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7年越しに動き始めたルーツ探しのストーリー
ISSJの書庫には、70年にわたる相談記録が保管されています。過去に相談を寄せた方々から記録にまつわる問い合わせを受けると、ISSJワーカーは、膨大な記録の中から当事者の記録を探し出します。 今回は7年越しに動き始めたルーツ探しのストーリーをご紹介します。
Kさんのストーリー

 

2016年、ISSJはアメリカ在住の国際養子であるKさんから、養子縁組当時の記録・資料を開示してほしいという相談を受けました。そこで、ISSJは、Kさんが養子縁組された経緯について記されていた経過記録をKさんに送りました。そこには、Kさんが児童相談所に保護された理由は生みの母による虐待であったこと、保護した児童相談所の児童福祉司、乳児院の職員、当時のISSJワーカーをはじめとする、たくさんの支援者がKさんの幸せを願い、養子縁組を選択したことが記されていました。

それから7年が経過した2023年1月、ISSJは、再びKさんから連絡を受けました。ISSJワーカーがKさんとビデオ通話をすると、KさんがISSJに開示された記録を読み解き、養親と生い立ちを整理した上で、生みの母がまだ生きているかどうかを知りたい、異父きょうだいに会ってみたい、と考えるようになったことがわかりました。

Kさんはその後まもなく家族旅行で来日し、ISSJ事務所にも足を運んでくれました。ISSJ訪問だけでなく、養子縁組成立前に入所していた乳児院も訪問し、当時のスタッフといっしょに昼食を楽しまれたそうです。Kさんの口から生き生きと語られる施設訪問の様子から、Kさんにとっての日本滞在は、単なる旅行ではなく、ご自身の記録と記憶をたどるルーツ探しとなったことが伝わってきました。アメリカに戻ったKさんは、現在、ISSJといっしょに戸籍をたどりながら、異父きょうだいの所在を捜しています。

子どもの「知りたい」を支えるもの

 

ISSJが2020年に養子縁組後の相談窓口を開設してから、ルーツ探しの相談は100件を越えました。その多くはISSJを通した養子縁組ではなく、手元に残されている情報がとても限られていることもあります。

1987年に特別養子縁組制度が導入され、翌年に施行されました。特別養子は、血縁上の家族と戸籍上のつながりが途絶えています。そうすることで子どもに安定した家庭を与えるという目的の制度が、出自を知りたいという子どもの極めて自然な大切にされるべき気持ちの前では、壁となって立ちはだかります。

2021年3月、養子縁組に関わる記録の保管と開示について、厚労省から通知*が発出されました。出自を知る権利を保障する現場での取り組みは、始まったばかりといえます。

 

一方で、多くの養親さんたちにとっては、特別養子縁組後は里親支援の枠組みからも離れ、「一般の家庭」として子育てに奮闘せざるを得ませんでした。ある日養子であることを知ったものの、親の気持ちを思うと生みの家族のことを知りたいと言えない、という声も、ISSJによく寄せられる相談の一つです。

 

Kさんは、特別養子縁組制度以前に養子縁組が成立した普通養子であるために、ISSJも戸籍をたどる支援ができる幸運なケースなのかもしれません。しかし何よりも、7年の時を越えてKさんのルーツ探しが前を向いて動き始めたのは、Kさんと養親さんとの何でもオープンに話せる信頼関係があったからこそ、と感じられてなりません。

(ソーシャルワーカー 大場・武田)

 

*民間あっせん機関による養子縁組のあっせんを受けて養子となった児童に関する記録の保有及び当該児童に対する情報提供の留意点について(令和3年3月26日)(子家発0326第1号)

真実告知とライフストーリーワーク
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特別養子縁組によって子どもを迎えるとき、子どもが幼いころからその事実を伝えていくことが、現在は一般的となりつつあります。しかしながら、どのように伝えていくかは養親さん委ねられており、「子どもの複雑な生まれの背景を話すべきだろうか」、「突然聞かれて言葉に詰まってしまった…」と、養親さんの悩みは尽きることがありません。
ISSJでは、子どもが安心して自分の生い立ちを振り返ることができるよう、真実告知とライフストーリーワークをテーマに、養親の皆さんといっしょに考えるオンラインセミナーを開催します。
詳しくはお知らせをご覧ください。
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お知らせ
養親さん向けオンラインセミナー
「養子に聞いてみよう!真実告知とライフストーリーワーク」
※日本財団助成事業「養子縁組後の家族を対象とした相談窓口の運営事業」   
7月21日(金)、22日(土)、里親支援に長年携わるかのや乳児院の躯川恒施設長をお招きし、ライフストーリーワークの実践をご紹介いただきます。また、養子当事者であるrio.さん(21日)、志村歩さん(22日)をお招きし、真実告知とライフストーリーワークへのお考えや思いを伺います。
 

日時:2023年7月 21日(金)10時-12時

       7月 22日(土)10時-12時

 ※21日、22日はゲストスピーカーとして迎える養子当事者の方が異なりますが、同じ内容です。

場所:Zoomオンライン 参加費無料 
各日先着15名様(定員に達しました)
【取材をうけました】中日新聞連載『ルーツ探し、わが子が望んだら…「出自を知る権利」に応えたい 【家族になろうね~特別養子縁組で子どもを迎えて~】』

養子縁組後の相談窓口を運営する支援団体として、常務理事の石川が、中日新聞で連載中の記事「家族になろうね~特別養子縁組で子どもを迎えて~」で取材を受けました。

本連載を執筆されている記者の方は、ご自身も里親としてお子さんを養育しています。里親や特別養子縁組の制度について、ご自身の体験をふまえながら連載を続けておられます。是非、ご覧ください。

ISSJチャリティ映画会終了のお知らせ
1980年より開催してまいりました『ISSJチャリティ映画会』は、2019年の第79回をもって終了することにいたしました。
映画会はご支援いただく皆さまに活動を直接ご報告できる大切な機会でもあり、終了することは私たちにとって大きな決断でした。これまでのご支援に改めて感謝申し上げるとともに、これからも新しい体制で、支援を必要とする方々のために活動に励んでまいります。
 
活動報告
【養子縁組】養親候補者さんへのグループ研修を実施しました
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6月7日に養親候補者さんへのグループ研修を実施し、全国から5組の家族が参加しました。
研修では実際にISSJを通して養子を迎えた養親さんをゲストに迎え、経験をお話しいただきました。養親候補者さんのグループディスカッションもリラックスした雰囲気となり、いきいきとした対話の時間となりました。
 
※写真:ソーシャルワーカーによるレクチャ―の様子
Children Across Borders(CAB)】所内スキルアップ研修を実施しました
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5月23日・31日に、ISSJ理事でもあり、長年無国籍の問題に取り組む小豆澤史絵弁護士を招き、実践形式でのスキルアップ研修を実施しました。
在留資格や国籍取得に関わる相談に必要な知識をスタッフ皆が共有するとともに、弁護士とソーシャルワーカーとの視点を交えることで事例がより立体的に見える、学びと熱い思いあふれる時間でした。
【移住者・難民の支援】医療福祉施設研修会へ講師として参加しました
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6月13日、神奈川県医療福祉施設協同組合(医療協)の研修会に講師として参加し、「日本で暮らす難民・難民申請者」というテーマでお話をしました。普段から、ISSJには生活が不安定な難民申請者から医療へのアクセスに関する相談が寄せられ、無料低額診療事業を行う医療施設との連携は欠かせません。
当日は26施設から参加があり、とりわけ難民申請者の生活について関心が寄せられました。
ソーシャルワーカーの視点
極北の子育て、ありのままのの世界で自由に独自に成長する子どもたち
子どもの文化人類学」を読んで
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極北に生きる狩猟民ヘヤー・インディアンは、零下50度でどうやって赤ちゃんを守るのか。過酷に思えますが、彼らの一日の「はたらく」「やすむ」「あそぶ」の分類では、子育ては「あそび」として楽しむもの。2019年に亡くなった文化人類学者、原ひろ子さんの著作は、私にとってどんな子育て情報よりも励まされ、元気がでるものでした。

移住者・難民の支援のなかで出産後の家庭訪問をしたとき、布でグルグル巻きになった新生児の赤ちゃんの姿に感嘆したものです。日本という異文化の中で子育てする家族それぞれがもつ、豊かな文化を知らないでいることはあまりにもったいなく、一人ひとりに改めてインタビューをしたくなりました。離乳食はどう作っているんだろう?トイレトレーニングはいつから?違いを知ることが、私たちの子育てをぐっと楽しくしてくれるに違いありません。

 
(ソーシャルワーカー 重藤)
スタッフ紹介(三船陽子
この度9年ぶりにISSJに復帰させていただきました。その間まさに時世も変わり、コロナ禍を経たISSJは様々にデジタル化も進み、自分が思うよりも復帰の壁ははるかに高かった…と実感しています。周囲のスタッフの手厚いサポートに心から感謝しつつ、一から学びの毎日です。
 
あらためてISSJの仕事は広い意味で、この日本社会の歪みや隙間を調整する大事な仕事であると感じます。
少しでもお役に立てますようがんばりますので、よろしくお願いいたします。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。ISSJメルマガに関するご質問・ご意見がございましたら、issj@issj.orgまで、お気軽にお問合せください。
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