★米・イランの戦闘再燃、イスラエルは「まだ決着せず」と分析
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ー ISRAEL NOW!ー
「エルサレムの平和のために祈れ」 詩 122
(本誌の発行は、原則として毎週土曜です。) |
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【エレズ検問所開放準備進むも首相は「決定なし」政府内で食い違い】(Y,P,H)
ガザ北部のエレズ検問所をめぐり、イスラエル政府内で異例の食い違いが表面化している。
軍や国防省の担当部署はガザへの物資搬入再開を想定して準備を進めており、道路などのインフラ整備や車両のルート、部隊配置まで検討。ドイツが提供した貨物検査用の新装置も設置され、イスラエル国連副大使らが国際社会に対して9月1日を開放目標として説明していた。
しかし27日、ネタニヤフ首相とカッツ防衛相はそろって「ハマスの武装解除とガザの完全な非武装化が実現するまで復興を進めない」と表明し、物資搬入についての決定はないと発言。これについては首相府管轄の国家安全保障会議(NSC)も開放準備が進んでいることを認めており、首相らと軍・国防省そして首相府の間で主張が食い違うという、異例の事態が明らかになった。
この背景には米国が主導する「平和評議会」がガザ復興という次の段階へ進もうとする一方、イスラエルはハマスの武装解除が進まない中での復興に強く反対していることがある。米国側は検問所開放や物資搬入により、最終的にハマスが武装解除せざるを得ない環境をつくれると考えている。
一方イスラエル側は武装解除なき前進は国際社会から譲歩を引き出したというハマスの「成果」となり、結果的にハマス排除を遠ざけることを懸念している。またこの考えの背景には、ハマスが軍事・行政組織の再建を試みているとの軍・諜報機関からの報告もある。
イスラエルメディアは首相・防衛相の発言を受け、検問所の再開計画が実際にどうなったのかについて、まだ明確にしていない。ただ、検問所の開放を認めれば、苦戦を強いられているネタニヤフ氏からさらに右派層が離れる可能性があり、総選挙を前にした同氏にとっては極めてデリケートな問題となる。
こうした状況を踏まえ、イスラエルメディアはトランプ大統領がネタニヤフ氏にエレズ検問所の開放をどこまで強く要求するのかが焦点になると報じている。
(8/27-28)
【シンベトがヤイール氏への「重大な脅威」を認定、暗殺計画報道は誇張か】(Y,P,H)
シンベトは29日、ネタニヤフ首相の長男ヤイール・ネタニヤフ氏が「重大な脅威」にさらされていたことを認めた。これは今週米メディアが報じた昨年12月にイランの指示を受けた代理勢力がマイアミ在住のヤイール氏への襲撃を画策し、日常の行動を監視していたとの報道を受けたもの。
報道によると、イスラエルの諜報機関が事態を把握して警護チームを派遣し、ヤイール氏は荷物を現地に残したままイスラエルへ緊急帰国したという。しかし、諜報関係者によると一部メディアで報じられている「暗殺計画が直前で阻止された」との内容は誇張されているという。実際、シンベトも「重大な脅威があった」と認めるにとどめており、具体的な暗殺計画が直前に阻止されたとまでは明らかにしていない。
ネタニヤフ首相は2日前、イランが息子の一人を殺害しようとしたと述べたものの、対象が長男ヤイール氏か次男アブネル氏かは明らかにしていなかった。また先月には、ネタニヤフ家がサラ夫人と2人の息子に対する生涯の警護をシンベトに要請し、その必要性をめぐっても世論からの批判が出ていた。今回のシンベトの声明は少なくともヤイール氏についてはこの警護要請を裏付ける安全保障上の明確な根拠があったことを示すものとなった。
(8/29)
【南レバノンの要衝を国防軍が制圧、イランとの直接衝突回避しつつ軍事行動を継続か】(Y,P,H)
国防軍に包囲される形で2カ月以上にわたりヒズボラ戦闘員が潜伏を続けてきた南レバノンの要衝であるアリ・タヘル丘陵の地下テロ施設が3日、第36機甲師団によってついに制圧された。
同師団司令官によると、地上・地下を含む一帯は国防軍のコントロール下に入り、一部のテロリストは排除され、その他は逃走したという。ただ、地下施設の無力化作業は現在も続けられている。
この地域にはイラン革命防衛隊の士官複数名がヒズボラ戦闘員とともに潜伏していたとの情報もあり、イスラエルとヒズボラの対立を越えた問題に発展する可能性がある。それを示すようにイランは先月、イスラエルが同地域で大規模な攻撃を行えば、イランも大規模な報復を行うと米国に警告していた。
関係者によれば、上級将校を含む10人以上の革命防衛隊員が現地にいたとされる一方、イラン関係者は存在しなかったとの見方をイスラエル側は示している。またイスラエルでは、ヒズボラがイランに対してイスラエルへの攻撃という「介入」を要請しているものの、現在の状況では、イランがヒズボラを守るためイスラエルと直接交戦する利益は小さいとイラン側が認識しているとの見方がある。
それでもカッツ防衛相は秋の祭りの期間中にイランから攻撃を受ける可能性を示唆し、軍は警戒態勢を取っている。現地メディアはイランがイスラエルとの直接交戦を避けたいと考えており、イスラエル側もイランからの攻撃を招かないよう、限定的かつ段階的に軍事行動を続ける方針だと分析。
今回のアリ・タヘル丘陵の制圧もヒズボラへの武装解除への圧力を強めながら、イランとの直接衝突は避けるという2つの間のバランスを取った中での軍事行動となる。
(9/3)
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【ラアムがユダヤ人候補を名簿2位に、異例のユダヤ・アラブ連携】(Y,P,H)
アッバス党首が率いるアラブ政党ラアムが31日、ラピード前首相率いる中道左派政党『有未来』を離党したヨアブ・セガロビッチ元国家治安副大臣を総選挙名簿の2位に据えると発表し、アッバス氏とセガロビッチ氏が共同記者会見を行った。ラアムの候補名簿にユダヤ人が加わるのは初めてで、イスラエルメディアも「歴史的」と報じている。
アッバス氏にとって今回の決定はベネット・ラピード政権で自身が進めたアラブ政党がパレスチナ問題をいったん横に置き、ユダヤ政党との協力を通じて国内の政治よりに関与し、アラブ社会の問題解決につなげるという路線の延長線上にある。従来のアラブ政党はパレスチナ問題を政策の中心に据えていることから、ユダヤ政党との協力・連携がほとんどなかったため、ラアムのアプローチは革新的ともいえる。
セガロビッチ氏は前政権でアラブ社会の犯罪対策を担当し、アラブ社会内からも評価する声があることから今回の連携には最も適した人物とみられている。ただしセガロビッチ氏はラアムへの加入により自身の政治的立場を変えるわけではないと強調。イスラエルへの愛国心やユダヤ人としてのアイデンティティとラアムとの政治的協力は両立すると主張した。
また今回の決定に関してはアラブ人との政治的協力における「既存のパラダイムを打ち破る」試みだと説明し、10月7日以降アラブ政党との政治的協力は不可能になったとの考えを「ばかげた、誤ったもの」と批判した。
今回のセガロビッチ氏のラアム加入にはネタニヤフ陣営だけでなく、反対陣営からも批判が出ている。一方、アラブ系のハダッド氏が右派政党に加わった翌週にユダヤ人政治家がイスラム系政党に加わるなど、今回の選挙戦では従来の「ユダヤ政党・アラブ政党」という二元論的定義が揺らぎ始めている。
(8/31)
【超正統派の抗議続くエルサレムのカフェ、土曜日営業を停止】(Y,P,H)
ここ2か月間、エルサレムにおける超正統派と世俗派の対立の象徴ともなっていた「カフェ・バスィムタ」が3日、安息日となる土曜日の営業を今後停止すると発表した。
超正統派側からの抗議・妨害行為は7月初旬に始まり、9週間連続で嫌がらせ行為が行われた。特にメディアでの報道により注目を集めたここ数週間は、抗議活動がさらに激化。店内への侵入の試み、卵や石を投げる行為、テーブルを倒す行為、入口を別の鍵で施錠したり、鍵穴に接着剤を入れたりするなどといった、封鎖を試みる行為などが発生。中には人糞の入った袋が営業時間外だが投げ込まれるような悪質な行為まで見られた。
このカフェは国際的なメシアニック・ジューの団体「Jews For Jesus」が運営しており、長期間の検討の末「対立を煽ることはイエスの信仰に反する」との結論から、カフェが再び穏やかに営業するため、安息日休業を決断したと説明した。
この問題は単なる一店舗の土曜日営業をめぐる問題を超え、世俗派と超正統派を軸としたエルサレムのアイデンティティや公共空間で宗教がどれほど強制・介入するのか、などをめぐる対立の象徴となっていた。
世俗派の政治家や活動家は店を閉めることによって超正統派の暴力行為が目的を達成したことになってしまうと危惧している。世俗派のエルサレム副市長が率いる地元政党は休業することになったこのカフェに代わり、安息日に自らコーヒースタンドを運営する可能性を検討していると表明している。
(9/3)
【サラ夫人の発言が再燃させた「10月7日の朝」ネタニヤフ氏の初動に再び疑問】(Y,P,H)
サラ・ネタニヤフ首相夫人が8月31日、左派・民主党党首で10月7日に真っ先にガザ周辺部へ入り、キブツ防衛戦に参加したゴラン氏について、事前に襲撃を知っていたかのような陰謀論をほのめかしたことを受け、「10月7日の責任」をめぐる議論が再燃している。
この発言は大きな波紋を呼び、ネタニヤフ首相は火消しのためSNSに動画を投稿。「裏切りがあったとは思わない」としたうえで、10月7日の責任はあくまで軍・諜報部の失態にあると強調した。
しかし、ネタニヤフ氏自身の「軍・諜報部は『誤算』から、私を深夜に起こさなかった」との発言が思わぬ形で自身の10月7日当日の初動に対する疑問を再燃させることになった。この「誤算」とはハマスが軍事衝突を望んでいなくても、イスラエル側が攻撃や大規模な軍配備を行えば先制攻撃を招く恐れがあるため、軍事行動に慎重になることを指す。
しかし、軍・諜報部の元高官らによると、こうした誤算による衝突を避ける方針はネタニヤフ氏が長年採用してきた基本方針だった。実際、6日前の2023年10月1日には軍・諜報部がガザへの攻撃計画を進言していたが、ネタニヤフ氏は「穏健な管理」の継続を指示していた。
この発言を受け、「10月7日の早朝に首相は何をしていたのか」という議論も再燃。首相府は批判をかわすため公式スケジュールを公表したが、攻撃開始から3時間以上、当時のハレヴィ参謀総長との会話はなく、最初の会話は午前9時55分だったことが判明した。
また、ネタニヤフ氏は午前8時には国防軍本部に到着していたものの、最初の現状評価を含む作戦会議を招集したのも午前9時55分。この会議ではすでに越境攻撃が数時間続いていたにもかかわらず、「完全な国境封鎖」という現場の状況と乖離した指示が初めて出されていたことも明らかになった。
こうして、サラ夫人が左派の政敵に10月7日の責任を転嫁しようとしたとみられる発言はかえってネタニヤフ氏自身の発言と公式スケジュールを通じて、10月7日の最初の数時間に有効な対策だけでなく、現状把握や軍との意思疎通も十分に行われていなかったのではないかという疑問を改めて浮かび上がらせる結果となった。
(8/31-9/3)
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【ロンドンでユダヤ人を襲撃・威嚇、ヘイトクライム認定も実刑判決はなし】(Y)
ロンドン北部在住のサイーダ・ハトゥン被告(39)がロンドンの下級裁判所で反ユダヤ主義を動機とする加重暴行の罪で有罪判決を受けた。
事件は今年5月に大きなユダヤ教超正統派コミュニティーのあるスタンフォード・ヒル地区で発生した。起訴内容によると、ハトゥン被告はユダヤ人学校のすぐ外に居た乳児連れのユダヤ人女性に対して反ユダヤ的な暴言を浴びせ、また近くに居たユダヤ人の子どもたちに近づき、暴行するかのように腕を振り上げた。すると標的となっていた子どもの父親が「なぜ攻撃するのか」と問いただすと、被告は父親の顔を殴り、髭をつかんで引っ張りながら、ユダヤ人であることを理由にののしり続けた。
裁判所は反ユダヤ的動機によるヘイトクライムであることを認定し、5つの罪について有罪判決を下したうえで、ヘイトクライムを理由に刑期を8か月から12か月へ加重。ただし刑は2年間の執行猶予付きとなるため、実際に服役することはない。
検察の上級責任者は事件を「衝撃的な暴行」と非難し、民族や宗教を理由に日常生活を送ることへの恐怖を感じる人が居てはならないと強調。警察も反ユダヤ的事例が依然として多発していることを認め、地域での警戒・警備体制を強化している。
イスラエルのメディアは反ユダヤ的動機によるヘイトクライムとして有罪となりながら、実刑判決を受けなかったことを驚きと共に報じている。
(8/29-30)
【米・イランの戦闘再燃、イスラエルは「まだ決着せず」と分析】(Y,P,H)
米軍は約1か月ぶりにイランへの直接攻撃を行い、ホルムズ海峡のララク島にある革命防衛隊の発射装置を攻撃した。
米側によれば、海上機雷を敷設するためのロケット発射準備が進められていたという。これに対しイランはヨルダン国内の米軍基地をミサイルで報復攻撃し、UAEにも無人攻撃機を発射したと主張。米・ヨルダンの報告によると、発射されたミサイルの大半は迎撃され、大きな被害はなかった。
イスラエルは今回の攻撃について事前に報告を受けており、現時点では今回の衝突を「限定的で小規模な衝突」とみており、イスラエルが直接関与する可能性は低いと分析している。また、どちらかが大規模な報復攻撃に踏み切るほどの損害を受けない限り、この状態が続く可能性が高いとしている。
一方でイランがホルムズ海峡のタンカーや米軍に対して大規模な攻撃を行ったり、代理勢力を利用した攻撃に踏み切ったりすれば、事態がさらに緊迫化する可能性も指摘している。また、シンクタンクや軍事専門家からはイスラエルにとって最重要課題であるイランの核問題に明確な解決策が見えていない現状では、米・イラン間の衝突は「まだ決着にはほど遠い」との見方が出ている。
(8/30-31)
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【ユダヤ人のカトリック聖書学会会長に、ネットから反ユダヤ的反発】(Y,P,H)
先月、ユダヤ人学者として初めて米国カトリック聖書学会の会長に選出されたエイミー=ジル・レヴィン教授がネット上で反ユダヤ的な批判にさらされている。ネット上のコメントには「反キリスト教的」や「カトリック信者ではない人間がカトリックを支配しようとしている」といった主張が見られ、一部には反シオニズムや反ユダヤ的発言も含まれている。
レヴィン教授は新約聖書をそのユダヤ的背景から研究する第一人者として長年活動し、ユダヤ・キリスト教間の相互理解の促進にも貢献してきた。彼女自身は正統派ユダヤ教徒であり、イエスを信じてはいない。しかし1世紀のユダヤ教世界に生きたユダヤ人教師としてイエスを尊重し、イエスは当時のユダヤ教の中で活動し、律法を肯定していたと論じている。
また近年の学術研究では彼女のような新約聖書やイエスを当時のユダヤ教的文脈の中で読み直すアプローチが広がっており、ユダヤ教から切り離された「キリスト教の創始者」ではなく、ユダヤ世界の中で活動した1人としてイエスを捉える見方が主流となりつつある。
聖書学会は彼女の選出について、ユダヤ人であることではなく、卓越した研究実績とユダヤ・カトリック間の対話への長年の貢献が評価された結果だと説明した。カトリック教会の指導者たちも祝意を示し、この人事を聖書研究における宗教間協力の象徴として評価している。
レヴィン教授は今後も聖書研究を推進するとともに、カトリックの教育や説教におけるユダヤ教への理解を深め、ユダヤ人とカトリック教徒の関係をさらに強化したいとしている。
(8/29)
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[情報源略号表]
文末の( )内の記号が情報源です。(掲載日が異なる場合もあり。)
P=エルサレム・ポスト https://www.jpost.com/(英語)
H=ハアレツ http://www.haaretz.com/(英語・ヘブライ語)
Y=イディオット・アハロノット http://www.ynetnews.com/(英語・ヘブライ語)
[転載・引用・再配布について]
教会活動等の非営利目的ならばOKです。ユダヤ人および
各宗教教派に批判的な文脈での引用はしないで下さい。
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