【感涙】
それは、初めての感覚でした。
ヴァイオリンを手に舞台に上がり、集まったお客様と久しぶりに顔を合わせた時。
壇上に向けられた笑顔と温かい拍手に、感極まって涙が溢れてきました。
新型コロナウイルスの影響で遠ざかっていたコンサートに、約4カ月ぶりに戻ってきた感慨。同じ空間で音楽を直接届けることができる喜び。
何よりも、この日を待ち望んでくださっていたという思いが客席からストレートに伝わり、心が揺さぶられました。
期せずして涙してしまったことに動揺する自分の前には、もらい泣きでしょうか、目頭を押さえる方々の姿も見えました。
密を避ける万全の対策を講じるため、入場人数を制限し、座席の間隔も空けました。
それでも、会場にはお客様の熱、音楽への思いが満ちていました。
高校生の頃から本格的に演奏活動を続けてきましたが、これほどまでに公演のブランクが空いたことはありません。
演奏の場に恵まれていた過去を夢のように感じながら、感謝の気持ちとともに、ベートーヴェンのソナタを軸に組んだプログラムをお届けしました。
東京都の芸術支援事業「アートにエールを!東京プロジェクト」は、創造性豊かな動画が完成しました。
日本舞踊とクラシックバレエ、ヴァイオリンという異色のコラボレーションは初挑戦。
クライスラーの無伴奏曲に合わせて振り付けられた踊りにインスピレーションをもらい、リハーサルを重ねるごとに自分の演奏が変わっていくのを感じました。
当初はリモートで収録する予定でしたが、緊急事態宣言の解除を受けて、複数の演者が集まることが可能に。
音楽のスタイルが異なる日本舞踊とのコラボ、踊りやすさを配慮した演奏に難しさもありましたが、無伴奏のヴァイオリン曲から広がる3人の世界は新境地と呼べそうです。
公開をお楽しみに。
27日(月)には金子鈴太郎さん(チェロ)黒岩航紀さん(ピアノ)と自身初のライブ配信を行います。
メンデルスゾーンの「ピアノ三重奏曲第一番」はトリオで最も多く演奏してきましたが、公演ごとに、また共演者が変わるたびに新たな一面を発見できる深みのある名曲です。
また一歩進化したメンデルスゾーンをご期待ください。
テレビCMにも採用された森田花央里さんの「風の記憶」、2年前に書き下ろしてもらった江原大介さんの「ヴァイオリンとピアノのための無言歌」など、日本の若手作曲家の美しいメロディも聴きどころ。
楽譜が出版されていない作品もあり、他ではなかなか聴く機会がないプログラムとなっています。
複数のカメラ、高音質のマイクと撮影や音響の環境にもこだわった配信。
公演後1週間はアーカイブでの視聴も可能ですので、オンタイムで鑑賞できない方も こちらより 是非チケットのお買い求めをご検討ください。