ー ISRAEL NOW!ー
 
「エルサレムの平和のために祈れ」 詩 122
(本誌の発行は、原則として毎週土曜です。)
◯ 治安

【南レバノン、ヒズボラの無人攻撃機で19歳兵士が死亡】(Y,P,H)
25日、国境から3kmにある南レバノンのタイベ村に駐屯する国防軍部隊に対し、ヒズボラによる無人攻撃機攻撃が発生。19歳の男性兵士1人が死亡、重傷者4人を含む6人が負傷した。
攻撃を受けたのは第77戦車大隊で、使用された無人攻撃機は探知や迎撃がより困難な光ファイバー有線制御型だったとされている。死亡した兵士イダン・フックスさんには同じレバノン戦線に哨兵として配備されている恋人がおり、スクリーン越しにこの現場を確認しており、その後それが自身の恋人だったことを知ったという。
レバノンでの休戦が成立して10日ほどになるが、ここ1週間はヒズボラによるロケット弾・無人攻撃機の攻撃が続いている。しかし休戦期間中にイスラエル兵が死亡したのはこれが初めてとなる。これを受けてネタニヤフ首相は報復攻撃を指示し、その後南レバノンでヒズボラが軍用利用していた建物への空爆が行われた。
トランプ大統領は23日深夜、一方的にレバノンにおける3週間の休戦延長を発表しているが、ヒズボラによる攻撃継続とそれに対するイスラエルの報復を見る限り、休戦は大きく形骸化していることが浮き彫りになっている。
また30日にも同様にヒズボラによる無人攻撃機の攻撃が2件発生し、19歳の現役兵士1人が死亡、13人が負傷。ヒズボラ戦線において光ファイバーを用いた新型ドローンによる攻撃が最大の脅威となっており、国防軍も「魔法のような解決策はない」と困難な状況を認めている。
(4/25,30)

 

【国防軍、南レバノンでヒズボラの大規模トンネル2本を爆破】(Y,P,H)
国防軍は28日、国境から8kmにある南レバノン・カンタラ村での軍事作戦中にヒズボラによる大規模な地下トンネル2本を発見し、調査後に爆破したと映像とともに発表した。地下約25mに掘られたトンネルは総延長2kmに及び、内部からは武器や巨大貯水タンクなどが発見されている。
国防軍によると、数百から千人規模のテロリストたちが潜伏できるもので、イランの支援を受け10/7のハマスによる越境攻撃と同様のテロ攻撃をヒズボラが実行するために建設されたと考えられている。
発見時、トンネルがある村には数十人のテロリストが潜伏しており、国防軍との戦闘が発生。ヒズボラ側は銃撃戦と並行して対戦車ミサイルや無人攻撃機などを発射したため、この戦争中に南レバノンで起こった戦闘としては最も激戦となった、と兵士らは語っている。最終的には多くのテロリストが排除または拘束され、南レバノンでは最大のテロ活動のための地下トンネルが発見されることとなった。
ヒズボラは国境地帯に対する無差別のロケット弾や無人攻撃機による攻撃を継続しており、前日27日には登校時間に攻撃がありサイレンが作動。低学年の児童が泣きながらシェルターへ避難する様子が現地ニュースで大きく取り上げられ、レバノン戦線の休戦は名ばかりのものだとの論調がさらに強まっている。
(4/28)

◯ 内政

【ネタニヤフ首相、前立腺がん治療を行っていたと公表】(Y,P,H)
ネタニヤフ首相は24日、毎年公表している自身の医療レポートを公開し、その中で前立腺がんに対する放射線治療を行っていたことが明らかになった。ネタニヤフ氏は2024年末に前立腺肥大症の手術を受けており、その後定期的に行われていたMRIなどの検査で9ミリの腫瘍が見つかったという。
監視療法と放射線治療の2つが提示され、ネタニヤフ氏は放射線治療を選択。レポートによると治療は成功し、腫瘍は確認されなくなり、現在は76歳として非常に良好な健康状態と結論付けられている。
このタイミングでのレポート公表は約2か月間の遅れがあり、これについて同氏は「イランのテロ政権によるプロパガンダ利用を防ぐため、戦争の真っただ中では公表しないことを決めた」と、公表延期について説明している。
ただレポートには腫瘍発見や治療の時期については明示されておらず、主治医は「放射線治療は2か月半前」とイラン戦争前だと語っていることから、メディアでは首相と医師側の齟齬を指摘。不明点が複数指摘されていることも相まって、首相の健康状態の透明性に関する議論に発展している。
(4/24)

 

【『私』ではなく『私たち』 ―元首相2人が右派+中道左派の新党結成】(Y,P,H)
10年以上続いたネタニヤフ政権に一時終止符を打ち、2021~22年に連立政権を率いてともに首相職を経験したヤイール・ラピード野党議長と政界復帰を表明していたナフタリ・ベネット氏が共同記者会見を開き、それぞれの党を合併して新党「共に」を結成すると発表した。
中道左派のラピード氏と右派のベネット氏の合流は予想外の動きと受け止められており、会見の冒頭でベネット氏は「命運を握る瞬間には大胆な一歩が求められ、今行うのはまさにそれだ」と語った。
続けて両者には政策上の違いもあるが共に政権運営した経験に触れつつ、「私たちには違う意見があるが、それは隠すものではなく誇り。意見の異なる2人の指導者が国益のために共闘する― 私たちの子どもたちが兵士として共に戦っているのと同じだ」と述べ、違いを超えた一致こそが強みだと強調した。
党首はベネット氏が務めラピード氏は二番手となるが、同氏は野党が一人の対抗候補のもとに結集する必要性を訴え、「ベネットと私はそのためにここに立ち、一つになる」と説明。ベネット氏もネタニヤフ首相のワンマン政治を揶揄し「『私』ではなく『私たち』の政権に戻ろう」と呼びかけた。
世論調査では反ネタニヤフ陣営の有力候補としてガディ・アイゼンコット氏の名前も挙がっており、彼の党は第3党になるとの見通し。このような状況を受けて両氏は「ガディ、私たちの扉は君のために開いている」と述べ、さらに大きなブロック形成を呼びかけた。
会見後の質疑では、5年前のようにアラブ政党と連立を組む可能性について質問が出たが、ベネット氏はこれを否定。
もっとも直後にネタニヤフ氏やリクード議員らはアラブ人議員と2人を並べたAI画像とともに「彼らは再びテロ支持者と契約を結ぶ」と攻撃的な投稿を行い、政策論争よりも選挙戦的応酬が早くも始まっている。
(4/25)

 

【形骸化した休戦状態を受け、北部有名ラビの墓で行われる祝祭への制限決定】(Y,P,H)
来月初めに行われるユダヤ教のラグ・バオメル祭を前に政府は北部で主要会場となるメロン山のラビの墓での行事への参加者数を大幅に制限する方針を発表した。国境地域ではヒズボラからの休戦違反により、ロケット弾・無人攻撃機による攻撃が頻繁に続いており治安上の懸念が背景にある。
毎年数十万人がラビの墓で祭りを祝うが、21年に群集事故で45人が亡くなったことから、過密状態での安全確保が課題とされてきた。今年はこれに加えてヒズボラからの攻撃があるため、サイレン発令時の避難動線や十分なシェルターの不足が指摘されており、警察や軍も事故再発のリスクに警鐘を鳴らしていた。
それらを受けて今年は、祭りの中心でもある当地での焚火を11基に分散させ、それぞれの参加者数を1500人までにするという、制限が課されることに。
しかしこれに関して警察を管轄するベングビル国家治安相はこの方式では結果的に大規模な人出を抑制できないとし「(制限の)抜け穴」を利用したものと激しく批判。「(21年に続く)次の悲劇的事故への道をひた走っている」と述べ、1万人を超える大規模な集会に反対の姿勢を見せている。
(4/27)

◯ 国際情勢

【アメリカ、ホルムズ海峡への空爆について協議中か】(Y,P)
CNNは23日夜、休戦崩壊のシナリオとして米側がホルムズ海峡に関するイランの軍事拠点への空爆計画を立案していると複数の関係者の証言をもとに報道した。これによると標的としては、海峡内および周辺で活動する戦闘艇や機雷敷設艦、また海峡封鎖に関与するイランの戦略的拠点などが協議されているという。
しかし同時に関係者からは「空爆だけで海峡の封鎖解除は不可能」との声も上がっており、軍民両用とされているエネルギー施設や交渉に反対するイラン内強硬派を標的とした空爆といった圧力によってイランを譲歩させたうえで、交渉のテーブルに戻させるための別の軍事オプションも検討されているとされる。
国防省はこの報道を受け、「軍は大統領に複数の選択肢を提示しており、それらはテーブルの上にある」とコメントしている。
(4/24)

 

【交渉への機運が高まるもイラン外相はパキスタンから帰国、交渉は実現せず】(Y,P)
イランのアラグチ外相が24日夜、仲介国パキスタンに米国案への返答を伝えるためイスラマバード入りし、それに合わせてウィトコフ中東特使とクシュナー氏の当地入りも報じられるなど、米イの交渉に対する機運が高まっていたが、最終的に両者がテーブルに着くことはなかった。
イランメディアによるとアラグチ氏はパキスタン陸軍トップと会談して休戦に関するイラン側の回答を仲介国に伝えた後、米交渉団を待つことなく帰国した。これに関してイスラム革命防衛隊出身の国防・外交の高官は「イランにとってレッドラインの1つである核交渉とは全く無関係」と述べ、外相訪問と米イ交渉を切り離すようなコメントを発表している。
このアラグチ氏の帰国を受けてトランプ大統領はウィトコフ氏らのパキスタン派遣中止を決定。「多くの時間と働きが無駄になる」とSNSで説明し、さらにイラン側について「大きな内紛と混乱状態があり、責任者が誰かを誰も理解していない」と述べた。
しかし、交渉破談が戦闘再開を意味するのかとのメディアの問いには「まだそれについては考えていない」と否定。別の取材に対しては「交渉中止の10分後にはより良いイランからの提案があった」と引き続き外交的解決のための肯定的なメッセージを発信し続けている。
なおイランは数週間で兵器転用可能ともされる60%の濃縮ウラン約450キロに加え、2~60%の濃縮ウランを計10.9トン保有しているとされ、核問題は引き続き交渉最大の焦点となっている。
(4/25)

 

【クリミア半島からの小麦をイスラエルが輸入、ウクライナは猛反発】(Y,P,H)
ロシアが占領するクリミア半島で生産された小麦をアフリカ・中東などに対して輸出している問題をめぐり、ウクライナは28日、クリミア産の小麦約4.4万トンを積んだロシアの貨物船が4月中旬にイスラエル北部ハイファ港に到着したとし、イスラエルを批判した。
ウクライナは占領地で生産された穀物の輸出を「盗まれた穀物」と位置付け、各国に輸入しないよう求めている。ウクライナの外相はこれまでもイスラエル側に問題提起したが十分な回答が得られなかったとし、今回の対応を改めて非難。
これに対してサアル外相は「友好国との外交はSNSやメディアを通じて行われるべきではない」と述べ、根拠提示を伴う公式要請を受けていなかったとウクライナ側の対応を批判し返している。この応酬は次第に拡大しついにはゼレンスキー大統領が発言し、イスラエルに経済制裁を示唆するコメントを発表。それに続きEUまでも同様の懸念を示すなど、この一件は国際問題へと一時発展した。
しかしその後30日には続報があり、イスラエル側は当該貨物船について荷揚げを行わないと表明。ウクライナ側もこれを歓迎するコメントを出し、事態はひとまず沈静化に向かっている。
(4/28,30)

 

【国際刑事裁判所の主任検察官、カタールによる支援を受けていた?】(Y,P)
戦争犯罪の疑いでネタニヤフ首相とガラント防衛相(当時)に対し、逮捕状を請求した国際刑事裁判所(ICC)のカーン主任検察官について27日、WSJ紙が同氏とカタールとの関係性を指摘する複数の証言を報じた。
報道によれば、カタールは民間のインテリジェンス機関に対し、カーン氏が女性職員に不同意性交等を行ったとする疑惑に関して、被害者とされる女性の信用性を傷付ける工作を依頼し、性被害の主張の真実性そのものを低下させることでカーン氏を助けるために動いていたという。
この疑惑は当該機関の調査員らの会話の録音に基づいており、そこからは同様の依頼として性疑惑について最初に証言したカーン氏側近や親イスラエルの共和党有力議員なども調査対象に含まれていた可能性もあるとのこと。またこの会話にはカタールがカーン氏側に直接接触し、逮捕状請求を躊躇している同氏に対し「もし行えば、あなたの面倒を見る」と支援・保護を約束したといった内容も含まれている。
これらについては事案の重大性からFBIも事実確認のために動いており、事実であればICCの公平性と司法の独立性を根幹から揺るがす事件となる。
(4/28)

 

【ロンドンでユダヤ人に対する刺傷テロが発生、2人が重傷】(Y,P,H)
大規模なユダヤ人共同体があるロンドン南東部で29日、キッパを被ったユダヤ人を標的とした刃物による刺傷テロが発生し、76歳と34歳のユダヤ人男性が重傷を負った。ロンドン警察は45歳の男を現行犯で逮捕し、捜査・取り調べを行っている。
現場となったバス停の防犯カメラから、バス停で待っていた高齢男性に対して通りがかった大柄の男性が刃物を手に襲い掛かる様子が確認されている。その後の報道によると、テロリストはソマリア出身の英国籍者であることや過去にも暴力・刑事罪で重罪を犯していること、また2020年に行った対過激派対策のなかでこの男性も対象となっていたことなどが明らかになっている。テロの直後には、親イランのイスラム過激派が犯行声明を発表。
昨年秋にはマンチェスターで刺殺テロが、そしてロンドンでは今年3月からユダヤ人共同体やイスラエル関連施設を標的とした攻撃や未遂事件が少なくとも10件は確認されるなどイギリスでは反ユダヤ主義の機運が高まっており、国内のユダヤ人共同体はSOSの声を上げ続けているが、英当局は解決策を見出せずにいる。
(4/29-30)

 

【イランからの返答案をトランプ氏は拒否、モジタバ「米の居場所は湾の海底」】(Y,P,H)
パキスタンで予定された協議が直前で中止となり膠着状態となっている米イ間の交渉をめぐり、26日から27日にかけてイランが米国に新たな提案を提示したことが明らかになった。報道によると同案は、ホルムズ海峡の封鎖解除と交戦再開抑制を主眼とする一方、米が一貫して強く求めている核開発に関しては将来的な交渉に先送りするといった内容。
28日に米メディアはトランプ大統領がイランからの新案に対して満足しておらず同案を拒否するだろうとの見通しを報道。そして翌29日には実際にトランプ氏がイラン案への拒否と核問題に関してイラン側が米による要求を飲むまで、ホルムズ海峡におけるイラン発着の船舶に対する軍事的封鎖を継続する意向を示している。
ただここ最近同氏は空爆再開について慎重な発言を続けていることから、「休戦合意も交戦もない」不透明な状態が続くのではとの見方がメディアでは報じられている。
30日にはイランの最高指導者モジタバが国営テレビなどを通じて強硬な発信を行った。そこでは「9千万人のイラン国民が核やミサイルを含む技術的能力を守り抜く」と述べ、米国が求めているウラン濃縮や核開発の放棄を否定。さらに「神の加護によりペルシャ湾の一帯には、アメリカ無き明るい未来が待っている。悪意と強欲と共にやって来た外国人たち(米国)の、同湾の居場所は海底のみ」と、アメリカを挑発するような発言を行った。
(4/27-30)


[情報源略号表]
 文末の( )内の記号が情報源です。(掲載日が異なる場合もあり。)
 P=エルサレム・ポスト  https://www.jpost.com/(英語)
 H=ハアレツ       http://www.haaretz.com/(英語・ヘブライ語)
 Y=イディオット・アハロノット http://www.ynetnews.com/(英語・ヘブライ語)

[転載・引用・再配布について]
 教会活動等の非営利目的ならばOKです。ユダヤ人および
 各宗教教派に批判的な文脈での引用はしないで下さい。

 
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