子どもの「知りたい」を支えるもの
ISSJが2020年に養子縁組後の相談窓口を開設してから、ルーツ探しの相談は100件を越えました。その多くはISSJを通した養子縁組ではなく、手元に残されている情報がとても限られていることもあります。
1987年に特別養子縁組制度が導入され、翌年に施行されました。特別養子は、血縁上の家族と戸籍上のつながりが途絶えています。そうすることで子どもに安定した家庭を与えるという目的の制度が、出自を知りたいという子どもの極めて自然な大切にされるべき気持ちの前では、壁となって立ちはだかります。
2021年3月、養子縁組に関わる記録の保管と開示について、厚労省から通知*が発出されました。出自を知る権利を保障する現場での取り組みは、始まったばかりといえます。
一方で、多くの養親さんたちにとっては、特別養子縁組後は里親支援の枠組みからも離れ、「一般の家庭」として子育てに奮闘せざるを得ませんでした。ある日養子であることを知ったものの、親の気持ちを思うと生みの家族のことを知りたいと言えない、という声も、ISSJによく寄せられる相談の一つです。
Kさんは、特別養子縁組制度以前に養子縁組が成立した普通養子であるために、ISSJも戸籍をたどる支援ができる幸運なケースなのかもしれません。しかし何よりも、7年の時を越えてKさんのルーツ探しが前を向いて動き始めたのは、Kさんと養親さんとの何でもオープンに話せる信頼関係があったからこそ、と感じられてなりません。
(ソーシャルワーカー 大場・武田)
*民間あっせん機関による養子縁組のあっせんを受けて養子となった児童に関する記録の保有及び当該児童に対する情報提供の留意点について(令和3年3月26日)(子家発0326第1号) |