ヴァイオリニスト 鈴木舞 ニュースレター Vol.40

【ひたむきに

政府が3回目の緊急事態宣言発令を決めた翌日(24日)のこと。

東京都内の演芸場が出した声明が、注目を集めました。

「大衆娯楽である『寄席』は社会生活の維持に必要なものに該当すると判断した」(浅草演芸ホール)

「昔からの伝統芸能で、今もなお途絶えずに伝わっているということは、社会生活の維持に必要なものであると解釈した」(新宿末廣亭)

東京都の無観客開催の要請に「NO」を突き返したのです。

 

長引くコロナ禍は、社会における文化芸術の意味を問い直しています。

演芸場の判断に対しても、世論の反応はおおむね好意的だったようです。

背景にあるのは、行政への不満や「コロナ疲れ」といった反動だけではないかもしれません。

入念な対策を講じて公演実績を積み重ねてきた主催者や各ホール、サロンの尽力が、音楽や芸術の渇望に応え、文化活動の継続を後押ししてくれているように感じます。

 

社会の一員であると再認識できるのは、お客様から「感動した」「心が洗われた」といった温かい言葉をいただいた時。

聴いてくれる人がいなければ、演奏家ではいられません。

いま自分にできることを、ひたむきに。

先が見通せないからこそ、足元を見つ直して一歩ずつ進む時だと考えています。

3月末は「第44回ピティナ・ピアノコンペティション 入賞者ガラコンサート」(第一生命ホール)にて演奏の機会をいただきました。

約1週間前に出演が決まり、急きょメンバーを集めて臨んだフランクの「ピアノ五重奏曲より第1楽章」。

銀賞に輝いたピアニスト森本隼太さんの、高校生と思えないほど成熟した音楽性に驚かされました。

気心の知れた弦楽器のメンバーと紡いだ〝大人のクインテット〟は、こちらでお聴きいただけます。
ピティナ入賞者ガラコンサート

4月8日には東京・銀座の王子ホールでコントラバス奏者の大川瑳武さん、ピアニストの多賀谷祐輔さんと共演しました。

弦楽器のヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスは大きさの違いはあれ、同じ楽器群と思われがちです。

しかし「ヴァイオリン属」の3者と違い、コントラバスだけは「ヴィオール属」。

ルーツが異なり、弓の持ち方、奏法も違います。

普段のヴァイオリンの弾き方では音がなじまないように感じたため、コントラバスの発音に合わせるよう試行錯誤しながら本番を迎えました。

大きな楽器を自由自在に操る大川さんとの演奏は、とても刺激的で充実した時間でした。

美竹清花さろん(東京・渋谷)での實川風さんとデュオリサイタルでは、プロコフィエフとシューマン、キャラクターの違う二つの大作に挑みました。

シューマンの「ヴァイオリン・ソナタ 第2番 二短調 Op.121」は30分を超す作品で、ヴァイオリニストとピアニストのどちらにとっても難曲。

一人で練習している時はまるで試練を与えられているような思いに苦しみましたが、リハーサルで實川さんと一緒に弾いてみると、二人で支え合っているような、不思議な感覚に。

大曲がもたらす高揚感や喜びは、アンサンブルによって2倍にも3倍に膨らみました。

今月のプライベートコンサートで名作をお届けした小林侑奈さんとは、5月1日、2日に河口湖で、8月8日に清里(山梨)にて共演予定です。

河口湖「音楽と森の美術館」では、ストディヴァリウスと数万円の楽器の聴き比べも。リアル格付けチェック、皆様も挑戦してみてください!

 

箏の山水美樹さんとのデュオでは、一味違う雰囲気のクラシック音楽をお届けしました。

音楽配信サイトの「Todays Concert」でお聴きいただけるほか、年内には再演の見通しとなりました。

情報公開を楽しみにお待ちください。

ゴールデンウイーク中の54日(火)は「丸の内エリアコンサート」にて14:30よりピアニストの片山柊さんと無観客コンサート。ピティナ・ピアノチャンネル【公式】YouTubeチャンネルにてライブ配信の予定です。

 

5/15(土)は加藤大樹さん(Pf)と、都内にてデュオ・リサイタル。

プログラムの大半が初挑戦と、新境地を開く舞台になります。

ベートーヴェン作曲の「ヴァイオリンソナタ第9番イ長調 作品47」は超大作。

ロシアの文豪トルストイの小説「クロイツェル・ソナタ」は、この曲に触発されて執筆されました。

池内友次郎の「ヴァイオリンとピアノのためのソナチネ」は、日本ののどかな風景を眺めているかのうような、癒しをもたらす作品です。

かの有名な俳人、高浜虚子の息子で、文学界との不思議なつながりをたどるプログラムがそろいました。

異端児として知られたサティの「右や左に見えるもの~眼鏡無しで」など、ユニークな作品もご用意し、皆様のお越しをお待ちしております。

河口湖音楽と森の美術館コンサート
2021年5月1、2日 10:30〜、13:40〜
河口湖音楽と森の美術館(山梨県)地図
共演:小林侑奈(ピアノ)
詳細はこちら
お問い合わせ先:0555-20-4111
 
丸の内エリアコンサート
2021年5月4日 14:30〜
共演:片山柊(ピアノ)
ライブ配信にてお届けします。
※新型コロナウィルス感染防止のため10/6に延期となりました。
三越カルチャーサロン 名曲の花紀行
2021年5月12日 12:00~
ソンブルイユ(千代田区富士見)地図
共演:福原彰美(ピアノ)
フランク:ヴァイオリン・ソナタ、他
詳細はこちら
お問い合わせ先:03-3274-8595
鈴木舞&加藤大輝 DUOリサイタル
2021年5月15日(日)
スタジオコンチェルト(中野区)地図
共演:加藤大輝(ピアノ)
ベートーヴェン:ヴァイオリンソナタ「クロイツェル」他
詳細はこちら
一般3500円 学生2000円
お問い合わせ先:090-4598-0153 (佐伯)
 
お問い合わせはこのメールにご返信ください。

2020年から「鈴木舞 後援会」が発足し、会員の募集がスタートしました。

後援会主催コンサートへの無料ご招待や懇親会へのご案内、一部コンサートの優先案内・優先予約、オーディオ付きお誕生日メールなど盛りだくさんの特典をご用意して入会をお待ちしております。  
詳細はこちらからご覧ください。

https://maiviolin.com/fanclub/

鈴木舞 デビューアルバム 好評発売中!
マイ・フェイバリット ”Mai favorite”
ピアノ:實川風、山田和樹

大好きなフランス音楽の中でもお気に入りの曲を集めました。タイスの瞑想曲 などの名曲から、愛と死、そして政治をもテーマに据えたプーランクのヴァイオリン・ソナタ。銘器、アマティの音色でお楽しみください。

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