【米NYT紙「ネタニヤフ首相による戦争継続は連立維持のため」】(Y,P,H)
ニューヨークタイムズ紙が110人以上のイスラエル・ホワイトハウス・アラブ諸国高官への半年間の取材結果を発表し、ネタニヤフ首相による戦争継続の裏側に自身の政権維持という政治的理由があったと結論付けた。
同紙によるとネタニヤフ氏の行動原理は10/7以前から見られ、3か月前の7月に軍・諜報部から「司法改革による国内の不安定な政情からハマスなどがイスラエル攻撃をうかがっている」と警告があったが、司法改革の抗議者たちの対処を優先するよう指示した。
戦争が始まると休戦交渉が大詰めになった段階で、軍も重要視していなかったラファとエジプト境界部の制圧という新しい目標を提示して交渉を遅らせ、バイデン政権からイスラエルの過半数が休戦を望んでいるとの世論調査結果を提示された際「この過半数は私の支持者ではない」との発言したよう。
去年4月には休戦による30人以上の人質解放に加えて、サウジとの国交正常化へ大きな前進という戦争終結と外交的成功が提示されネタニヤフ氏も飲む姿勢を示していた。しかしそれを議題に上げようとした閣議で極右のスモトリッチ財務相は「休戦合意=政権崩壊」と発言。ネタニヤフ氏は同休戦案を閣議の議題にすることを急遽取りやめるよう秘書たちに指示した。
また同紙は歴史的なイラン空爆と政権存続の関係性に言及。攻撃前には兵役免除に関する対立で超正統派政党が連立離脱を明言するなどネタニヤフ政権は崩壊寸前だったが、ネタニヤフ氏は超正統派・UTJ党のガフニ党首と秘密裏に会談し、数日中のイラン攻撃を知らせて国会解散に反対票を投じるよう要請。その2日後の決議に超正統派政党は反対票を投じ、ネタニヤフ政権は延命に成功しイラン攻撃を直後に行った。
この記事掲載の翌12日、首相府は「中傷記事。政治生命の維持を動機として動いたことはない」と批判のコメントを発表している。
(7/11-12)
【入植者との衝突でパレスチナ系米国人が死亡、米政府は調査を要請】(Y,P,H)
11日夜に西岸地区でユダヤ人入植者とパレスチナ人が衝突し、20歳のパレスチナ系アメリカ人男性が死亡した。米生まれの男性は親族を訪問しに西岸地区に来ていたところ衝突に参加または巻き込まれ、パレスチナの情報では頭部を殴打され死亡したとのこと。
国防軍は衝突前にパレスチナ人の投石で入植者が負傷したと声明を発表。警察・シンベトが中心に捜査し、予備役兵1人を含む3人の入植者を逮捕している。
アメリカ市民の死を受けて遺族はホワイトハウスに迅速な捜査をイスラエル当局に求めるようにとの働き掛けを要請。これを受けて15日にハッカビー米大使は「このような犯罪・テロ行為には捜査責任があり、イスラエルには積極的な捜査を求める」と、コメントしている。
(7/12,14-15)
【24歳の人質男性、近く両目失明の恐れ】(Y,P,H)
10/7にノバ音楽祭の会場から逃げ、近くのシェルターから拉致された人質男性のアロン・オヘルさん(24)の健康状態について家族がこの状況では両目が失明する恐れがあるとの医師の意見書を公表した。
オヘルさんはハマスの襲撃・拉致時に右目を負傷し、手元にある映像や人質の証言などからテルアビブ大附属病院の眼科の医師は「10月7日に負傷した右目はかなり視力が低下している状況だが、早急に治療・手術を行えば視力回復の可能性も。しかし交感性眼炎の恐れもあり、最悪の場合には両目の失明が危惧される」と結論付けている。
この意見書を受けて母親のイディートさんは「ハマスにはもう勝利している。オヘルをはじめすぐにでも人質全員を解放し、真の勝利を手にする時が来た」と政府に呼び掛けている。
(7/13)
【軍からの人道都市案に首相が『激怒』し、改善案を要求】(Y,P,H)
今月初めにイスラエル政府が発表し、現在の休戦交渉の争点になっているラファ跡に『人道都市』を設置する計画について軍部がその計画書を閣議に提出した。総費用は1.5~2.2兆円になり、建設には1年以上掛かると算出されている。
閣議参加者によるとネタニヤフ首相は激怒し、「より短期・安価で現実的な『改善案』を近く提出するように」と軍に命令したとのこと。
政府はこの人道都市案に積極的な一方、軍部はこの都市建設が(西岸地区のような)軍による占領へと繋がる一歩になることの懸念、住民の強制移送という戦争犯罪になる恐れから、消極的な姿勢を取っている。政府内からは「非現実的で高額な計画を提示することにより、都市建設を断念させようとしている」と軍を批判する声も。
(7/14)
【空軍がシリア南部の戦車を攻撃、ドゥルーズ派への弾圧を牽制】(Y,P,H)
南シリアにあるスワイダー県でベドウィン派とドゥルーズ派の衝突に介入したシリア軍がドゥルーズ派を攻撃し約90人が死亡したことを受けて、イスラエル国防軍はシリア軍戦車2台にドローン攻撃を行った。
攻撃が実施されたのは国境から約50kmの場所で国防軍は南シリアにおける戦車などの部隊配備は自国の脅威となり得る、と攻撃の意図を説明。前日にはこの衝突のなかでドゥルーズ派21人がシリア軍に即決処刑されるという事例が起こっており、カッツ防衛相は「シリアでのドゥルーズ派攻撃をイスラエルは許容しない」と新政権が同派への弾圧・攻撃を続ける際には、軍事介入するとした。
イスラエルにはシリア・レバノンに次ぐドゥルーズ派共同体があり、この日はイスラエルに住むドゥルーズ派数十人が国境を越えてシリア領内に侵入する事例も起こっている。
(7/15)
【空軍がシリア軍参謀本部・大統領宮殿を空爆、夜には休戦】(Y,P,H)
前日に引き続きシリア政府軍のドゥルーズ派への攻撃を受けてのイスラエル軍のシリア軍事介入がさらに本格化し、空軍は100近い空爆を実施した。その多くはスワイダー県とその周辺にシリア軍が配備した戦車や装甲車、または軍事拠点だが、首都ダマスカス中心地のシリア軍参謀本部や大統領宮殿などにも空爆を行った。
このようなシリア内での交戦・空爆の裏で、アメリカがイスラエル・シリアに休戦の働き掛けを行い、戦火の拡大を避けるため特にイスラエルには大規模な空爆を自重するよう要請。これらを受けて夜にシリア政府とドゥルーズ派、イスラエルの休戦が成立し、シリア政府軍はスワイダーから部分的撤退を開始した。
その後シャラア暫定大統領は声明を発表、ドゥルーズ派に「あなたたちの権利と自由の保証は私達の最重要課題。危害を加えた者に裁きを行う」と歩み寄る発言。介入したイスラエルには「私達の国をカオスな場にしようとしているが、それにもシリアは打ち勝つだろう」と批判している。
(7/16)
【戦車がガザ教会に誤射、13人が死傷】(Y,P,H)
ガザ東部にある同地区内唯一のカトリック教会『聖家族教会』にイスラエル軍の砲撃が着弾し3人が死亡、同教会の教職者を含め10人が重軽傷を負った。
この事例には伊仏など各国から非難する声明があり、軍報道官は「ガザ市内で軍事作戦に従事していた戦車による砲弾の破片で起こったもの」とし、遺憾の意を表明している。これを重く見たトランプ大統領はネタニヤフ首相と電話会談を行い、事情説明を要請。
首相府は「ガザ聖家族教会に流れ弾が当たってしまったことに、イスラエルは大変遺憾に思う。罪のない命が失われるのは悲劇であり、現在調査している」との声明を出した。
(7/17) |