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出自を知る権利と養子縁組
「自分は誰から生まれ、どこで誰によって育まれ、今ここに存在するのだろうか?」
日々の暮らしの中で、こうした問いに想いを巡らしたことのある人もいれば、それほど意識したことのない人もいるでしょう。自身の生い立ちを振り返るとき、多くの人は、父、母、きょうだい、祖父母といった親族とのつながりを思い描くかもしれません。こうした家族の存在が当たり前であればあるほど、あえてそのような問いを立てることはないかもしれません。

出自を知る権利とは

 

国連で採択され、日本も批准している「子どもの権利条約」には「児童は(中略)できる限りその父母を知りかつその父母によって養育される権利を有する」(第7条)と定められています。子ども一人ひとりが自分のルーツ・生い立ち(出自)を知ることは、子どもの健やかな成長には欠かせない(子どもの福祉に資する)と考えられています。昨今では、生殖補助医療(第三者からの精子や卵子の提供など)によって生まれる子どもの「出自を知る権利」に配慮するための議論が進み、超党派の議員連盟は、法制化を目指しています。他方、養子縁組に係る子どもの「出自を知る権利」についての議論は、途上にあります。(参考 ※1)

ISSJは民間あっせん機関として、2020年より「養子縁組後の相談窓口」を運営しています。相談窓口を開設してから、ルーツ探しに係る相談は100件を越えました。相談者の多くは、ISSJで養子縁組をしていません。「最近、自分が養子であることを知った」「生み親が誰なのか知りたい」「養子縁組の審判書はあるけれど、ここには書かれていない情報も知りたい」など、さまざまな思いが語られます。担当は、相談者一人ひとりの状況、疑問、希望に応じながら、出自に係る資料や記録が保管されている機関を探したり、資料や記録を入手する方法を問い合わせたり、得られた情報をいっしょに読み解くなどの併走支援を提供しています。 
また、ISSJは今年から「赤ちゃんポスト」や「内密出産」に取り組んでいる熊本市の慈恵病院が熊本市と共同で設置した「緊急下の妊婦から生まれた赤ちゃんの出自を知る権利の保障等に関する検討会」(※2)の委員に養子縁組支援機関の立場から参加をしています。医療者、弁護士、研究者、社会福祉士、児童福祉の専門家、養親などさまざまな立場の委員が、それぞれの視点から子どもの出自について議論を重ねています。

当事者のために

 

養子当事者にとっては、生みの親の氏名や生年月日だけが出自情報ではありません。出生にまつわるエピソードや、生まれる命がどのように守られ、つながれたのか、命をつなぐために奔走した人たちの想いも当事者にまつわる大切な情報です。ただ、当事者が皆、出自情報を求めるわけではありません。なかには、あえて出自を知る選択を取らない人もいます。だからこそ、ISSJは、出自を知りたいと願ったときに、出自を知る方法が定められていることが重要であると考えています。

 

子ども一人ひとりの出自情報をどのように残し、どのように管理し、どのように伝えていくことが望ましいのか、さらなる議論を重ねて、制度化する必要があります。また、当事者の生い立ちを整理し、出自情報をどのように伝えていくことが望ましいのか、養親と支援者が共に考えながら、子どもの成長に合わせて実践していくことも大切になります。

 

当事者のさまざまな思いに寄り添いながら、子ども一人ひとりの権利を守るために、どのように支援技術を向上させ、どのような取り組みを重ねることが必要なのか、日々の実践のなかで考え続けていきたいと思います。
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令和5年度文化庁長官表彰を受賞しました
  • 2022年度事業報告書を発行しました
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常務理事の石川美絵子が、下記の取り組みにより「令和5年度文化庁長官表彰」を受賞しました。
 
 文化庁長官賞表彰についてはこちら
令和五年度文化庁長官表彰名簿はこちら
“永年にわたり社会福祉の視点から、多様な機関と連携し、特に脆弱な難民避難民女性・外国につながる子供のための日本語教室を運営するとともに 、自立につなげるためのコミュニティー支援に取り組んでいる。また、日本語教師のための難民理解研修にも尽力し、日本の国際貢献及び文化共生の推進に大きく貢献している。”
 
(令和五年度文化庁長官表彰名簿より引用)
石川よりご挨拶
 
「この度、日本語教育部門において、文化庁長官表彰をいただくことになりました。これは、ISSJがこれまで取り組んできた「女性のための日本語教室」について評価をいただいたものです。この事業は、1人でも多くの移住女性が学び、社会につながる機会を提供したいという思いで、2017年に始めました。教室の運営を通じて、ムスリムや子育て期にある女性たちの声を多く聞いてきました。学びたいと強く願っていても、教室へのアクセスに制約がある人々がいます。彼女たちが言葉を学ぶことで自信を取り戻し、より前向きになっていく様子は、私たち関係者にも力をくれました。

私がこのような栄えある賞をいただけるのは、教室運営に協力してくださる方々、継続的に通ってきてくださる学習者の皆さんのおかげであり、関係者全員を代表しての受賞だと思っています。今後も、移住女性の声に耳を傾け、課題の解決に努めていきたいと思います。引き続き、ご支援のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
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お知らせ
事前登録不要!ISSJオンライン活動紹介を開催します
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「ISSJの相談員ってどのように働いているの?」
「実際にどうやって相談にのっているんだろう...」
 
2023年の活動も振り返りながら、事務局から相談員に聞いていくオンライン活動紹介・ライブ配信を開催します。
 
開催日時:12月19日(火)19:00-19:30 YouTubeライブ配信
※終了時刻は変更になる可能性があります。
移住者とソーシャルワーク 支援者向けオンラインセミナー参加者募集
難民の背景のある人も含む移住者(難民・移民)からの相談は、背景事情がわかりにくかったり、色々な課題が複雑に絡み合ったりして、対応が難しいことがよくあります。当事者だけでなく、家族やコミュニティといった当事者を取り巻く環境について理解し、働きかけを行っていくことも欠かせません。
 
今年度は、4日間(12/2、1/20、1/27、2/17)にわたり、移住者のソーシャルワークをテーマとして開催します。 第1回(12/2)の開催は終了しましたが、録画視聴を含む、セミナーの参加者を募集中です。
【メディア情報】日本財団ジャーナル『「出自を知る」ことは養子の権利。養子縁組における「ルーツ探し」の大切さ』
  • 2022年度事業報告書を発行しました
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日本財団ジャーナルのなかで「特別養子縁組後の相談窓口」を取り上げていただきました。インタビューでは、出自を知りたいと思う当事者の皆さんを支援するのなかで、ソーシャルワーカーが感じたり、考えたりすることについてもお話しをしています。ぜひご覧ください。
 
活動報告
【移住者の支援】東広島で移住者コミュニティのヒアリングを行いました
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新事業「難民の背景を持つ移住女性の社会統合促進事業」のニーズ調査の一環として、東広島のムスリムコミュニティを訪問しました。2日間にわたる当事者とのミーティングには、20名を超える方々にお集まりいただき、 暮らし、子育て、仕事、将来など、それぞれの想いを聞くことができました。合わせて、日本語教育や多文化共生に関わる方々にもお会いし、これからの協働に向けて意見交換を行いました。
【Children Across Borders(CAB)】子どもの国籍・在留資格に関する「当事者向けレクチャー&相談会」を実施しました
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ISSJでは社会的養護下にある外国につながる子どもまたはケアリーバーを対象に、国籍、在留資格、帰化などのレクチャー&相談会を開催しています。個別相談会へはこれまでに6件のお申込みを受け付け、弁護士と連携しながら順次実施しています。成人後の進路、在留資格の変更、パスポートの更新、活用できる社会資源など、一人ひとりの状況に応じて具体的なアドバイスを提供しています。
ソーシャルワーカーの視点
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街中がイルミネーションで彩られはじめた11月の最終日、クリスマスの申し子と呼ばれたミュージシャン、Shane Macgowan(なんと、12月25日生まれ)が天国に旅立ちました。

 

アイルランドにルーツを持つ彼は、1980年代にケルト音楽にロックンロールを融合した独自のスタイルを創造し、The poguesのフロントマンとして一躍ロックスターとして名を馳せました。彼は、時代に翻弄され、不遇な状況に置かれた人たちの苦しみを叙情的な言葉にのせて世に届ける詩人でもありました。物語の主人公は、時として労働者であり、社会に忘れ去られようとしている人々であり、女性たちでもあります。その主人公の姿は、社会制度の隙間に追いやられたり、社会情勢に翻弄されて、ISSJに相談を寄せる人々と重なります。彼らの悲哀に満ちた人生をときにはユーモアたっぷりに明るく、ときには悲しくも美しく映し出す作品は心に深く響きます。

 

今年のクリスマス、街を歩けば、彼の名曲「Fairlytale of New York」が皆さんの耳にも聴こえてくるかもしれません。

 
 
(ソーシャルワーカー武田)
インターン紹介

10月よりインターンを始めましたイワイと申します。本業では、地域福祉の領域でソーシャルワーカーとして働いています。日本に暮らす外国ルーツの方のソーシャルワークに携わりたいという思いがあり、インターンに応募しました。私が、外国ルーツの方のソーシャルワークに関心を持つ大きなきっかけとなったのは、ペルールーツのパートナーと結婚したことです。彼や日本で暮らす彼の親族との関わりを通じて、これまで日本社会で当たり前に享受していたものは、私が、「日本のルーツ」という特権を持つためだと気づかされました。

 

ISSJでは、インターンを始めて2ヶ月ほどですが、養子縁組、CAB、移住者の支援という様々な事業のアシスタントをさせていただいています。海外の社会資源や制度を活用したISSJのケースでは、専門性が高い関わりがたくさんあり、とても貴重な学びを体験しているなと感じます。温かいスタッフの皆さんに囲まれ、分からないことがあっても、気軽に質問できることが大変有り難いです。今後も、学びを深めながら、ISSJの業務に真摯に取り組んでいきたいと思います。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。ISSJメルマガに関するご質問・ご意見がございましたら、issj@issj.orgまで、お気軽にお問合せください。
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