ー ISRAEL NOW!ー
 
「エルサレムの平和のために祈れ」 詩 122
(本誌の発行は、原則として毎週土曜です。)
◯ 治安

【10/7首謀者の1人、ハマス軍事部門トップを空軍が排除】(Y,P,H)
国防軍とシンベトは16日、前日にガザ地区沿岸部へ実施した空爆により、ハマス軍事部門トップのイズ・アルディン・アル・ハダドを排除したと発表した。カッサム旅団最高司令官だったハダドは10/7攻撃の首謀者の1人とされ、攻撃の前日にはガザ旅団の指揮官らを集め、イスラエル兵の拉致やその様子を撮影・配信するよう指示していたという。
また10/7以降も生存するハマス最高幹部の1人として国防軍の最重要標的となっていた。そのため変装を繰り返しながら拠点を変えて潜伏し、自身の周囲で人質を監禁して「人間の盾」として利用していたほか、人質管理や国防軍に対するゲリラ戦にも深く関与していたとされる。
シンワル兄弟排除後、ハダドはハマス軍部内で最も求心力を持つ人物となっており、戦後ガザをめぐる議論でもハマスの武装解除に最も強硬に反対していた。そのため防衛関係者は今回の排除によってハマス側から譲歩を引き出しやすくなり、武装解除に近い形への道筋が開かれる可能性があると分析している。
また別の関係者は2年半を経て国防軍が軍事部門トップの排除に成功したことで他のハマス幹部らにも命の危険を強く意識させ、「海外追放」という形でガザを離れる圧力になるとして、重要な軍事的成果だと評価している。
(5/16)

 

【レバノンとの休戦が1カ月半延長、イスラエルは「休みなき戦い」と報道】(Y,P,H)
ヒズボラによるロケット弾・無人攻撃機の攻撃と国防軍の空爆が続くなか、アメリカ国務省は15日、イスラエル・レバノン間の休戦を45日間延長すると発表した。国務省によると来月初めに両国交渉団による協議が再び行われ、それに先立ち米国防省を通じた両国軍間の連携も開始されるという。
米側は声明で休戦延長は「さらなる進展を促すため」と説明しているが、イスラエルメディアは「休戦という名の『休みなき戦い』だ」と骸化した休戦状態を批判的に報道。また前回に続き「再びアメリカがイスラエル市民に知らせる形」と自国の戦争に関する重要発表がイスラエル政府から行われていない、いびつな状況を皮肉と共に伝えている。
また休戦延長の前日には、リタニ川周辺に配備されていたゴラニ旅団の20歳の男性兵士がヒズボラによる迫撃砲攻撃を受けて死亡。さらに翌16日には、南レバノンで同じくゴラニ旅団の24歳の予備役兵が無人攻撃機攻撃によって死亡し、休戦期間中の戦死者が7人となっている。休戦延長発表の前日・翌日に戦死者が出るなど、休戦は全く機能していない状況となっている。
また19日には、長距離偵察などを行う精鋭『マグラン部隊』の27歳の予備役兵が南レバノンにある地元教会に潜んでいたテロリストの急襲を受け戦死している。
(5/15-16,19)

◯ 内政

【極右ベングビル氏が再び問題行動、拘束された親パレ活動家を挑発+SNS投稿】(Y,P,H)
先月末に続きガザ到達を試みた「グローバル・スムード船団」に参加し、国防軍に拘束された親パレスチナ活動家らを20日、ベングビル国家治安相が訪問した。
同相は結束バンドで拘束されうつむいて座らされた活動家の前に巨大なイスラエル国旗を持って登場。「イスラエルへようこそ。我々こそが主だ。サマーキャンプはもう終わった」などと挑発的な発言を行った。また女性活動家が「Free Palestine」と叫びながら立ち上がった際、刑務所警察官が座らせた様子を見て「よくやった」と声を掛けるなど、扇動的な言動も見られた。
このSNS投稿は国際的にも大きな問題となり、20カ国以上が非難声明を発表。一部の国では在イスラエル大使を呼び出して抗議を行うなど、外交問題へと発展した。これを受けサアル外相は「彼はイスラエルを代表していない」とベングビル氏を批判。ネタニヤフ首相も「大臣の振る舞いはイスラエルの価値観や基準に合致するものではなかった」と異例の非難コメントを発表し、火消しに追われる形となった。
秋にも総選挙が行われる可能性があることから、この挑発行為やSNSでの発信については選挙戦を見据えた政治的パフォーマンスとの見方が強まっている。
(5/20)

 

【ネタニヤフ氏に大量の候補者推薦枠案、党内では「民主制崩壊」と反発も】(Y)
秋にも総選挙が行われるなか、ベネット・ラピード両氏による新党「共に」と第一党の座を争うネタニヤフ氏率いるリクード党内で選挙戦に向けた内部対立が表面化し始めている。
報道によると、党幹部との協議の中で比例名簿を35位まで拡大し、そのうち最大10人をネタニヤフ氏推薦枠とする案が浮上。ネタニヤフ氏自身もこれを支持する意向だという。
しかし現在32議席を持つリクードは最新の世論調査では24〜27議席程度へ減少すると予測されている。この状況で10人もの推薦枠が認められれば、主要閣僚や有力議員を除いた現職議員たちに残される「現実的当選圏」はわずか数人分しかなくなる。そのため党内からは、「4年間ネタニヤフのために戦ってきた議員たちを切り捨てようとしている」と反発の声が上がっている。
また同じ協議では、今回の総選挙に向けた比例名簿作成のための党内予備選挙を特例として中止する案も浮上している。これに対しては歴史あるリクード党から民主的手続きが失われつつあるとの批判が、党内外から出始めている。
(5/21)

◯ 国際情勢

【トランプ氏が一時軟化も、イラン案受け再び戦闘再開論】(Y,P,H) 
15日、訪中から帰国したトランプ大統領はイラン問題について言及し、「真剣なコミットであるならば、20年間のウラン濃縮停止でも問題はない」と語った。これまでトランプ氏は「核兵器を得る可能性さえも与えてはならない」とイランのウラン濃縮については無期限停止を求めてきたため、核問題をめぐる姿勢を明確に軟化させた形となる。
イスラエルメディアでは訪中後、トランプ氏が戦闘再開の是非について最終判断を下すとの見方が出ていたが、17日夜に行われたネタニヤフ首相との電話会談では米中首脳会談の報告やイラン問題に関する協議は行われたものの、アメリカ側の最終決定はイスラエル側に伝えられなかった。
このように合意にも戦闘再開にも至らない曖昧な休戦状態が続くと思われていたが、18日から論調に変化が。パキスタンを通じてイラン側の「修正案」がアメリカへ提出されたことから、再び戦闘再開論が強まっている。
この修正案では、イランが核兵器非保有へのコミットを示すなど建前では一定の前進は見られるものの、アメリカ・イスラエルがより重要視している実際のウラン濃縮停止や高濃度濃縮ウランの譲渡については拒否しているという。米高官は「大きな改善は見られていない」と評価したうえで、「イランがスタンスを変えないのであれば、アメリカは空爆を用いて交渉を進めなければならなくなる」と発言し、空爆再開の可能性が高まっているとの認識を示した。
これを受け、イスラエル高官からも「決定ではないが、50-50ではない。イスラエルは大規模な戦闘再開に向け準備を進めている」との声が上がっている。またネタニヤフ氏はこのイランの返答とそれへのホワイトハウスの反応を受け、17・18日と2日連続で少人数の安全保障閣議を開き、イラン情勢について協議を行った。
(5/15,17-18)

 

【攻撃1時間前に米は延期を決定 ネタニヤフ・トランプ氏の「緊迫した首脳会談」】(Y,P,H)
トランプ大統領は18日夜、実質的なイランとの交渉決裂を受け空爆再開を決定していたものの、湾岸諸国からの要請を受けて直前で延期していたことを明らかにした。トランプ氏は「イラン空爆命令まで残り1時間だった」と語ったうえで、イランに濃縮ウラン問題などについて米提案へ前向きな回答を行うための「2〜3日」の猶予を再び与えた。
UAEは直近2日間だけでもイランから飛来した無人攻撃機6機を迎撃しており、さらにイラクから飛来した無人攻撃機1機が同国の原子力発電所へ着弾するなど、休戦状態は形骸化しつつある。19日にはバンス副大統領も記者会見で、「軍事作戦を再開することも可能だが、それは大統領もイラン側も望んでいない。多くの前進があり、イランも外交的解決を望んでいると思う」と述べ、引き続き外交的解決を優先する姿勢を示した。
翌20日にはNYT紙がアメリカとイスラエルがハメネイ排除後の新たなイラン体制として、アフマディネジャド元大統領を中心とした政権構想を検討していたと報じた。イスラエルの生存権やホロコーストを否定し、大統領時代にもイスラエル殲滅を公言していた人物を「ポスト・ハメネイ体制」の候補としていたという報道にイスラエル国内では驚きが広がっている。
イラン専門家からは「事実であれば、イランを理解していない者たちによる極めて未熟で非現実的な計画」との批判も上がっており、以前報じられていた「クルド勢力による体制崩壊期待」とも重なると問題視されている。
またこの日には、前日に行われたネタニヤフ首相とトランプ大統領の電話会談内容の一部もリークされた。報道によるとネタニヤフ氏は仮に外交的合意が成立しても現在のイランがそれを順守するとは考えられないとして、「攻撃延期は誤りだ」とトランプ氏を批判。一方トランプ氏は「人命を救うためにも、もう少し時間を与えるべきだ」と従来通り外交的解決を優先する立場を示し、会談は平行線に終わったという。
イスラエルメディアはこの会談について「緊迫した首脳会談だった」と報じている。
(5/19-20)

 

【モジタバ「濃縮ウランは国内保持」トランプ氏は従来姿勢を強調】(Y,P,H)
複数のイラン高官は21日、ロイター通信に「濃縮ウランはイラン国内で保持しなければならない」とするモジタバ最高指導者の指示があったと明かした。濃縮ウランの国内保持はイラン体制内で統一された立場だとされており、これはアメリカ・イスラエル側が大前提としている「ウラン濃縮と濃縮ウラン保持の放棄」と真っ向から対立するものとなる。
前日にはアメリカが改めてイラン側へ休戦案を提示していたが、イスラエルメディアは今回のモジタバ発言について「交渉をさらに困難にするものだ」と報じている。また同高官らによると、休戦交渉自体には一定の進展が見られるものの、最大の争点であるウラン濃縮問題については依然として平行線が続いているという。
このイラン側による「濃縮ウラン保持」発言を受け、トランプ大統領は「中東で核戦争を起こさせるわけにはいかない。イランが核兵器を持つことはない。高濃度濃縮ウランは我々が受け取ることになる」と発言、イランの核兵器保有や濃縮ウラン保持を認めない従来の立場を改めて強調した。
しかし濃縮ウラン問題をめぐる隔たりが鮮明になるなかでもルビオ国務長官は同日、パキスタンの使節団がイランへ向かっていることを明かし、「合意に向けた良い兆候が見られる」と発言。アメリカ側では交渉に対する悲観的な見方が強まる一方、外交的解決への期待も依然として残っている。
(5/21)

◯ 文化

【イスラエル代表歌手、ユーロビジョンで準優勝】(Y,P,H)
16日夜、オーストリア・ウィーンでユーロビジョン・コンテスト決勝が行われ、イスラエル代表のノアム・ベタンさんが2年連続となる準優勝を果たした。
ガザ戦争以降、反イスラエル感情の高まりもあり、近年のイスラエル代表は審査員票が伸び悩み視聴者投票に支えられる傾向があったが、今年は参加国審査員のうち22カ国がイスラエルに票を入れるなど、審査員からも高得点を獲得しての2位となった。
最終リハーサルでは妨害目的とみられる指笛や大きなブーイングも起きており、決勝のステージへの影響も懸念されていた。しかしベタンさんは本番でヘブライ語・英語・フランス語の3言語による楽曲を披露し、歌唱後にはヘブライ語で「イスラエルの民は生きている」と叫び、会場を沸かせた。
ヨーロッパ各国メディアも、そのパフォーマンスを高く評価。「もし(政治的問題のない)スウェーデン代表だったなら優勝していただろう」と、政治的要因が順位に影響した可能性を指摘する声もある。
(5/16-17)

 

【12使徒の故郷で聖書を裏付ける貴重な発見か】(Y)
ガリラヤ湖北部のベツサイダで進められている発掘調査がキリスト教世界で注目を集めている。
ベツサイダはペテロとアンドレ兄弟をはじめとするイエスの弟子たちの故郷として知られる場所で、2016年から本格的な発掘が続けられている。これまでに5世紀建立のビザンチン時代の教会跡が出土していたが、2023年にはその祭壇地下から、イエス時代にあたる1世紀の住居跡が発見された。
この教会については、8世紀に当地を訪れた巡礼者が旅行記の中で、「ペテロとアンドレの家の上に建てられた教会」だと記録している。今回、実際に教会の地下から1世紀の住居跡が見つかったことで、歴史的資料と一致する考古学的発見だと注目されている。
また住居跡からは漁に使用された同時代の重りも出土しており、発掘を監修するアメリカ人考古学者は、「『ペテロがここに居た』と書かれた銘板が出土したわけではないが、考古学的にはこれ以上望めないほど有力な証拠だ」と語っている。
(5/17)


[情報源略号表]
 文末の( )内の記号が情報源です。(掲載日が異なる場合もあり。)
 P=エルサレム・ポスト  https://www.jpost.com/(英語)
 H=ハアレツ       http://www.haaretz.com/(英語・ヘブライ語)
 Y=イディオット・アハロノット http://www.ynetnews.com/(英語・ヘブライ語)

[転載・引用・再配布について]
 教会活動等の非営利目的ならばOKです。ユダヤ人および
 各宗教教派に批判的な文脈での引用はしないで下さい。

 
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