難民の定住を支援する
日本には難民の背景をもつ人たちがたくさん住んでいます。難民の支援にはさまざまな方法があります。たとえば、物資や住居などを提供する支援、難民認定手続きに関する支援、仕事の紹介、言葉や勉強を教える支援など。

ISSJでは、長期にわたり難民の「定住支援」を行ってきました。では、定住支援とは何でしょうか?

よく似た言葉に「生活支援」があります。福祉の分野では、「生活支援」とは、「利用者の意思を尊重し、その生活を支える、自分らしく人生を過ごせるように支援する」などとされています。また、「定住」とは「ある場所に住居を定めて生活すること。(明鏡国語辞典)」とあります。つまり、難民の定住支援とは、「その人が地域の一定の場所に住居を定め、生活の拠点としながら、その人らしく生きていかれるように支援すること」と言えるのではないでしょうか。

「生きることの支援」というのは、少し大げさな気もします。ただ、地域の中で福祉を必要とする高齢者や障碍者とは異なり、難民の背景を持つ人は一度生活を破壊され、移住した地で生活を再建しようとする人々です。彼らが新たに始めるのは単なる暮らしではなく、人生そのものと言っても過言ではありません。

現在、日本にはウクライナから千人以上の避難民が逃れ、その前にもアフガニスタン、シリア、ミャンマーなどから逃れてきた人々が暮らしています。それぞれの生活再建には、多くの支援(=多くの視点)が必要になります。当座の生活物資の提供から、身体と心のケア、中長期的な教育や就労に関する支援も必要です。世帯主だけでなく一人ひとりの家族構成員、つまり、男性だけではなく子どもや女性、高齢の方々に対しても、彼ら・彼女らの意思を尊重しながら支援を進めなければなりません。当事者の声が反映されない支援は、どこかで一層困難な事態を招きます。だからこそ、最初から彼ら・彼女らの声を聞くことが、何よりも重要なのです。

見知らぬ土地・異なる文化風習のある国で生活を立て直すことは、容易ではありません。戦争や災害を経験している日本人だからこそ、わかることもあるでしょう。ウクライナ避難民の受け入れを契機に、多様な人々への多様な支援が社会の中で定着し、一過性ではなく息の長い支援が構築されると良いと思います。
難民の青年の専門学校進学資金、ご支援ありがとうございました!

日本でアラブ料理のレストランを開くことを目指す難民の青年。専門学校入学が危ぶまれましたが、皆さまのご支援を受けて、無事、4月7日に入学式を迎えることができました。入学費用をはじめとして、今後の目処が立つまでは、多い時には週3回ほど、青年との面談を重ねてきました。

 

「料理を勉強するのだ」という固い決意とは裏腹に、どこか不安を隠せず、「もうわからない!」と、落ち着かない様子を見せていた彼ですが、入学の手続きが済んでからは、一転、自信に満ち溢れた表情を見せるようになりました。「大丈夫!難しくないです」という、彼お決まりの言葉も戻ってきました。それはもう、人の表情・言動はこんなにも短期間で変わるのだと驚かされるほどに。

 

それから、早くも2ヶ月が経とうとしています。5月初旬、ラマダンが終わってすぐに、レストランでのアルバイトも始めました。休む暇もない日々ですが、「料理大好き、楽しいです。問題ない!」と、前向きに取り組んでいるようです。

激動の2ヶ月間を彼とともに経験し、先を見通せるということが、人にどんなにか安心を与えるのか、ということを実感させられました。その安心感は、自信や生活の安定感にもつながっていきます。

 

多くの方々の応援があり、彼は夢を諦めずにすみました。ただ、彼のように「福祉の狭間」に追いやられ、その意思が尊重されない状況に置かれてしまう人々は数多く存在します。生まれ育った背景によらず、すべての若者が夢に向かって歩めるよう、ISSJでは取り組みを継続していきたいと思います。

*青年のストーリーはこちら(特設サイトへ)

写真上:本人の手書きメッセージ / 写真下:授業で学ぶ食材名

活動報告(養子縁組事業)
養親向けセミナーを開催

日本財団の助成事業として、3月に「こころの専門家と学ぶ養親向けオンラインセミナー」を実施しました。ISSJの「養子縁組後の相談窓口」に寄せられる相談では、真実告知後の養子の気持ちをどのように受け入れたらよいか分からないなど、真実告知が関係しているものが多くあります。そこで、昨年開催した第一回と同様に、一般社団法人無憂樹代表の上村宏樹氏を講師として招き、参加者同士の意見交換を交えながら学ぶ小規模セミナーを行いました。

セミナーでは、真実告知・ライフストーリーワークは子どもだけでなく、養親自身も無理しない方法とタイミングで行うこと、養親は子どもの質問に答えるという姿勢ではなく、一緒に考える姿勢を見せて応えること、そして子どもの発達に合わせながら言葉のシャワーや点滴のようにゆっくりと長い時間をかけて行っていくことなど、具体的な方法も含めて学びました。参加者の養親の方たちからは「わかってはいても専門家の方からその根拠と実体験を踏まえて学べたので、自分のこれからの方向性に自信を持てた気がする」、「真実告知に関連した子どもの心理についてより詳しく学べてよかった」などの感想とともに、こうした機会をさらに希望する声が寄せられました。

特別養子縁組成立後の支援のあり方に関する調査研究に参加
2021年9月から2022年3月まで、本調査研究の検討委員としてISSJより常務理事の石川が参加しました。児童相談所および民間あっせん機関を対象とするアンケート&ヒアリング調査を行い、特別養子縁組成立後の支援のあり方や記録の保管、開示方法などについて検討しました。
報告書はこちら。
お知らせ
外国につながる家族と子どもへの相談支援オンラインセミナーを開催!
2020年度より実施している支援者向けオンラインセミナー。今年度も、「難民」、「多文化・多言語環境にある子ども」、「国境を超えて移動する子ども」など、全4テーマ、12講演という豪華ラインナップでお届けします。主な対象者は、実際に外国につながる家族や子どもとの関わりがある支援者となりますが、関心をお持ちの一般の方のご参加も大歓迎です。セミナー開催概要、お申し込みはこちら
ソーシャルワーカーのつぶやき vol.9
ある養子の方とのルーツ探しのやりとりを通して、お人柄にすこしだけ触れることができたかな・・・と思う頃、連絡が途切れてしまいました。何か行き詰まることがあったのかな、と心配をしていたある日、「今は、ルーツ探しは休憩しています。今の時間を別のことに使いたいと思います」とのご連絡が。
 
その時に大切だと感じることに歩みを進められたこと、「ひとやすみ」を選択されたこと、そして、それをポジティブに捉えていることを教えていただきました気持ちの揺れ動きも含めてご自身を受け入れようとされるしなやかなお姿に、尊敬の気持ちを抱かずにはいられませんでした。
 
ひとやすみ」のその先にも、お手伝いできることがあったら嬉しく思います。(武田)
スタッフ紹介(櫻井環

はじめまして、櫻井環と申します。昨年夏にアルバイトとしてISSJに入職し、広報業務や日本語教室運営の補佐などをしています。


地図や情報がない状態で歩き回ることが好きで、コロナ禍の前は自力で帰宅できるギリギリまで迷子になりながら、時間がある限りどこでも散策をしていました。最近は、Google Earthで探検しています。


私は、他のワーカーのように相談を直接お受けすることはありません。しかし、同じことは一つとしてない多様な人生や、支援者の方々と共に歩んできたISSJの軌跡を、業務を通して日々感じています。必要とする方々や皆さまに、ISSJの活動を届けていけるよう、これからも励んでいきます。

「難民の定住を支援する」掲載写真
Arab man photo created by rawpixel.com - www.freepik.com
People care photo created by jcomp - www.freepik.com
最後までお読みくださり、ありがとうございました。ISSJメルマガに関するご質問・ご意見がございましたら、issj@issj.orgまで、お気軽にお問合せください。
ISSJ公式Facebookをフォロー!
最新情報は公式Facebookページにて、随時更新しております。よろしければご覧ください!
Facebook
正しく表示されない場合はこちら
このメールは、以前よりISSJにメール登録のある方に送信しております。今後も引き続きメールマガジンの受信を希望される方は こちらをクリック してください。 今後メールの受信をご希望されない方は、こちらから配信停止手続きが行えます。
本メールは mailmagazine@issj.org よりmailmagazine@issj.org 宛に送信しております。
東京都文京区湯島1-10-2 御茶ノ水K&Kビル3F


全てのメーリングリストから配信を停止する。 配信停止 | 登録情報更新 | このメールを転送する | 迷惑メールと報告する