私はボランティアで自治会のガーデニング愛好会を主宰し、6名の会員と2つの公園にある4つの花壇のデザイン、お花の定植、維持管理をしています。
私がガーデニング愛好会を発足させた背景は、25年ぶりに回ってきた自治会の役員になり、住んでいる町の状況を知って愕然としたことにあります。
この町ができて約60年になりますが、今や全世帯の半数以上が75歳の高齢者(独居も多い)で空き家や空き地が多く、高齢者が多い町には若い層がなかなか引っ越してこないという現実でした。
「こりゃあかんわ、このままいくとゴーストタウンになってしまう」という危機感を持ち、町を活性化するよう至急手を打つべしと役員会に提案しましたが、他の役員はしらーとして乗り気ではありません(できるだけ面倒くさいことはしないというスタンスの人が多いです)。
「じゃあ、私がやります」と言うと、他の役員が「どうぞ、どうぞ」って、まるでダチョウ倶楽部さんのギャグのように決まりました(笑)。
60歳になったら何か地域社会に貢献できるボランティアをやろうと思っていたこともありましたが、何より私や子供たちが育った町がゴーストタウンになるのは忍びない、という気持ちが強かったです。
「さて、何をするか?」ですが。
町を観察して感じたことは、2つある公園に閑古鳥が鳴いており、ほとんど住民に活用されていないので、公園に人が集まることで町の活性化を図ろうと考えました。そうすれば防犯機能も働くだろうと。
「じゃあ、どうやって公園を活性化するか?」ですが。
少子高齢化によって公園は子供だけのものではなく、大人(高齢者)も気軽に集うような仕組みが必要だと考えました。
1つの公園には2つの花壇がありますが、今までお花が植えられたことがありません。そこで、花壇を綺麗にすることで老若男女が集い楽しめるような花壇にしようとコンセプト(「ミッション」、「ビジョン」)を考えました。
《ミッション》
『素敵な花壇づくりを通して、素敵なまちづくりの一翼を担う』」
《2030年ドリームビジョン》
『未来へ向けたコミュニティと魅力づくり』
① 公園の花壇づくりや企画によるコミュニティの構築
② まちの魅力をアピールするイメージブランドの構築
③ 人が溢れ活性化された公園にすることで防犯機能の強化etc.
こうして、昨年(2020年)に自治会から少額の予算を頂き「ガーデニング愛好会」を独立発足させて、このミッションとビジョンに賛同してくれた5名(私より年上の女性会員)でスタートしました。
真っ先に着手したのは、もう1つの公園には花壇がなかったので、市長宛てに要望書を提出して花壇を造成してもらいました。
一発で要望書が通るのは滅多にないそうですが、これもコンセプトが明確なので、論理的に説明できたことが勝因だと思います。
すると、新しく就任した自治会長から、自治会の財政が厳しいので予算を削って欲しいとの要望が来ました。また別の会員はガーデニングみたいなママゴト遊びに予算はいらないと主張しているとも。
私はムカッと来ましたが、これで口論になってはいけない。ミッションやビジョンが正しいことを証明すれば、自治会役員も納得してくれると思い、市が主催している「ガーデニンコンクール」に花壇の写真を応募しました。
花壇作りのコンセプトは、「アイデンティティ」+「オリジナリティ」=「バイタリティ」という方程式を考えました。これは、この町らしい独創性豊かな花壇を作ったら、近隣からも人が集まって公園は活性化するというコンセプトです。
市からはこのコンセプトでデザインした花壇を高く評価してもらい、発足1年未満で「奨励賞」を受賞することができ、改めてコンセプトの重要性を再確認しました。
この結果には流石の自治会員も大変驚いたようですが、私はここぞとばかりに逆に直訴して、予算倍増を実現させました(笑)。これもミッションやビジョンが明確なので、しっかりと説明し、納得してもらいました。
これを契機としてガーデニング愛好会の認知度も高まってきて、苗やスコップを持って道を歩いていると見知らぬ住民から「花壇の人?」って声をかけられたり、花壇で作業をしていると「いつもありがとう」、「お疲れ様」などと声をかけられるようになりました。
また、SNS(インスタ、twitter)でも愛好会の活動を紹介していくと、閑古鳥が鳴いていた公園でしたが、近隣からも人(小さな子供連れ)が来るようになり、特に土日は大賑わいになりました。
この5月にデザインした2つの花壇は、「フラワーパフェ」がコンセプトで、夏に向きにとてもカラフルな色合いのお花をレイアウトしました。また、立体的に魅せるために植木鉢を2つ重ねて「タワープランター」を作りました。
もう1つの花壇は、「流木・古木と石、植物」を組み合わせたオリジナリティ豊かで日本的な花壇です。
そして、もう1つは、なんと言っても約20種類の色とりどりの「ひまわり」を400本以上植えたテーマ花壇「世界のひまわり大集合」です。
ひまわりの花の色は、黄色が一般的ですが、赤色、褐色、白色、オレンジ色、などの珍しいひまわりの種を海外から取り寄せ、会員が分担して種から苗に育成して定植しました。今、ミニひまわりが咲きつつあります。
また、植えきれなかったひまわりの苗を公園に来られた方々にプレゼントして、ひまわりを咲かすコニュニティが出来上がりました。
これらの活動は、インスタグラム(ユーザーネーム:tfgc0817)で紹介していますので、ぜひご覧になってくださいね。フォローもよろしくお願いします(笑)。
人生やライフキャリアもそうですが、本当にコンセプトが非常に重要です。コンセプトが明確であれば、行動する理由はっきりしているので悩むことが少ないし、何よりもやりたいことをやっているので、やっていてとても楽しいです。
キャリア相談でも、コンセプトが明確でなく行き当たりばったりしている人は、キャリアが宙ぶらりになって、同じ悩みが堂々巡りとなってしまっています。
また、仕事を嫌々やっている人も、ミッションやビジョンが不在です。
こういった悶々とした状態から抜け出すのでは、しっかりとしたライフキャリアのコンセプト(ミッション、ビジョン、アイデンティティ)を明確にして、真に自分がやりたい仕事にシフトしていくことでしか解決できません。