「自分の知らない記憶」を探して
ISSJが運営する養子縁組後の相談窓口に、日本人母から生まれ、アメリカ人夫妻に養子に託されたという男性から相談が寄せられました。男性は自分が養子縁組された生い立ちについては受け入れることができていて、養親に感謝をしつつも「誰かが記憶しているかもしれない、自分にまつわる記憶を自分のものにしたい」という切実な想いを口にしました。
男性が指す"誰か"とは、生みの親であり、彼の出産に携わった医療従事者や、養子縁組に関わった福祉関係者でもあるでしょう。男性が"知らない記憶"は、当時の彼を知る人たちから語られることが望ましいのですが、当事者が十数年前の記憶を鮮明に覚えているとは限りません。“誰か”の記憶は、文書や写真等の記録によって残されていると、探し出して、つなぎ合わせることが可能になります。
"記憶"を自分のものにするには、散逸した記録を集め、つなぎ合わせて、読み解く、という過程をたどります。相談窓口のワーカーは、相談者ひとりひとりの記録のありかを探し、記録をつなぎ合わせ、読み解く過程を支えながら、埋もれた記憶探しをお手伝いしています。
記録の永年保管に向けて
ISSJは、設立以来、養子縁組に関する資料を当時の形のまま保管しています。数十年前の記録には、紙が劣化し、印字が薄くなっているものもあります。災害に見舞われると、燃えてしまったり、流れて消失することもあるでしょう。そんな心配を抱えながら、資料を保管している団体は、ISSJだけではないはずです。そうした懸案を解決するための第一歩として、2022年度に永年記録保管プロジェクトを立ち上げました。 |