【国防軍が史上最大のイラン攻撃を開始】(Y,P,H)
13日午前3時からイスラエル空軍はイランの広範囲に対して大規模な空爆を実施、『ライジング・ライオン作戦』を開始した。約3.5時間にわたる奇襲作戦ではまずテヘランに対して空爆が行われ、イラン国防軍と革命防衛隊の両参謀総長をはじめ上層部の12人と、核兵器開発に関わっていた9人の学者たちが標的となり殺害された。その後ナタンズにある核濃縮施設(1700の遠心機が破壊)、イスファハンのウラン転換施設をはじめとした核関連施設と、イラン軍部の司令部や空軍基地・防空システムや弾道ミサイルに関する基地など、戦闘機200機以上が100以上の標的に対して空爆を行った。この奇襲攻撃により少なくとも78人が死亡、329人が負傷している。
空爆だけでなく、イスラエルはこの日の攻撃のために年単位の時間を掛けてイラン国内にモサドの特殊部隊を配備。同部隊は空爆を助ける形でドローンなどの兵器を利用しイラン軍の地対空ミサイル施設や防空システムに対して、内部から攻撃を行った。このイラン内からの援護射撃もあり奇襲は歴史的成功を収め、13日の日中にイスラエル空軍はイラン上空の制空権を掌握、またイランがイスラエル攻撃の際に使用する弾道ミサイルの発射能力も大きく削ることができた。国防軍は「これは始まりにすぎない」とし、イランとの数週間規模の交戦になるとの姿勢を示している。13日の奇襲作戦の歴史的成功の裏には、イスラエル・アメリカがイランの警戒心を緩めるために行った情報戦がある。ここ数日間イスラエルではハマスとの人質交渉が急激に進展し、そのための閣議が行われたと報道していた。しかし同閣議で取り決められたのは人質交渉ではなく、イラン空爆についてだったことが判明。
また攻撃が行われた週末にイスラエル側の代表と米ウィトコフ中東特使の会談実施が発表されていたこと、そして空爆直前の記者会見でトランプ大統領がイスラエルに対してイラン空爆の中止を要請し、外交的解決を望んでいると強調する発言をするなどしていたが、これらはイランの警戒心を緩めるための欺瞞作戦だったことが分かっている。
またイスラエル国防軍はこの奇襲攻撃が核武装を止める最後の手段だったとし、2023年から25年2月までのイランが所有する各濃度別濃縮ウランの総量を公表。23年10月時には9発分、今年2月には核爆弾15発分に匹敵する濃縮ウランを所持していたと発表。
「イスラエルには(攻撃の)他に選択肢が残されていなかった」と発表、ネタニヤフ首相もビデオ演説で「迅速に行動するしかなかった。この脅威を次世代に残すことは出来ない―脅威を残してしまえば、次世代が存在しなくなるからだ」と、イスラエル殲滅を公然と標榜するイランの核武装はイスラエル存続に関わるとして、自衛権行使としての攻撃であると強調した。
(6/13)
【13日夜、イスラエルに対してイランが大規模な報復攻撃を開始】(Y,P,H)
イスラエルでは13日に奇襲攻撃を開始した際、イランからの報復攻撃が直後にあると想定していた。そのため空爆開始と同時刻の午前3時、国内全土で緊急事態に入ったことを知らせるサイレンが発動。イランは午前8時に100以上の無人攻撃機をイスラエルに対して発射し、イスラエルとヨルダン空軍が全てを迎撃。それ以降イランからの攻撃は日中なかったが、午後9時ごろから14日早朝にかけてイスラエル国土のほぼ全域に対して、約150発の弾道ミサイルが飛来した。その大半は迎撃されたが一部が中央部をはじめとする市街地に着弾、テルアビブ近郊で60~70代と高齢の市民3人が死亡、170人以上が負傷。爆薬量は数百kgから最大1トンとされており、テルアビブにある44階建ての高層住宅や近郊の住宅地での着弾では、周囲にも甚大な被害が出ている。
(6/13-14)
【イスラエルでは市民13人が死亡、空軍はイラン全域での空爆を強める】(Y,P,H)
14日も日中に数度にわたりイランからの小規模な無人攻撃機による攻撃があり、南部を中心にサイレンが作動。そして14日深夜から15日未明にかけて、ガリラヤ北部からエルサレム・中央部にかけて断続的にイランとイエメン・フーシ派からの弾道ミサイル約60発と無人攻撃機数十機が飛来した。大半は迎撃されたもののハイファとその近郊、そしてテルアビブ近郊の住宅地や学術機関などに着弾した。ハイファ近郊のアラブ人の町では同じ建物に住む女性4人が、バット・ヤムでは子供2人を含む9人が死亡する甚大な被害が。合計で385人の負傷者が出ており、約1日が経った15日夜でも3人が未だに倒壊した建物の中で行方不明となっている。また15日の16時ごろには初めてイランからの弾道ミサイル攻撃が日中にあり、イスラエル最北端から南部ベエルシェバ近郊までの広範囲でサイレンが作動。こちらは日中で皆が起きていたこともあり、イランからの攻撃としては初めて負傷者が出なかった。イランからの攻撃と並行し、イランまでの制空権を握っているイスラエル空軍は14~15日の間に数十の標的を空爆、イスラエルから約2300kmに位置する北東部の空軍拠点を攻撃するなど、空爆の範囲をイラン全域に広げている。標的となったのはイラン国防省や核開発を担う防衛革新研究機構の本部、そしてイラン西部を中心とした弾道ミサイルの発射台や倉庫・製造施設など。
(6/14-15)
【交戦4日目:イスラエルでは8人が死亡、国防軍はイラン国営TVを攻撃】(Y,P,H)
午前4時頃、イランからの65発の弾道ミサイルがネゲブ砂漠を除くイスラエル各地に飛来。テルアビブとその周辺4か所とハイファの1か所で住宅地への着弾があり、計8人が死亡、200人以上が重軽傷を負った。特にテルアビブ近郊の町では20階建てのマンションに着弾。4人が死亡し約50人が負傷、100m以上離れたところでも物損が見られるなど甚大な被害が出ている。またこの4人のうち2人は自宅内のシェルターに避難していたにもかかわらず、ミサイルが直撃したため犠牲になったという例も。北部ハイファでは石油精製所内に着弾し大規模な火災が発生、着弾と火災による窒息死で職員3人が亡くなっている。イスラエルはこの日もイラン国内の、核開発・弾道ミサイルに関する施設をはじめとした100以上の軍事拠点へ空爆を実施。イラン全域での制空権を奪ったことにより、無人攻撃機をイラン上空に配備しリアルタイムで弾道ミサイル発射を察知し空爆を行い、ミサイル攻撃を事前に防ぐことが可能になりつつある。実際にこの日イスラエルの広範囲にミサイル発射を事前に知らせる警告があったものの、実際にはミサイル飛来は起こっておらず、これは未然防止の効果によるものだと考えられる。国防軍は4日間でイランが所持する発射台の1/3に当たる、120の弾道ミサイル発射台を破壊したと発表。またこの日には諜報部から軍事利用されているとの情報を得、イラン国営TVを攻撃した。直後に生中継が同じスタジオから再開されるなどTV局の被害は限定的で、イスラエルからの警告的空爆だったと考えられる。また攻撃の2時間前から、ペルシャ語の軍報道官や電話を通じて、同局のあるテヘラン第3地区の市民に対して避難警告を行っている。また16日にはテヘラン市内での精密な空爆により、革命防衛隊の諜報部トップ2人を殺害している。
(6/16)
【交戦5日目:イスラエルでは死者ゼロ、イランはミサイル発射能力が半分に】(Y,P,H)
16日夜から17日の夕方までもイランからの弾道ミサイルによる攻撃が6度ほどあり、テルアビブやハイファなどの海岸部やユダ・ガリラヤ地方内陸部など南北の広範囲でサイレンが鳴った。しかしこの日はミサイル攻撃による死者も出ておらず、負傷者の数もごくわずかとなっている。テルアビブ北近郊での着弾に関してイラン側は「モサド本部とサイバーの精鋭8200部隊の基地を攻撃」と主張しているが、バス駐車場への着弾だったことが分かっている。最初の2日間ほどと比べるとここ1日のイランによる攻撃は最大でも20発程度と小規模なもので、その頻度も減少傾向に。これについて専門家は「当初はイスラエルに近いイラン西部からの弾道ミサイルだったが、空軍が絶対的制空権を西部で握ったことにより、より遠い東部からの発射を余儀なくされている。それによって、ミサイルの数と威力が低下している」との見解を示している。イスラエル空軍はこの日もイラン国内の軍事基地や、弾道ミサイルの倉庫・発射台への空爆を継続。しかしその規模は戦闘機約60機と、より局地的攻撃になっている。またテヘラン市内でも空爆を行い、13日以降イラン軍の事実上トップを務めていた司令官を殺害した。また弾道ミサイルの発射台については約200の発射台を現時点で破壊しており、これはイラン軍が所持している数の約半数に。この発射台数の減少も上記のイランのミサイル攻撃の小規模化の、大きな要因になっている。
(6/16-17)
【交戦6日目:米のイラン攻撃に関しては引き続き不透明】(Y,P,H)
17日夜~深夜に4度そして18日夜の計5度、小規模のイランからの弾道ミサイル飛来がありテルアビブなどの中央部と北部の広範囲でサイレンが作動した。発射されたミサイルが数発程度の攻撃もあり、前日に続いて犠牲者はゼロ。またこの日もイスラエル空軍は広範囲での空爆を実施し、テヘラン近郊の遠心分離機・対戦車ミサイルの製造施設など軍事施設に加え、イラン政権の治安維持部隊の本部に対しても攻撃を行っている。交戦が小規模になってきたこともあり、イスラエルでの報道はアメリカの参戦の有無が中心に。トランプ大統領はイラン攻撃について、明確な姿勢を未だ示していない。イスラエルは米・国防相と中央軍司令部に対して現時点までの詳細な空爆に関する報告書を提出、米軍参戦がスムーズに行われるよう働き掛けているが、他方中東の米同盟国は自国に米軍基地があるため、米参戦によりイラン攻撃に自国がさらされるのではと危惧している。またホワイトハウス中枢部でも意見は割れており、不透明な状況が継続中。(アメリカのイラン攻撃への姿勢については、国際情勢の方も参照)
(6/17-18)
【交戦7日目:イランからの弾道ミサイルが南部最大の病院に着弾】(Y,P,H)
19日の午前7時過ぎにイランから約20発の弾道ミサイルが飛来、イスラエル最北端からベエルシェバの南までの南北約260kmの範囲でサイレンが作動した。多くは迎撃されたが、テルアビブ近郊に2発・南部ベエルシェバで1発がそれぞれ民用物に着弾、6人の重傷者を含む271人の負傷者が出ている。特に南部最大の病院で、100万人以上に医療サービスを提供しているベエルシェバ・ソロカ病院での着弾による被害は甚大。しかし数時間前には着弾した病棟で全患者・スタッフの避難が完了しており、全病棟で物損被害が見られるが負傷者はごく少数で軽傷のみだった。イランは攻撃後、ソロカ病院の地下は戦車が配備されており軍事利用されている、とのフェイクニュースを発信している。またイスラエル空軍はこの日も空爆を継続、西部アラクにある原子炉(現在は非稼働)をはじめテヘラン内の軍・治安維持部隊の司令部、国内全土に配置されている地対空ミサイルを攻撃している。
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