ー ISRAEL NOW!ー
 
「エルサレムの平和のために祈れ」 詩 122
(本誌の発行は、原則として毎週土曜です。)
◯ 治安

【ハンユニスで爆破装置による大爆破、兵士4人が死亡】(Y,P,H)
ガザ南部ハンユニスで爆破装置によって倒壊した建物の下敷きになり4人が死亡、5人が重軽傷を負った。犠牲になったのはオズ旅団の特殊部隊予備役兵と特殊工兵ヤハロム部隊の3人の兵士。両部隊は諜報部からの情報を基に、ハマスが拠点として使用し地下トンネルとの関係性が指摘される建築物を制圧するため、内部に突入。掃討作戦を5分ほど進めていたところ、仕掛けられていたブービートラップが作動し爆発が発生し、兵士たちは倒壊した建物の下敷きになった。
軍関係者によるとハマスは同じ建物を繰り返し拠点とし続けており、「軍による制圧>制圧後の撤退>ハマスが再び戻りテロ拠点として再軍備」というループが続き、国防軍が5・6回と制圧を行うなかで建築物が弱体化し、ただでさえ倒壊の危険性があるもよう。また事前調査は行われていたがゲリラ戦闘への対応は非常に困難で、兵士の疲弊もありこのような事例を完全になくすことは非常に難しいとしている。
(6/6)
 
【ラファで特別作戦、タイ人人質の遺体収容】(Y,P,H)
シンベトと国防軍の共同作戦が6日に行われ、拉致されていたタイ人労働者ナタポング・ピンタさん(36)の遺体が収容された。ピンタさんは農業従事者として2022年からイスラエルに来ており、10/7に11人のタイ人農業労働者とともにニル・オズのキブツから拉致され、テロ組織『ムジャヒディン旅団』による監禁中に殺害された。この作戦は捕縛されたテロリストからの供述と諜報部の情報が合致し行われたもの。
ムジャヒディン旅団はファタハから分裂したテロ組織で、ガザ内では独立して活動しているがイスラム聖戦やハマスとは同盟関係。ニル・オズからはビバス一家を拉致し、母シリさんとアリエルとクフィル君を殺害したことでも知られている。
(6/7)
 
【ハマス、人質の周囲での軍事作戦を指摘「人質は殺害されるだろう」】(Y,P,H)
10/7にニル・オズの自宅から拉致され、生存が分かっているマタン・ツィンガウケルさん(25)について、ハマスは新しい画像を公開。国防軍がツィンガウケルさんの監禁場所近くで軍事作戦を実行しているとし、作戦が続けばツィンガウケルさんを殺害するとの脅しのメッセージを発した。画像の中でツィンガウケルさんは微笑んではいるものの、点滴ラインに繋がれており、ハマスは「救出を試みるなかで彼が殺害されれば、それは占領軍の責任。私たちは1年8か月彼を守ってきた」とコメント。ツィンガウケルさんの状況に関しては先月、筋ジストロフィーや腸閉塞に苦しんでいるとの情報が報道されている。
メディアへの取材にも積極的に応え被害者家族を代表する存在である母エイナブさんは、ハマスの声明を受け「悪夢にもう耐えられない」とコメント。
(6/7)
 
【ムハンマド・シンワルの身元確認が完了】(Y,P,H)
約3週間前に行われた、ガザ・ハマス最高指導者ムハンマド・シンワルを標的にした空爆について、国防軍は遺体鑑定が完了したと発表した。これによりシンワル兄弟2人ともの遺体を、イスラエルが収容したことになる。標的となったハンユニス・ヨーロッパ病院の地下トンネルからは複数の遺体が発見されており、この中にはラファ旅団司令官などのリーダー層も含まれているもよう。シンワルの死因については、地下を貫通した空爆により発生した有毒ガスの吸引によるものとされている。
この日にはイスラエルの記者が、シンワルが殺害された地下トンネルを取材。地下7mの場所にあり、病院と隣接する2つの学校の下を通る形で交差する大きなトンネルが2本あり、小さなトンネルも枝分かれしており全長は数百m。長期滞在が可能な部屋が複数あり、PCやモニターが発見されていることから司令部だったことが分かっている。
(6/8)
 
【GHFスタッフ、ハマスからの脅迫メッセージが届く】(Y,P)
ハマスによる脅迫を受け配給を1日中止していたガザ人道財団(GHF)について、イスラエルメディアはGHFの地元スタッフたちが受け取った脅迫メッセージの内容を公開した。そのなかには「お前がしていることは全て把握しており、私たち民族の尊厳を傷つけているお前たちが許されることはない… 今すぐ辞めろ。さもなくば…」とあり、このようなメッセージをハマスから受けたスタッフたちが続出したことから、配給が中止されたもよう。7日の発表時には「スタッフたちが直接脅迫を受け、活動が危険なものとなった」と、GHFは理由を説明していた。
これら脅迫の事例は確認されたもののGHFは8日には活動を再開、約120万食分の食料を配給。この日には子供や女性たちのレーンの他、部族長など共同体の代表がコミュニティー全体の食料を受け取るという、新しい試みも行っている。
(6/8)
 
【意識を失った中でのリンチ、10/7に拉致された兵士の映像が公開】(Y,P,H)
10/7に戦車を運転中に拉致された兵士、マタン・アングレストさんの拉致直後の映像が公開された。そこには意識を失ったアングレストさんが戦車の上から突き落とされた後、数十人のテロリストたちによってリンチされている様子が。生還者の証言や医療チーム・諜報機関による分析からアングレストさんは慢性的な喘息を患っており、頻繁に呼吸困難に襲われ、電気ショックなどによる拷問中にも意識を失っているよう。また重度の火傷やその後の炎症、手当されずに地下トンネルで監禁されていることから、指の一部は動かすことが出来ないほど危険な状態だと言われている。
公開前に母アナットさんは息子のリンチ映像を初めて最後まで見たようで、「彼の状態は人道的解放の基準を満たしているが、兵士だということで後回しになっている」と悲痛のコメントを発表している。
(6/9)
 
【イスラエル海軍が初のフーシ派攻撃、直後に弾道ミサイル飛来】(Y,P,H)
フーシ派との交戦で初めて、空軍が紅海北部の船上からフーシ派のホデイダ港へとミサイル攻撃を行った。サール6型コルベット艦と精密ミサイルを用いて行われた同作戦は、ここ数週間続くフーシ派によるミサイル攻撃への報復、そして同港のテロ・軍事的使用を阻止することを目的としており、国防軍によるとフーシ派は同港を通じて武器を密輸している。この攻撃の数時間前にはホデイダをはじめとする3つの港の民間人に対して、攻撃の可能性からの避難勧告が出されていた。軍関係者によると往復6時間が掛かる空爆よりも、戦艦と精密ミサイルを用いた海軍による攻撃の方が状況に合わせた対応が出来るなど、利点もあるとのこと。
その日の夜にはフーシ派がイスラエル中央部に向けて弾道ミサイルを発射、テルアビブからユダ山地・ヘブロン近郊までの範囲でサイレンが鳴った。ミサイルは迎撃されたが破片などの落下が、エルサレム・ヘブロン近郊の数か所で確認されている。
(6/10)
 
【ニル・オズから拉致された人質の遺体を収容】(Y,P,H)
国防軍とシンベトは11日深夜、同日ハンユニス近郊で行われた共同作戦において10/7に拉致・殺害された、ヤイール・ヤコブさん(59)ともう1人の人質の遺体を救出・収容したと発表した。ヤコブさんは10/7にニル・オズの自宅が襲撃された際には、シェルターのドアを押さえてテロリストから家族を守ろうとしたが、ドアが爆破・銃撃を受けたため負傷。その後シェルターは突き破られ、パートナーの女性と息子2人と共に拉致されたのだが、ヤコブさんはその際に銃殺され遺体としてガザに連れ去られた。ヤコブさん以外の3人は23年11月の休戦期間に解放され、それ以降家族と共に遺体の帰還を待っていた。
ここ1週間ほどの間にイスラエル市民4人とタイ人の人質1人(前述)が解放されており、残された人質は53人。その中で生存が確実だとされているのは20人になる。
(6/11-12)

◯ 内政

【超正統派の兵役は妥協案で一時合意か、国会解散は回避へ】(Y,P,H)
先週からの超正統派の兵役免除新法案を巡る対立から、国会解散も時間の問題とされていたが11日、法案作成を担当するリクード党エデルシュテイン議員と超正統派政党との間で妥協案がまとまった。そのため野党が提出していた国会解散法案では、賛成票を入れると思われた超正統派政党たちが反対に回り否決。半年間は同じ法案の再議決ができないため、この日にも解散すると考えられていた現国会は一転、延命に成功した。
この妥協案は5年間で超正統派の若者の徴兵率を5割にするというもので、徴兵を拒否した若者に対しては海外渡航や運転免許取得の禁止、またその他の補助金などの対象外になるなどと言う制裁措置が取られ、最初の2年間で設定された徴兵者数(約1.5万人)に達していなかった場合には、さらなる制裁が科されるというもの。
しかし多くの制裁は超正統派の日々の生活にとって大きな影響はないものであること、案作成に軍関係者が加わらずに軍の必要性に応えるものになっていないことなどから、「今までと同じ超正統派の兵役免除を法定化するもので、状況は変わっていない」との批判の声も上がっている。
(6/11-12)

◯ 国際情勢

【グレタ氏らを乗せた船、海軍によりガザ到着を阻止される】(Y,P,H)
スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥーンベリ氏やフランス人の欧州議会議員をはじめ、12人の活動家たちと少量の食料・医薬品を載せた船が、ガザに向かって航行していたことについて、8日深夜に空軍特殊部隊が同船に乗り込みガザ入りを阻止した。世界中に生配信されながらの部隊出動となったが、活動家たちは抵抗せず拘束に応じたため大事にはならず。イスラエル外務省は同船について『セルフィーをするためのセレブ達のヨット』と皮肉り、水とサンドウィッチを提供する映像と共に「全ての乗員は無事で害は受けておらず、ショーは終わった」と発表した。「ガザの封鎖を解くため」といった目的から積載されていた、350キロほどの食糧と粉ミルク・医療品などに関しては、正規のルートからガザの人道支援に充てられるとのこと。
その後12人はベングリオン空港へと移送され、グレタ氏を含む4人はイスラエルからの自主退去に同意し出国。しかし8人は同宣誓書への署名を拒否したため、入管の収容施設に収容されている。
(6/9)
 
【トランプ大統領、ガザ休戦・イラン攻撃自粛を要請も…】(Y,P,H)
9日にネタニヤフ首相とトランプ大統領による電話会談が行われ、緊張感ある雰囲気のなかトランプ大統領はガザ休戦を要求した。トランプ氏はこれ以上の戦闘にメリットはなく疲弊するのみであり、ガザ戦争がサウジとの国交正常化だけでなくイランとの核合意の障害にもなっているとし、ウィトコフ案による一時的休戦だけではなく恒久的休戦にも応じるよう求めた。またここ数日報道されているイラン攻撃に対して、イスラエルによる空爆を米は容認しないとの意を伝えた。ネタニヤフ氏は「イランに弄ばれているだけで、彼らは時間を稼いでいる」と核合意が無益であり、交渉停止を求めたがトランプ氏は「イランとの対話の仕方を私は知っている」と反論。「空爆の示唆は交渉には逆効果なので、攻撃に関して協議するのをやめるように」と、イスラエルに要求した。
イスラエルメディアは会談について今までには見られなかった、「両者間の対立」と報道。しかし13日早朝にイスラエルが行った大規模なイラン空爆から、報道され続けていたイラン核問題を巡っての米イ間の不一致・緊張関係は、イランを油断させるための欺瞞作戦だったことが分かっている。
(6/10,13)


[情報源略号表]
 文末の( )内の記号が情報源です。(掲載日が異なる場合もあり。)
 P=エルサレム・ポスト  https://www.jpost.com/(英語)
 H=ハアレツ       http://www.haaretz.com/(英語・ヘブライ語)
 Y=イディオット・アハロノット http://www.ynetnews.com/(英語・ヘブライ語)

[転載・引用・再配布について]
 教会活動等の非営利目的ならばOKです。ユダヤ人および
 各宗教教派に批判的な文脈での引用はしないで下さい。

 
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