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国境を越えて移動する子どもたちへの支援

 現代社会では、人の往来はますます盛んになり、国外で暮らす日本人や国内で暮らす外国人も増えています。人が国をまたいで移動するときには「国境」が存在し、人は移動した国の法律に従う必要があります。それは、福祉の制度でも同じです。例えば、イギリスには「児童法」、日本には「児童福祉法」があり、それぞれの法律に則って、その国の子どもたちの福祉、権利、制度、支援方法等が定められています。外国にルーツをもつ子どもの福祉を担うには、出身国や移動する前に定住していた国の福祉制度、家族・親族の養育力なども検討しながら、子どもの最善の利益を考慮することが大切になります。ただ、こうした広義のフォーマル、インフォーマルな支援サービスを調べ、活用の可否を検討することは、行政支援のなかで十分に取り入れられているとは言えません。

 


ソーシャルワーカーの役割

 
 ISSJは、国内外の関係機関と連携し、法律や制度の違いを明らかにしながら、支援の選択肢を増やし、子どものニーズに応えるサービス提供を目指しています。

【事例1】
児童相談所から施設入所をしているフィリピン人児童について相談が寄せられました。児童相談所は、フィリピンにいる家族のもとに児童を戻すことができるかどうか検討したいが、フィリピンの福祉制度や行政窓口、相談機関について調べることが難しいといいます。そのため、ISSJは、フィリピンの児童福祉当局のソーシャルワーカーや家族との連絡調整を行い、フィリピンに住む受け入れ家族のアセスメントを実施してもらいました。
 
【事例2】
収監中のタイ人母から生まれ、乳児院に入所している児童について、タイまたは日本での家庭養育の選択肢を検討するため、児童相談所、タイ大使館、ISSネットワークに加盟するタイの民間福祉団体を交えて情報収集・提供、意見交換を行いました。
 
【事例3】
欧州の裁判所から、ひとり親家庭の児童について、父親が病で養育できなくなったため、日本の親族が父親に代わって児童を育てることができるかどうか、調査をしてほしい、という依頼がISSネットワークを経緯して、ISSJに届きました。ISSJは、親族の家庭調査を行い、欧州の裁判所に調査報告書を提出しました。

 このように外国につながりのある家族や子どもを支援するには、国ごとに違う福祉システムをふまえながら、受け入れ家族や親族のアセスメントを検討することも必要になります。法律、制度、社会資源、言語の違いを超えて、支援方法の選択肢を増やし、子どもの最善の利益に国際的に応えようとする試みが、ソーシャルワークの実践のなかで、広がっていくことを望みます。

 

(ソーシャルワーカー 榎本)

ライフストーリーワークとは?
ー 子どもを迎えた後に伝えること
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 ISSJは、養子の出自を知る権利を守るため、養子のルーツ探しやライフストーリーワークの支援も養子縁組事業のなかに位置付けています。

 

 生まれてすぐ、まだ物心がつかないときに養子として迎えられた子も、乳児院や児童養護施設で過ごしてから養子として迎えられた子も、養子縁組によって、家庭、家族という安心・安全な場所を得る一方で、生みの家族との別れという喪失を経験します。養子として迎えられた方が「記憶が消失している部分がある。物心つく前の情報を知って、生まれてから今に至る自分をつなげたい」と語った言葉からは、自身を根無し草のように感じる不安な思いがひしひしと伝わってきます。

 ライフストーリーワークは、子ども自身が生まれてから今までのさまざまな出来事を繋ぎ合わせて、自分なりに意味付けをして、自分の人生の「物語」を作る作業です。また、子どもの過去、現在、未来という時間を、保護者や支援者が子どもと一緒になって旅する作業でもあります。ライフストーリーワークを行うことによって、子どもが自分は根無し草ではないという安心感を得ること、生みの親と暮らせなかった理由や背景を受け入れながら、自分の今に至る人生を肯定的にとらえられるようになることが期待されます。

 

 ISSJは、養親の皆さんがお子さんと向き合う際のヒントを提供するため、養親向けセミナーを開催しています。今年度は、徳永祥子氏(立命館大学准教授)を招いて、レクチャー、グループワーク、交流会を通じて、実体験を分かち合いながら、養親の皆さんの疑問や悩みに応じるオンラインセミナー(1月23日~24日開催、詳細は下記参照)を開催します。ご関心のある方は、是非お申込みください。

 

(公認心理師 林)

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お知らせ
NNNドキュメント
「無国籍ブルー ~大人に翻弄される子どもたち~」放送
国籍をもたない子どもたちの現状を取り上げたドキュメンタリー番組が、12月11日(日)24:55~ / 日本テレビ系列で放送されます。ISSJは番組の取材に応じました。
 
番組の詳細や再放送の日時は日テレ公式サイトをご覧ください。
オンラインセミナーお申し込み受付中!
テーマ4「国境を越えて移動する子どもの支援」
外国にルーツのある子どもたちの支援では、在日外国公館(大使館等)との連携が必要ですが、支援者としてどのように相談したらよいか、分かりづらい現状があります。
 
本テーマでは、第1回では実情と直面する課題について全体的な概要を学びます。第2回、第3回は大使館より講師を招き、その国にルーツを持つ児童に焦点を当てた支援方法を学びます。
 

講義1「子どもたちの実情と直面する課題について」

日時:12月15日(木)10:30-12:00
講師:小豆澤 史絵氏(弁護士)
 
講義2「実践編:出生登録と国籍取得手続き(フィリピン)」
日時:1月19日(木)10:30-12:00
講師:セルナ チュア シャーメイン氏(フィリピン大使館領事部 公使・総領事)※日本語逐次通訳付き
 
講義3「実践編:大使館領事部の役割と実践(タイ)」
日時:2月2日(木)10:30-12:00
講師:アチャラー チャイヤサーン氏(タイ王国大使館領事部参事官)※日本語逐次通訳付き
参加者募集中「真実告知とライフストーリーワークを学ぼう!
養親向けオンラインセミナー」
社会福祉の専門家を講師に迎え、真実告知とライフストーリーワークの考え方や実践について学びます。

未成年の養子がいらっしゃる養親の方を対象とし、セミナーの1日目はレクチャー、2日目はグループワーク・交流会を予定しています。ご夫婦そろっての参加を歓迎します。また、1日目のみの参加もお受けします。
 
日 時:1日目 2023年1月23日(月)10時~12時、2日目 2023年1月24日(火)10時~12時
形式:オンライン(Zoom)
参加費:無料
定員:先着15名さま
講師:徳永 祥子氏(立命館大学准教授、京都府立大学大学院福祉社会学博士)
 
※参加希望者多数の場合は、両日参加できる方を優先します。
養親希望者向けグループオリエンテーション
ISSJは、2022年度より養親希望者向けのグループオリエンテーション(日本語・英語)を実施しています。参加をご希望の方は、ISSJの養子縁組についてお読みいただき、ウェブサイト内お問い合わせフォームよりご連絡ください。
 
活動報告
オンラインセミナー・テーマ3
「社会的養護下にある外国籍の子どもの支援」を開催しました!
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外国につながる家族と子どもへの相談支援オンラインセミナーのテーマ3が終了しました。

講義1:外国につながる子どもの養子縁組支援について」
講義2:無国籍児童の国籍取得-⼿続きと関係機関との連携-
講義3:外国籍児童に関するアセスメント(家族関係と家庭環境の調査)-イギリスの取り組みと実施例-

児童相談所をはじめとし、多方面で社会的養護にある子どもの支援に携わる、計60名もの方にお申込みいただきました。ご参加いただきありがとうございました。
ISS本部会議が開催されました
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11月1日から11月4日、セルビアでISS本部会議が開催され、日本支部としてISSJからは常務理事の石川が参加しました。執行委員会・事務局・支部代表ら45名(現地25名/オンライン20名)が参加し、ISSの会計報告をはじめ、執行委員の選挙、ISSの活動方針についての議論が4日にわたり行われました。(写真:本部会議の様子)
ソーシャルワーカーの視点
小説「両手にトカレフ」を読んで
(出版/ポプラ社)
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 決して本心を悟られぬよう、相手を気まずくさせてしまう「リアル」を漏らさぬよう、心を固くし、武装することで自分と弟を守り続けてきた主人公ミア。誰にも期待せず、社会を信頼せず、全てを一人で抱えて立つ少女の姿は、日本社会でようやく認知され始めた「ヤングケアラー」そのものと言えるのかもしれません。

 彼女のような子どもたちが纏う鎧(まとうよろい)は、時に全くの無色透明で、見えにくい。そんな鎧を、周りの大人たちが無理やりはぎとるのではなく、脱いでも良いんだと安心できるまで、信じ、尊重し、関わり続けること。家庭という密室から解放し、それとは違う世界に橋渡しすること。そして、「助けたい」と願う無邪気な優しさが生む、否応のない力の非対称性に自覚的であること。それら全てが整ったとき、ようやく彼女たちは両手に握りしめたトカレフ銃を手放すことができるのだと思います。

 ISSJでの仕事を通して出会ってきた、多くの家族や女性たちが生きる世界にも、本作のような青空が広がっていることを信じ続けたいと思います。

(プロジェクトコーディネーター 近藤)
スタッフ紹介(オカンポス ステラ
はじめまして、オカンポス ステラと申します。2011 年から ISSJ でソーシャルワーカーとして働いています。在日フィリピン人の相談とカウンセリング、養子縁組のための家庭調査、国籍やパスポート取得に関する仕事をしており、特にフィリピン人両親から生まれて、日本で暮らしている子どもたちの支援をしています。

 

来日する前は、フィリピンでソーシャルワーカーの国家資格(RSW/licensed)を取得し、マニラのいくつかの社会開発センターや福祉機関で、子どもたちの教育や家族への生活支援、コミュニティ開発や支援グループの立ち上げに従事していました。

 

私は周りの人、特に困っている人を助けることに情熱をもっています。私にとってこの職業は天職であり、子どもたちやその家族の生活に良い変化をもたらすことができることに誇りに思います。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。ISSJメルマガに関するご質問・ご意見がございましたら、issj@issj.orgまで、お気軽にお問合せください。
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