地方都市の児童相談所から、「措置中のきょうだいが無国籍状態かもしれない」との相談が寄せられました。子どもたちの在留カードには「A国」と記載されていましたが、パスポートはありません。きょうだいは里親家庭や児童養護施設で、自分が「無国籍」であるとは意識せずに育ち、学校に通い、高校卒業を控えて就職が内定している子もいました。
相談を受け、ISSJがA国大使館に照会した結果、本国での出生登録がなされていない「無国籍状態」であることが判明しました。背景には、不安定な法的身分のまま居所を転々としていた母親の生活状況がありました。
通常、本国への登録手続きには実親の協力が不可欠ですが、連絡不通や書類不足などで頓挫するケースが少なくありません。実親の協力が得られない場合、児童相談所が職権で手続きを進められるよう、大使館・領事館へ粘り強く働きかける必要があります。本事例でも母親の協力を得ることが難しかったため、国籍問題に詳しい弁護士に相談をしながら、大使館との協議を重ねました。
また、手続きの進行と並行して、子どもたち自身へ「無国籍状態であること」や「母親が手続きをできなかった経緯」を説明しました。周囲の日本人と同じように育ってきたきょうだいにとって、国籍取得の手続きは、自身のアイデンティティと深く向き合うプロセスでもあります。