1.ロビイング等活動報告(5月13日~17日)
▶休眠預金に関する決定プロセスの解説
休眠預金制度に関しては、とても仕組みが複雑で、そのために、要望する側が何をしているのかが分かりくいという声をいただきます。そこで、簡単に背景を説明しておきます。
◎休眠預金制度は、銀行等で10年以上取り引きがないお金を「休眠預金」として、預金保険機構にプールし、民間の公益活動に使おうという制度です。毎年700億円程度、プールできるお金が発生しているとされています。
◎制度をつくったのは、超党派の「休眠預金活用推進議員連盟」(塩崎恭久会長)です。議員立法で作られました。内閣府が担当省庁です。一番決定に影響を持つのが、休眠預金議連で、実施においては内閣府が細部を決めます。
◎内閣府には、民間有識者からなる休眠預金等活用審議会があります。これは、内閣府の実施内容に対して、いろいろ意見を提案する機関です。重要な内閣府の決定は、この審議会にかけられます。
◎休眠預金は、預金保険機構から、全国で一つしかない「指定活用団体」にその年度で使う分だけが委託されます。「指定活用団体」は、公募で、「一般財団法人日本民間公益活動連携機構(JANPIA)」という団体が採択されました。通称、「ジャンピア」と呼ばれています。
◎「指定活用団体」は、公募で、「資金分配団体」を募ります。「資金分配団体」は、複数採択されます。そこで、実施計画を作り、その実施を担う「実行団体」をまた公募します。この「実行団体」が現場のNPO等の民間公益団体となります。
◎つまり、お金は、預金保険機構→指定活用団体→資金分配団体→実行団体と流れる仕組みです。昨年、第一回目の資金提供が開始されました。昨年度分は、スタートということもあり、33億円の資金です。資金分配団体と実行団体の公募があり、決定しました。
▶要望活動の相手はどこが中心か
このような仕組みなので、今回のコロナ対応のような、法律が当初予定していない大きな出来事に対して、大方針を決めるのは、休眠預金議連ということになります。
ただ、具体的な実施方針等を決めるのは内閣府です。
また、内閣府の指示を受けて、実務を進めているのがジャンピアです。
現状、4月29日に、休眠預金議連の幹事会が開催され、「コロナ枠」をつくることが決定されました。
それを受けて、内閣府が詳細の制度設計に入り、その指示を受けて、ジャンピアが、現在の資金分配団体や審議会委員等にヒアリングやアンケートを実施して、ニーズ調査をしている段階です。
そこで、私たちの要望活動は、第一に休眠預金議員連盟に対して、また、続けて、内閣府やジャンピアに対して、要望書を提出しました。
▶要望活動の焦点はどこにあるか
要望活動としては、「コロナ枠」の創設を求めるところに関しては、すでに動いているのため、要望が終了しています。
ただ、金額がどれくらいになるのかは、決まっていません。
10億~100億という幅をもって検討されているということです。
なので、できるだけ大きな額を拠出するように要望しています。
また、現在の休眠預金制度の問題は、地域的な偏りがあることと、手続きや監督が極めて厳しく、膨大な事務作業が要求されるので、中小規模の団体では、とても使いこなすことができない、ということです。
なので、その規制の大胆な緩和が求められています。
私たちの要望は、コロナ枠の拡大、全国のすみずみまで資金が届くこと、規制の大幅な緩和、地域の草の根の団体の維持をしっかり支えられる実効性のある資金提供等を柱に、制度の暫定的改善を求めることを行っています。
▶要望活動の状況
すでに、前回お伝えしたように、5月11日、12日と、休眠預金議員連盟の各党幹事議員には、885名の賛同者名を添えて、要望書を提出いたしました。議員本人に渡せたものもありますし、秘書に託したものもあります。また、内閣府、ジャンピアにもメールで要望書を提出いたしました。5月13日以降の要望活動の動きは以下のようなものです。
◎5月14日:内閣府の記者クラブに要望書のプレスリリースを提出。ジャンピアと内閣府から要望書を受け取った旨の確認が、電話とメールで届く。ジャンピアには要望書の検討とヒアリングを電話で依頼。
◎5月15日:公明党NPO局ヒアリング(後述)
また、この日に、政府与野党連絡協議会が開催され、そこに向かって、休眠預金を議題にあげてもらえるように働きかけをしました。残念ながら、各党内で議論がまだ十分されていない、ということで見送りになりましたが、今後も引き続き検討していただけることとなりました。
この他、毎日新聞、日経新聞から取材があり、発起人が手分けして対応にあたりました。残念ながら毎日新聞は現時点では記事になっていませんが、日経新聞は返事待ちの状態です。
▶公明党NPO局ヒアリング
5月15日(金)17時から18時10分まで、参議院議員会館で公明党NPO局のヒアリングが実施されました。休眠預金以外にも、広くNPOの現状を検討し、必要な施策を議論するという趣旨です。
公明党NPO局の出席者は、以下の3名です。
濱村進衆院議員(NPO局長)、山本香苗参院議員、谷合正明参院議員
このうち、谷合議員は、休眠預金議連の幹事もつとめています。
「休眠預金コロナ支援活用検討会」からは松原が出席しました。
松原以外にも、5団体が出席しています。
休眠預金に関して、中心的に要望したのは、松原だけでした。
内閣府からは、休眠預金を担当している内閣府大臣官房審議官(海老原諭)が出席しました。
松原は、要望書、賛同者名簿を提出し、コロナ枠の拡大、規制緩和、全国にいきわたる仕組みを強く要望しました。
内閣府側は、現状、東北や北陸などに資金がいきわたっていない現状は承知しているという回答がありましたが、「コロナ枠」に関しては、大きな政治的決定となるので、休眠預金議連の決定を受けて動きたい旨の回答で終わりました。
松原は、かなり規制が厳しい事や実行団体が使いにくい事に関する指摘を行い、現在、必要なのは、活動の継続にかかる資金である、と指摘しました。それに対し、いろいろ弁明をする内閣府との議論が短い時間ですが展開されました。
最後は、谷合議員が、19日には、議連の事務局会議があるので、そこで検討させてほしい、と引き取って終了となりました。
▶今後の見込みとお願い
今週、19日に議連事務局会議、そして、20日には審議会が開かれ、急ピッチで検討が進められていくものと考えます。
焦点は、本当に、地域の草の根の民間公益団体が、全国で不公平なく受けられて、かつ、活動の継続に役に立つような使いやすい資金となるかどうか、になってきています。
今のままの仕組みでは、多少緩和されても、管理が厳しく使えない、もしくは使うと活動に支障をきたす場合が出てくる危険性が大です。
それを避け、使えるお金にするために、集中的な要望活動をこれからも継続していく考えです。
もし、国会議員の方がお知り合いにいられるようでしたら、要望書をぜひ各自でお届けいただけると、とても大きな活動の後押しになります。多くの国会議員が、この要望を重要と思うことが大切です!
これから、要望活動をいっそう強化してまいりますので、ご支援・ご協力のほど、よろしくお願いいたします。