べ、「この(10/7からの)戦争は一致こそが生存権への絶対条件だと我らに教えた」と兵役免除を未だに受ける超正統派に対して国防参加を呼び掛けた。
翌21日朝の国家式典にはネタニヤフ首相も参列、恒例とも言えるイランによる「第2のホロコースト」阻止という自身の戦果認識について演説で語った。21日には多くのイスラエル市民が戦争・テロで無くした家族や友人の墓を訪れたり遺族の証言を聞いたりと、厳粛な1日を過ごした。
10/7にキブツ・ベエリから拉致され、約500日間ハマスによって捕らわれの身となり、解放後に自伝「人質(Hostage)」を執筆したエリ・シャラビさんはこの日、10/7にハマスにより殺害された妻リアンさんと2人の娘の墓を訪問。墓地で行われた10/7の犠牲者たちへの追悼式では「残虐さの中で君たちが奪われたあの日、私たちの人生は二度と戻れない方向へと舵が切られた。3人の光は今も灯っており、起き上がることさえ難しい時、私を導く光となっている」と語った。
また今年もイスラエル・パレスチナ双方の遺族による団体が主催する「イスラエル・パレスチナ追悼日式典」がテルアビブで開催。過激な右派系市民による小規模な妨害行為は見られたものの式典は無事行われ、国内各地でその様子がライブ中継された。
(4/20-21)

 

【独立記念日の国家式典、アルゼンチンのミレイ大統領が参加】(Y,P,H)
21日夜にシオニズムの父テオドール・ヘルツルの墓で戦没者追悼日の締めくくりと独立記念日の幕開けを祝う国家式典が開催された。
式典の中心となったのは聖書的イスラエルの12部族にちなんだ12基のかがり火台への点火式で今年はアルゼンチンからの国賓ミレイ大統領やイスラエルを代表する映画監督やシェフら文化人、スタートアップを牽引する実業家、10/7に拉致され遺体として帰還した最後の人質男性(警官)の母親、政府に任命された人質問題の責任者、2年半続く戦争の中で負傷し手足を失った兵士や、女性初の戦闘部隊司令官らが短いメッセージとともに点火を行った。
最も注目を浴びていたのは外国人、しかも外国元首として異例の点灯者となったミレイ大統領。スペイン語でのメッセージは前日リハーサルの映像が使用され、同氏は「この世界には利害関係によるパートナーとより深い友という2つの関係がある。アルゼンチンとイスラエルの間にあるのはまさに友情だ」と語った。
また登壇時には歌手たちがスペイン語の「Libre(自由)」という楽曲を歌って迎え、そこにミレイ氏も加わりデュエットと化すなど拍手喝采が起きた。ミレイ氏は今回の訪問で対テロやAI産業など他分野での協力を取り決めた、アブラハム合意に着想を得た『イサク合意』を締結しており、国際的孤立感が強まるなか数少ない親イスラエル的姿勢を示すリーダーでもあり、今回の式典へと招待されることとなった。
また10/7やその後の戦争で国に大きく貢献した兵士たちが点灯者に選ばれたことやネタニヤフ首相が安全上の理由から防弾チョッキを着用していたことなど、休戦期間ではありながら戦時下での国家式典であることを強く感じさせるものとなった。
翌22日には建国直後から独立記念日の風物詩である世界中のユダヤ人高校生を対象とした『国際聖書コンテスト』が開催され、正統派の女子高で学ぶイスラエル代表の高校2年生が優勝、アメリカ代表の高校1年生男子が準優勝した。
(4/21-22)

◯ 国際情勢

【イスラエルのユーロビジョン参加、業界関係者1000人超が支持】(Y,P)
ガザやイランでの戦闘を背景に欧州放送連合に対するイスラエルのユーロビジョン・コンテスト参加資格の剥奪を求める声が高まるなか、アーティストや俳優、エンタメ関係者1000人以上がイスラエルの参加継続を支持する文書を発表した。
署名者には演技の三冠を達成したベテラン女優ヘレン・ミレンや『ブラックスワン』でブレイクしたミラ・クニス、ロックバンドKISSのボーカルであるジーン・シモンズのほか、ソニーの映画部門やユニバーサルの音楽部門トップなどといった幅広い人物が含まれている。
文書では同コンテストに関して「一致をもたらし、文化的架け橋として音楽への愛を通じて多種多様な背景の人々を1つにするイベント」とその意義について述べた後、「ホロコースト以来となるユダヤ人虐殺への対応を受けての出場禁止の呼びかけに驚きと失望を感じている」とし、文化イベントの政治化に懸念を示す内容となっている。
イスラエルは来月ウィーンで行われる準決勝への出場を決めており、代表に選出されたノアム・ベタンさんがヘブライ語・英語・仏語の3か国語で楽曲を披露する予定になっている。一方でイスラエルの参加を受けてスペイン・オランダなど5カ国が参加見送りを表明している。
(4/17)

 

【トランプ氏は楽観・強硬な発言を併用、イランはホルムズを再封鎖】(Y,P,H)
17日夜にトランプ大統領は複数の米メディアの取材に応じ、イランが米国側の要求の大半を受け入れたとして「ディールはほぼ成立している」と述べ、楽観的な見方を示した。
報道によれば、イランは1.核開発の無期限停止、2.地下に保管されている濃縮ウランの引き渡し、3.ヒズボラやハマスなど代理勢力への支援停止、といった主要項目で合意したとされ、さらに米国がイラン国内での掘削・回収作業に直接関与する可能性にも言及された。
しかし、イラン側はこれと異なる立場を示している。両国間には依然として大きな隔たりがあるとし、濃縮ウランの引き渡しは明確に拒否。最大の争点の一つであるホルムズ海峡についても、自国による管理権を改めて強調した。
そして18日にイランは米軍による海上封鎖への対抗措置として、ホルムズ海峡の再封鎖を宣言。これを受け、航行を予定していた約20の船舶がオマーンへ引き返し、少なくとも2隻がイラン革命防衛隊の高速艇からの射撃を受けたと報じられている。
イラン側は封鎖解除について「戦争の完全終結と持続可能な平和の実現まで」との条件を提示しており、イスラエル・メディアはここからイランがレバノン戦線と同海峡の封鎖を結び付けているのではないか、と分析している。こうしたなかトランプ大統領は別のインタビューで、イランへの再攻撃の可能性にも言及。暫定休戦の期限が近づく中、「合意に至らなければ休戦は延長しない。海上封鎖は継続され、残念だが再び空爆を行う必要がある」と述べ、交渉の進展を強調しながらも空爆再開を辞さない姿勢を示している。
イスラエルはこうした米イ間の動きを注視している。トランプ氏は外交的解決を希望する一方、(それを理解した上で)イランが強硬な姿勢に出ていることから、最終的に交渉が決裂する可能性もあるとの見方が出ており、軍内では戦闘再開を見据えた準備が進められている。
(4/18)

 

【米軍によるイラン船舶拿捕で暗雲も、明日にも2度目の休戦交渉か】(Y,P,H)
19日深夜にトランプ大統領はイランを発着する船舶に対し米軍が実施する海上封鎖を突破しようとした船舶を拿捕したと発表した。トランプ氏によれば「空母級の大きさの貨物船」で、停船措置の際に行われた攻撃によりエンジン室が損傷したという。また複数回の警告後も航行を続けたための拿捕であり、海兵隊の兵士が積載物のセキュリティーチェックを行っているとした。
一方イラン側は自国船が米軍の攻撃を受けたことは認めつつも、「革命防衛隊海軍の迅速な対応により米軍は退却を余儀なくされた」と主張した。しかし数時間後には米中央軍が船舶への乗り込みと制圧の映像を公開。これに対しイランは休戦違反であり「海賊行為」に等しいとして米国を強く非難し、報復の可能性にも言及している。
この事案は仲介国にも強い危機感を生んでいる。イランはこの一件の前から米側によるホルムズ海峡への介入を受けて交渉離脱も示唆していたが、翌20日には外務省が声明を発表し、恒久的停戦に向けた米国との第2回交渉に代表団を送る意向はないと表明した。理由として今回の船舶拿捕を挙げ、「米国が外交プロセスに真剣ではないことを露呈した」と批判している。
また声明では、「われわれの行動は主権防衛に基づく自衛であり、必要な限り継続される」とも強調しており、ミサイルや無人攻撃機能力に対する制限受け入れを拒否する姿勢も、改めて示している。
このように米イ間の隔たりの大きさが改めて浮き彫りとなったがその一方、20日深夜にはトランプ氏がFoxニュースに対し、「イスラマバードで今日中にも合意が成立するかもしれない」と発言。さらにアルジャジーラも翌21日に同地で2度目の交渉が行われる可能性を報じており、外交的出口への期待も完全には消えていない。
(4/20)

 

【休戦延長も戦闘再開の兆候が…】(Y,P,H)
イランとの交渉が暗礁に乗り上げているなか休戦期間の期限が迫ったことを受け、トランプ大統領は21日深夜に自身のSNS上でイランとの休戦延長を発表した。投稿によると仲介国パキスタンからの要請を受けての措置で、「イランの指導部と代表者たちが一致した提案を示せるまで」とあり、期限は明記されていない。
この期限なき延長決定をイスラエル・メディアはホルムズ海峡問題もあり戦闘再開を避けたいトランプ氏がイランに対して弱さを見せた形になる、と危機感を持って報道。しかし翌22日には米国がイスラエルに対して、延長期限は来週日曜日(26日)までと通達していたことが報じられた。
国内の外交・国防関係者からは数日間で合意に至るにはどちらかの大幅な妥協が必要であり、「合意成立は信じがたい」との声が広がっている。またトランプ氏はイランとの交渉が前進しているというレトリックと並行し、新たに空母ジョージ・ブッシュをペルシャ湾に向けて派遣するなど、中東での米軍増強を再開している。
これを受けて23日にカッツ防衛相が声明でイスラエルは戦闘再開を望んでおりトランプ氏のゴーサイン待ちであるとコメント。報道によると、同様の意志は米側にも伝えられているとのこと。またイランメディアは同日、テヘランを中心とする防空システムの再稼働を伝えており、トランプ氏の両義的な言動とは裏腹に双方ともに戦闘再開をにらんだ動きが強まりつつある。(4/22-23)


[情報源略号表]
 文末の( )内の記号が情報源です。(掲載日が異なる場合もあり。)
 P=エルサレム・ポスト  https://www.jpost.com/(英語)
 H=ハアレツ       http://www.haaretz.com/(英語・ヘブライ語)
 Y=イディオット・アハロノット http://www.ynetnews.com/(英語・ヘブライ語)

[転載・引用・再配布について]
 教会活動等の非営利目的ならばOKです。ユダヤ人および
 各宗教教派に批判的な文脈での引用はしないで下さい。

 
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