ー ISRAEL NOW!ー
 
「エルサレムの平和のために祈れ」 詩 122
(本誌の発行は、原則として毎週土曜です。)
◯ 治安

【ヒズボラ関与の証拠なくレバノン人5人が帰国、イスラエルで虐待はなかったと証言】(Y)
3日、ヒズボラとの関係がないことが取り調べで確認されたレバノン人5人がイスラエルから引き渡され、そのうちの1人がメディアの取材に応じた。
取材に答えたのはイスラエルとの国境から約10kmの場所にあるシーア派の村ティブニンに住むフセイン・アヤシュ氏(33)で今年6月にイスラエル軍部隊と遭遇したことで拘束され、前線での取り調べを受けた後、イスラエルへ移送され、シンベトによる取り調べを受けた。シンベトの調査でも、ヒズボラなどテロ組織への関与を示す証拠は見つからず、その後は引き渡しまでイスラエル国内の刑務所に拘置されていた。
イスラエルでの待遇について尋ねられると、虐待はなかったとしながらも、「彼らは全ての情報を持っており、話さなければいけない状況下だった。また心理的なプレッシャーも簡単ではなかった―自分の国ではない国に、知らない人々、いつ戻れるのかも分からなかった」と心理的な負担があったことを明かした。この発言を受け、現地ではイスラエル側から口止めされているのではないかとの憶測も広がっている。
一方、アヤシュ氏の兄弟はメディアの取材に「彼は拉致された全員が取り調べで経験することを経験した」と述べ、虐待を受けたことを示唆するような発言をしている。
彼を含むレバノン人5人の身柄引き渡しは米国仲介のもとイスラエルとレバノンが進めている交渉の一環。イスラエルは1980年代に殺害されたレバノン国内のユダヤ人共同体指導者たちの遺体の引き渡しを要求しており、交渉を促進するため、ヒズボラとの関与の疑いが晴れたレバノン市民をレバノンへ帰国させることになっていた。
(9/5)

 

【UAEも10/7前にネタニヤフ氏へ警告か「見過ごし」の新疑惑が浮上】(Y,P,H)
イスラエル人ジャーナリスト2人の共著『人質:見捨てられた843日間』をめぐり、2023年9月、シンベトが把握していたハマス指導者ヤヒヤ・シンワルによる「大地震」とも呼べる計画について、UAEのムハンマド大統領もネタニヤフ首相に同様の警告していたとの新たな報道が浮上し、10/7をめぐるネタニヤフ氏の責任論が再燃している。
同著によると、10/7の約1週間半前にムハンマド氏はネタニヤフ氏に直接電話をかけた。この通話は通常のホットラインではなく、駐イスラエルUAE代表が首相府に持ち込んだ特殊な暗号化端末を通じて約45分間行われ、終了後には端末が破棄されたという。ムハンマド氏から警告を受けたネタニヤフ氏はガザでの警戒態勢は整っているとし、急激な緊迫化が起こるとすれば西岸地区の可能性が高いとの見通しを示したもよう。
その後ネタニヤフ氏はこの警告について当時のハレヴィ参謀総長やシンベト、モサドの長官らにその情報を共有しなかったという。国防関係者からはシンベトからの情報だけでなく、UAEからも同様の警告があったことを把握していれば、その信ぴょう性が高まり、事前に警備や部隊配置を変更するなどガザでの予防策を取れたのではないかとの声が上がっている。
これまでの報道によると、当時エジプト側からも同様の警告が伝えられていたとされている。さらに中東地域のある諜報機関の高官はUAE側が10/7直前に「非常に信頼できる情報源」からハマスによる重大かつ切迫した攻撃についての情報を入手し、それをイスラエル側に伝えていたと認めている。UAE政府は通話の有無などについて肯定も否定もしていないが、両国間にはホットラインが存在し、「必要時には全ての機密情報が共有され続けている」とコメントしている。
一方、ネタニヤフ氏側は一連の報道を「悪意ある捏造で完全な嘘」と強く否定し、報道に関わったジャーナリストらに対する名誉毀損訴訟の方針を発表した。また首相府は通話記録や入退館記録を調査した結果、ムハンマド氏との通話やUAE代表の訪問に関する記録は無いと主張している。これに対しジャーナリスト側は通話には通常の記録が残らない特殊な端末が使われ、直後に破棄されたため記録が存在しないと説明しており、双方の主張は真っ向から対立している。
(9/8-9)

 

【イスラエルがガザでハマスの武器庫を破壊、停戦下の「再軍備化」に警戒】(Y,P,H)
国防軍とシンベトは9日に合同作戦を行い、ガザ地区でハマスとイスラム聖戦が保有する武器庫3か所と地下に設置されたロケット発射施設を空爆により破壊した。
共同声明によると、武器庫にはロケット弾のほか、AK-47自動小銃など数十種類の武器や装備が保管されていた。国防軍はここ最近ハマス戦闘員がこれらの武器庫を訪れ、保管されている武器を使って警備活動などを行い、ガザ地区での支配の再確立や再軍備化を進めていることを確認したと説明している。
国防軍は停戦合意に基づき、ガザ地区を南北に走る「イエローライン」に沿って展開しており、今後も差し迫った脅威を排除するとともに、テロ組織の再軍備化を阻止し続けるとしている。今週初めにはガザ北部で工兵車両に対して爆破装置が仕掛けられた事案が発生しており、今回の攻撃はその報復との見方もある。国防軍はこの事案についても、ハマスによる停戦合意への度重なる違反の一つだと主張している。
その一方でイスラエルは南レバノンで採用されている「パイロット地域」のモデルをガザにも適用する案の検討を進めている。この構想では特定の地域を「パイロット地域」に指定し、そこでは国際部隊がテロ組織やそのインフラの排除、統治体制の構築、テロリストの再侵入阻止などを担うことになっている。
(9/9)

 

【国防軍がヒズボラの地下要塞を1100トンの爆薬で破壊し、4か月の作戦完了】(Y,P,H) 
10日夜、国防軍は南レバノンのアリ・タヘル山稜にあるヒズボラの地下テロ施設を1100トン以上の爆薬で爆破し、約4か月にわたる同山稜での軍事作戦を完了した。
標高約600メートルの同山稜はナバティエ一帯や周辺の交通路を見渡す位置にあり、南部におけるヒズボラの重要な戦略拠点の一つ。軍の発表によると、山稜の地下には総延長約5.4キロに及ぶ8つの地下施設が構築されていた。これらは約20年をかけてイランの援助のもと建設され、レバノン南部にあるヒズボラの主要戦力である「バドル部隊」が使用していたという。
施設内には司令部や武器庫のほか、発電室やシャワー、キッチンなどを備えた居住スペースもあり、戦闘員が長期間地下に滞在し、そこから戦闘や指揮することが可能。また、無人攻撃機やロケット弾、対戦車ミサイル、機関銃、数百個の地雷・爆破装置なども発見された。国防軍によると、このインフラはイスラエルに対するテロ作戦の拠点として使用され、10/7のようなイスラエル北部への越境攻撃を指揮することも想定されていたという。
4か月にわたる作戦で山稜の地上・地下が段階的に制圧された。第36師団やヤハロム特殊部隊などが待ち伏せや奇襲、地下トンネルへの攻撃、工兵活動を組み合わせて作戦を進めた。関係者によると、重要だったのが欺瞞作戦で国防軍はリタニ川の支流から進軍すると見せかけ、別のルートから川を渡った。これにより手薄だった後方からアリ・タヘルに入り、施設を制圧したという。
また包囲中には、数十人のヒズボラ戦闘員が地下施設に立てこもっていたことも2カ月以上報じられていたが、一部は排除され、大半は逃走したとされる。トンネル内には革命防衛隊などのイラン高官がいたとの報道もあったが、軍・諜報部は確認していないとしている。
ヒズボラにとってアリ・タヘル山稜はイスラエルとの国境部における最重要拠点の一つだったため、この施設の破壊がイランによる報復を招くとの見方も出ている。実際、イランは同地域で全面的な作戦が行われれば「重大な報復」を行うと警告していた。しかし現時点でイスラエル側は、イランとの大規模な交戦に発展する可能性は高くないと評価している。
ただし、限定的な報復やイスラエル北部へのロケット弾・無人攻撃機による攻撃には警戒を強めている。ネタニヤフ首相とカッツ国防相は同山稜での作戦成功を強調するとともに、イスラエルが南レバノンの安全保障地帯にとどまり、ヒズボラによる再軍備化を阻止する方針を明らかにしている。
(9/10-11)

◯ 内政

【イスラエル人医師の国外流出が急増、戦争3年間で約1,400人】(Y,P,H)
テルアビブ大学が6日、内務省の統計や医師免許のデータなどを照合して実施した調査を発表し、医師の国外流出が深刻化している実態が明らかになった。
これによると、10/7があった2023年から2025年までの戦争下の3年間で、1年以上イスラエルを離れている医師は約1,400人に上った。これは10年前の同期間の705人と比べて約94%の増加となる。約1,400人という数字は国内の大規模病院1施設に勤務する医師数に相当する。さらに、海外での活動から帰国した医師数を差し引いた純減少数は年間平均約255人に達し、過去10年間の年間平均54人と比べて約5倍という、厳しい現状が明らかになった。
特に懸念されるのは、45歳以上のベテラン医師が2割以上を占めている点。これは若手による海外研修・研究だけでなく、キャリア中核を担うベテラン医師が海外移住を決断している可能性を強く示唆している。研究者らは医療関係者の海外移住傾向が続けば雪だるま式の悪循環となり、医療面から見た「国としての強さ」に深刻な打撃を与えると警鐘を鳴らしている。今後は診察・手術の待ち時間が大幅に長くなったり、医療の質が低下したりするだけでなく、次世代の医師を指導する環境や育成能力も著しく低下することが懸念されている。
コロナ禍には一元管理された医療データを活用した感染状況の把握などで国際的な注目を集め、医療テックでも知られるイスラエルだが、今や医療を支える人材そのものの不足という問題を抱えている。
(9/6)

◯ 国際情勢

【ドイツ地方選でAfDが歴史的勝利、イスラエル・ユダヤ人社会に広がる懸念】(Y,P,H)
6日、ドイツ北中部ザクセン=アンハルト州で地方選挙が行われ、極右政党「ドイツのための選択肢」(AfD)が43.8%の票を獲得して歴史的な勝利を収めた。第二次世界大戦後、ナチス党以降初めて極右政党が州議会の第1党となり、政権獲得に手が届く位置となったことはドイツおよびヨーロッパ全体に深刻な政治的衝撃を与えている。
そして、このAfDの大勝劇はイスラエルおよびユダヤ人関係者の間で強い懸念も生んでいる。イスラエル高官はこの選挙結果を「重大な警告」と呼び、ドイツにおけるユダヤ人の安全と生活に対する深刻な脅威が生じるだろうと警告した。
かつてAfDはイスラム系移民への対抗の一環としてイスラエル支持を掲げていたが、10/7のガザ戦争以降はその姿勢を撤回し、ガザでの即時停戦やイスラエルへの武器輸出禁止を求めている。加えて、AfDにはネオナチ的要素が色濃く残っており、幹部による反ユダヤ主義的発言やナチス象徴の使用、さらには、移民政策を主導したリベラル派の背後にはユダヤ人がいるとする反ユダヤ的陰謀論も散見される。
ミュンヘンのユダヤ人共同体指導者やアウシュヴィッツ生存者らは人種差別の強まりや少数派への危害を容認する動きはナチス党を連想させるとして、明白な恐怖を表明している。また、AfDが学校でのナチス時代に関する教育内容を削減し、ホロコースト追悼機関への予算を削減しようとしていることもイスラエルとユダヤ人にとって大きな懸念事項となっている。
ドイツ在住のイスラエル人・ユダヤ人からは10/7以降、極左と過激派イスラムの協力関係が日常的な脅威になっているとの指摘がある。しかし今回の選挙結果では、欧州が移民政策への反動から極右化した場合にも、反ユダヤ主義への大きな危険性があることを示しており、ユダヤ人が置かれた難しい立場が鮮明となった。
(9/6-7)

 

【英国が入植地製品を輸入禁止、12か国に広がる対イスラエル制裁】(Y,P,H)
英国は8日、ユダヤ人入植地に対する新たな経済制裁を発表した。ミリバンド外相は入植地からの製品の輸入を禁止するとともに、入植地で建設・金融・不動産などのサービスを提供する企業や入植地を支援したり、そこから利益を得たりしている個人・企業に制裁を科す方針を示した。また、パレスチナ人への暴力行為への関与や先導をしたとする「過激な入植者」5人にも制裁を科すとした。
これとは別に英国はイスラエルへの武器輸出についても措置を発表。これは全面的な武器禁輸ではないが、英国はすでにガザでの作戦に関連する30件の武器輸出ライセンスを停止しており、「占領行為への寄与」と判断される軍事輸出については、今後もライセンスを認めない方針を示した。
今回の入植地への措置にはフランス、カナダなど11か国も加わり、計12か国が入植地への経済的措置を取る、または導入を検討する動きとなった。ただし、11か国が英国と同じ制裁を直ちに導入するわけではなく、すでに導入している国や導入を予定している国など、制裁の度合いや範囲は異なる。
また、今回の共同声明には武器輸出制限は含まれておらず、軍事輸出に関する制限は英国独自の措置となる。バーナム首相は前政権が「反イスラエル」と批判されることを恐れて行動をためらってきたと発言。入植地拡大や西岸での入植者による暴力を問題視し、二国家解決の可能性を維持するために必要な措置だったと主張した。
イスラエル政府はこれに強く反発。サアル外相はエルサレムの英国領事館閉鎖、ガザに関する国際司令部からの英国の排除、英国議員12人の入国禁止などを含む対抗措置を発表した。イスラエル側では、当初は英仏やカナダなど数か国による動きと想定していたが、結果的に複数の欧州諸国などを巻き込む形で入植地への制裁・制限が広がったことに驚きとともに危機感が高まっている。
(9/8-9)

◯ 文化

【アディダスが元IDF兵士を起用 世界的批判で謝罪】(Y,P,H)
大手スポーツブランドのアディダスがキャンペーンに元イスラエル国防軍兵士を起用したことで世界的な批判を浴び、謝罪する事態となった。
これは片足を失った競技者・顧客が靴を左右片方のみでも購入できるようにするという、世界的に展開するアクセシビリティ・サービス「Single Shoe」のイスラエル国内向けキャンペーンをきっかけにしたもの。このキャンペーンの出演者の1人として、21年にガザで対戦車ミサイル攻撃を受け左足を失った元ナハル旅団の兵士シャレブ・ビトンさんが起用された。
するとこの起用に対し、親パレスチナ派からSNS上で「ジェノサイドへの加担」との激しい非難が相次ぎ、同社へのボイコットを呼びかけるハッシュタグと共に、大きく拡散される事態となった。これに対して世界的な俳優や文化人もこのボイコット運動への参加を表明し、アディダス社は大きな批判にさらされることとなった。これを受けてアディダス本社は7日、公式声明を発表。ビトンさんの起用はイスラエル支社によるローカルな活動でありグローバルではないと釈明したうえで、誰かを傷つける意図はなかったと謝罪した。
この騒動はラルフローレンにも飛び火した。同社は秋コレクションの広告にイスラエル人女優ガル・ガドット(フィットネス訓練指導員として兵役に従事)を起用しており、これに対してもSNS上で激しい非難とボイコットの呼びかけが殺到している。
(9/4,8)


[情報源略号表]
 文末の( )内の記号が情報源です。(掲載日が異なる場合もあり。)
 P=エルサレム・ポスト  https://www.jpost.com/(英語)
 H=ハアレツ       http://www.haaretz.com/(英語・ヘブライ語)
 Y=イディオット・アハロノット http://www.ynetnews.com/(英語・ヘブライ語)

[転載・引用・再配布について]
 教会活動等の非営利目的ならばOKです。ユダヤ人および
 各宗教教派に批判的な文脈での引用はしないで下さい。

 
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