【米・イランの衝突が拡大、イスラエルは臨戦態勢維持】(Y,P,H)
イランがホルムズ海峡航行中のタンカーを攻撃したことを受け、米軍は約2週間イランへの空爆を続けている。
転機となったのは17日夜、イランがヨルダンの米空軍基地を攻撃し、米兵2人が死亡したことだった。これを受け、トランプ政権内では対イラン強硬論が強まり、米軍は多数の空中給油機やF16、F35をヨーロッパからイスラエルへ展開するなど、軍事態勢を強化している。
またイランのミサイル攻撃は湾岸諸国に加えヨルダンにも拡大しており、19日と22日にはイスラエル国境に隣接する港湾都市アカバが攻撃を受けた。これらの攻撃ではイスラエル最南端のエイラットでも爆音が確認され、一部のミサイルまたは迎撃ミサイルが落下したとの報道もあり、戦火は着実にイスラエルへ近づいている。
しかしイスラエル国防軍はイランが今年2~4月の交戦で大きな損害を受けており、現時点でイスラエルとの全面衝突を望んでいないとの見方を維持している。米軍も現状ではホルムズ海峡周辺の軍事施設への攻撃にとどめているため、イランがイスラエルへの直接攻撃に踏み切る可能性は低く、イスラエルも攻撃を受けない限り積極的に参戦しないとの見方が強い。しかし、イランがイスラエルへ弾道ミサイルで攻撃した場合は「オール・イン(全面交戦)」に即時移行する方針で、ヒズボラとの同時攻撃も想定し臨戦態勢を維持している。
23日には西側諸国の複数の情報機関が(イスラエル側の予想に反して)イランがイスラエルへの先制攻撃に踏み切る可能性があるとの評価をまとめたと報じられ、今週末にも戦闘が大きく拡大する可能性があるとの見方も出始めている。
(7/19,21,23)
【ハマス新最高指導者にアル=ハヤ、強硬路線を継続】(Y,P,H)
ハマスのシュラ評議会は18日、2024年10月にヤヒヤ・シンワルが排除されて以降空席となっていた政治局長選挙を行い、20日にガザ・ハマス指導者のハリル・アル=ハヤが当選したと発表した。政治局長は事実上ハマス最高指導者であり、今後はアル=ハヤが組織全体を率いることになる。
今回の選挙ではシンワルの後継者としてガザを率いイランとの結び付きが強いアル=ハヤと海外部門を率い、カタールやトルコとの関係が深い(より穏健である)ハーレド・マシャルが争った。投票はガザ、西岸、海外の代表で構成される69人のシュラ評議会で行われ、アル=ハヤが35対34の1票差で勝利した。
イスラエルはこの結果が今後のハマスとイランの関係を占うものと注目。結果を受けてメディアはアル=ハヤ選出は10月7日以降の戦争でガザが甚大な被害を受けたにもかかわらず、組織として穏健路線への転換はなく、軍事・親イラン路線といったこれまでの強硬路線の継続を選択したと分析している。
(7/20)
【レバノン南部でヒズボラ武装解除の試験運用開始】(Y,P,H)
先月末にルビオ米国務長官の仲介で成立したイスラエル・レバノン合意に基づき、20日イスラエルはレバノン南部3つの村の治安維持をレバノン軍へ移管し、ヒズボラ武装解除に向けた試験運用が始まった。
対象となる3村のうち2村はイスラエル軍の安全ベルト外にあり、残る1村も安全ベルト内ではあるが、部隊は大幅に縮小され遠隔監視主体となっていたため、今回の移管に伴う大規模な撤退は行われていない。今後、レバノン軍がヒズボラの南部への再進出を防ぎ治安維持に成功すれば、イスラエル軍はさらなる地域を段階的に引き渡し、最終的にはレバノン軍による南部の主権回復とヒズボラの武装解除を目指す。
この移管やレバノン軍の活動の監査役はイタリア軍やUNIFILなどの多国籍軍になるとも言われたが、米・イスラエルに要望により米中央軍が監督することになり、3国間での連携の枠組みなども形成されている。
一方イスラエルは停戦期間中にヒズボラがバイクなどを利用して戦闘員や兵器を南部へ密かに送り込んでいることを把握しており、安全ベルト内での軍事活動は継続。またレバノン軍が成果を上げれば追加移管を進める一方、失敗した場合は大規模軍事作戦の再開も視野に入れている。
また、ナバティエ近郊では約40人のヒズボラ戦闘員が地下施設に立てこもったままイスラエル軍に包囲されているが、その処遇や地下施設の破壊をどちらが担当するかなどは決まっておらず、今回の試験運用の成否とともに今後の課題となっている。
(7/20-21)
【国防軍「標的はサッカー選手ではなくテロリスト」】(Y,P)
ワールドカップ開催に合わせるような形でアラブ系を中心とする国際メディアが「イスラエル軍はガザのサッカー関係者を意図的に標的として殺害している」と報じるなか、国防軍は22日、これに反駁する調査結果を公表した。
国防軍によるとサッカー選手やレフェリーとして犠牲者と報じられた少なくとも12人が実際にはハマスやイスラム聖戦の戦闘員・士官だったことが確認されたという。この中にはハンユニスのレジェンド選手として知られパレスチナ代表歴を持つトッププレイヤーで、イスラム聖戦のテロリストとして10月7日の越境攻撃・虐殺に参加したムハンマド・バラカットや国際試合や西アジア選手権で副審を務めた経験を持つレフェリーで、イスラム聖戦の戦闘員だったムハンマド・サミ・ハタブなどの事例が含まれている。
国防軍は彼らがテロ組織の戦闘員として標的となったのであり、民間人としての顔を持っていたとしても、戦闘員として活動していた事実があれば彼らへの攻撃は国際法に則ったものだと説明している。
(7/22)