ヴァイオリニスト 鈴木舞 ニュースレター Vol.57

【ベル・エッポックー古き良き時代ー

ニューヨークからいよいよ帰国する日、空港へ向かう前に本場のスターバックス(本当の本場はシアトルですが一応アメリカということで)にも行っておこうと思い、早朝にスタバに立ち寄りました。

ニューヨークのスターバックスには温かい食事のメニューもあり、朝食には十分でした。

お手洗いに行きたくなったので、席を取っておく感覚でストールだけを置いて席を立ったのですが、戻ってくると、そこには別人が座っていました。

ものの数分でしたが、警備員さんの一人が忘れ物だと思ってストールを保管しておいてくれたのでした。よく見回してみると、店内には何人もの警備員さんが目を光らせていました。

ニューヨークでは物を置いて席を立つと盗まれるリスクが非常に高いようで、親切心でそのようにしてくれていたのです。

さて、今日こそは帰国の便に乗り遅れるわけにはいきませんので、かなり早めに空港へ向けて出発しました。

時間にたっぷり余裕をもって空港駅行きの電車に乗ったので、これでもう安心と思ったのがいけなかったのでしょう、またも一波乱。

途中から徐行運転や一時停止が多くなったことには気づいていましたが、車掌さんのアナウンスが地下鉄の騒音のせいでうまく聞き取れず、それでも時間に余裕があったので「海外ではよくあること」と気楽に構えてそのまま乗り続けていたあの時の私に、今なら一言言ってあげたいです、「もうちょっと気をつけてね」と。

そろそろ空港に到着するはずの時間になり、電車の行き先を示す車内の表示案内板に目をやると、電車の行き先が全く違う駅になっていました。

驚き急いで電車を降り、そこからの空港への行き方を調べましたが、空港までの距離は近いものの公共交通機関の便が良くない場所で、電車とバスを乗り継いでいたら搭乗時刻に間に合わないことが判明しました。

やむなくタクシーを呼んで空港に向かったのですが、結局到着したのはかなりギリギリの時間。というわけで、最後までヒヤヒヤの旅でした。

 

数日前、日本への乗り継ぎ便に間に合わずニューヨークの街へ放り出されたあの日、実は荷物が行方不明となっていたのですが、チェックインの際にもう一度調べてもらうと、ニューヨークの空港に残っていたことが判明し、無事、自分のスーツケースと共に帰国の途につくことができました。

フライト前に事前にコロナ関連の書類や陰性証明書等をオンラインで登録し、日本に帰国してからは、さまざまなカウンターを通り確認を受けながら、比較的スムーズに入国することができました。

アクシデントに見舞われながらも、素敵な出会いや、多くの人の温かさに触れることのできたこの旅は、私の人生にとって非常に意味のある時間となりました。

この演奏旅行でのご縁で、来年にはチリで今度はオーケストラとの共演が予定されていますので、いまからとても楽しみです。

足掛け7回にわたる長い連載にお付き合いくださり、ありがとうございました!

さて、ここからは今月のコンサート活動のご報告です。

10月初旬には、齊藤一也さんと埼玉と東京でデュオ・コンサートを開催しました。今年没後30年を迎えるアストル・ピアソラの作品を取り上げました。

ピアソラはタンゴを多く作曲した作曲家ですが、実はパリで伝統的な西洋音楽も学んでいます。踊りのための音楽であったタンゴを、聴くための芸術作品としてのタンゴに昇華させました。クラシックの奏者に演奏される事を想定した作品も多くあります。

タンゴらしいグリッサンドや、ギーコというわざとノイズを発生させる奏法を取り入れながら、クラシックらしいヴィルトゥオーゾが入り混じった世界観をお届けしました。

東京の会場「渋谷 イープラスリビングルームカフェ」は年齢を問わずお聞きいただけるコンサートで、多くのお子様連れファミリーにもお越しいただきました。大きな目を見開いて静かに舞台を見つめる赤ちゃんや、身体を揺らして聞いてくれる小さな子供たちが印象的でした。

今月は、プライヴェートの公演も多くありました。特に印象的だったのは、アメリカの資産家ロックフェラーによって設立された海洋環境改善を目的とした団体によるチャリティーコンサートです。ロックフェラーを始め、日本、海外の政治家等が出席する中、弦楽合奏でヴィヴァルディの《四季》から〈秋〉のソロを演奏しました。

10月最後の週末には、山梨にあるパイプオルガンが美しい桃源文化会館で、内田麒麟さん、小林侑奈さんとトリオでした。初演した内田さん作曲のトリオ第2番は、ロマンチックで透明感のある美しい曲です。
終演後、多くのお客様から「曲の世界観に引き込まれた」とお言葉をいただき、難曲を弾き切った達成感と、美しい曲を初演した喜びに包まれました。

今後の公演、11月5日はラヴェルの《ツィガーヌ》とともに新作の初演を行います。薮田翔一さんの作品「Kandy」は激しく刺激的な一曲。中村匡寿さんによる「ゆく水のままに」は、フランス音楽的な空気感が漂う、美しいソプラノとヴァイオリンのデュオです。

11月9日、王子ホールでの公演がいよいよ近づいてまいりました。福原彰美さんとのデュオで、ベルエポック(=古き良き時代)をテーマに、数々の芸術が花開いた時代の傑作をプログラムに組みました。

残席少なくなっておりますので、お早めにお申し込みください。多くのお客様にお運びいただけましたら嬉しいです。

公演に向けて、Youtubeにてインタビュー動画が公開されています。

第一回は共演者について、第二回は演奏曲の解説と楽器についてお話ししております。併せてご覧いただけましたら幸いです。

 

Vol.1 クラシックのペアリングってどう決めるの?

Vol.2 演奏曲 本音トーク!

11月20日はコンテンポラリーダンスと音楽の共演で、「参加型メディテーションパフォーミングアート」という、非常に挑戦的な舞台に参加します。

 

26日には再び山梨へ。笛吹市スコレーセンターにて、プロコフィエフの協奏曲第1番を演奏します。この曲は、数あるヴァイオリン・コンチェルトのなかでも一番好きな曲の一つです。幻想的で優しい包容力のあるメロディから、皮肉的だったり、発狂するようなエネルギーの爆発まで、非常に豊かな世界が描かれた作品です。山梨交響楽団さんとの久しぶりの共演が、今からとても楽しみです。

会場で皆様にお会いできますのを楽しみにしております。

Ravelと秋
2022年11月5日(土) 16:30開演
赤坂ストラドホール 地図
共演:會田瑞樹(vib)、白河俊平(ピアノ)他
詳細はこちら
お問い合わせ:que315710@gmail.com
DUOリサイタル
2022年11月9日(水) 18時開場、19時開演(18:15~プレトーク)
銀座 王子ホール 地図
共演:福原彰美
詳細はこちら
お問い合わせ:sakata@caap.jp (株式会社 CAP)
INTENSE 001
2022年11月20日(日) 18:30~
song & supper BAROOM(表参道)地図
共演:下地優子(演出)、吉兼加奈子(ピアノ)
詳細はこちら
鈴木舞・齊藤一也 with 山梨交響楽団
2022年11月26日(土)14時開演
笛吹市スコレーセンター(山梨県) 地図
プロコフィエフ :ヴァイオリン協奏曲第2番
詳細はこちら
クセナキスー音の建築家ー
2022年12月4日(日)15:00~
東京芸術大学奏楽堂(上野)地図
 
後援会主催 鈴木舞 ヴァイオリンコンサート
2022年12月10日(土)15:30~
赤坂ストラドホール
どなたでもご参加いただけます。
17時より懇親会を開催いたします。
お問い合わせはこのメールにご返信ください。

2020年から「鈴木舞 後援会」が発足し、会員の募集がスタートしました。

後援会主催コンサートへの無料ご招待や懇親会へのご案内、一部コンサートの優先案内・優先予約、オーディオ付きお誕生日メールなど盛りだくさんの特典をご用意して入会をお待ちしております。  
詳細はこちらからご覧ください。

https://maiviolin.com/fanclub/

鈴木舞 デビューアルバム 好評発売中!
マイ・フェイバリット ”Mai favorite”
ピアノ:實川風、山田和樹

大好きなフランス音楽の中でもお気に入りの曲を集めました。タイスの瞑想曲 などの名曲から、愛と死、そして政治をもテーマに据えたプーランクのヴァイオリン・ソナタ。銘器、アマティの音色でお楽しみください。

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