政府が3回目の緊急事態宣言発令を決めた翌日(24日)のこと。
東京都内の演芸場が出した声明が、注目を集めました。
「大衆娯楽である『寄席』は社会生活の維持に必要なものに該当すると判断した」(浅草演芸ホール)
「昔からの伝統芸能で、今もなお途絶えずに伝わっているということは、社会生活の維持に必要なものであると解釈した」(新宿末廣亭)
東京都の無観客開催の要請に「NO」を突き返したのです。
長引くコロナ禍は、社会における文化芸術の意味を問い直しています。
演芸場の判断に対しても、世論の反応はおおむね好意的だったようです。
背景にあるのは、行政への不満や「コロナ疲れ」といった反動だけではないかもしれません。
入念な対策を講じて公演実績を積み重ねてきた主催者や各ホール、サロンの尽力が、音楽や芸術の渇望に応え、文化活動の継続を後押ししてくれているように感じます。
社会の一員であると再認識できるのは、お客様から「感動した」「心が洗われた」といった温かい言葉をいただいた時。
聴いてくれる人がいなければ、演奏家ではいられません。
いま自分にできることを、ひたむきに。
先が見通せないからこそ、足元を見つ直して一歩ずつ進む時だと考えています。