【シンベト、アラブ社会の犯罪組織対策へ初介入】(Y)
内閣官房長官が国内やガザ・西岸地区などで活動する諜報機関シンベトをイスラエル国内のアラブ社会における犯罪対策にも投入する方針を関係官僚に伝えていたことが分かった。
シンベトは本来、テロ対策を担う治安機関であり、犯罪組織への捜査権限は持たない。しかし、アラブ社会で活動する犯罪組織が銃器の密輸・販売を通じてテロ組織の武装にも関与していることから、武器密輸などテロに直結する分野に限って活動を認める方針。
この取り組みには最大約350億円が充てられる予定で財源には5年前のベネット政権がアラブ社会の発展や犯罪対策のために確保したが、現政権下で残っていた予算が活用される。
ネタニヤフ政権はこれまでもシンベトの活用による犯罪抑止を掲げてきたが、アラブ社会では殺人事件や組織犯罪が依然として深刻な状況にあり、検挙率の低迷も続いていることから、抜本的な改革を求める声も強まっている。
(7/4)
【ハマスが統治機関解体を発表、イスラエル・ガザ新体制は懐疑的】(Y,P,H)
ハマスは6日、ガザ統治を担ってきた「緊急委員会」を解体すると発表した。今年1月にトランプ大統領の主導で設立された「平和協議会」の監督下で発足予定のテクノクラート政権へ権限を移譲するためとしている。
報道官は市民サービスを維持するため職員は引き続き業務に当たる一方、警察など治安機関を含む各省庁の権限も新政権へ移譲する考えを示した。一見するとガザの「脱ハマス化」が進展したようにも見えるが、イスラエル側は行政機関の大半をハマスメンバーが占める現状は変わらないため、「仲介国向けの時間稼ぎに過ぎない」と懐疑的に受け止めている。
ガザの反ハマス勢力からも「実質的な変化はない」との声が上がっている。また、新政権の主要メンバーはガザ入りを強く恐れている。行政機関の多くをハマスメンバーが占め、数千人の武装勢力も残る現状では業務への介入や権限を奪われるだけでなく、自身の身の安全も脅かされるとみているためだ。
ハマスが依然としてガザ最大の武装勢力である以上、この問題は根本的には解決しない。権限を引き継ぐ立場となる平和協議会も「重要なのは約束ではなく履行だ。大原則は変わらず、権限・法・武器を一元化することだ」とコメントし、ハマスの武装解除が不可欠との認識を改めて示し、祝福とはいえない声明を出している。
(7/6)
【米イラン交戦続く、イスラエルは臨戦態勢も参戦には慎重な見方】(Y,P,H)
アメリカとイランの散発的な交戦が続いているため、イスラエルでは警戒態勢が強化されている。
7日にイランがホルムズ海峡を航行していた湾岸諸国のタンカーを攻撃し、これを受けたアメリカは8,9日に170か所以上のイラン軍事施設を空爆した。イランも湾岸諸国やヨルダンの米軍基地を攻撃して応戦し、トランプ大統領は一時、覚書に基づく停戦について「終わった」と発言するなど休戦決裂と戦闘再開の懸念が高まった。
イスラエルは現時点で自国が直接の当事者になる可能性は低いとみているが、警戒態勢を強めながら戦況を注視している。8日にはネタニヤフ首相とカッツ防衛相が軍の式典出席を取りやめ、軍首脳との戦略会議に出席。軍は2月末の開戦以来、最高レベルの警戒態勢を維持しており、戦闘機も常時出撃可能な状態にある。イラン国内の攻撃目標も共有済みで、軍高官は「必要であれば直ちに実行できる状態」と説明している。
一方、現時点でイスラエルが戦闘に加わる可能性は低いとの見方が大勢。アメリカは軍事圧力によって有利な条件でイランとの交渉を再開したい考えで、戦闘を限定的なものにとどめる意向とされる。イランもイスラエルとの直接交戦になればさらに深刻な被害を受けることを認識している。また湾岸諸国もイスラエルが参戦すればアラブ世論への配慮からアメリカへの協力が難しくなる。
イスラエル参戦の可能性は低いとみられるが、政府・軍はイランの攻撃を受ける事態に備え、臨戦態勢を維持している。
(7/8)
【拘束中のガザ病院長が「命の危険」と報道、イスラエルでは説明不足との指摘】(Y,P,H)
2024年12月、ハマスとの関係が疑われて拘束され、イスラエルで行政拘禁に置かれているガザの病院長フサム・アブ=サフィヤ医師が「命の危険がある」と国際メディアが報じ、即時釈放を求める声が広がっている。
発端は今月初めに面会した弁護士が「顔が判別しにくいほど負傷し、呼吸も苦しそうで続けて話すこともまっすぐ座ることも難しかった。命の危険がある」と証言したこと。本人もイスラエルの左派系人権団体を通じ、「私は殺されるためにここへ連れて来られた。ここで生き延びられるとは思えない」と訴えており、国際的にイスラエルへの批判が強まっている。
一方、イスラエル政府はこの件について十分な説明を行っていない。先月の最高裁審理ではアブ=サフィヤ医師がビデオで出廷しており、痩せた様子は見られるが、自力で着席し、弁護士が語ったような深刻な容体とは異なる様子だった。
またイスラエルメディアは同医師がハマス軍部で大佐級の地位にあり、軍服姿で幹部会議に出席している写真などを以前から報じている。国防軍も病院はハマス司令部として利用され、2023~24年の作戦で430人のテロ容疑者を拘束したとしている。
そのため、海外では「医師への虐待」として報じられる一方、イスラエルでは「ハマスとの関係を伏せて報道されているのに、政府は国際社会への説明を怠っている」との批判がメディアから上がっており、「ナラティブの戦い」で劣勢に立っているとの分析が伝えられている。
(7/8-9)