ー ISRAEL NOW!ー
 
「エルサレムの平和のために祈れ」 詩 122
(本誌の発行は、原則として毎週土曜です。)
◯ 治安

【形骸化した休戦、無人攻撃機攻撃で休戦中の戦死者が2桁に】(Y,P,H)
ユダヤ教の祭りと安息日に伴う連休中もヒズボラによる攻撃は続き、北端の町キリヤット・シュモナなど国境地帯では無人攻撃機飛来を知らせるサイレンが30回近く鳴った。
23日午後にはそのうちの1機が国境地帯に展開していた戦車部隊に着弾し、23歳の機甲科兵士1人が死亡、2人が負傷した。死亡した兵士は義務兵役終了を1カ月後に控えるなか、延長勤務を決めたばかりだった。
また24日午後には国境から約5km離れた南レバノン側の村に駐屯していた部隊に無人攻撃機が着弾。直撃を受けた装甲兵員輸送車を運転していた19歳の戦闘工兵が死亡し、兵士1人が重傷を負った。これにより、休戦期間中の北部戦線での戦死者は11人と2桁に。
こうした無人攻撃機攻撃や国境地帯でのヒズボラ活動に対し、国防軍は陸海空軍による攻撃を継続している。北部軍によると、ここ数日だけでも600人以上のテロリストを排除したという。
また24日にはザミール参謀総長がレバノン戦線での軍事作戦継続計画を承認。しかし軍関係者によると、政府承認が下りていないため実行時期は不透明だという。背景には、アメリカ・イラン間の休戦交渉の枠組みに対ヒズボラ作戦も含まれていることがあり、トランプ政権の判断が出るまでは大規模作戦を進めにくい状況が続いており、軍内部では苛立ちが強まっている。
また27日にはヒズボラの無人攻撃機が国境地帯の前線基地に着弾し、兵士の生活支援担当を務めていた20歳の女性兵士が死亡した。サイレンは作動していたものの、シェルターへ避難する途中で着弾したという。
軍関係者によると、彼女の任務は戦闘兵などとは違い、必ずしも前線基地への配置を必要とするものではなかったとされ、彼女の死を受けて一部では国防軍の人員配置のあり方を疑問視する声も上がっている。
(5/23-25,28)

 

【シンベト長官、UAEで元ファタハ幹部ダハラン氏と極秘会談】(Y,P,H)
イランとの休戦期間中、UAEを秘密裏に訪問していたシンベトのズィニ長官が元ファタハ幹部のムハンマド・ダハラン氏と会談していたことが、イスラエルおよび中東の複数関係者の証言から明らかになった。
ダハラン氏はファタハ政権時代にガザ地区の治安部門を率いるなど、同組織の有力幹部として活動していた人物。しかしその後、アッバス議長との対立やアラファト議長死去を巡る疑惑、汚職疑惑などを受けてファタハを追放され、UAEへ渡った。その後はUAEのムハンマド大統領の顧問となり、アブラハム合意締結にも関与したとされている。
こうした背景から、10/7以降に議論されている「ポスト・ハマス」のガザ統治を巡っても、ダハラン氏の名前は繰り返し浮上していた。実現には至らなかったものの、一部報道ではハマス側にも受け入れ可能との見方が出ていたという。
イスラエルメディアによると、ダハラン氏はここ数年の間に、シンベト長官だけでなくイスラエル軍や諜報機関の高官らともUAEで接触を重ねており、イスラエル側が模索するハマス後のガザ統治構想において、有力候補の1人として見られている。一方、ダハラン氏側近は「偶然の面会であり、ガザでの役割については議題に上がっていない」とコメントしており、会談そのものについては否定していない。
(5/26)

 

【北部のアラブ人の町で9歳少女が銃撃死 発砲した父親は兄弟狙う】(Y,P,H)
北部のアラブ人の町アルアラで27日、家族間トラブルの最中に父親が発砲し、その銃弾が娘ライラ・ジャジャちゃん(9)に当たり死亡する事件が発生した。
警察によると、犠牲祭に合わせて親族が集まっていた際、子供同士のいざこざに親である兄弟たちが介入。その後、大人同士の口論や取っ組み合いへ発展したという。そこでライラちゃんの父親が不法所持していた拳銃を取り出して兄弟たちへ向け発砲。8発のうち1発が彼女の首に命中した。
親族の1人が重体のライラちゃんを病院へ搬送したが、その間に父親ら家族の一部は証拠隠滅のため漂白剤をまいて現場を清掃していたという。警察が到着した時には、床はすでに洗い流された後だった。
アラブ社会内の殺人事件発生率はユダヤ人社会の10倍以上ともされている。背景には家族間抗争や違法銃器の蔓延に加え、暴力的報復が「当然の対応」として受け止められやすい社会・文化環境などがあり、そこに貧困や高い失業率といった社会問題も重なっている。
ライラちゃんの死亡により、今年アラブ社会内で暴力事件によって死亡した人は112人となった。その中には、彼女のように事件へ巻き込まれた子供や女性などの一般市民も多く含まれている。
(5/27)

 

【度重なる無人攻撃機攻撃を受け、3週間ぶりに空軍がベイルート空爆】(Y,P,H)
空軍は28日午後、ベイルート南部近郊の住宅地で4階建て集合住宅の2階部分に対し精密空爆を実施した。
現場はダヒヤ地区の近くで報道によると、標的はイラン革命防衛隊が設立した「イマム・フセイン師団」のミサイル部門指揮官アリ・アル=フセイニだったという。空爆と標的については報じられているものの、現時点で排除の成否は確認されていない。
ヒズボラによる非武装化の不履行や無人攻撃機による攻撃など、度重なる休戦違反を受けてイスラエル側の不満は高まっていた。しかしイランとの休戦合意を目指すアメリカが首都空爆について制限を設けていたため、ベイルート攻撃は見送られていたという。そのため、今回の空爆は約3週間ぶりのベイルート攻撃となった。
このような背景を受けイスラエルメディアは「レバノン戦線のギアが上がった」と報じているが、軍事専門家は標的となった指揮官は中枢人物ではなく、今回の攻撃はあくまで牽制が目的だったとの見方を示している。また、アメリカによる首都空爆への制限も依然続いていると分析している。ベイルート以外にも空軍はこの日、南レバノンや港湾都市ティール、ベッカー高原などでテロ拠点への空爆を継続している。
(5/28)

◯ 内政

【アラブ市民の死票阻止へ、5年ぶりにアラブ統一会派復活か】(Y,H)
24日夜、イスラム政党ラアムを除くアラブ系3政党の党首が会談を行い、今年予定される総選挙に統一会派として臨む方針を表明した。またラアムにも合流を呼び掛けている。
2015年以降6回行われた総選挙ではアラブ系政党は3度統一会派を形成し、いずれも13〜15議席を獲得して第3党へ躍進していた。しかし、パレスチナ国家樹立を最優先としユダヤ系政党との協力を拒絶する姿勢にラアムは反発。直近2回の選挙では単独で戦い、21〜22年には反ネタニヤフ陣営による右派から左派の連立政権に参加し、アラブ政党として初の本格的与党入りも果たしていた。
今回の総選挙でも分裂状態になると思われていたが、世論調査では分裂した場合バラド党が最小得票率を超えられないとの予測が続いており、死票発生阻止や投票率向上を目的に統一会派復活への動きが進められていた。今回の発表を受け、ラアム側も「アラブ票の損失を防ぐ重要な一歩だ」と歓迎。統一会派への参画については選挙後の各党独自行動を認めることを条件にしつつも、前向きな姿勢を示している。
(5/24-25)

 

【オリンパス社、イスラエルの医療メーカーを約433億円で買収】(Y)
日本の大手医療機器メーカーのオリンパス社が27日、イスラエルの医療機器メーカーであるバイオプロテクト社を2.7億ドル(約433億円)で買収したと、両社が発表した。
バイオプロテクト社は前立腺がん治療向けの「バルーン・スペーサー」を開発している。同製品は前立腺と周囲組織の間に空間を作ることで、放射線治療時の周辺組織へのダメージを軽減するもので、治療後は体内で自然分解されることから注目を集めている。2024年以降は欧米市場でも導入が進み、同年には8億ドル、翌2025年には14.5億ドルと売上を大きく伸ばしていた。
オリンパス側は今回の買収により、泌尿器分野やがん治療関連事業を強化する狙いがあるとしている。バイオプロテクト社にはイスラエルとアメリカを中心に約130人の従業員が在籍しているが、買収後もイスラエルでの事業活動は継続される見通し。
(5/27)

◯ 国際情勢

【休戦交渉で存在感を失うイスラエル、ネタニヤフ氏も「影響力は小さい」】(Y,P)
先週に続き、この週末もネタニヤフ首相とトランプ大統領の不協和音が報じられている。
複数のイスラエル高官によると、現在進行している米・イラン間の休戦交渉において、イスラエルの存在感は大きく低下しており、トランプ政権からも十分な報告や意思疎通が行われていないという。そのためイスラエル側は湾岸諸国との外交ルートや諜報活動などを通じて交渉内容を把握する状況に置かれている。
またここ2カ月ほど、休戦交渉で弾道ミサイル問題やヒズボラ・フーシ派などイラン代理勢力の問題がほとんど議題に上がっていないことについても、イスラエルメディアは「両国関係の悪化を反映しているのではないか」と報じている。
これらはイスラエルにとって、将来的な核問題以上に今後数か月から1年程度で現実的な脅威となり得る差し迫った問題でもある。イスラエル高官からは「現体制が経済的に復興すれば、ヒズボラなどへの支援も継続されることになるだろう」と懸念の声が上がっている。
また両国関係の悪化については、戦闘中からすでに兆候が見られていたとの報道も。それによると、戦争初期にはテルアビブの軍総司令部が事実上の米イ共同司令部として機能し、両国が共同で軍事作戦を決定する状態だった。しかしその後はイスラエルの攻撃についてはアメリカの事前承認を必要とする形へ変化。
さらにイスラエルがテヘラン近郊の石油施設やサウスパース・ガス田に対し、アメリカ側の想定以上に大規模な空爆を実施したことで両国間に大きな亀裂が生じたという。この状況について、イスラエル国内最大級メディアYnetは「パートナーから下請け業者へ変わった」と評している。
こうしたここ数日の報道を総合すると、イスラエルは戦局を左右する重大な意思決定に対する影響力をすでに戦闘中から失いつつあったことがうかがえる。それを象徴するように、25日の報道ではネタニヤフ氏がオフレコの場で「トランプ氏の意思決定に対するイスラエルの影響力は小さい」と漏らしていたとする、複数の関係者証言も紹介されている。
(5/23-25)

 

【増え続けるロンドンでの反ユダヤ主義的事例、ユダヤの祭りにシナゴグで暴力】(Y,P)
世界中のユダヤ人が祭りを祝った23日、ロンドン北部ヘンドン地区のシナゴグでドイツ人の若者による暴力事件が発生した。
英紙報道によると、数十人が祭りの礼拝のため集まっていたなか、容疑者の25歳男性が突然現れ、共同体メンバーの1人を殴打。被害者は顔に怪我を負い、掛けていた眼鏡も壊されたという。その後、男性は共同体メンバーらによって取り押さえられ、駆け付けたロンドン警察に現行犯逮捕された。現在は人種・宗教的動機による暴行罪や器物損壊罪などで起訴されており、保釈中ではあるものの来月出廷予定となっている。
また前日の22日には、昨年10月から今年3月にかけてユダヤ人に対し「殺してやる」と脅迫したり、ユダヤ人学校への爆破予告を行ったりしていた35歳男性に対する裁判がロンドン市内で行われ、禁固5年の判決が下された。ロンドンでは先月末に超正統派ユダヤ人2人が刺傷される事件が、そして1週間前にはヘブライ語で会話していたイスラエル人が集団暴行を受ける事例も起きるなど、反ユダヤ主義的ヘイトクライムが常習化しており、ユダヤ人社会の間で危機感が強まっている。
(5/24)

 

【トランプ氏、イラン休戦支持のアラブ諸国にアブラハム合意参加を要求】(Y,P,H)
トランプ大統領は25日、自身のSNSで湾岸諸国に対し、アブラハム合意へ参加しイスラエルとの国交正常化を進めるよう呼び掛けた。投稿の中でトランプ氏はイランとの交渉が前進しているとしたうえで、週末に中東8カ国の首脳と協議を行ったと説明。
そしてアメリカがイランと外交的合意に達した場合、それら諸国もアブラハム合意に加わるべきだと主張した。背景には、サウジアラビアやカタールなどの湾岸諸国や中東各国が地域安定化を理由にアメリカ政府へイランとの休戦延長と外交的合意を求めていることがある。
トランプ氏はこれらの声に対して、中東安定化の延長線上には最終的にはイスラエルとの国交正常化があるべきとの考えを示唆。イランとの休戦を支持する湾岸諸国はアブラハム合意にも参加すべきだとの認識を示し、具体的には「まずはサウジアラビアとカタールが署名すべきだ」と国名も挙げた。
これに対し各国は公式回答を避けているものの、両国高官はメディアに対し、「パレスチナ国家樹立への確実な道筋が示されない限り、国交正常化はない」と従来の立場を改めて強調している。
(5/25-26)

 

【米・イラン、60日間の休戦延長で大筋合意も両トップは最終判断保留、ネタニヤフ氏は「最後の説得」】(Y,P,H)
国際メディアは28日、複数の米高官の証言をもとに、アメリカとイランがホルムズ海峡の封鎖解除を目的とする60日間の休戦延長で大筋合意したと報じた。
交渉団レベルではすでに共通理解に達しており、現在はトランプ大統領とイランのモジタバ最高指導者による最終承認を待つ段階だという。トランプ氏は周囲や仲介国に対し、「数日考える時間が欲しい」と伝えているとされる。
この合意はイランによる海底地雷の撤去や双方によるホルムズ海峡封鎖の解除などを通じて、同海峡によるエネルギー危機を解決する内容とされる。一方で、当初の戦争目的であったイランの核問題などについては、休戦期間中に引き続き交渉を進める形となっている。
イスラエル側は核開発や弾道ミサイル、ヒズボラなどの代理勢力といった安全保障に直結する問題が未解決のまま、米イ両国が「外交的合意」に至ることへ強い危機感を抱いている。両首脳がなお最終判断を下していないことから、ネタニヤフ首相は休戦案の見直しや共同での戦闘再開も視野に入れた「最後の説得」を試みていると、イスラエルメディアは報じている。
(5/28)

◯ 文化

【NYT紙「犬による性的暴行」記事を再擁護、編集部が声明】(Y,H)
ニューヨーク・タイムズ紙が「イスラエル軍・諜報機関内でパレスチナ囚人に対する組織的な性暴力が行われている」とするコラムを掲載し物議を醸している問題で、執筆者のニコラス・クリストフ氏と同紙編集部が声明を発表した。
声明の中で同紙は「掲載前に厳格なファクトチェックを行っており、批判を受けて再調査も実施したが、誤りは見つからなかった。複数のユダヤ人読者から謝意も寄せられている」とし、記事内容を全面的に擁護している。
問題となっているコラムはピュリツァー賞を2度受賞したクリストフ氏が14人のパレスチナ人証言やNGO・国連機関資料などを基に執筆したもの。証言には、性暴力によって睾丸切除を余儀なくされたとする複数の男性や、拘束されたパレスチナ人ジャーナリストに対して犬を使ったレイプ行為を試みたとする内容などが含まれており、その衝撃的な内容から国際的な非難の声が上がっている。
一方でイスラエル側からは、検証不可能な証言を基に「組織的性暴力」という結論を導いている点や報道記事ではなくコラム形式で掲載された点に対して懐疑的な声も上がっている。
こうした流れを受け、ウォール・ストリート・ジャーナル紙は親イスラエル系論客による反論コラムを掲載。記事内では根拠として引用されたNGOの一部がハマス系組織であり、イスラエルからテロ組織認定を受けていることや、証言内容に過去発言との矛盾が見られることなどを指摘している。
また、クリストフ氏が「犬による性的暴行」の残虐性を強調するため引用した医学論文についても、実際には「人間が犬に性行為を強要したケース」を扱った内容であり、記事では引用の不適切さなど論理的欠陥も指摘されている。
また編集部がクリストフ氏を全面擁護する一方、同紙内部からもコラム部門の質低下を懸念する声が出ている。イスラエルメディアによると、「コラム部門が紙全体の信頼性を損ねている」といった内部関係者の声も複数出ており、事実性や客観性の基準が報道部門より緩いとの批判が起きている。
(5/22)


[情報源略号表]
 文末の( )内の記号が情報源です。(掲載日が異なる場合もあり。)
 P=エルサレム・ポスト  https://www.jpost.com/(英語)
 H=ハアレツ       http://www.haaretz.com/(英語・ヘブライ語)
 Y=イディオット・アハロノット http://www.ynetnews.com/(英語・ヘブライ語)

[転載・引用・再配布について]
 教会活動等の非営利目的ならばOKです。ユダヤ人および
 各宗教教派に批判的な文脈での引用はしないで下さい。

 
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