ー ISRAEL NOW!ー
 
「エルサレムの平和のために祈れ」 詩 122
(本誌の発行は、原則として毎週土曜です。)
◯ 治安

【米・イランの衝突が拡大、イスラエルは臨戦態勢維持】(Y,P,H) 
イランがホルムズ海峡航行中のタンカーを攻撃したことを受け、米軍は約2週間イランへの空爆を続けている。
転機となったのは17日夜、イランがヨルダンの米空軍基地を攻撃し、米兵2人が死亡したことだった。これを受け、トランプ政権内では対イラン強硬論が強まり、米軍は多数の空中給油機やF16、F35をヨーロッパからイスラエルへ展開するなど、軍事態勢を強化している。
またイランのミサイル攻撃は湾岸諸国に加えヨルダンにも拡大しており、19日と22日にはイスラエル国境に隣接する港湾都市アカバが攻撃を受けた。これらの攻撃ではイスラエル最南端のエイラットでも爆音が確認され、一部のミサイルまたは迎撃ミサイルが落下したとの報道もあり、戦火は着実にイスラエルへ近づいている。
しかしイスラエル国防軍はイランが今年2~4月の交戦で大きな損害を受けており、現時点でイスラエルとの全面衝突を望んでいないとの見方を維持している。米軍も現状ではホルムズ海峡周辺の軍事施設への攻撃にとどめているため、イランがイスラエルへの直接攻撃に踏み切る可能性は低く、イスラエルも攻撃を受けない限り積極的に参戦しないとの見方が強い。しかし、イランがイスラエルへ弾道ミサイルで攻撃した場合は「オール・イン(全面交戦)」に即時移行する方針で、ヒズボラとの同時攻撃も想定し臨戦態勢を維持している。
23日には西側諸国の複数の情報機関が(イスラエル側の予想に反して)イランがイスラエルへの先制攻撃に踏み切る可能性があるとの評価をまとめたと報じられ、今週末にも戦闘が大きく拡大する可能性があるとの見方も出始めている。
(7/19,21,23)

 

【ハマス新最高指導者にアル=ハヤ、強硬路線を継続】(Y,P,H)
ハマスのシュラ評議会は18日、2024年10月にヤヒヤ・シンワルが排除されて以降空席となっていた政治局長選挙を行い、20日にガザ・ハマス指導者のハリル・アル=ハヤが当選したと発表した。政治局長は事実上ハマス最高指導者であり、今後はアル=ハヤが組織全体を率いることになる。
今回の選挙ではシンワルの後継者としてガザを率いイランとの結び付きが強いアル=ハヤと海外部門を率い、カタールやトルコとの関係が深い(より穏健である)ハーレド・マシャルが争った。投票はガザ、西岸、海外の代表で構成される69人のシュラ評議会で行われ、アル=ハヤが35対34の1票差で勝利した。
イスラエルはこの結果が今後のハマスとイランの関係を占うものと注目。結果を受けてメディアはアル=ハヤ選出は10月7日以降の戦争でガザが甚大な被害を受けたにもかかわらず、組織として穏健路線への転換はなく、軍事・親イラン路線といったこれまでの強硬路線の継続を選択したと分析している。
(7/20)

 

【レバノン南部でヒズボラ武装解除の試験運用開始】(Y,P,H)
先月末にルビオ米国務長官の仲介で成立したイスラエル・レバノン合意に基づき、20日イスラエルはレバノン南部3つの村の治安維持をレバノン軍へ移管し、ヒズボラ武装解除に向けた試験運用が始まった。
対象となる3村のうち2村はイスラエル軍の安全ベルト外にあり、残る1村も安全ベルト内ではあるが、部隊は大幅に縮小され遠隔監視主体となっていたため、今回の移管に伴う大規模な撤退は行われていない。今後、レバノン軍がヒズボラの南部への再進出を防ぎ治安維持に成功すれば、イスラエル軍はさらなる地域を段階的に引き渡し、最終的にはレバノン軍による南部の主権回復とヒズボラの武装解除を目指す。
この移管やレバノン軍の活動の監査役はイタリア軍やUNIFILなどの多国籍軍になるとも言われたが、米・イスラエルに要望により米中央軍が監督することになり、3国間での連携の枠組みなども形成されている。
一方イスラエルは停戦期間中にヒズボラがバイクなどを利用して戦闘員や兵器を南部へ密かに送り込んでいることを把握しており、安全ベルト内での軍事活動は継続。またレバノン軍が成果を上げれば追加移管を進める一方、失敗した場合は大規模軍事作戦の再開も視野に入れている。
また、ナバティエ近郊では約40人のヒズボラ戦闘員が地下施設に立てこもったままイスラエル軍に包囲されているが、その処遇や地下施設の破壊をどちらが担当するかなどは決まっておらず、今回の試験運用の成否とともに今後の課題となっている。
(7/20-21)

 

【国防軍「標的はサッカー選手ではなくテロリスト」】(Y,P)
ワールドカップ開催に合わせるような形でアラブ系を中心とする国際メディアが「イスラエル軍はガザのサッカー関係者を意図的に標的として殺害している」と報じるなか、国防軍は22日、これに反駁する調査結果を公表した。
国防軍によるとサッカー選手やレフェリーとして犠牲者と報じられた少なくとも12人が実際にはハマスやイスラム聖戦の戦闘員・士官だったことが確認されたという。この中にはハンユニスのレジェンド選手として知られパレスチナ代表歴を持つトッププレイヤーで、イスラム聖戦のテロリストとして10月7日の越境攻撃・虐殺に参加したムハンマド・バラカットや国際試合や西アジア選手権で副審を務めた経験を持つレフェリーで、イスラム聖戦の戦闘員だったムハンマド・サミ・ハタブなどの事例が含まれている。
国防軍は彼らがテロ組織の戦闘員として標的となったのであり、民間人としての顔を持っていたとしても、戦闘員として活動していた事実があれば彼らへの攻撃は国際法に則ったものだと説明している。
(7/22)

◯ 内政

【AI動画でアイゼンコット氏を攻撃、リクードに批判】(Y,P,H) 
20日リクード党とネタニヤフ首相がほぼ全ての世論調査でリクードと第1党を争い、複数の調査で首相候補としてもネタニヤフ首相を上回る支持を集める新党「ヤシャル(真っ直ぐ)」のガディ・アイゼンコット氏を攻撃するAI動画を公開した。
動画は「イスラエルの一致」と書かれたシャツを着た若い男性がアイゼンコット氏と抱き合おうとするが、直前で同氏が方向を変え、イスラム政党ラアムのアッバス党首と抱擁する内容。「アイゼンコット氏はアラブ政党の協力なしでは政権を樹立できない」と印象付け、右派や中道層に訴える狙いとみられる。
しかし、この若い男性が2023年12月にガザで戦死したアイゼンコット氏の息子ガルさんを連想させるとして、「戦争で息子を失った父親への攻撃であり、倫理的一線を越えた選挙キャンペーンだ」とSNS上で強い批判が巻き起こった。これに対しネタニヤフ首相は「過激派が陰謀論を広めようとしている」と反論した一方、若い男性を女性に差し替えた動画を改めて投稿するなど修正を行った。
イスラエルメディアはSNSを利用した激しい個人攻撃を伴う選挙戦が続く中でも、今回の件は「新たな倫理的底辺」を示したと論評、今後の選挙戦がさらに過熱することへの懸念を示している。
(7/21)

 

【AI時代の衝撃、Monday.comが620人を人員削減】(Y,P,H)
世界中の企業で利用されるクラウド型業務管理ツールを開発し、イスラエル・ハイテク産業を代表する企業の一つであるMonday.comが全従業員の約2割にあたる620人を削減すると発表した。背景にはAIの急速な普及でプログラミングやデータ解析などの業務がAIに置き換わり始めたことにある。
同社の株価も今年上半期に50%以上下落しており、大規模な組織改革を迫られていた。CEOは社員へのメールで「製品や戦略の変更だけでは不十分であり、現在の組織はAI時代に適したものではなくなった」と説明している。今回の削減対象620人のうち、350人はイスラエル国内の従業員となる。
Monday.comは他社に先駆けてAIの重要性に着目し、2025年初めにはAIエージェントを導入するなど、マンパワーを維持しつつも「AI時代を勝ち抜くだろう企業」と見られていただけに今回のリストラは国内に大きな衝撃を与えている。
Monday.comだけでなくイスラエルでは、AIによる代替が進み、若手エンジニア(ジュニア)がリストラされる事例が増加しており、供給過多やハイテク産業への新規参入の扉が狭くなっていることなどが大きな問題となっている。イスラエル経済はハイテク産業が牽引しているだけに高所得・高額納税者の多いハイテク業界でリストラが相次げば、国全体の経済を揺るがしかねないとの懸念も広がっている。
(7/22)

◯ 国際情勢

【マムダニNY市長、ネタニヤフ首相拘束は不可能と認める】(Y,P,H)
ニューヨークのマムダニ市長は18日、NYT紙のインタビューで9月の国連総会出席のためネタニヤフ首相が同市を訪れた際、国際刑事裁判所(ICC)の逮捕状に基づき拘束できるか市法務当局に確認していると明らかにした。
マムダニ氏は市長選で「ネタニヤフ氏が訪れれば拘束する」と公約しており、「彼は戦争犯罪者であり、その居場所はハーグ。法律の範囲内でできることは全て行う」と述べた。多くの法律専門家はアメリカがICC加盟国ではなく、国連を訪れる各国首脳には外交上の特権があるため、市長権限で拘束することはできないとの見解を示している。
ネタニヤフ氏本人は「自身の失態から世論の目をそらしたいのだろう」と反応。米国でも共和党だけでなく民主党からも、国連総会に合わせて混乱を招くべきではないと批判が上がり、トランプ大統領も20日に「ネタニヤフ氏がアメリカで逮捕されることはない」とSNSで表明した。
22日、マムダニ氏はビデオ声明で「全ての可能性を検討したが、市に独自の法的権限はない」と述べ、市として拘束できないことを認めた。一方で連邦政府には権限があるとして、ICC加盟と逮捕状の執行を求めていく考えを示した。
イスラエルメディアは法的権限がないことは当初から明らかだったとして、一連の発言は左派支持層への政治的パフォーマンスに過ぎないと論評。ある評論家は実現不可能な公約を掲げ、実現できなければ他者へ責任を転嫁する手法を「典型的なポピュリズムだ」と指摘している。
(7/18,20,22)

 

【米・サウジ原子力協定、イスラエルで懸念広がる】(Y,P,H)
米エネルギー省は22日、サウジアラビアのムハンマド皇太子と平和利用を目的とした原子力協定(123協定)を締結した。
協定期間は30年間で米国は原子力技術や設備を提供するほか、最初の2年間でサウジ国内におけるウラン濃縮事業の採算性を共同で検証する。採算性が認められれば米国の厳格な管理の下でサウジ国内に濃縮施設が建設され、サウジ人技術者も運営に携わる見通しだ。
米国の監視下であってもサウジがウラン濃縮能力を持てば、将来的な核兵器開発の基盤となり得るとの懸念が専門家から出ている。イスラエルでも中東の米同盟国がサウジを例に同様のウラン濃縮を自国で行う権利を求めれば、中東で潜在的な核保有国が増えることになり中東全体が核軍備へと進んでしまうとの警戒感が広がっている。
さらにイスラエルで問題視されているのが協定にイスラエルとの国交正常化が条件として盛り込まれなかった点だ。バイデン前政権は包括的な防衛協定や原子力協定の前提としてサウジとイスラエルの国交正常化を掲げていたが、前政権よりも親イスラエルとされるトランプ政権がその条件なしに協定を締結したことにイスラエル国内では不安や批判の声が上がっている。
こうした批判を受け、トランプ大統領は23日、自身のSNSで「ウラン濃縮は行われない。またサウジのアブラハム合意参加が協定の完全な条件である」と投稿し、火消しを図った。これを受け、ネタニヤフ首相も原子力協定には触れず、アブラハム合意の拡大のみを歓迎する声明を発表している。
しかし、署名済みの協定には国交正常化を条件とする条項は明記されておらず、ウラン濃縮についても将来的な実施の可能性を共同で検証する内容となっている。このためイスラエルメディアはトランプ氏の投稿と協定内容の整合性に疑問を呈し、このSNS上での発言が国家間で締結された協定を覆すかについて懐疑的な分析をしている。
またサウジ政府関係者はこれを受け、「締結済みの協定が一つのSNS投稿で変わることはない」と述べ、トランプ氏による締結後の『新条件』を受け入れない意思を示している。
(7/23)

◯ 文化

【ベネズエラ大地震:被災家庭のリビングにイスラエル国旗が…】(Y)
先月末にベネズエラで発生した大地震を受け、被災地で活動を続ける国防軍の民間防衛軍から心温まるエピソードが届いた。
同部隊は被災住宅の構造的安全性を調査しており、東部の町であるクリスチャン家庭を訪れた際、リビングに手作りのイスラエル国旗が飾られているのを発見した。予備役兵2人が理由を尋ねると、住人たちはキリスト教信仰からユダヤ民族に敬意を抱いていること、救助活動への感謝を表したかったと説明。
その言葉に感動した兵士の一人は自身の軍服に縫い付けられていたイスラエル国旗を外し、その家族に贈ったという。国旗を発見した兵士の1人は「地震で被害を受けた家庭で自国の国旗を目にしたことは人と人とのつながりを実感する非常に感動的な瞬間だった」と振り返っている。
イスラエルからは民間防衛部隊のほか、東日本大震災や熊本地震でも活動したNPO「IsraAID」などがベネズエラで救助・人道支援を続けている。
(7/19)


[情報源略号表]
 文末の( )内の記号が情報源です。(掲載日が異なる場合もあり。)
 P=エルサレム・ポスト  https://www.jpost.com/(英語)
 H=ハアレツ       http://www.haaretz.com/(英語・ヘブライ語)
 Y=イディオット・アハロノット http://www.ynetnews.com/(英語・ヘブライ語)

[転載・引用・再配布について]
 教会活動等の非営利目的ならばOKです。ユダヤ人および
 各宗教教派に批判的な文脈での引用はしないで下さい。

 
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