ー ISRAEL NOW!ー
 
「エルサレムの平和のために祈れ」 詩 122
(本誌の発行は、原則として毎週土曜です。)
◯ 治安

【ガザから再び凧が飛来 「焼夷凧テロ」再来への警戒高まる】(Y,P,H)
2018年からガザで見られるようになった「凧・風船による焼夷テロ」の再来を思わせる動きが見られ、イスラエルで警戒が強まっている。
この週末には少なくとも5つの凧がガザから飛来し、キブツの敷地内で発見された。現時点では着火剤や爆発物などは取り付けられていないが、軍はハマスの指示を受けた子供たちが飛ばしたものとみており、2018年のような焼夷凧の再来につながる可能性を警戒している。
2018年の焼夷凧・風船テロでは約半年間にわたる飛来により、南部で2000件以上の火災を引き起こし、ガザ周辺の森林の半分以上が消失。農地などへの経済的被害も大きく、キブツ住民には今も強い記憶として残っている。そのため住民からは「今日は普通の凧でも明日には着火剤、明後日には爆発物が付くかもしれない」と厳しい対応を求める声が上がっている。
23日にはネタニヤフ首相とカッツ防衛相が軍幹部と協議し、凧や風船の飛来が続けば、発射に関わる人物への攻撃を強化するとハマスに警告。翌24日には空爆も行われ、イスラエルメディアでは一連の凧の飛来が背景の攻撃との見方も報じられている。
(8/22-23)

 

【過激入植者の犯罪増加に軍トップ「西岸全体に火を付けかねない」】(Y,P)
24日、ネタニヤフ首相、カッツ防衛相、軍トップの協議が行われ、過激入植者のパレスチナ人襲撃や破壊行為など「国粋主義的犯罪」について議論された。
軍からはパレスチナ人による西岸地区でのテロは過去2年間で最低水準に抑えられている一方、違法入植者を中心とする極右による国粋主義的犯罪は増加傾向と報告された。同席した中央軍司令官は過激派による襲撃について「マッチのように西岸戦線全体に火を付けてしまう可能性がある」と警告。
こうしたユダヤ人のテロとも呼ばれる現象への対応に部隊の注意が割かれ、パレスチナ人のテロへの対処という本来の任務に集中できていない現状も指摘した。これを受けネタニヤフ首相がパレスチナ側のテロが増加し、情勢が緊迫化した場合について質問したところ、ザミール参謀総長は具体的な計画を提示する段階には至っていないと回答。軍が過激入植者の対応に苦慮し、作戦能力が低下している実態が浮き彫りとなった。
2023年以降、西岸地区では小規模な違法入植地の建設が増加しており、今年上半期だけで42か所が確認されている。軍は計150回以上の撤去作業を行っているが、撤去後に再び建設される「いたちごっこ」が続いている。今月にはクスラ村でパレスチナ人家族が過激入植者に包囲される事例も起き、国際的な問題になっている。
(8/24)

 

【極右議員が西岸で「殉教者記念碑」を破壊、軍や政府から批判相次ぐ】(Y,P,H)
極右・宗教シオニスト党のツビ・スコット議員が25日、西岸地区のマダマ村を訪問し、村内に設置された「シャヒード(ジハード殉教者)のための記念碑」を持参したハンマーで破壊する事件が起きた。
スコット氏によるとこの記念碑はイスラエルを直接標的としたテロに関与した人物を称賛するものだと、数日前に国防軍へ撤去を要請していたが、対応されなかったため「自ら撤去した」と主張している。これに国防軍はスコット氏らが議員としての立場を利用して兵士に圧力を掛け、西岸地区で定められている方針に反して権限のない破壊行為を行ったと非難。議員らを護衛するために戦線内の部隊配置を変更せざるを得なかったとも語った。
この行動にはネタニヤフ首相や国際的なニュースとなったことを受けサアル外相も非難声明を発表。宗教シオニスト党内からも「記念碑は撤去されるべきだが、軍以外が行うべきではない」との批判や「自殺行為だ」との声が上がっている。
(8/25-26)

 

【ヒズボラが南レバノンで再び無人機攻撃、イスラエルは国際部隊に懐疑的】(Y,P,H)
26日夜、ヒズボラは南レバノンの要衝アリ・タヘル丘陵から同地域に駐屯するイスラエル軍に無人攻撃機2機を発射した。軍報道官によると1機は部隊が撃墜し、もう1機も軍への被害はなかった。
ヒズボラによる武装解除の不履行とイスラエル軍への攻撃という休戦違反を受け、イスラエル空軍は27日午後、同丘陵周辺の3つの村を空爆した。国防軍は25日夜にも同地域でヒズボラに攻撃を行ったため、イスラエルメディアは南レバノンで緊張が高まっていると報じている。
一方、UNIFILの任務終了を見据え、現在イタリアが中心に南レバノンの休戦やヒズボラの武装解除を監視し、レバノン軍を支援する新たな国際部隊を設置する案が浮上している。これにイスラエル側は国防軍が武装解除した地域に国際部隊を駐在させるという考えには反対していないものの、ヒズボラに毅然とした態度を取り、必要な軍事的対応を行えるのか強い懐疑感を示している。
また、多国籍軍が配備された地域では国防軍の活動に大きな制限が掛かるため、最終的にはレバノン軍自身が南レバノンでヒズボラを抑制し、武装解除を実行しなければ長期的な解決にならないとの立場を取り、現段階での伊軍などの即時配備に反対している。
(8/27)

◯ 内政

【シャスが兵士に寄り添う選挙動画、伝統派票の流出に危機感か】(Y,P)
セファラディ系超正統派政党シャスが22日夜、新たな選挙PR動画を公開し、大きな批判を呼んでいる。
動画では安息日の祝福を始めようとするセファラディ系超正統派家庭に兵役から戻った息子が加わり、父親が抱擁して迎える一方、兵役に就かずイェシバ(宗教学校)で学ぶもう1人の息子が「お前と兵士全員のために今週もトーラーを学んだ」と語る内容。超正統派の若者の兵役免除を守る姿勢を維持しながら、同党が兵士にも寄り添うことをアピールしている。
この背景にはシャスが抱える選挙上の「苦悩」がある。同党は強固な組織票を持つ超正統派と地方に住む伝統的なセファラディ層を主な支持基盤としている。しかし10/7以降、超正統派の兵役免除への反発が強まり、他の超正統派政党と並び兵役免除を強硬に主張し、孫が兵役に就いていないことを誇示するデリ党首の言動などから、伝統派を中心に数万票を失う危機にあり、世論調査でも苦戦を強いられている。今回の動画にはこうした層の支持回復の狙いがある。
動画には兵役に従事する層から「偽善的」との批判が上がった他、新党「ヤシャル」を率い世論調査で第1党を争うアイゼンコット氏が選挙運動への兵士や軍の利用は違法だと選管に動画削除を申し立て、受理された。シャスはその後、アイゼンコット氏を激しく批判している。この背景にはアイゼンコット氏もセファラディ系の地方出身で祖母・母がシャス支持者だったことから、同党の一部の票が中道系のアイゼンコット氏へ流れている因縁があるとの見方も報じられている。
こうした姿勢は兵役問題などで意見が二分するイスラエル社会で異なる支持層に良い顔を見せ、支持を広げようとするイスラエル選挙戦の「カメレオン的な性格」を象徴している。
(8/23)

 

【建国直後の同士討ちで沈没―アルタレナ号が海底から発見】(Y,P,H)
建国翌月の1948年6月、イスラエル国防軍と国防軍への編入が進められていたイルグンの間で起きた武力衝突で沈没したアルタレナ号がイスラエル沖約20km水深503mの海底で発見された。
船にはイルグンが入手した武器が積まれ、同組織の国防軍編入が進む中、国防軍は武器の一括管理を求めたのに対し、イルグン側は自らの部隊への武器補給を要求。両者の対立は解消されず、最終的に約900人の帰還者らが避難した後、国防軍が同号を砲撃し沈没させた。
イルグン16人、国防軍3人が犠牲となり、イルグンのリーダーで後に首相となるベギンは「兄弟間の戦争は永遠に『ノー』だ」と悲痛な言葉を残した。この言葉は内部対立を抱えるイスラエル社会で70年以上、重要なスローガンの一つとなっている。
アルタレナ号の発見についてネタニヤフ首相やベングビル国家治安相は「歴史的偉業」だと強調し、右派の先駆者でもあるベギンの言葉を引用し、国内の対立を深めないよう呼び掛けた。しかし、ベギンの言葉をリーダーたちが引用するのであれば、彼の行動に倣うことこそ、アルタレナ号が現在のイスラエルに送るメッセージと言えるだろう。
(8/24-25)

 

【元軍師団長が新党結成、右派とアラブ系候補がいる異色の政党】(Y,P,H)
国防軍で34年のキャリアを築き、師団長として数多くの軍事作戦を指揮したオフェル・ビンテル氏が25日、新党「あなたの民イスラエル」の結成と10月の選挙の出馬を発表した。
同氏は正統派ユダヤ教徒で右派的政治観を持ち、軍上層部にいた時代からそれを前面に出した発言や軍の体制に批判的な発言をした異色の軍人。それらの言動から正統派や伝統派などから人気を集め、2024年の退役後には政界入りを期待する声が上がっていた。元軍高官は中道・左派政党を率いることが目立つなか、右派系のは貴重な存在で、リクードや宗教シオニズム党などからも党内名簿の特別枠を提示されていた。
新党の名簿には有名女性ジャーナリストやSNSを通じてイスラエルの実情を発信するアラブ系インフルエンサーのヨセフ・ハダッド氏らが名を連ねており、世論調査では6-8議席を獲得する可能性があると予想されている。新党は右派政党と位置付けられているが、ガザの解決策としてパレスチナ人の移住を掲げるなど、極右的側面も見られる。そんな党からアラブ系のハダッド氏が出馬することもあり、アラブ系イスラエル人の間でも注目を集めている。
(8/25)

◯ 国際情勢

【米特使がイスラエルのシリア空爆を疑問視「トルコを誘い込んだ可能性」に言及】(Y,P,H)
18日にイスラエル軍のアブ・アル=ドフール空軍基地空爆の続報がイスラエルで相次いでいる。
特に注目されたのがシリア特使でもあるトム・バラック駐トルコ米大使の発言。同氏はポッドキャスト番組で米側はトルコ軍の動きを把握していなかったと、イスラエルの空爆に疑問を呈した。その上で可能性として、総選挙に苦戦するネタニヤフ政権がトルコの軍事的反応を狙った可能性や、イスラエルが傍受したトルコ軍の基地使用に関する情報が現実性の低いもので情報機関・軍・政府間の連携不足だった可能性を指摘した。
これにイスラエル側は首相府報道官が声明を発表。「イスラエルとシリアは安全保障の現状維持で理解を共有していたが、シリアは違反し、トルコ軍が同基地に配備される直前だった」と空爆の正当性を改めて主張した。また、イスラエル軍はヒズボラやイスラム国などの脅威を理由にシリア国土の約0.1%で活動している一方、トルコは直接的脅威がないにも関わらず約5%も掌握しているとトルコ軍の存在を問題視した。
イスラエルではトランプ氏の側近であるバラック氏は反イスラエル的というよりも、在トルコ大使として米・トルコ関係を重視した発言との冷静な分析が出ている。
(8/21-23)

◯ 文化

【同じ趣味、同じ悩み-ユダヤ・アラブ人高校生が互いを知った1年間】(Y)
中央部のギブアット・ハビバにある「ユダヤ・アラブ人による平和のためのセンター」が実施した高校生へのプログラムの修了展覧会をYnetが特集した。
同センターはユダヤ人とアラブ人が美術を通じたワークショップに参加し、ファシリテーターのもとで普段交わることの少ない2つのコミュニティーが互いに交流する年間プログラムを2000年から行っている。今年も双方から10人ずつ、計20人が週1回のセッションを共にした。
アラブ系の女子高校生ヌールさんは「公共の場所でユダヤ人と同じ空間にいることは多いですが、座って話をすることはありませんでした。このプログラムがなければこれからもなかったでしょう」と語った。また「文化に違いはあっても同じティーンエイジャー。(仲良くなったユダヤ人の)ノガも私も同じ趣味を持ち、同じジレンマを抱えています」と実際に交流したことで得られた発見を語り、特にSNS上で強固になるステレオタイプから生まれる相手への恐怖を乗り越えた喜びを語った。
プログラム責任者は「同じ国に住んでいても、ユダヤ人とアラブ人がこの重要な年代で交わることはありません」と指摘。大学が両者にとって初めて交わる機会になるが、その時には日々の生活や勉学に追われ遅すぎるとこの年代で交流する意義を説明した。
10/7以降、両者の間の溝が深まる中、若い世代が直接顔を合わせて互いを知る機会の重要性は一層高まっている。この取り組みはその溝を教育と交流で埋めようとする試み。
(8/21)


[情報源略号表]
 文末の( )内の記号が情報源です。(掲載日が異なる場合もあり。)
 P=エルサレム・ポスト  https://www.jpost.com/(英語)
 H=ハアレツ       http://www.haaretz.com/(英語・ヘブライ語)
 Y=イディオット・アハロノット http://www.ynetnews.com/(英語・ヘブライ語)

[転載・引用・再配布について]
 教会活動等の非営利目的ならばOKです。ユダヤ人および
 各宗教教派に批判的な文脈での引用はしないで下さい。

 
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