【駆け抜けた葉月】
日本の夏を過ごすのは、ヨーロッパに渡って以来8年ぶり。蒸し暑さとの戦いでもあった8月は、公開と非公開を合わせて10公演以上もの演奏の機会に恵まれ、忙しくも充実した時間となりました。いただいた沢山のご縁に感謝しております。
葉月のコンサートは、實川風さん(pf)とのデュオから始まりました。メインに据えたのは、ブラームスが友人の相次ぐ訃報に触れた後に書き上げた「ヴァイオリン・ソナタ第3番」。曲が生まれた地、スイスのトゥーン湖を7月に訪れ、孤独や悲しみ、不安が込められた作品のイメージを膨らませて臨んだ初挑戦でした。
息つく暇なく駆け抜けた1カ月で特に印象深かったのは、京都の能舞台でのコンサートです。橋掛かりから舞台上に進み入ると、ピリリと張り詰めた神聖な空気を感じ、一気に身が引き締まります。香しい檜造りの会場が弦楽器の音を豊かに響かせ、心地の良い音響空間でした。
先月はレコーディングも行いました。チェリスト内田麒麟さんの新曲「弦楽四重奏」は、どのパートも非常に難度が高く、アンサンブルも複雑です。音楽家としても人としても大好きなアレグロカルテットのメンバーで、河口湖のスタジオにこもった4日間。寝食を共にしながら難曲を乗り越えた先には、美しい新たな世界が待っていました。
深みのある作品と〝集中合宿〟の一端をご覧頂けるPR動画はこちら。
https://youtu.be/nX7XHBRcUCE
来年発売予定のCDに収録されます。みなさま、どうぞお楽しみに!
今月は7日(土)に尾上邸音楽堂(東京都豊島区)でリサイタル。パリ在住のピアニスト、鈴木隆太郎さんと、お洒落なクライスラーの小品に加えて、色鮮やかなサン=サーンスの「ヴァイオリン・ソナタ第1番」や、オペラを聞いているようなストーリーが感じられるモーツァルトの「ヴァイオリン・ソナタK.379」をお届け致します。
21日(土)は銀座・長野アンテナショップにて、兎束俊之さん(va)、D.フェイギンさん(vc)等豪華メンバーで、モーツァルトの弦楽四重奏を演奏。その足で渡欧し、ミュンヘンにて3つのコンサートに出演します。
10月頭にはNHK FMに出演予定。詳細は随時ツイッター(https://twitter.com/MaiSuzuki_vn)等でご案内致します。
暑さ続く毎日、どうぞお身体にお気をつけてお過ごしください。
皆さまにお会いできますのを楽しみにしております。