【2度目の週末:モスクにミサイル着弾、ハマスとのパイプ役を殺害】(Y,P,H)
イスラエルの奇襲攻撃から1週間が経ったこの週末、イランから3度の攻撃があり約30発の弾道ミサイルが飛来した。
最も大規模だったのは20日の午後4時前の約25発の攻撃で、イスラエルの全土でサイレンが発動。うち1発はハイファのアラブ人地区に着弾し、16歳の少年をはじめ重傷3人を含む20人以上が負傷。着弾地点のすぐ横にハイファで2番目に伝統的なモスクがあり、着弾の衝撃で物損被害が生じた。モスクで被害が出たことにヘルツォグ大統領やサアル外相は「イランはイスラム・キリスト・ユダヤ教徒を含む全てのイスラエル人を標的にしている」とイランの無差別攻撃を批判している。
この週末もイスラエル空軍はイラン内で空爆を継続。ミサイル発射台などの軍事拠点や無人攻撃機を使ってテヘランに潜伏していた核開発に従事している科学者、革命防衛隊の精鋭コッズ部隊の司令官2人を殺害した。司令官は両者ともハマスとイランのパイプ役で、1人は抵抗の枢軸立ち上げとイスラエル殲滅計画に関わり、イラン上層部とハマストップの仲介人を務めたパレスチナ軍団長。もう1人はフーシ派・ヒズボラとハマスにイランからの資金・兵器供給を担当していた輸送部隊の司令官。
国防軍報道官は「2人はイスラエル国内を戦場と化すために画策したが、私たちがイランを戦場とし、イラン国内で彼らを排除した」と、2人の殺害劇についてコメントしている。(6/20-21)
【米:攻撃は2週間待つ姿勢もB-2戦闘機をグアムに配備】(Y,P,H)
この週末、イスラエルではアメリカのイラン攻撃参戦について相反する2つの報道が見られた。
まずイスラエル・アメリカの上層部が電話で会談を行い、イスラエルからはネタニヤフ首相・カッツ防衛相・ザミール参謀総長が、米からはバンス副大統領・ヘグセス国防長官らが参加。この会談は『緊張感あるもの』で、イランと核合意の可能性のために攻撃の決断を2週間ほど待つというトランプ大統領の姿勢や副大統領の「米は直接関与する必要はない」との発言にイスラエル側は2週間も待つことは出来ず、単独でもフォルドゥ核濃縮施設へ空爆を行う準備があるとのメッセージを伝えた。
ロイター紙は関係者4名からの情報として、イスラエルが単独でフォルドゥ攻撃を行う確率が高まっていると伝えている。
しかし21日、米空軍が米本土からグアムにB-2ステルス爆撃機を最低でも6機展開したことが判明した。同機は地中数十mにあるフォルドゥ核施設に対して致命的なダメージを与えることが出来る唯一の大型貫通爆弾が搭載可能で、イランの核開発に決定打を与えるためには同爆弾を搭載したB-2爆撃機のフォルドゥ空爆が必須だと言われている。米国防省はこのB-2のグアム配備について「攻撃の指示を受けたものではない」としながらも、イスラエル関係者は「米によるフォルドゥ空爆の可能性は十分にある」としており、このように相反する報道がなされている。(6/21)
【アメリカ軍がフォルドゥをはじめ3つの核施設を空爆】(Y,P,H)
アメリカ軍は21日深夜に『真夜中の鉄槌作戦』でフォルドゥとナタンズの核濃縮施設、イスファハーンの核開発施設の3か所に攻撃を行った。
フォルドゥ・ナタンズにはB-2ステルス爆撃機7機が計16発の大型貫通爆弾を投下。米による空爆が必要とされていたフォルドゥでは地上から施設に繋がる2本の換気シャフトに連続して12発の爆弾が投下された。大型貫通爆弾の実戦使用はこのフォルドゥ攻撃が初。同時に米海軍はペルシャ湾上からトマホークミサイル約30発をイスファハーンの核施設に発射した。
攻撃後にトランプ大統領とヘグセス国防長官は記者会見で「イランの核兵器への野望は消し去られた」と発言、米軍にイランから報復攻撃が無ければアメリカとしては作戦終了であるとの意思を示した。前日の報道とは対照的にホワイトハウス中枢は攻撃で意見が一致しており、米メディアのリークがホワイトハウスの情報戦だったことも判明している。
ホワイトハウスはイラン核武装への計画が潰えたとコメントしている一方、イスラエル関係者は「致命傷を与えたが、核開発の完全解体には程遠い」としており、イスラエルメディアもイスファハーンは全壊したがフォルドゥ・ナタンズは「深刻なダメージ」と冷静な論調。焦点となっているフォルドゥ内の濃縮ウランは一部が施設内に残されておりそれは破壊された可能性が高いが、一部は攻撃前に別の場所に移されたと指摘されている。
攻撃直後からイスラエル空軍はフォルドゥ上空への監視を強め、接近しようとするイラン兵に空爆を行い、施設に入るのを阻止している。イスラエルはハメネイによる報復の規模次第としながらも、イラン上空の制空権を得ている間に今後は攻撃が難しくなる標的を破壊しつつ、数日のうちに収束・休戦に向かいたい姿勢。
しかしイランが小規模なイスラエルへのミサイル攻撃を今後も続けるのであればイスラエルも空爆を継続し、長期的な消耗戦争に突入するとの危惧もされている。(6/22)
【625日ぶりに3人の人質が無言の帰還…】(Y,P,H)
10/7に殺害された3人の人質の遺体が収容され、625日ぶりにイスラエルに帰還した。同作戦はシンベトの機密情報からシンベトと国防軍部隊の共同で実行された。
1人目はノバ音楽祭からベエリに逃れたところ銃撃を受け、ガザに重傷のまま拉致されたが、その後ガザ内で死亡したヨナタン・サメラノさん(21)。サメラノさんの拉致には、UNRWA職員がテロリストとして関与したことが分かっている。2人目は朝の散歩中に銃殺されたベエリのキブツメンバー、オフラ・ケイダルさん(70)。そして3人目は、戦車部隊の兵士でテロリストの攻撃により戦死したシャイ・レビンソンさん(19)。
3人の帰還により、ガザに残された人質は生存者20人を含む50人となった。(6/22)
【イランが米基地に報復攻撃も狙いは幕引きか】(Y,P,H)
前日22日にアメリカのフォルドゥ・ナタンズ・イスファハーンの核施設への攻撃を受け、翌23日の夜にイランは報復攻撃を行った。標的はカタールにあるアル・ウデイド空軍基地で、同基地内には米中央軍司令部があり1万人以上の米兵が駐留するなど、中東における最大の米軍基地。
イラン側は米軍が使用したのと同じ数の弾道ミサイルを用いて強力な報復攻撃と戦果を強調したが、イスラエルメディアは「報復したポーズだけを取った象徴的なもの」と報じている。
というのもトランプ大統領が「事前に通達したイランに謝意を示す」と攻撃後コメントしたように、イランはミサイルによる攻撃を事前にアメリカとカタールに通達しており、基地内の航空機は全て別の場所に避難。また駐留していた兵士(の少なくとも一部)は一時的に避難していたようで、怪我人などは出ていない。
イスラエル関係者は「報復の規模が大きければ米軍もさらなるイラン空爆を実施するが、この規模では米がさらに空爆を実施する可能性は低く、米イラン間の交戦はこれで終わるだろう」と語っている。(6/23)
【交戦11日目:最大規模の空爆をテヘランで実施】(Y,P,H)
23日にイスラエル空軍は戦闘機50機から爆弾100~200発を投下するこれまでで最大の空爆をテヘランで行った。標的は革命防衛隊の反体制派や抗議運動に参加する市民を取り締まる治安維持に関する2つの司令部や、諜報部の司令部、イスラム法施行に関する部門本部など。
これら拠点への空爆で革命防衛隊の兵士数百人を排除したとされている。その他にも反体制派が政治犯の名目で収容されているテヘラン市内の刑務所やイランが2040年に起こると標榜するイスラエル滅亡のカウントダウンクロックなど、ハメネイ体制の圧政や過激思想を象徴するものが標的となった。
またこの日もイラン側からの弾道ミサイル攻撃があったが、10発弱が4度に分けて撃ち込むもので負傷者や物損被害は報告されていない。前日22日は米軍による核施設空爆への報復もあり、約40発が飛来しハイファを中心に20人以上が負傷したのと比較すると非常に小規模なものだった。(6/23)
【12日間の交戦を経て休戦も…直前に南部で4人が死亡、イランは休戦違反】(Y,P,H)
23日深夜にトランプ大統領が自身のSNSでイスラエル・イランが合意しイスラエル時間の24日午前7時から休戦に入ると発表した。
発表の2時間後に空軍はテヘランの核兵器・ミサイル開発の研究機関本部や弾道ミサイルの発射台8機など数十か所に空爆を行い、イラン側も午前5時から約2時間、北部から南部までの広い範囲に弾道ミサイル20発以上を撃ち込みサイレンが発動。そのうち1発はベエルシェバのマンションに着弾し、シェルターに避難したにもかかわらず4人が死亡し26人が負傷している。
このような休戦期間に入る前の攻撃の応酬は一般的ではあるものの、トランプ氏はFワードも使用し怒りをあらわに。特にイスラエルに「(休戦開始まで)時間があるからと言って、今までになかったほどの大規模な空爆で持ちうる全ての爆弾を投下してはならない。私は満足していない」と激しく批判した。
イランは休戦が始まって3時間後にも2発の弾道ミサイルを北部に撃ち込んだ。全て迎撃されたがこの休戦違反をイスラエルは重く見、ザミール参謀総長は「激しい報復攻撃を行う」とコメント。
これを受けてトランプ氏はネタニヤフ首相と電話会談を行い、休戦合意が崩壊してはいけないと空爆を中止するよう警告した。米関係者によるとトランプ氏は普段見られないほど「批判的で直接的な口ぶり」だったとのこと。このアメリカによる攻撃中止命令を受けイスラエルは攻撃の規模を大幅に変更、イラン国内にあるレーダー施設にのみ攻撃を行った。イスラエルとしては何かしらの報復をする必要があり、「(ポーズだけの)象徴的なもの」が落としどころだったと現地メディアは報じている。
12日間の交戦でイスラエルには約550発の弾道ミサイルが飛来し31発が着弾。29人が死亡し約3200人が負傷、1万人以上が避難生活を余儀なくされるなど甚大な被害が生じた。(6/24)
【ハンユニスで装甲工兵車が爆破、兵士7人が死亡】(Y,P,H)
24日夕方にハンユニスで活動していた戦闘工兵部隊の装甲工兵車が爆破・全焼し、中に居た同部隊の司令官と兵士6人が死亡した。犠牲になったのは21歳の司令官と19~21歳の兵士で軍の調査によりテロリストが爆破装置を車両に取り付けたことによる爆破だったことが判明している。
7人が乗っていたのは新型には標準搭載されている防護システムがなく、防御性が著しく低いとされているプーマ型工兵車。イランとの戦闘により多くの戦力をガザから撤退させており、駐屯する兵力が少なくなったここ2週間ほどはこのような襲撃の事例がほぼ毎日発生していたという。(6/25) |