【トランプ氏が一時軟化も、イラン案受け再び戦闘再開論】(Y,P,H)
15日、訪中から帰国したトランプ大統領はイラン問題について言及し、「真剣なコミットであるならば、20年間のウラン濃縮停止でも問題はない」と語った。これまでトランプ氏は「核兵器を得る可能性さえも与えてはならない」とイランのウラン濃縮については無期限停止を求めてきたため、核問題をめぐる姿勢を明確に軟化させた形となる。
イスラエルメディアでは訪中後、トランプ氏が戦闘再開の是非について最終判断を下すとの見方が出ていたが、17日夜に行われたネタニヤフ首相との電話会談では米中首脳会談の報告やイラン問題に関する協議は行われたものの、アメリカ側の最終決定はイスラエル側に伝えられなかった。
このように合意にも戦闘再開にも至らない曖昧な休戦状態が続くと思われていたが、18日から論調に変化が。パキスタンを通じてイラン側の「修正案」がアメリカへ提出されたことから、再び戦闘再開論が強まっている。
この修正案では、イランが核兵器非保有へのコミットを示すなど建前では一定の前進は見られるものの、アメリカ・イスラエルがより重要視している実際のウラン濃縮停止や高濃度濃縮ウランの譲渡については拒否しているという。米高官は「大きな改善は見られていない」と評価したうえで、「イランがスタンスを変えないのであれば、アメリカは空爆を用いて交渉を進めなければならなくなる」と発言し、空爆再開の可能性が高まっているとの認識を示した。
これを受け、イスラエル高官からも「決定ではないが、50-50ではない。イスラエルは大規模な戦闘再開に向け準備を進めている」との声が上がっている。またネタニヤフ氏はこのイランの返答とそれへのホワイトハウスの反応を受け、17・18日と2日連続で少人数の安全保障閣議を開き、イラン情勢について協議を行った。
(5/15,17-18)
【攻撃1時間前に米は延期を決定 ネタニヤフ・トランプ氏の「緊迫した首脳会談」】(Y,P,H)
トランプ大統領は18日夜、実質的なイランとの交渉決裂を受け空爆再開を決定していたものの、湾岸諸国からの要請を受けて直前で延期していたことを明らかにした。トランプ氏は「イラン空爆命令まで残り1時間だった」と語ったうえで、イランに濃縮ウラン問題などについて米提案へ前向きな回答を行うための「2〜3日」の猶予を再び与えた。
UAEは直近2日間だけでもイランから飛来した無人攻撃機6機を迎撃しており、さらにイラクから飛来した無人攻撃機1機が同国の原子力発電所へ着弾するなど、休戦状態は形骸化しつつある。19日にはバンス副大統領も記者会見で、「軍事作戦を再開することも可能だが、それは大統領もイラン側も望んでいない。多くの前進があり、イランも外交的解決を望んでいると思う」と述べ、引き続き外交的解決を優先する姿勢を示した。
翌20日にはNYT紙がアメリカとイスラエルがハメネイ排除後の新たなイラン体制として、アフマディネジャド元大統領を中心とした政権構想を検討していたと報じた。イスラエルの生存権やホロコーストを否定し、大統領時代にもイスラエル殲滅を公言していた人物を「ポスト・ハメネイ体制」の候補としていたという報道にイスラエル国内では驚きが広がっている。
イラン専門家からは「事実であれば、イランを理解していない者たちによる極めて未熟で非現実的な計画」との批判も上がっており、以前報じられていた「クルド勢力による体制崩壊期待」とも重なると問題視されている。
またこの日には、前日に行われたネタニヤフ首相とトランプ大統領の電話会談内容の一部もリークされた。報道によるとネタニヤフ氏は仮に外交的合意が成立しても現在のイランがそれを順守するとは考えられないとして、「攻撃延期は誤りだ」とトランプ氏を批判。一方トランプ氏は「人命を救うためにも、もう少し時間を与えるべきだ」と従来通り外交的解決を優先する立場を示し、会談は平行線に終わったという。
イスラエルメディアはこの会談について「緊迫した首脳会談だった」と報じている。
(5/19-20)
【モジタバ「濃縮ウランは国内保持」トランプ氏は従来姿勢を強調】(Y,P,H)
複数のイラン高官は21日、ロイター通信に「濃縮ウランはイラン国内で保持しなければならない」とするモジタバ最高指導者の指示があったと明かした。濃縮ウランの国内保持はイラン体制内で統一された立場だとされており、これはアメリカ・イスラエル側が大前提としている「ウラン濃縮と濃縮ウラン保持の放棄」と真っ向から対立するものとなる。
前日にはアメリカが改めてイラン側へ休戦案を提示していたが、イスラエルメディアは今回のモジタバ発言について「交渉をさらに困難にするものだ」と報じている。また同高官らによると、休戦交渉自体には一定の進展が見られるものの、最大の争点であるウラン濃縮問題については依然として平行線が続いているという。
このイラン側による「濃縮ウラン保持」発言を受け、トランプ大統領は「中東で核戦争を起こさせるわけにはいかない。イランが核兵器を持つことはない。高濃度濃縮ウランは我々が受け取ることになる」と発言、イランの核兵器保有や濃縮ウラン保持を認めない従来の立場を改めて強調した。
しかし濃縮ウラン問題をめぐる隔たりが鮮明になるなかでもルビオ国務長官は同日、パキスタンの使節団がイランへ向かっていることを明かし、「合意に向けた良い兆候が見られる」と発言。アメリカ側では交渉に対する悲観的な見方が強まる一方、外交的解決への期待も依然として残っている。
(5/21)