ー ISRAEL NOW!ー
 
「エルサレムの平和のために祈れ」 詩 122
(本誌の発行は、原則として毎週土曜です。)
◯ 治安

【パレスチナ人の生後7カ月の乳児が銃撃で死亡、国防軍が兵士の取り調べ開始】(Y,P,H)
5日夕方西岸地区ヘブロンで生後7カ月のパレスチナ人の乳児が国防軍の発砲を受けて死亡する事件が発生した。
軍によると当時現場周辺では軍事作戦が行われており緊張が高まっていたなか、乗用車が部隊に向かって速度を上げて接近したため、兵士の1人が身の危険を感じて発砲したという。しかしその後の調査で死傷したのは一般市民だったことが判明。軍は遺憾の意を表明するとともに本格的な調査を開始した。
パレスチナの報道によると、車にはベツレヘムの大学講師の男性と妻、2人の子供と男性の母親が乗っていた。母親の証言では発砲は近距離から行われたもので、運転していた男性は危害を加える意思がないことを示すため車を停止し両手を上げていたという。しかし発砲は続き、そのうちの1発が男性の手をかすめた後、後部座席にいた妻と乳児に命中したと主張している。
また兵士たちが発砲後に車内を確認せず現場を離れたことや救急への通報も行われなかったことに疑問を呈している。これに対し軍は現場にいた部隊の規模では周辺住民による暴動などに対応できず、安全上の理由から撤退したと説明。
しかしその後、関与した部隊の行動や発砲した兵士が置かれていた状況、他の兵士も同様に危険を感じていたかなどについて初期調査が実施された。その結果を受け、7日には発砲した兵士への正式な取り調べが開始されると決定した。
(6/6-7)

 

【中央内陸部で連続銃撃テロ、50代の予備役兵が死亡、5人が重軽傷】(Y,P,H)
7日午前、中央部の西岸地区との境界線付近にあるユダヤ系とアラブ系の自治体が混在する地域で、地元在住の21歳のアラブ系市民による連続銃撃テロが発生し、1人が死亡、5人が負傷した。
テロリストは盗難車に乗り、約7km離れた交差点の休憩施設に侵入。ガソリンスタンドとその周囲にいた市民に発砲し、男性2人にそれぞれ重傷と軽傷を負わせた。その後逃走し、約4km離れたユダヤ系自治体の道路上で男女2人を銃撃して軽傷を負わせた。
さらに隣接する別の自治体へ向かう国道上で男性2人を銃撃。町の防衛任務に就いていた55歳の予備役兵が致命傷を負い、その後死亡が確認された。男性は妻と3人の娘を残して亡くなり、地元自治体は追悼声明の中で救助に向かう途中で銃撃を受けたとしている。
その後、治安部隊による追跡作戦が行われ、銃撃戦の末にテロリストは排除された。捜査の結果、容疑者には銃器や薬物に関する前科があったことが判明。また警察は協力者1人を逮捕するとともに銃器と盗難車の入手経路や関係者についての捜査を現在続けている。
(6/7)

 

【後にイランとの交戦の引き金に、空軍がダヒヤ地区を空爆】(Y,P,H)
米仲介による休戦合意成立後、国防軍は7日、ヒズボラの本拠地であるベイルート・ダヒヤ地区への空爆を実施した。休戦成立後では初の首都空爆となる。
この攻撃は、同日ヒズボラが北部国境地帯にロケット弾攻撃を行ったという休戦違反を受けて実施されたもので、イスラエル側は事前にアメリカへ通知していた。レバノンメディアは甚大な被害が出たと伝えているが、標的となったのはヒズボラ高官ではなく、同組織の司令部として使用されていたアパートの一室。また空爆当時、その部屋にはテロリストはおらず無人だったと報じられている。
先週、ネタニヤフ首相とカッツ国防相は「北部自治体への攻撃に対してはダヒヤ地区への空爆で対応する」と明言していた。イスラエルメディアは今回の攻撃について、この方針が単なる威嚇ではないことを示し、ヒズボラへの牽制を目的とした象徴的な作戦だったと伝えている。
これを受け、イラン側は「シオニズム政権に痛みを伴う報復を行うため、今夜は占領地の空を見ておくがよい」と警告。実際、この日の夜にはイランからの弾道ミサイル攻撃が行われた。
(6/7)

 

【約1日のイランとの交戦―イスラエルの戦略に大きな損失か】(Y,P,H)
7日日中にイスラエルへの攻撃を示唆していたイランが同日夜、弾道ミサイル約10発を発射し、北部空軍基地で被害が確認された。
この攻撃を受けてイスラエルは大規模な報復攻撃を実施しようとしたが、深夜にトランプ大統領とネタニヤフ首相が電話会談。イランとの休戦交渉継続のためトランプ氏は空爆に反対した一方、ネタニヤフ氏は報復攻撃を主張し、両者の意見は平行線をたどった。最終的には、限定的かつ象徴的な攻撃に留めることで折り合いが付き、国防軍は翌8日未明、イラン国内の防空システムやミサイル関連施設など9カ所への空爆を実施した。
翌日もイランやフーシ派によるミサイル攻撃が続いたが、午後にはトランプ氏の呼びかけを受けてイランが「イスラエルがレバノンへの攻撃を停止するならば、イランも攻撃を停止する」と発表。トランプ政権による圧力を受けてイスラエルも攻撃停止に同意し、1日弱で交戦は収束した。
今回についてイスラエルメディアは「方程式の戦争」だったと分析している。イスラエルは「ヒズボラの北部への攻撃→ダヒヤ地区への空爆」という抑止のための方程式をヒズボラに提示しようとした。ところがイランがミサイル攻撃により、「レバノンへの空爆→イランからイスラエルへのミサイル攻撃」という新たな方程式を示したことになる。そして米の圧力のもと、事実上この方程式を受け入れた形に。
その結果、今後ヒズボラが北部を攻撃した場合、イスラエルは単に報復攻撃だけを考えれば良い状況ではなくなった。報復攻撃がイランからの攻撃を招く可能性に加え、イランとの休戦維持を重視する米から軍事行動の自制も求められる可能性も高まったためだ。対ヒズボラ作戦を比較的自由に行えていた従来の環境からは大きな変化となる。
ある分析はトランプ氏の要請によりイスラエルが十分な報復攻撃を行わずに交戦を終えたことは異例であり、危険な前例となったと指摘。またイランが上記の新たな「方程式」を提示し、レバノン戦線とイラン戦線を結び付けることに成功した点についても厳しく批判した。
この背景にはイスラエル安全保障の基本原則がある。国土も人口も小さいイスラエルは複数の戦線で同時に全面戦争を行うのを避け、一つの戦線に戦力を集中させ対処してきた。中東戦争から現在まで、「戦線の分離」は軍事戦略の根幹とされている。
そのため今回、イスラエルがヒズボラへの抑止を強化しようとした結果、逆にレバノン・イランの戦線が結び付いたことは安全保障という大局的な視点からは大きな後退となる。
(6/7-8)

◯ 内政

【トランプ氏、ネタニヤフ首相の政界引退の可能性に言及 リクード党は即座に否定】(Y,P,H)
トランプ大統領は10日、米テレビ局の取材に対し、今年予定される総選挙後のネタニヤフ首相の去就について問われ、「分からない。彼は素晴らしいキャリアを築いたが、続けたいと思っているだろうか。彼は戦時中の首相だからだ」と発言した。
ネタニヤフ氏が政界から退く可能性もあるとする内容であり、驚きをもって報じられている。ネタニヤフ氏本人からコメントは出ていないが、これに対し数時間後にリクード党がSNSで声明を発表。「ネタニヤフ氏は次の総選挙を戦い、神の助けがあれば勝利するだろう」と述べ、トランプ氏の見方を否定した。
イスラエルメディアはこの発言の背景にはイランとの休戦以降に目立つようになった両者の関係変化があると指摘している。先月にはトランプ氏がネタニヤフ氏について「彼は私が望むことは何でもやる」と発言しており、この表現は上下関係を思わせるものとして注目を集めた。また今月初めにはレバノン問題を巡る電話会談でトランプ氏が「お前は狂っている」と激怒したとも報じられている。
こうした経緯から、イスラエルメディアは今回の発言も両者の関係悪化から生まれたものではないかとみている。実際に、ネタニヤフ氏が引退を検討していることを示す具体的な情報は国内では全く出ていない。
(6/10)

 

【超正統派による反兵役デモが拡大、大量の帰宅難民が発生】(Y,P,H)
今月1日に続き11日午後、兵役逃れで拘束された若い超正統派男性の軍刑務所移送に抗議し、過激な超正統派による大規模デモが各地で行われた。
参加者はエルサレムとテルアビブを結ぶ国道1号線をはじめ、南北を結ぶ幹線道路などを封鎖。各地で2時間以上にわたり交通が遮断された。さらに中央部では一部のデモ参加者が線路内に立ち入ったため、テルアビブ発着の鉄道も運行停止となり、影響は全国の交通網に広がった。鉄道停止の影響でベングリオン空港でも混乱が発生し、多くの利用者が空港から市内へ移動できず足止めされた。
また抗議活動ではデモ隊と警察、あるいは通行を妨げられたドライバーとの間で複数の衝突が発生し、少なくとも2人が負傷した。警察は放水車を含む大規模な部隊を投入し、音響閃光弾も使用して通行再開を試みたが、交通の混乱が解消されたのはデモを呼び掛けたラビたちが解散を指示した後だった。
同派は今後も抗議活動を継続すると表明しており、「(超正統派への)迫害が続く限り、抗議はさらに拡大する」と警告している。
(6/11)

◯ 国際情勢

【トランプ氏イランの濃縮ウラン問題で方向転換、イスラエルはアゼルバイジャンに秘密基地か】(Y,P,H)
4日夜、トランプ大統領はイランが保有する高濃縮ウランについて言及し、これまで主張してきた「国外搬出の必要性」から方向転換とも受け取れる発言を行った。
トランプ氏は「(武力行使により)今すぐにでもウランを手に入れることはできる」としたうえで、軍事作戦による押収は敵地で数週間にわたる危険かつ大規模なものになるとデメリットを指摘。「それを行う理由はない」とした。また「濃縮ウランはまるで埋葬されているかのように地下深くにある」と述べ、短期間でさらなる濃縮が行われる可能性は低いとの見方を示した。そのうえで「何かが少しでも動けば、我々のカメラが把握する」と語り、衛星などによる遠隔監視で十分対応できるとの認識を示している。
これまで繰り返し強調してきた「物理的な濃縮ウラン搬出」とは異なる姿勢であることから、イスラエルでは驚きをもって報じられている。
またこの週末には米メディアからイラン北西部と国境を接するアゼルバイジャン国内に国防軍の特殊部隊とモサドによる秘密基地が設置されていたとの報道も。この基地は戦争以前から運用されていたとされ、今年1月にはイラン国境地帯での情報収集強化を目的とした作戦も計画されていたが、同時に実施されることになっていた米による空爆の直前での中止決定を受け、そちらも取りやめになったという。
また報道によるとこの基地は3月初めに実施された革命防衛隊の特別作戦部門司令官の排除作戦にも関与していた。司令官死亡直後、イランはアゼルバイジャン方面への攻撃を実施しており、その背景には同国内に設置されたイスラエルの秘密拠点があった可能性も浮上している。
(6/5)

 

【大規模空爆発言から一転、米・イランが合意間近―イスラエルの影響力低下が浮き彫りに】(Y,P,H)
イランが9日未明に米軍ヘリコプターを無人攻撃機で撃墜し、同日にアメリカが報復攻撃を実施。翌10日にも双方による攻撃の応酬が続いたことから、11日には情勢が緊張化した。
トランプ大統領はカーグ島をはじめとするイランの主要原油施設を軍事制圧すると警告し、「激しい空爆を今夜実施する」と発言。ヘグセス戦争長官も同様の強硬姿勢を示したことから、イスラエルメディアは米軍による大規模空爆が間近だとトップニュースで報じた。
イスラエル高官によるとイスラエル軍も作戦参加を検討していたが、米側はイスラエルの関与による交渉決裂を懸念し、単独での軍事行動を選択。イスラエルには参加しないよう指示したという。
しかし夜になると状況は一変した。トランプ氏は自身のSNSで空爆中止を発表するとともに、イスラエルを含む中東各国から休戦延長案の「最終的なポイントについて了承を得た」と表明。またイスラエルも休戦延長案を支持したうえで近く正式発表が行われるとの見通しを示した。イラン側は「まだ承認していない」としているものの、国内メディアでも合意成立の可能性が高いとの報道が始まっている。
一方イスラエルでは、この急展開に驚きと困惑が広がった。そして日付が変わる直前、ネタニヤフ氏はSNSで電話会談を行ったことを認める短い声明を発表。その中で、「最終合意には濃縮ウランや濃縮施設、ミサイル製造の制限、地域のテロ組織への支援停止が含まれるとのトランプ大統領のコミットメントに敬意を表する」と述べた。
この発言により、現在の休戦延長案にはイスラエルが譲れない一線である核開発や代理勢力などの問題が含まれていないことも明らかになった。現段階の交渉では経済制裁解除や凍結資産の返還規模が最大の争点となっており、核や代理勢力問題といった本質的な課題は将来の交渉へ先送りされている。
さらに深夜には、閣議で今週前半にあったネタニヤフ氏とトランプ氏の会談内容も報告された。それによると、ヒズボラ問題についてトランプ氏は「誰かが殺されたのか」と問い、死者が出ない限りはヒズボラの本拠地を攻撃すべきではないとの考えを示したという。これに対しネタニヤフ氏は「死者が出てから初めて報復するという新たな方程式(ルール)は受け入れられない。攻撃があれば報復する」と応じ、従来の抑止原則に基づいた方程式を維持する考えを示した。
この1週間の報道は米イラン交渉においてイスラエルがほぼ傍観者であるという現実と、外交的解決を優先するアメリカと安全保障上の脅威を重視するイスラエルとの戦略的な認識の違いを改めて浮き彫りにしている。
(6/11-12)

◯ 文化

【イスラエルのインフルエンサー、スマホなしで日本縦断】(Y)
アルキア航空の東京就航など日本人気が高まるなか、大手紙Ynetはスマートフォンを持たずに日本縦断に挑戦したイスラエル人インフルエンサー2人を取り上げた。この企画は「言葉も通じない未知の国に放り出されても何とかやっていけるのではないか」という冗談から始まったもの。
2人とも馴染みがなく、さらに英語があまり通じない国として日本を選んだという。2人は公共交通機関やヒッチハイクを利用しながら日本列島の最北端と最南端を目指した。
その道中では、偶然知り合った地元の若者たちがラッパーだったことからMVに出演することになったり、日本人カップルの夕食に招かれたりしたという。夕食の席では、相手の男性がスマホにヘブライ語キーボードを追加して意思疎通を図ったこともあった。2人はこうしたスマホを持たない旅だからこそ生まれたものだとし、スマホがないからこその旅の楽しみについて語っている。
旅はその後、日本列島の縦断に成功して終了。現在は1人がイスラエルへ帰国した一方、もう1人は日本を気に入り、そのまま滞在を続けているという。
(6/9)


[情報源略号表]
 文末の( )内の記号が情報源です。(掲載日が異なる場合もあり。)
 P=エルサレム・ポスト  https://www.jpost.com/(英語)
 H=ハアレツ       http://www.haaretz.com/(英語・ヘブライ語)
 Y=イディオット・アハロノット http://www.ynetnews.com/(英語・ヘブライ語)

[転載・引用・再配布について]
 教会活動等の非営利目的ならばOKです。ユダヤ人および
 各宗教教派に批判的な文脈での引用はしないで下さい。

 
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