ー ISRAEL NOW!ー
 
「エルサレムの平和のために祈れ」 詩 122
(本誌の発行は、原則として毎週土曜です。)
◯ 治安

【軍の反対を押し切り、ガザ全域の『制圧』作戦へ】(Y,P,H)
7日深夜に国家安全保障内閣は、ガザ市をはじめとする同地区ほぼ全域の軍事的『制圧』を含む、軍事作戦の拡大を決定した。
先週からガザ全域の占領を推し進めようとするネタニヤフ首相と人質の命の危険性や兵士たちの疲弊具合から否定的なザミール参謀総長の溝・衝突が報道されていたが、この閣議でも首相をはじめとする閣僚たちと参謀総長間で激しい対立が。生存している人質の命を危険にさらすとの軍の見解に耳を傾けない閣僚たちに参謀総長は「人質解放を戦争目標から除外してはどうか」と発言するなど、緊迫した中で議論が行われた。
しかし軍の意見を考慮に入れるよう声を上げたのは投票権のないシャスのデリー党首と国家安保顧問のリクード党議員の2人のみで大多数の賛成によりガザ全域の制圧計画が可決された。可決後もザミール氏は閣僚たちに「人質の命を危険にさらすつもりはない」としている。
可決された計画によると10月7日までに約100万のガザ市民を避難させ、そこから段階的にガザ市を制圧していく。またこの市民たちに食糧を供給するため、米主導で最大16か所の支援物資配給所が設置される予定になっている。
この計画内では司法上の問題から『占領』ではなく制圧という表現が使われているが、閣議の関係者によると「実質的なガザ全域の占領」とのこと。しかし人質解放の合意が得られれば、軍事作戦を中止することになっている。
またこのガザ制圧計画には兵器や予備役兵の召集と社会保障、ガザ市民への人道支援、制圧後の安全保障費などを合わせると年間8兆円近い国費が掛かることになり、経済的にも大きな影響をもたらすことになる。
(8/8-10)

 

【エジプト・カタールが交渉再開へ尽力】(Y,P,H)
休戦交渉の仲介国であるエジプトとカタールが湾岸諸国の支持を受けて、今まで交渉されていた部分的休戦案ではなく、全人質(生存者・死者の両方)の解放とイスラエル軍のガザ撤退、恒久的休戦を盛り込んだ包括的な休戦案を取りまとめていることが分かった。
同案ではハマスが拒否しているハマス非武装化も含まれており、アラブ関係者によると「武器所持は認めるが、使用は認めない」というような折衷的内容になるよう。
この2国の交渉再開のための動きがあることはイスラエル・ハマスの双方が把握しているが、ハマスはガザの人道状況に関する報道から国際世論が追い風になっており、現状で交渉に戻る可能性は低いと専門家は語っている。
(8/8-9)

 

【ネタニヤフ首相、イラン戦争以来となる記者会見】(Y,P,H)
ネタニヤフ首相が6月以来となる記者会見を国際記者と国内記者向けの2度行った。
最初に行われた英語での会見では冒頭でガザ制圧に言及。ハマスが現在も戦力を有し将来的な虐殺を計画していること、食料を市民から強奪していること、多くのガザ市民が「ハマスからのガザ解放」を望んでいることなどを指摘し、「私たちの目的はガザ占領ではなく、ガザをハマスから解放すること」と語った。
その後先週の閣議で採択された1.ハマスの武装解除、2.全人質の解放、3.ガザの非武装化、4.イスラエルが戦後のガザ安全保障を管理、5.ハマスや自治政府でない自治機関のガザ民政の実施、という戦争目標を発表した。ハマスの非武装化拒絶でこの長い戦争が余儀なくされており、現状でガザ内の75%を制圧しているが、残された2つのハマス拠点であるガザ市とアル=マワシ地区も制圧する必要があると今回決定したガザ全域制圧の必要性を強調した。
質疑応答の時間では戦後のガザへのイスラエルの関与に質問があり、ネタニヤフ氏は「ガザには残りたくなく、それは戦争目的でもない」とし、ガザ再入植や長期的な軍事政権を否定。またハマスでも自治政府でもない統治の形は、「成功の可能性を台無しにしたくないので明言は出来ないが、いくつかの候補がある」と十分に可能性があるとした。
数時間後にはヘブライ語で現地メディアに向けた同様の内容の会見を行ったが、部分的な人質解放への合意時の作戦中止の有無に関する質問に明言を避けたことを国内メディアは「説明不足」と指摘。また「20人全てを解放する義務がある」との言葉に被害者家族の会は、「ガザに居る人質の数は50人で首相は(生死にかかわらず)その全員を解放する義務がある。首相は現実から乖離していると証明された」と批判のコメントを発表している。
(8/10)

 

【テロリストとされるアルジャジーラ記者が空爆で死亡】(Y,P,H)
10日夜に空軍がガザ市内のシファ病院付近で空爆を行い、現在ガザに残る記者の中でも著名なアルジャジーラ所属のアナス・アル=シャリフ記者が死亡した。イスラエル国防軍はこの攻撃について声明を発表、アル=シャリフが表向きは中東の主要メディアの記者として活動しながら、裏ではハマス下部組織のリーダーだったと明かした。
国防軍はガザ北部のハマスメンバーのリストやテロリスト養成コースに関する文書、ガザ北部ジェバリアのハマスメンバーの電話帳やハマスが支払う給与書類などにアル=シャリフの名前が掲載されていると資料を公開。「これらの書類はカタールTV局アルジャジーラにテロリストが関与している証拠である」とアル=シャリフと彼を記者としていた同局を非難するコメントを発表している。
このニュースは世界中で報道され、同記者がハマスのテロリストだったという国防軍側の主張に言及しないまま報道しているメディアも散見される。
(8/11)

 

【ガザ統治の候補者、テロ組織を排除しない発言】(Y)
アメリカとアラブ連盟を後ろ盾に戦後のガザ統治を担当する第一候補とされているパレスチナを代表するビジネスマンで自治政府の高官だったサミール・フライレ氏が複数のイスラエルメディアの取材に応えた。
同氏のガザ統治にはアメリカ・アラブ諸国間で水面下の協議がされており、自治政府のアッバス議長はこの動きを把握しているものの蚊帳の外であることに怒りを感じているとの報道も。そんなこともありフライレ氏は自治政府の了承なしにガザ統治を行うつもりはないと語った。
またハマスとイスラム聖戦のガザ統治関与は明言を避けたものの、「彼らへの考慮なしにいかなる合意に関する話し合いも行われない。全員が参画すべき」と10/7の虐殺を行ったテロ組織もガザ統治に関与できる姿勢を間接的に示した。
(8/13)

◯ 内政

【イラン戦争により立ち往生となった市民、補償受けられず】(Y,P,H)
6月のイラン戦争で帰国できず滞在国で立ち往生となり、自己負担での滞在延長やフライト手配を余儀なくされた10万人以上の市民に、財務省はスモトリッチ財務相の反対を受けて補償を行わないことを決定した。
この中には予備役招集の知らせを受けたため、通常の数倍にもなる費用を掛けて帰国した予備役兵たちも含まれており、この決定には「国民ではないガザの支援物資のための1600億円は捻出できるのに、国民のための100億円は充当できないのか」と批判の声が。
この帰国できなかった国民への補償については財務省と空港を管轄する交通省の間でのなすりつけ合いが行われた末の決定であり、国会財政委員会はこの補償なしという決定を批判したうえで、問題解決のため首相の介入を求めている。
(8/11)

 

【防衛相、軍の上級士官再編案に「No」】(Y,P,H)
超正統派の兵役問題やガザ占領などでカッツ防衛相とザミール参謀総長の対立が深まるなか、カッツ氏は参謀総長が進めようとしている旅団長・師団長といった上級士官の配置転換や昇進の一時凍結を命じた。
来年夏の再編完了に向けて今月には上級士官の新しい配備先や昇進を決めておく必要があり、ここ1月以上、ザミール氏は何度もカッツ防衛相と協議しようとしたが、その度に「多忙」との理由から延期になっていた。ある時には参謀総長自ら防衛相執務室の前で待っていたところ、秘書に中止を告げられ面会できなかったといったことも。
そんななか士官再編のためザミール氏が元野党議員の軍高官経験者などに助言を求めているとの報道があり、それに反応する形でカッツ氏が再編に関する軍の決定を認めない意向だと発表した。
上級士官任命の最終決定者は防衛相だが、参謀総長を中心に軍でまとめた案を了承する形が通例で防衛相が反対するのは異例。しかしカッツ氏はハレビ前参謀総長が同様の再編案を提出した際にも拒否しており、「カッツ氏による参謀総長の権威失墜のための画策の1つ」とメディアは報じ、その裏には首相が指示している可能性も指摘している。
(8/12)

 

【スモトリッチ財務相、東エルサレム郊外の入植計画を発表】(Y,P,H)
スモトリッチ財務相がエルサレムの東にある入植地マアレ・アドミームで記者会見を行い、マアレ・アドミームと東エルサレムを繋ぐE1入植計画の実行を発表した。E1計画とは1991年に当時のアリエル・シャロン建設相が発案したもの。
エルサレムと同町を繋げることでイスラエル領土の連続性を東西に確保すると同時に、パレスチナ自治区の主要都市ラマラ・ベツレヘムという南北の領土の連続性を断ち切ることになるため、国際社会からの批判が強く計画が上がりは消えてが30年以上続いていた。
このスモトリッチ氏の決定は英仏によるパレスチナ国家承認という外交措置への反発であり、「これは世界各国へのメッセージ:パレスチナ国家を承認する国々に私たちは現場で行動を持って対応する。パレスチナ国家構想を地に埋め、承認するもの(土地)を無くすという現実だ」と発言している。
また氏は「ガザでは対立があるが、ユダ・サマリアにおいてはこれを可能にしたネタニヤフ首相に謝意を述べたい」と首相による了承を得たものとしているが首相側はノーコメントを貫いている。
(8/14)

◯ 国際情勢

【ドイツ、イスラエルへの武器輸出を禁止】(Y,P,H)
ネタニヤフ政権がガザ全域の軍事制圧を決定したことを受け、ドイツのメルツ首相が「ガザで使用される可能性のある全ての軍事的輸出を停止する」と発表した。
メルツ氏はイスラエルがハマスからの自衛権を有しており、ハマスがガザの将来の役割を担ってはならない点は強調しつつ、「ガザ占領の決定で人質解放とハマスの非武装化という目的への道筋を困難なものとした」と、禁輸に至った背景を説明している。
ドイツはアメリカに次ぐイスラエルへの兵器供給国であり、戦車の砲弾などイスラエルが輸入している兵器の約3割を頼っているため、ガザでの戦闘への影響も懸念されている。
歴史的背景もありドイツは欧州一の友好・同盟国であり、メルツ首相は保守系で過去にドイツの兵器輸出制限に反対の立場を示し、当選時に「自身の政権下ではこのような制限が課されることはない」と明言していた。したがって「外交上の地震だ」と報道するイスラエルメディアも。
(8/8)

 

【イラン高官にレバノンが牽制「武器を所持するのは国防軍のみ」】(Y,P,H)
イランのラリジャニ国会議長がベイルートを訪問し、レバノンのアウン大統領と会談した。この中でラリジャニ氏はイランの『(米・イスラエルへの)抵抗』と、自身が支援しイスラエルと戦闘したヒズボラに政府として敬意を払うよう求めた。
これにアウン氏はレバノン国内においてはいかなる組織も武器の所持は禁止されるべきとし、ヒズボラの武装解除を進める姿勢を示し、イランが介入しないよう警告した。ラリジャニ氏訪問を前にイラン政府はレバノン政府のヒズボラ非武装化に反対の意を表明、今後もヒズボラへの支援を継続すると発表しており、アウン氏の発言はそんなイラン政府の姿勢にくぎを刺した形。
またイスラエルではラリジャニ氏が搭乗したイランからベイルートの飛行機がシリア領空を通過しなかったことを指摘し、イスラエルと西側諸国へのシャラア暫定大統領による「歩み寄りのジェスチャーでは」と報道している。
(8/13)


[情報源略号表]
 文末の( )内の記号が情報源です。(掲載日が異なる場合もあり。)
 P=エルサレム・ポスト  https://www.jpost.com/(英語)
 H=ハアレツ       http://www.haaretz.com/(英語・ヘブライ語)
 Y=イディオット・アハロノット http://www.ynetnews.com/(英語・ヘブライ語)

[転載・引用・再配布について]
 教会活動等の非営利目的ならばOKです。ユダヤ人および
 各宗教教派に批判的な文脈での引用はしないで下さい。

 
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