ー ISRAEL NOW!ー
 
「エルサレムの平和のために祈れ」 詩 122
(本誌の発行は、原則として毎週土曜です。)
◯ 治安

【空軍、ヒズボラ精鋭部隊司令官をベイルート空爆で排除】(Y,P,H)
国防軍は6日夜、ヒズボラの本拠地であるベイルート・ダヒヤ地区へ空爆を行い、2024年から「ラドワン部隊」の司令官を務めていたアフメド・バルートを排除した。バルートはイラン戦争参戦後ヒズボラが続けている南レバノンにおける対戦車ミサイル攻撃や爆発物設置などを統括しており、10月7日にハマスが行ったようなイスラエル北部への越境攻撃も視野に同部隊の再軍備化を進めていた。
イスラエル側は休戦合意により、本来南レバノンではヒズボラが武装解除・排除されているはずだとしており、少なくとも南部での同部隊の存在や活動自体を休戦違反とみなしている。イスラエルがダヒヤ地区を空爆したのは数週間ぶりで、休戦期間中としては異例。バルートと共に潜伏していた複数のテロリストも死亡したとみられている。
国防軍は先月のレバノン戦線での休戦成立以降も、南レバノンを中心に脅威となり得るテロリストへの攻撃を継続しており、これまでに220人以上の司令官・戦闘員らを排除したとしている。
(5/7)

◯ 内政

【ネタニヤフ首相の司法取引めぐる対話、司法側は前向き姿勢】(Y,P,H)
ネタニヤフ首相が起訴されている複数の汚職事件をめぐり、先月末にヘルツォグ大統領が司法取引を念頭に対話を呼び掛けたことに対し、司法側のミアラ検事総長と実務トップである国家検察官が3日夜に前向きな返答を行った。
しかし同時に回答文書の中には「前提条件や進行中である裁判手続きを妨げること」は受け入れられないとの立場も示されており、ネタニヤフ氏側が対話開始の条件として裁判停止を求めることには反対している。
昨年11月に恩赦要請が出されて以降、ネタニヤフ氏の恩赦をめぐっては国内で賛否が分かれている。恩赦権限を持つヘルツォグ大統領は国内分裂の深刻化を避けるためにも司法取引による決着を模索しており、司法・検察側と被告であるネタニヤフ氏側双方に対話を呼び掛けていた。
一方、ネタニヤフ氏本人は現時点で明確な返答を行っていない。報道によると同氏周辺でも意見は分かれており、弁護士や法律顧問らは対話開始を支持する一方、サラ夫人や一部側近は「対話に応じること自体が罪を認める姿勢と受け取られかねない」と反対している。
(5/4)

 

【修道女に暴行した極右入植者、暴行罪で起訴】(Y,P)
イスラエル検察は7日、先週エルサレム旧市街近くを歩いていたフランス人修道女を押し倒し蹴るなどの暴行を加えたとして、36歳のユダヤ人入植者の男を起訴した。
事件が起きたのは旧市街のすぐ外にあるシオン山でダビデの墓と最後の晩餐の部屋というユダヤ・キリスト教双方の聖地が隣接する地区。防犯カメラ映像では男がチュニックと頭巾姿の修道女を確認した後、背後から走って突き飛ばし、何かを叫びながらうずくまっている被害者を数回蹴っている様子が確認されている。
起訴状には「被害者が修道女であるという理由だけ」で暴行したとの記述があり、検察側は宗教的動機に基づくヘイトクライムとの認識を示している。
また前日には、南レバノンの教会で国防軍兵士がたばこを吸いながら別のたばこをマリア像に押し付ける映像がSNS上で拡散された。国防軍は「数週間前の事例だが、該当兵士に対しては処分を行う」とコメントしている。
このように近年イスラエルではキリスト教聖職者や教会を標的とした嫌がらせやヘイトクライムが増加傾向にあり、問題視されている。
(5/6-7)

◯ 国際情勢

【UAE、イラン攻撃に備え『アイアンビーム』などを急ピッチで配備】(Y,H)
4月30日、UAEがイスラエルからレーザー迎撃システム「アイアンビーム」などを導入していることが分かった。短距離ミサイルや無人機の対処などの防空強化が狙いとされる。
イランとの交戦下でUAEは弾道ミサイル500発・無人攻撃機2000機以上の攻撃を受けたとされており、大半は迎撃されたものの、コスト面で効率的なシステムを求めていた。そんな背景から昨年末にイスラエルで正式に配備されたレーザーで飛来物を破壊する「アイアンビーム」や光学技術を用いた検知・監視システム「Spectro」が導入されることになった。
関係者によると提供された装備の一部はまだイスラエル軍でも限定的な運用段階にあり、UAEが急ピッチで防空体制の構築を行っていることがわかる。これを機に両国間はイランからの短距離ミサイルや無人攻撃機などに関してリアルタイムで情報を共有するとされており、事実であれば兵器の取引以上の内容となる。
ウクライナや中東での近年の戦闘から、安価な無人攻撃機に対して非常に高額な迎撃ミサイルを使用することによる消耗・コストが問題となっている。ある調査ではイランとの1月半の戦闘で米軍は保有するTHAADやパトリオットなどの迎撃ミサイルの約半数を使用したとのデータも出ており、レーザーによるより効率的な迎撃システムが求められている。
(5/1)

 

【イランが譲歩ゼロの「新たな休戦案」を提示、イスラエルは注視】(Y,P)
前日にはイラン最高指導者モジタバが米国に過激な発言を行ったが、1日にはイランがパキスタンを通じて新たな休戦案を提示したことが報じられた。
その後トランプ大統領は記者団に「イランは取引を希望しているが、私は満足していない。彼らは受け入れられない要求をしている」と歩み寄りは見られたが、合意には遠いとの認識を示した。
当初はこの新提案の具体的な内容は報道されていなかったが、2日夜にはイラン政権系メディアが同案の内容を公開。それによるとイランは恒久的な休戦に加え、イラン周囲からの米軍撤退やホルムズ海峡封鎖の停止、賠償金の支払いや経済制裁・資産凍結の解除、イランを主導としたホルムズ海峡の管理体制を求めている。
イラン側が全く譲歩していないことを受け、トランプ氏は外交的着地が好ましいとしながらも、求めるラインまでイランが妥協することに懐疑的な見方も示している。イスラエルは引き続き最高レベルの臨戦態勢を維持しつつ、交渉の行方を注視している。
(5/1)

 

【ガザ支援船団がクレタ沖で拿捕、活動家は暴力を訴えるも…】(Y,P,H)
昨秋に続きガザ到達を試みた「グローバル・スムード船団」が先月30日にギリシャ・クレタ島沖でイスラエル海軍に拿捕されたが、拘束後の活動家へのイスラエルの対応をめぐり、双方の主張が食い違い、議論を呼んでいる。
活動家の一部は拘束時などに兵士たちから「激しい暴力・虐待行為」を受けたとし、顔に出来たあざの写真などをアップしている。これについてイスラエル側は伊メディアに、拘束時に抵抗があった場合に限って必要な力の行使が行われた可能性があると説明している。
また船団側は移送中に十分な水も与えられず、意図的に水で濡らされたデッキの床での雑魚寝を強いられたなどとし、非人道的な処遇だと批判のコメントを出している。しかしイスラエル側が公表した映像では甲板の上に敷かれたマットの上で運動に興じ、活動家同士で楽しげに会話する様子が見られ、船団側の主張との食い違いも見られている。
また捕縛時には支援物資の中にコンドームやコカインと見られる薬物の袋が発見されるなど、イスラエル国内では人道支援船とは異なる側面が報じられている。拘束された175人のうち大半はギリシャへ移送されたが、パレスチナ人とブラジル人の活動家2人は、ハマスとの関係や違法行為の疑いがあるとして、取り調べのためイスラエルへ移送された。
(5/1-2)

 

【フィンランド議会、イスラエルとの兵器取引の停止案を否決】(Y,P)
フィンランド議会はガザなどにおける人道状況を理由にイスラエルとの兵器取引停止を求める市民請願について審議と採決を行い、賛成20・反対140の反対多数で否決した。
フィンランドでは5万人以上の署名が集まれば市民側が法案提出を行うことができ、今回の請願もこの制度を通じて議会へ提出されたもの。請願側は兵器調達における現行基準が性能や費用面に偏重しており、人権や国際法の観点をより重視すべきだと主張。その上でイスラエルからの兵器輸入停止を求めていた。
一方、議会の防衛委員会は現行制度でも十分な多角的審査が行われていることや防衛上の必要性などを理由に反対を勧告。議会はこの勧告を採用する形で請願を否決した。
(5/3-4)

 

【休戦成立後初、イランがミサイル・無人攻撃機でUAEを攻撃】(Y,P,H)
UAEは4日、イランから4発の巡航ミサイルが飛来し、3発を迎撃、1発は海中に着弾したと発表した。また東部フジャイラの石油施設にイランからの無人攻撃機が着弾し火災が発生、インド人労働者3人が負傷した。
これについてイラン側も「米国による破壊的行動からホルムズ海峡を防衛するための措置」と攻撃を認めており、先月8日の休戦成立以降、イランが湾岸諸国を直接攻撃した初の事例となった。さらにUAE側はこの日、ホルムズ海峡を航行中の同国企業のタンカーも攻撃を受けたとしてイランを非難しており、休戦下で続いていた緊張関係が一段と高まった様子を見せている。
ホルムズ海峡をめぐっては同日、米軍が商船護衛作戦「フリーダム・プロジェクト」を開始。イラン側は休戦違反だとして強く反発し、報復措置を示唆していた。UAEタンカーへの攻撃もこの動きへの報復との見方が出ている。同作戦により当初は貨物船の海峡通過成功の例も確認されたが、米イ間では小規模な相互攻撃も発生。翌5日にトランプ大統領は作戦停止を発表した。
その後の報道ではサウジアラビアがイランからの報復攻撃を警戒し、米軍に国内基地や領空の使用を認めなかったことが、作戦停止の背景にあったと伝えられている。イランの対応をめぐっては米国陣営内でも湾岸諸国の足並みの乱れが見え始めており、イスラエルでは交戦期間中にイラン体制崩壊を米国へ水面下で強く働き掛けていたにもかかわらず、今回の作戦では米軍に非協力的な姿勢を見せたサウジに強い批判の声が上がっている。
(5/4-7)

 

【米分析:イラン、なお1年以内に核兵器保有可能か ミサイル戦力も大半維持】(Y,P,H)
4日と7日に米国の情報・分析機関による評価が相次いで報じられ、1カ月半続いたイランとの戦争が「イランを核兵器保有から遠ざける」という目的を十分に達成したとは言い難い実態が浮かび上がっている。
昨年6月の戦争後には、イランが核兵器を保有するまでには9〜12カ月が必要と分析されていたが、4日に報道された最新の評価でもこの期間に大きな変化は見られていないという。これについて分析担当者の1人は核関連施設や高濃縮ウランの多くが地下深くに存在しており空爆だけでは決定的打撃を与えることは不可能なため、現状のままではこの12か月以内という数字について変わることはないと語っている。
さらに7日には、ワシントンポスト紙がCIAの機密評価に基づく内容を報道。それによると、米軍による海上封鎖が継続されているにもかかわらず、イランが深刻な経済圧力を受けるまでには少なくとも3〜4カ月の継続が必要と分析されている。また、イランは戦前比で弾道ミサイル戦力の約70%、発射台の約75%を保有しているとされており、トランプ大統領やネタニヤフ首相が強調しているほどには、イランの軍事・経済基盤は弱体化していないとの見方が専門家の間で広がっている。
(5/5,7)

 

【米イ間の小規模な交戦も休戦は継続、同盟国で広がる危機感】(Y,P,H)
休戦期間中の4日、イランがUAEを攻撃したにもかかわらず、アメリカがイランに対して報復攻撃を行わなかったことを受け、湾岸諸国の同盟国側では危機感が広がっている。
トランプ大統領が戦争継続よりも恒久的停戦を強く望んでいることはここ最近の発言からも明らかだが、湾岸諸国、特に実際に攻撃対象となったUAEは、米による報復を控える姿勢がイラン側に誤ったメッセージを与える危険性があると指摘している。休戦維持を優先する米の姿勢がイランに利用され、米同盟国への攻撃が継続されるのではないかというのが、最も大きな懸念になる。
湾岸諸国が米国と同盟関係を維持している背景には米軍基地による抑止力だけでなく、有事の際に米軍が報復に動くという前提があるため、今回の対応は米主導の「対イラン同盟」の根幹を揺るがしかねないとの見方も出ている。
こうした見方がイスラエル国内で報じられた翌7日には、イラン側の攻撃対象が同盟国ではなく米軍そのものへと拡大。イランは米海軍の駆逐艦3隻に対し、ミサイル・無人攻撃機・高速ボートを用いた攻撃を実施した。これを受けて米軍は、ミサイル・無人攻撃機の発射施設や司令部、さらにホルムズ海峡内の島や港湾施設などを空爆し、ついにイランに対して報復攻撃を行った。
これは休戦成立後初の米イ直接交戦となり、戦闘再開との見方も広がったが、トランプ氏は「軽いやり取りであり、休戦は有効だ」と発言、あくまで休戦は維持されているとの立場を強調している。
(5/6-7)


[情報源略号表]
 文末の( )内の記号が情報源です。(掲載日が異なる場合もあり。)
 P=エルサレム・ポスト  https://www.jpost.com/(英語)
 H=ハアレツ       http://www.haaretz.com/(英語・ヘブライ語)
 Y=イディオット・アハロノット http://www.ynetnews.com/(英語・ヘブライ語)

[転載・引用・再配布について]
 教会活動等の非営利目的ならばOKです。ユダヤ人および
 各宗教教派に批判的な文脈での引用はしないで下さい。

 
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