10月21日は東京・渋谷の「美竹清花さろん」にて、ピアニストの實川風さんとシューマン、プロコフィエフにスポットライトを当てたプログラムをお届けしました。
心の病を患ったシューマン、階段から転落する事故の後遺症に苦しんだプロコフィエフ。
2人の作曲家が完成させたヴァイオリン・ソナタ第1番には、苦悩や狂気が漂います。
ただ、闇や死を近くに感じるほど、より一層輝いて見えるのが命や幸せ。
戦乱が渦巻いた時代に翻弄され、もがきながら、それでも生きようとした彼らのエネルギーを作品から感じ取り、演奏に込めました。
チケット完売を受けて昼夜2回に変更した公演は体力的にハードでしたが、曲が与えてくれたパワーと、お客様の熱気に後押しされて弾き切ることができました。
ピアノパートに音がぎっしり詰まったシューマンの作品は、ヴァイオリンとのバランスが非常に難しいと言われています。
角張った演奏になりがちですが、實川さんはヴァイオリンのメロディに絶妙に寄り添い、しなやかに優しく包み込んでくれました。
2人で対話しながら音楽を作り上げ、シューマンの心のひだに入り込んでいくような感覚。
演奏後は、声を発する代わりに「Bravo!」と書かれたプラカードを掲げてくださったり、いつもより長めの拍手を送ってくださったり…。
政府の規制緩和を受けて客席数は増え、会場の一体感も一段と高まったように感じました。
それぞれのヴァイオリン・ソナタ第2番を取り上げる次回は、来年4月10日(土)の予定。
お楽しみにお待ちください。