ヴァイオリニスト 鈴木舞 ニュースレター Vol.42

【余韻

「何と神がかった美しい曲なんだろう…」
6月12日、加藤大樹さん(Pf)との共演で初挑戦した『クロイツェル・ソナタ』の感動と余韻は、まだ消えそうにありません。
作曲したベートーヴェン自身が「コンチェルト(協奏曲)のように」と表現したように、ヴァイオリンとピアノがそれぞれの個性を引き立たせつつ、音が重なりあって広がっていく。
そのメロディは、崇高な王をイメージさせます。
口数は少なくとも一言一言に重みがあり、威圧とは違うオーラにひれ伏してしまうような。
33歳にして、この壮大な世界を書き上げたことに驚きを覚えました。

ヴァイオリニストであれば知らない人はいない、と言われるほどの作品ですが、恥ずかしながら初めて聴いたのは10代で国際コンクールに出場した時でした。

激しく、攻撃的な演奏に「プロコフィエフかショスタコーヴィチだろうか?」が第一印象で、どこか取っつきにくさを感じてしまった部分もありました。

ただ、避けては通れない大曲です。

意を決して正面から取り組んでみると、当時は見えなかった奥深さに気付くことができました。

古典的な要素を意識しながらアプローチした今回の初演を経て、この先どんな『ヴァイオリンソナタ第9番イ長調』へと深めていけるだろう。

そんな期待感も抱く一歩となりました。

今月30日(水)には、銀座・王子ホールでの「ロシア室内楽の夕べ」が迫ってきました。

プログラム前半では今年没後50年となるストラヴィンスキーの『イタリア組曲』(Vn. Pf.)より3曲と、ショスタコーヴィチの『弦楽四重奏のためのエレジーとポルカ』を演奏。

『イタリア組曲』は3曲それぞれに違うキャラクターで、ストラヴィンスキーらしい華やかさが魅力です。

戦火を逃れて滞在したスイスの街、モルジュで書かれた作品。

ローザンヌ留学時代に心が洗われたレマン湖畔の景色を思い浮かべながら音を紡ぎます。

ショスタコーヴィチの弦楽カルテットは「エレジー(悲歌)」と、道化師が想起されるようなユニークな「ポルカ」が対照的。

後半にはメインのショスタコーヴィチ『ピアノ五重奏曲 作品57』が控えます。

一昨年の「フランス室内楽の夕べ」と同じメンバーでの久しぶりの共演を、とても楽しみにしています。

 

7月28日(水)にはピアニストの川口成彦さんとスタートした「モーツァルト ヴァイオリン ソナタ全曲演奏会」の第2回「1781年vol.1」が美竹清花さろん(渋谷)で行われます。

早くも完売をいただき、キャンセル待ちを受け付けております。

第3回は来年1月を予定。

天才モーツァルトの世界を辿る全5回の旅路に、これからもご注目ください。

 

7月31日(土)は昨年のピティナ・ピアノコンペティション”特級”で銀賞ならびに聴衆賞に輝いた新進気鋭の16歳、森本隼太さんを迎えてクインテットサロンコンサートをお届けします。

3月に第一生命ホール(東京)で共演した際には、フランク『ピアノ五重奏曲』の第一楽章を演奏しましたが、今回は全楽章演奏が実現します。

對馬哲男さん(vn)中村翔太郎さん(va)小畠幸法さん(vc)の豪華メンバーも再集結し、フランクの弟子だったピエルネの『ピアノ五重奏曲 Op.41』と重厚な二本立て。

叙情的なフランク、クリスタルのような輝きのピエルネのクインテットで、皆様をお待ちしております。

チェリストの内田麒麟さんが作曲したアルバムで、私も参加した「CLASSICAL」が7月初旬にリリースされる運びとなりました。
4楽章からなる弦楽四重奏でファーストヴァイオリンを務めたのですが、とにかく難しい曲で悪戦苦闘。
ジャズの要素を感じられたり、叙情的な楽章が訪れたりとユニークな作品は、奇をてらった新しさではなく、それでいてクラシックの枠を超えた新境地を開いています。
気心の知れた尾池亜美さん(Vn)安達真理さん(Va)も一緒に、朝から練習して、レコーディングして、買い出しに行って、料理をして…とまるで学生の合宿生活だった数日間。
人生で初めて流れ星を見ることができた美しい山梨での成果を、是非お聴き下さい。
河口湖音楽と森の美術館コンサート
2021年6月26日(土)10:30〜、13:10〜
河口湖音楽と森の美術館(山梨県)地図
共演:グレイ理沙(チェロ)
詳細はこちら
お問い合わせ先:0555-20-4111
ロシア室内楽の夕べ
2021年6月30日(水)18時開演
王子ホール 地図 
共演:長尾春花(vn)實川風(pf)田原綾子(va)伊東裕(vc)
詳細はこちら
鈴木舞&川口成彦 モーツァルト ヴァイオリン ソナタ全曲演奏会 第二回
2021年7月28日(水) 19時開演

美竹清花さろん(渋谷)地図
共演:川口成彦
詳細はこちら
クインテットサロンコンサート
2021年7月31日(土)19時開演

美竹清花さろん(渋谷)地図
共演:森本隼太(pf)、對馬哲男(vn)、中村翔太郎(va)、小畠幸法(vc)
デュオリサイタル
2021年8月8日(土)
清里の森音楽堂(山梨県)地図
共演:小林侑奈(ピアノ)
お問い合わせ先:0551-48-3151
お問い合わせはこのメールにご返信ください。

2020年から「鈴木舞 後援会」が発足し、会員の募集がスタートしました。

後援会主催コンサートへの無料ご招待や懇親会へのご案内、一部コンサートの優先案内・優先予約、オーディオ付きお誕生日メールなど盛りだくさんの特典をご用意して入会をお待ちしております。  
詳細はこちらからご覧ください。

https://maiviolin.com/fanclub/

鈴木舞 デビューアルバム 好評発売中!
マイ・フェイバリット ”Mai favorite”
ピアノ:實川風、山田和樹

大好きなフランス音楽の中でもお気に入りの曲を集めました。タイスの瞑想曲 などの名曲から、愛と死、そして政治をもテーマに据えたプーランクのヴァイオリン・ソナタ。銘器、アマティの音色でお楽しみください。

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