【形骸化した休戦、無人攻撃機攻撃で休戦中の戦死者が2桁に】(Y,P,H)
ユダヤ教の祭りと安息日に伴う連休中もヒズボラによる攻撃は続き、北端の町キリヤット・シュモナなど国境地帯では無人攻撃機飛来を知らせるサイレンが30回近く鳴った。
23日午後にはそのうちの1機が国境地帯に展開していた戦車部隊に着弾し、23歳の機甲科兵士1人が死亡、2人が負傷した。死亡した兵士は義務兵役終了を1カ月後に控えるなか、延長勤務を決めたばかりだった。
また24日午後には国境から約5km離れた南レバノン側の村に駐屯していた部隊に無人攻撃機が着弾。直撃を受けた装甲兵員輸送車を運転していた19歳の戦闘工兵が死亡し、兵士1人が重傷を負った。これにより、休戦期間中の北部戦線での戦死者は11人と2桁に。
こうした無人攻撃機攻撃や国境地帯でのヒズボラ活動に対し、国防軍は陸海空軍による攻撃を継続している。北部軍によると、ここ数日だけでも600人以上のテロリストを排除したという。
また24日にはザミール参謀総長がレバノン戦線での軍事作戦継続計画を承認。しかし軍関係者によると、政府承認が下りていないため実行時期は不透明だという。背景には、アメリカ・イラン間の休戦交渉の枠組みに対ヒズボラ作戦も含まれていることがあり、トランプ政権の判断が出るまでは大規模作戦を進めにくい状況が続いており、軍内部では苛立ちが強まっている。
また27日にはヒズボラの無人攻撃機が国境地帯の前線基地に着弾し、兵士の生活支援担当を務めていた20歳の女性兵士が死亡した。サイレンは作動していたものの、シェルターへ避難する途中で着弾したという。
軍関係者によると、彼女の任務は戦闘兵などとは違い、必ずしも前線基地への配置を必要とするものではなかったとされ、彼女の死を受けて一部では国防軍の人員配置のあり方を疑問視する声も上がっている。
(5/23-25,28)
【シンベト長官、UAEで元ファタハ幹部ダハラン氏と極秘会談】(Y,P,H)
イランとの休戦期間中、UAEを秘密裏に訪問していたシンベトのズィニ長官が元ファタハ幹部のムハンマド・ダハラン氏と会談していたことが、イスラエルおよび中東の複数関係者の証言から明らかになった。
ダハラン氏はファタハ政権時代にガザ地区の治安部門を率いるなど、同組織の有力幹部として活動していた人物。しかしその後、アッバス議長との対立やアラファト議長死去を巡る疑惑、汚職疑惑などを受けてファタハを追放され、UAEへ渡った。その後はUAEのムハンマド大統領の顧問となり、アブラハム合意締結にも関与したとされている。
こうした背景から、10/7以降に議論されている「ポスト・ハマス」のガザ統治を巡っても、ダハラン氏の名前は繰り返し浮上していた。実現には至らなかったものの、一部報道ではハマス側にも受け入れ可能との見方が出ていたという。
イスラエルメディアによると、ダハラン氏はここ数年の間に、シンベト長官だけでなくイスラエル軍や諜報機関の高官らともUAEで接触を重ねており、イスラエル側が模索するハマス後のガザ統治構想において、有力候補の1人として見られている。一方、ダハラン氏側近は「偶然の面会であり、ガザでの役割については議題に上がっていない」とコメントしており、会談そのものについては否定していない。
(5/26)
【北部のアラブ人の町で9歳少女が銃撃死 発砲した父親は兄弟狙う】(Y,P,H)
北部のアラブ人の町アルアラで27日、家族間トラブルの最中に父親が発砲し、その銃弾が娘ライラ・ジャジャちゃん(9)に当たり死亡する事件が発生した。
警察によると、犠牲祭に合わせて親族が集まっていた際、子供同士のいざこざに親である兄弟たちが介入。その後、大人同士の口論や取っ組み合いへ発展したという。そこでライラちゃんの父親が不法所持していた拳銃を取り出して兄弟たちへ向け発砲。8発のうち1発が彼女の首に命中した。
親族の1人が重体のライラちゃんを病院へ搬送したが、その間に父親ら家族の一部は証拠隠滅のため漂白剤をまいて現場を清掃していたという。警察が到着した時には、床はすでに洗い流された後だった。
アラブ社会内の殺人事件発生率はユダヤ人社会の10倍以上ともされている。背景には家族間抗争や違法銃器の蔓延に加え、暴力的報復が「当然の対応」として受け止められやすい社会・文化環境などがあり、そこに貧困や高い失業率といった社会問題も重なっている。
ライラちゃんの死亡により、今年アラブ社会内で暴力事件によって死亡した人は112人となった。その中には、彼女のように事件へ巻き込まれた子供や女性などの一般市民も多く含まれている。
(5/27)
【度重なる無人攻撃機攻撃を受け、3週間ぶりに空軍がベイルート空爆】(Y,P,H)
空軍は28日午後、ベイルート南部近郊の住宅地で4階建て集合住宅の2階部分に対し精密空爆を実施した。
現場はダヒヤ地区の近くで報道によると、標的はイラン革命防衛隊が設立した「イマム・フセイン師団」のミサイル部門指揮官アリ・アル=フセイニだったという。空爆と標的については報じられているものの、現時点で排除の成否は確認されていない。
ヒズボラによる非武装化の不履行や無人攻撃機による攻撃など、度重なる休戦違反を受けてイスラエル側の不満は高まっていた。しかしイランとの休戦合意を目指すアメリカが首都空爆について制限を設けていたため、ベイルート攻撃は見送られていたという。そのため、今回の空爆は約3週間ぶりのベイルート攻撃となった。
このような背景を受けイスラエルメディアは「レバノン戦線のギアが上がった」と報じているが、軍事専門家は標的となった指揮官は中枢人物ではなく、今回の攻撃はあくまで牽制が目的だったとの見方を示している。また、アメリカによる首都空爆への制限も依然続いていると分析している。ベイルート以外にも空軍はこの日、南レバノンや港湾都市ティール、ベッカー高原などでテロ拠点への空爆を継続している。
(5/28)