【ドイツでハマスのテロ計画を起訴、イスラエル・ユダヤ人標的に武器を準備】(Y,P,H)
ドイツ連邦検察は11日、ドイツとオーストリアでイスラエル人やユダヤ人らを標的としたテロ攻撃を計画したとして、ハマスのメンバーと疑われる7人を起訴した。
起訴状によると、7人はドイツ国内で武器や弾薬を調達し、その一部をオーストリア・ウィーンに保管していた。ハマス軍事部門は以前から欧州に武器庫を構築しており、10/7から2年となる時期に合わせて欧州でテロを行う計画を25年7月から進めていたとされている。
標的にはイスラエルの代表者やユダヤ人、親イスラエル派の人物などが想定されていたという。そのなかでグループは自動小銃1丁、拳銃13丁、700発以上の弾薬を入手し、その一部はウィーンに運ばれた。またハマス名義で犯行声明を出す動画まで事前に作成されており、連邦検察はこうした事実を具体的なテロ計画の証拠としている。
事件の捜査はドイツだけでなく、オーストリア、英国、デンマーク、キプロスなど欧州各国に及んでいる。これまでに計9人が逮捕され、そのうち今回7人が起訴された。
特に注目されているのが、レバノン生まれの被告の1人がドイツ連邦憲法擁護庁の情報提供者だったことだ。この人物はメンバーらに対して弾薬を提供した疑いが持たれている。同庁は本人が情報提供者だったことを認める一方、テロ計画について同庁からの指示があったことについては否定している。
(9/11)
【タイでイスラエル人への風当たり強まる、ユダヤ人共同体にも調査】(Y,P)
この1週間、タイ国内ではイスラエル人の滞在に対する向かい風が明らかに強まっている。両国間の外交危機を意味するものではないが、イスラエル人観光客の行動への批判や法執行強化の要請、さらにイスラエル人・ユダヤ人共同体への調査が相次いでいる。
11日には、プーケットで予定されていたユダヤの新年の夕食会が中止された。ユダヤ教の一派によるハバッド・ハウスで約2,000人のイスラエル人旅行者を対象に予定されていたが、周辺で大規模な親パレスチナデモが行われていたため開催を断念。ハバッドによれば、イスラエルの治安当局からデモが暴力的になる危険性を理由に中止を要請されたという。
背景には、以前からタイで問題視されていたイスラエル人観光客の振る舞いへの反感が先月表面化したことがある。タイのリゾート地でフランス人・タイ人夫婦が経営する動物園をイスラエル人家庭が訪れた際、国籍を理由に入園を拒否され、父親が突き飛ばされるなどの暴行を受けた。
動物園側はイスラエル人の入場を全面禁止し、これに反発した滞在者たちから経営者への襲撃や自宅・動物園への放火を含む脅迫が相次ぎ、裁判沙汰に発展。今月にはバンコクのイスラエル大使館前で約500人が参加する抗議デモも行われ、反イスラエル的な機運が国全体に広がった。
さらに15日には、タイ当局の移転命令を受け、バンコク近郊のユダヤ人墓地から4人の遺体が撤去され、新しい墓地へ移された。この墓地は5年前に購入・登録されたが、ここ数か月は埋葬許可の更新が難航し、最終的に当局が更新を拒否した。タイ側は土地や許可をめぐる問題とする一方、上記の背景を受けた決定ではないかとの声もある。
同日には、プーケット県知事が同県のハバッド・ハウスについても調査を命令。土地所有、建築・営業許可、墓地建設計画などを再精査している。当局は現時点では違法行為は確認されていないとし、ハバッド側も法を順守しているとして調査に協力している。
17日にはアヌティン首相が法律に違反する外国人に対し「死ぬなら自分の国で死ね」と発言。特定の国籍を指したものではなく、外国人による土地の不正保有や違法事業・不法労働などの取り締まり強化を表明したものだが、タイミングからイスラエル人をめぐる一連の問題との関連も指摘されている。
今回の緊張は反ユダヤ主義というより、イスラエル人観光客の迷惑行為が大きな要因とみられる。駐タイ・イスラエル大使も一部観光客の行動に問題があることを認め、タイの法律や文化を尊重するよう訴えている。一方、こうした行為への反感がイスラエル全体への反感や反ユダヤ的主張に結びつくことにも警鐘が鳴らされている。
(9/11-17)
【UNRWA教師の自宅に48日間監禁―元人質家族が国連で証言】(Y,P)
10/7にハマスによってニルオズのキブツから拉致されたディツァ・ヘイマンさんの娘、ネタ・ヘイマン=ミナさんが15日、ジュネーブの国連人権理事会で母親がガザで監禁されていた状況について証言した。
当時84歳だったディツァさんは53日間の拘束中、48日間をUNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)の教師の自宅の屋根裏部屋で過ごし、十分な食料も与えられないなど非人道的な環境に置かれていたという。ネタさんはUNRWAへの資金援助や支援が続いていることを批判し、このような人物がガザの次世代の教育を担うことがあるべき姿なのか、と国連に問いかけた。
また、UN Watchの調査でガザUNRWA労働組合の前会長がハマスのメンバーだったとされていることにも言及し、テロ組織とUNRWAの関係を批判。一方で、ガザに必要な教育、医療、食料安全保障への支援は続けるべきであり、UNRWAに代わる組織を見つける必要があると強調した。
同じタイミングでUN WatchはUNRWAの改革に関する新たな分析を発表。元仏外相が監修した独立調査では50項目の改革勧告が示され、UNRWAはそのうち41項目を完了したと報告している。しかしUN Watchは完全に実施されたと確認できるのは13項目にすぎないと主張。行政・手続き上の変更を「改革完了」として計上しており、監督、組織的責任、政治的中立性などの根本的な問題は残っていると指摘している。
(9/15)
【サウジとクウェートがイスラエルと接近の兆しか】(Y,P)
イランとフーシ派をめぐり地域情勢の緊張が高まるなか、湾岸諸国とイスラエルの安全保障面での接近を示す動きが相次いで報じられている。先週ドイツでは米中央軍のクーパー司令官が主導し、イスラエルのザミール参謀総長やサウジアラビア、UAE、バーレーン、クウェート、カタール、ヨルダン、エジプトの軍トップが参加する会議が開かれた。イランやフーシ派への対処について協議され、国交のないアラブ諸国とイスラエルが地域安全保障で接触していることが明らかになった。
またこれと同じタイミングでイスラエルとサウジの安全保障協力が特に深まりつつあるとの報道があった。中東の外交関係者によると、イスラエルは米中央軍を通じてフーシ派に関する機密情報をサウジに提供しているという。イスラエルが直接戦闘に参加するわけではないものの、両国間の安全保障での協力が進んでいる形となる。
イスラエルではアブラハム合意拡大への一歩との見方も出ているが、サウジ側は安全保障上の協力と国交正常化を別問題と位置づけ、パレスチナ問題が正常化の条件だという従来の立場を維持している。さらにイスラエルの駐UAE大使は15日、クウェートが6か月以内にアブラハム合意に加わる可能性について言及した。
具体的な協議内容は明らかになっていないが、元クウェート閣僚はイランによる湾岸諸国攻撃とイスラエルによるイラン攻撃を踏まえ「イランとイスラエルのどちらが湾岸諸国の敵か、もはや疑問の余地はない」と発言。安全保障環境の変化が、イスラエルに対する湾岸諸国の見方にも影響していることを示した。
イランとその代理勢力への警戒を背景に、イスラエルと湾岸諸国の安全保障協力が進む一方、これがサウジやクウェートとの国交正常化に直結するかは、現段階では不透明だ。
(9/15-17)