ヴァイオリニスト 鈴木舞 ニュースレター Vol.58

【バロック時代のバイオリン

木は呼吸をし、湿度が高いと膨張、乾燥すると収縮します。夏と冬の湿度の差が大きい日本では特に、季節の変わりめには専門の職人によるバイオリンの調整が必要になります。

いつもの楽器職人さんの工房に調整をお願いしに行くと、そこである出会いがありました。

私の前にいたお客さんが、何やらバロックスタイルのバイオリンを持っていました。

完全なバロックバイオリンを実際に見るのは初めてだったのでお話を伺うと、その職人さんにお願いして作ってもらった楽器だそう。それはなんと、私が弾いているアマティをモデルにして作られたとのことでした。

バイオリンは400〜500年ほど前から基本的構造が変わっていませんが、演奏する会場が広くなるにつれ、より大きな音が出るように改造されてきました。

バロックバイオリンとは、改造される前のバロック時代に使われていた形を再現したバイオリンです。

もともとは指板(指で抑える黒い板の部分)も木で作られていましたが、現在では黒檀が使われており、張力を高めるために少し反ったように角度をつけ、長くなっています。

弦は今は金属を加工したものが主流ですが、以前はガット弦と言って、羊の腸を引き伸ばしねじったものでした。

持ち主のご厚意で少し弾かせてくださる事になり、留学中に学んだバロックバイオリンの奏法を思い出しながら演奏しました。

美しい音を鳴らすのにはコツが必要で、普段の楽器とは違う弾き心地が、まるでバイオリンではない違う楽器を扱っているかのよう。

バロックスタイルの弓によるガット弦の音色は、柔らかく軽やかで、明るい音色でした。

バッハ等のバロック音楽は、当時はこのような音色で演奏されていたのかと、想像が膨らみました。

今月は、ラヴェルと新作を掛け合わせた公演から始まりました。薮田翔一さんと中村匡寿さんの作品の初演の他、ラヴェルの作品からはツィガーヌや、佐原詩音さん編曲による小品のアンサンブルに参加。芸術の秋を詰め込んだかのような色彩豊かなプログラムとなりました。

9日は銀座 王子ホールで福原彰美さんとリサイタルでした。

王子ホールは小さい頃に先生のリサイタルを聴きに行った、憧れの会場。自分もリサイタルをさせていただける日が来るとは当時は夢にも思っていませんでした。

普段のコンサートでは、開演の数時間前に会場に入る事が多いのですが、その日はプロの方にヘアメイクをしていただいたり、演奏前のトークショーがあったため、お昼には会場入りし準備やリハーサルをしていました。

本番の時間19時に頭も身体も一番良い状態に持っていけるよう、バックステージではこまめに休み調子を整えながら過ごしました。

そしていよいよステージに上がり、満席のお客さまに迎えられた瞬間、湧き上がった感謝の気持ちで胸がいっぱいになり、思わず目が潤みました。

福原さんとの音楽での掛け合いはいつも以上に熱を帯び、全身全霊で駆け抜けた2時間のプログラムでした。

多くの方に応援、支えていただき、心から感謝しております。

20日は「コンテンポラリーパフォーミングアート」がテーマの、モダンバレエとクラシック音楽のステージに参加しました。

会場は表参道に新しくオープンしたBAROOM。

リハーサルでは照明担当の方と時間をかけて打ち合わせをし、仄暗い会場に音と光とダンスの幻想的な時空が生まれました。

23日から26日にかけて、紅葉が美しい山梨に滞在しました。高校から同級生のピアニスト、齊藤一也さんと小学校へのアウトリーチを5公演を行い、最終日には薬袋貴指揮山梨交響楽団とプロコフィエフのコンチェルトを共演しました。

山梨での体験は、また次回にお話ししたいと思います。

12月もまた挑戦的な公演が続きます。

4日は東京藝術大学奏楽堂にて、今年生誕100年を迎えるクセナキスの特別演奏会に出演します。クセナキスは作曲にコンピューターや図形を用いた理数系作曲家で、20世紀の現代音楽界に大きな影響与えました。

 

10日は後援会主催のコンサート&懇親会があります。ピアニストの宇根美沙恵さんと共に、冬やクリスマスに因んだプログラムをお届けします。久しぶりの懇親会で皆様とお話しできるのがとても楽しみです。

どなたでもご参加いただけますので、ご一緒に楽しい時間を過ごせましたら嬉しいです。

 

17日は埼玉県の大東文化大学にて、クリスマスコンサートに出演します。お近くの方は是非お運びください。

 

そして22、23日には、再び現代音楽を交えた公演です。

齊藤一也さんと共演するプロコフィエフのソナタ第1番とプーランクのソナタは、生と死をテーマにした、まるで魂の叫びが聞こえてくるような、激しく深い音楽。

新曲初演では薮田翔一さん、久保哲朗さん、會田瑞樹さんの作品を演奏します。

ディープな世界をどうぞお楽しみに!

 

会場で皆様にお会いできるのを楽しみにしております。

クセナキスー音の建築家ー
2022年12月4日(日)15:00~
東京芸術大学奏楽堂(上野)地図
 
後援会主催 鈴木舞 ヴァイオリンコンサート
2022年12月10日(土)15:30~
赤坂ストラドホール 地図
どなたでもご参加いただけます。
17時より懇親会を開催いたします。
クリスマスコンサート
2022年12月17日(土)15:00開演
大東文化大学大東文化会館(埼玉県)地図
共演:宇根美沙恵(ピアノ)
入場無料(先着50名様)
詳細はこちら
Hypnos ヒュプノス
2022年12月22日(木)、23日(金) 両日19:00開演
トーキョーコンサーツ・ラボ(早稲田)地図
共演:齊藤一也(ピアノ)、會田瑞樹(打楽器)他
プロコフィエフ、プーランク、薮田翔一、久保哲朗、佐原詩音、他
詳細はこちら
ご予約、お問い合わせ:que315710@gmail.com
鈴木 舞&川口成彦モーツァルト・ヴァイオリンソナタ全曲演奏会 最終回 
2023年1月14日(土) 15時開演   
美竹清花さろん(渋谷)地図  
共演:川口 成彦(ピアノ)
詳細はこちら
鈴木舞、福原彰美 DUOリサイタル
2023年2月5日(日)14時開演
赤坂ストラドホール 地図
共演:福原彰美(ピアノ)
クララ・シューマン、イグーデスマン、ブラームス、他
詳細はこちら
ご予約、お問い合わせ:03 6431 8186(ムジカキアラ)
鈴木舞 Valentine Concert ~砂の絵本 サンドアートとともに~
2023年2月12日(日)15時開演
蕨市立文化ホールくるる(埼玉県)地図
共演:對馬哲男(ヴァイオリン)木下雄介(ヴィオラ)山澤慧(チェロ)
モーツアルト、ドヴォルザーク、他
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ご予約、お問い合わせ:048 446 8311(蕨市立文化ホールくるる)
お問い合わせはこのメールにご返信ください。

2020年から「鈴木舞 後援会」が発足し、会員の募集がスタートしました。

後援会主催コンサートへの無料ご招待や懇親会へのご案内、一部コンサートの優先案内・優先予約、オーディオ付きお誕生日メールなど盛りだくさんの特典をご用意して入会をお待ちしております。  
詳細はこちらからご覧ください。

https://maiviolin.com/fanclub/

鈴木舞 デビューアルバム 好評発売中!
マイ・フェイバリット ”Mai favorite”
ピアノ:實川風、山田和樹

大好きなフランス音楽の中でもお気に入りの曲を集めました。タイスの瞑想曲 などの名曲から、愛と死、そして政治をもテーマに据えたプーランクのヴァイオリン・ソナタ。銘器、アマティの音色でお楽しみください。

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