【ヒズボラ関与の証拠なくレバノン人5人が帰国、イスラエルで虐待はなかったと証言】(Y)
3日、ヒズボラとの関係がないことが取り調べで確認されたレバノン人5人がイスラエルから引き渡され、そのうちの1人がメディアの取材に応じた。
取材に答えたのはイスラエルとの国境から約10kmの場所にあるシーア派の村ティブニンに住むフセイン・アヤシュ氏(33)で今年6月にイスラエル軍部隊と遭遇したことで拘束され、前線での取り調べを受けた後、イスラエルへ移送され、シンベトによる取り調べを受けた。シンベトの調査でも、ヒズボラなどテロ組織への関与を示す証拠は見つからず、その後は引き渡しまでイスラエル国内の刑務所に拘置されていた。
イスラエルでの待遇について尋ねられると、虐待はなかったとしながらも、「彼らは全ての情報を持っており、話さなければいけない状況下だった。また心理的なプレッシャーも簡単ではなかった―自分の国ではない国に、知らない人々、いつ戻れるのかも分からなかった」と心理的な負担があったことを明かした。この発言を受け、現地ではイスラエル側から口止めされているのではないかとの憶測も広がっている。
一方、アヤシュ氏の兄弟はメディアの取材に「彼は拉致された全員が取り調べで経験することを経験した」と述べ、虐待を受けたことを示唆するような発言をしている。
彼を含むレバノン人5人の身柄引き渡しは米国仲介のもとイスラエルとレバノンが進めている交渉の一環。イスラエルは1980年代に殺害されたレバノン国内のユダヤ人共同体指導者たちの遺体の引き渡しを要求しており、交渉を促進するため、ヒズボラとの関与の疑いが晴れたレバノン市民をレバノンへ帰国させることになっていた。
(9/5)
【UAEも10/7前にネタニヤフ氏へ警告か「見過ごし」の新疑惑が浮上】(Y,P,H)
イスラエル人ジャーナリスト2人の共著『人質:見捨てられた843日間』をめぐり、2023年9月、シンベトが把握していたハマス指導者ヤヒヤ・シンワルによる「大地震」とも呼べる計画について、UAEのムハンマド大統領もネタニヤフ首相に同様の警告していたとの新たな報道が浮上し、10/7をめぐるネタニヤフ氏の責任論が再燃している。
同著によると、10/7の約1週間半前にムハンマド氏はネタニヤフ氏に直接電話をかけた。この通話は通常のホットラインではなく、駐イスラエルUAE代表が首相府に持ち込んだ特殊な暗号化端末を通じて約45分間行われ、終了後には端末が破棄されたという。ムハンマド氏から警告を受けたネタニヤフ氏はガザでの警戒態勢は整っているとし、急激な緊迫化が起こるとすれば西岸地区の可能性が高いとの見通しを示したもよう。
その後ネタニヤフ氏はこの警告について当時のハレヴィ参謀総長やシンベト、モサドの長官らにその情報を共有しなかったという。国防関係者からはシンベトからの情報だけでなく、UAEからも同様の警告があったことを把握していれば、その信ぴょう性が高まり、事前に警備や部隊配置を変更するなどガザでの予防策を取れたのではないかとの声が上がっている。
これまでの報道によると、当時エジプト側からも同様の警告が伝えられていたとされている。さらに中東地域のある諜報機関の高官はUAE側が10/7直前に「非常に信頼できる情報源」からハマスによる重大かつ切迫した攻撃についての情報を入手し、それをイスラエル側に伝えていたと認めている。UAE政府は通話の有無などについて肯定も否定もしていないが、両国間にはホットラインが存在し、「必要時には全ての機密情報が共有され続けている」とコメントしている。
一方、ネタニヤフ氏側は一連の報道を「悪意ある捏造で完全な嘘」と強く否定し、報道に関わったジャーナリストらに対する名誉毀損訴訟の方針を発表した。また首相府は通話記録や入退館記録を調査した結果、ムハンマド氏との通話やUAE代表の訪問に関する記録は無いと主張している。これに対しジャーナリスト側は通話には通常の記録が残らない特殊な端末が使われ、直後に破棄されたため記録が存在しないと説明しており、双方の主張は真っ向から対立している。
(9/8-9)
【イスラエルがガザでハマスの武器庫を破壊、停戦下の「再軍備化」に警戒】(Y,P,H)
国防軍とシンベトは9日に合同作戦を行い、ガザ地区でハマスとイスラム聖戦が保有する武器庫3か所と地下に設置されたロケット発射施設を空爆により破壊した。
共同声明によると、武器庫にはロケット弾のほか、AK-47自動小銃など数十種類の武器や装備が保管されていた。国防軍はここ最近ハマス戦闘員がこれらの武器庫を訪れ、保管されている武器を使って警備活動などを行い、ガザ地区での支配の再確立や再軍備化を進めていることを確認したと説明している。
国防軍は停戦合意に基づき、ガザ地区を南北に走る「イエローライン」に沿って展開しており、今後も差し迫った脅威を排除するとともに、テロ組織の再軍備化を阻止し続けるとしている。今週初めにはガザ北部で工兵車両に対して爆破装置が仕掛けられた事案が発生しており、今回の攻撃はその報復との見方もある。国防軍はこの事案についても、ハマスによる停戦合意への度重なる違反の一つだと主張している。
その一方でイスラエルは南レバノンで採用されている「パイロット地域」のモデルをガザにも適用する案の検討を進めている。この構想では特定の地域を「パイロット地域」に指定し、そこでは国際部隊がテロ組織やそのインフラの排除、統治体制の構築、テロリストの再侵入阻止などを担うことになっている。
(9/9)
【国防軍がヒズボラの地下要塞を1100トンの爆薬で破壊し、4か月の作戦完了】(Y,P,H)
10日夜、国防軍は南レバノンのアリ・タヘル山稜にあるヒズボラの地下テロ施設を1100トン以上の爆薬で爆破し、約4か月にわたる同山稜での軍事作戦を完了した。
標高約600メートルの同山稜はナバティエ一帯や周辺の交通路を見渡す位置にあり、南部におけるヒズボラの重要な戦略拠点の一つ。軍の発表によると、山稜の地下には総延長約5.4キロに及ぶ8つの地下施設が構築されていた。これらは約20年をかけてイランの援助のもと建設され、レバノン南部にあるヒズボラの主要戦力である「バドル部隊」が使用していたという。
施設内には司令部や武器庫のほか、発電室やシャワー、キッチンなどを備えた居住スペースもあり、戦闘員が長期間地下に滞在し、そこから戦闘や指揮することが可能。また、無人攻撃機やロケット弾、対戦車ミサイル、機関銃、数百個の地雷・爆破装置なども発見された。国防軍によると、このインフラはイスラエルに対するテロ作戦の拠点として使用され、10/7のようなイスラエル北部への越境攻撃を指揮することも想定されていたという。
4か月にわたる作戦で山稜の地上・地下が段階的に制圧された。第36師団やヤハロム特殊部隊などが待ち伏せや奇襲、地下トンネルへの攻撃、工兵活動を組み合わせて作戦を進めた。関係者によると、重要だったのが欺瞞作戦で国防軍はリタニ川の支流から進軍すると見せかけ、別のルートから川を渡った。これにより手薄だった後方からアリ・タヘルに入り、施設を制圧したという。
また包囲中には、数十人のヒズボラ戦闘員が地下施設に立てこもっていたことも2カ月以上報じられていたが、一部は排除され、大半は逃走したとされる。トンネル内には革命防衛隊などのイラン高官がいたとの報道もあったが、軍・諜報部は確認していないとしている。
ヒズボラにとってアリ・タヘル山稜はイスラエルとの国境部における最重要拠点の一つだったため、この施設の破壊がイランによる報復を招くとの見方も出ている。実際、イランは同地域で全面的な作戦が行われれば「重大な報復」を行うと警告していた。しかし現時点でイスラエル側は、イランとの大規模な交戦に発展する可能性は高くないと評価している。
ただし、限定的な報復やイスラエル北部へのロケット弾・無人攻撃機による攻撃には警戒を強めている。ネタニヤフ首相とカッツ国防相は同山稜での作戦成功を強調するとともに、イスラエルが南レバノンの安全保障地帯にとどまり、ヒズボラによる再軍備化を阻止する方針を明らかにしている。
(9/10-11)