ー ISRAEL NOW!ー
 
「エルサレムの平和のために祈れ」 詩 122
(本誌の発行は、原則として毎週土曜です。)
◯ 治安

【シンベト、アラブ社会の犯罪組織対策へ初介入】(Y)
内閣官房長官が国内やガザ・西岸地区などで活動する諜報機関シンベトをイスラエル国内のアラブ社会における犯罪対策にも投入する方針を関係官僚に伝えていたことが分かった。
シンベトは本来、テロ対策を担う治安機関であり、犯罪組織への捜査権限は持たない。しかし、アラブ社会で活動する犯罪組織が銃器の密輸・販売を通じてテロ組織の武装にも関与していることから、武器密輸などテロに直結する分野に限って活動を認める方針。
この取り組みには最大約350億円が充てられる予定で財源には5年前のベネット政権がアラブ社会の発展や犯罪対策のために確保したが、現政権下で残っていた予算が活用される。
ネタニヤフ政権はこれまでもシンベトの活用による犯罪抑止を掲げてきたが、アラブ社会では殺人事件や組織犯罪が依然として深刻な状況にあり、検挙率の低迷も続いていることから、抜本的な改革を求める声も強まっている。
(7/4)

 

【ハマスが統治機関解体を発表、イスラエル・ガザ新体制は懐疑的】(Y,P,H)
ハマスは6日、ガザ統治を担ってきた「緊急委員会」を解体すると発表した。今年1月にトランプ大統領の主導で設立された「平和協議会」の監督下で発足予定のテクノクラート政権へ権限を移譲するためとしている。
報道官は市民サービスを維持するため職員は引き続き業務に当たる一方、警察など治安機関を含む各省庁の権限も新政権へ移譲する考えを示した。一見するとガザの「脱ハマス化」が進展したようにも見えるが、イスラエル側は行政機関の大半をハマスメンバーが占める現状は変わらないため、「仲介国向けの時間稼ぎに過ぎない」と懐疑的に受け止めている。
ガザの反ハマス勢力からも「実質的な変化はない」との声が上がっている。また、新政権の主要メンバーはガザ入りを強く恐れている。行政機関の多くをハマスメンバーが占め、数千人の武装勢力も残る現状では業務への介入や権限を奪われるだけでなく、自身の身の安全も脅かされるとみているためだ。
ハマスが依然としてガザ最大の武装勢力である以上、この問題は根本的には解決しない。権限を引き継ぐ立場となる平和協議会も「重要なのは約束ではなく履行だ。大原則は変わらず、権限・法・武器を一元化することだ」とコメントし、ハマスの武装解除が不可欠との認識を改めて示し、祝福とはいえない声明を出している。
(7/6)

 

【米イラン交戦続く、イスラエルは臨戦態勢も参戦には慎重な見方】(Y,P,H)
アメリカとイランの散発的な交戦が続いているため、イスラエルでは警戒態勢が強化されている。
7日にイランがホルムズ海峡を航行していた湾岸諸国のタンカーを攻撃し、これを受けたアメリカは8,9日に170か所以上のイラン軍事施設を空爆した。イランも湾岸諸国やヨルダンの米軍基地を攻撃して応戦し、トランプ大統領は一時、覚書に基づく停戦について「終わった」と発言するなど休戦決裂と戦闘再開の懸念が高まった。
イスラエルは現時点で自国が直接の当事者になる可能性は低いとみているが、警戒態勢を強めながら戦況を注視している。8日にはネタニヤフ首相とカッツ防衛相が軍の式典出席を取りやめ、軍首脳との戦略会議に出席。軍は2月末の開戦以来、最高レベルの警戒態勢を維持しており、戦闘機も常時出撃可能な状態にある。イラン国内の攻撃目標も共有済みで、軍高官は「必要であれば直ちに実行できる状態」と説明している。
一方、現時点でイスラエルが戦闘に加わる可能性は低いとの見方が大勢。アメリカは軍事圧力によって有利な条件でイランとの交渉を再開したい考えで、戦闘を限定的なものにとどめる意向とされる。イランもイスラエルとの直接交戦になればさらに深刻な被害を受けることを認識している。また湾岸諸国もイスラエルが参戦すればアラブ世論への配慮からアメリカへの協力が難しくなる。
イスラエル参戦の可能性は低いとみられるが、政府・軍はイランの攻撃を受ける事態に備え、臨戦態勢を維持している。
(7/8)

 

【拘束中のガザ病院長が「命の危険」と報道、イスラエルでは説明不足との指摘】(Y,P,H)
2024年12月、ハマスとの関係が疑われて拘束され、イスラエルで行政拘禁に置かれているガザの病院長フサム・アブ=サフィヤ医師が「命の危険がある」と国際メディアが報じ、即時釈放を求める声が広がっている。
発端は今月初めに面会した弁護士が「顔が判別しにくいほど負傷し、呼吸も苦しそうで続けて話すこともまっすぐ座ることも難しかった。命の危険がある」と証言したこと。本人もイスラエルの左派系人権団体を通じ、「私は殺されるためにここへ連れて来られた。ここで生き延びられるとは思えない」と訴えており、国際的にイスラエルへの批判が強まっている。
一方、イスラエル政府はこの件について十分な説明を行っていない。先月の最高裁審理ではアブ=サフィヤ医師がビデオで出廷しており、痩せた様子は見られるが、自力で着席し、弁護士が語ったような深刻な容体とは異なる様子だった。
またイスラエルメディアは同医師がハマス軍部で大佐級の地位にあり、軍服姿で幹部会議に出席している写真などを以前から報じている。国防軍も病院はハマス司令部として利用され、2023~24年の作戦で430人のテロ容疑者を拘束したとしている。
そのため、海外では「医師への虐待」として報じられる一方、イスラエルでは「ハマスとの関係を伏せて報道されているのに、政府は国際社会への説明を怠っている」との批判がメディアから上がっており、「ナラティブの戦い」で劣勢に立っているとの分析が伝えられている。
(7/8-9)

◯ 内政

【10/7拉致被害者の自宅で人糞発見、復興工事の外国人労働者のものか】(Y)
クファルアザのキブツから生きたまま拉致され、その後国防軍の誤射で死亡したヨタム・ハイムさんの母イリスさんがヨタムさんの自宅を撮影した動画をSNSに投稿し、波紋を広げている。10/7の虐殺による破壊や火災の跡が今も残る室内から、トイレットペーパーやウェットティッシュとともに人糞とみられるものが見つかったため。
クファルアザでは現在、多くの外国人労働者が復興作業に従事しており、イリスさんは現場で十分な指導を受けていなかった外国人労働者のものではないかと推測。「10/ 7に息子が拉致された家が公衆トイレのように使われていたとしたら、どう感じますか。ごめんなさいヨタム」と悲痛な思いをつづった。
実は3週間前にも同じキブツで10/7に殺害された若いカップルの自宅から人糞が見つかっており、キブツ側は虐殺があった地区に監視カメラを設置するなど再発防止と原因究明を進めている。こうした住民や遺族からの相次ぐ報告を受け、キブツと建設会社との間には緊張も生じ始めているという。
(7/5)

 

【政府、最高裁判断の不履行を決定、「憲法危機」との懸念広がる】(Y,P,H)
政府は5日の閣議で満場一致により最高裁の仮処分に従わない方針を決定した。現地メディアはこれを行政府が司法府の判断を拒否した前例のない事態であり、「憲法危機」に発展したと一斉に報じている。
発端となったのは民放放送を監督する独立規制機関の評議会人事をめぐる対立。政府は評議会構成の刷新を進めていたが、その過程で複数の現職が辞任し(報道によると情報相からの圧力があったとも)、評議会は法律で定められた最低人数を下回った。これを受けて政府は「評議会は法的要件を満たしておらず活動不能」と新たな評議会への移行を進めた。
しかし最高裁は「新しい任命手続きが適法かどうかの審理が終わるまで、現行の評議会が継続すべき」と先月17日に現評議会による例外的な活動継続を認めた。これに政府は「法定人数を満たしていない評議会は法に反する」と反発し、最高裁の決定に基づく現行評議会の決定や承認は認めないと閣議決定した。
今回の決定自体が行政府と司法府の衝突を意味するものではないものの、政府が最高裁の判断を受け入れない姿勢を公式に示した初めてのケースとなる。そのためイスラエルでは三権分立の根幹を揺るがす重大な出来事として大きな議論を呼んでいる。
(7/5)

 

【野党は採決放棄、政治色の強い10/7調査委法案が第一読会通過】(Y,P,H) 
6日、この2年以上国を二分する問題となっている10/7に関する調査委員会について、与党は独自の調査委員会設置法案を第一読会にかけ、賛成59・反対0で可決した。
野党は本会議で反対演説を行ったものの、採決時には全員が退席して投票をボイコット。ラピード野党議長は「ホロコースト以降ユダヤ民族に起きた最大の惨劇について真実の追及を避け隠蔽しようとする無意味なポーズに加担しない」と説明した。遺族や拉致被害者家族からも「実質的な隠蔽委員会」と強い批判が上がっている。
通常、イスラエルで重大な国家的失態が起きた際は政治から独立した司法府主導の「国家調査委員会」が設置される。しかしネタニヤフ首相は与野党がそれぞれ3人ずつ委員を任命する新たな制度を提案してきた。今回の法案もこれに沿った内容だが、野党が委員任命を拒否した場合は3人で調査を開始できる条項が含まれており、与党が任命した委員のみで調査が進められる可能性があり、政治の介入で真実が解明できないと不安視する声が上がっている。
(7/6)

◯ 国際情勢

【トランプ氏、ネタニヤフ首相との関係「良好」、来週首脳会談か】(Y,P,H)
トランプ大統領は4日、イスラエル外交記者の電話取材に応じ、関係悪化が取り沙汰されているネタニヤフ首相との関係を「良好」と強調した。
トランプ氏によると、今回の首脳会談はネタニヤフ氏側の要請によるもので、早ければトランプ氏が今月7~8日にあるNATO首脳会議(トルコ・アンカラ)から帰国する来週にもネタニヤフ氏が訪米して実現する見通しだという。また両者の関係について「我々はうまくやっている。彼もどちらがボスか理解しているからね」と述べ、良好な関係を強調する一方でイスラエルがアメリカに従う関係であることを公然と示唆した。
両首脳が最後に対面で会談したのは2月11日。この時ネタニヤフ氏は短期間でイラン政権を崩壊させられるとして米国との共同軍事作戦を提案し、トランプ氏もこれを受け入れた。しかし戦争は想定通りには進まず、米政府内ではネタニヤフ氏への不信感がさらに高まったとされる。そのため今回の会談は今後の両国関係を占う重要な機会として注目されている。
またイスラエルメディアはこの首脳会談で外交的成果を示せるかどうかが、世論調査で苦戦が続くネタニヤフ陣営にとって、今秋の総選挙へ向けた形勢逆転の切り札になり得ると分析している。
(7/4)

 

【トランプ氏、トルコへのF-35輸出に前向き、イスラエルで警戒広がる】(Y,P,H)
トルコ・アンカラで開催中のNATO首脳会議で7日、トランプ大統領とエルドアン大統領が会談した。
会談後、トランプ氏はトルコを「他国よりも忠実な同盟国」と評価し、最新鋭ステルス戦闘機F-35の輸出についても「もちろん検討されなければならない」と前向きな姿勢を示した。トルコ側はアメリカが過去に5機の引き渡しを約束していることから既定路線との認識を示しているが、イスラエルではこれがトップニュースとして報じられている。
イランの弱体化を受け、中東で影響力拡大を図り、反イスラエル姿勢とハマス支援を鮮明にするトルコがイスラエルと同じF-35を保有すれば、中東におけるイスラエルの「質的軍事優位性(QME)」が揺らぐ恐れがあるため。この優位性は長年アメリカが維持してきた対中東政策の柱でもあり、現在イスラエルと緊密な関係にあるUAEへの同機輸出決定時もイスラエルでは議論が紛糾した。
イスラエル政府は売却阻止のほか、性能を制限した仕様での輸出やイスラエルへの追加兵器供与による優位性維持をアメリカに働き掛けているという。軍事関係者も「優位性そのものは維持されるが、空軍にとっては大きな課題になる」と警戒している。
一方で軍事記者は仮にトランプ氏が売却を決定したとしても、議会承認や生産待ちの状況を考えると、トルコ空軍が実際に運用を開始するまでには4~5年はかかるとの見方を示しており、「実現するかどうかも含め、現時点ではなお不透明だ」と分析している。
(7/7)

◯ 文化

【サッカー:エジプト監督がイスラエル国旗に激高、イスラエル人選手が最高額でインテルへ】(Y,P,H)
7日、アルゼンチンがエジプトに3-2で逆転勝利した試合後、エジプト代表のハッサン監督の振る舞いがイスラエルで話題となった。
前戦では勝利後にパレスチナ国旗をまとい、「勝利をエジプト国民とパレスチナ人に捧げる」と語っていた同監督だが、この日は試合後に客席でイスラエル国旗を掲げるイスラエル人とみられるファン2人を見つけると、挑発と受け取ったのか彼らの方へ唾を吐き、反ユダヤ的蔑称を浴びせるなど口論となった。
その後審判やアルゼンチンスタッフ、カメラマンに詰め寄り、記者会見では「アルゼンチンは大会を通じて優遇されている」と不満をあらわにした。この一件を受け、エジプトで著名な解説者が「FIFAやメッシの背後にイスラエルがいる」と陰謀論が展開され、場外で波紋が広がっている。
9日にはアラブ系イスラエル人選手のアナン・ハライリが移籍金2500万ユーロというイスラエル人史上最高額で昨季セリエA王者インテル・ミラノへ加入が決まった。21歳のウインガーでナポリなども獲得に乗り出していたが、最終的にインテルが契約を勝ち取った。契約により古巣マッカビ・ハイファに350万ユーロの追加ボーナスが支払われる。
ハライリは24/25シーズンにベルギーのユニオンSGへ移籍すると主力へ定着しヨーロッパリーグにも出場。さらに昨季はベルギーリーグ1位に貢献したほか、チャンピオンズリーグに出場。リーグフェーズで敗退したものの、フランスの強豪マルセイユ戦で2得点を挙げるなど活躍し、欧州ビッグクラブの注目を集めていた。
(7/8-9)


[情報源略号表]
 文末の( )内の記号が情報源です。(掲載日が異なる場合もあり。)
 P=エルサレム・ポスト  https://www.jpost.com/(英語)
 H=ハアレツ       http://www.haaretz.com/(英語・ヘブライ語)
 Y=イディオット・アハロノット http://www.ynetnews.com/(英語・ヘブライ語)

[転載・引用・再配布について]
 教会活動等の非営利目的ならばOKです。ユダヤ人および
 各宗教教派に批判的な文脈での引用はしないで下さい。

 
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