ヴァイオリニスト 鈴木舞 ニュースレター Vol.52

生演奏でしか伝えられないこと

 

さて、今回は前回に引き続き、チリのお話の続きから始めさせていただきたいと思います。

ロスラゴスのリゾートホテルでのコンサートを終えた後、いったん首都サンティアゴに戻って身支度を整え、翌日に南へ向かってバスに揺られること約5時間、コンスティトゥシオンという海沿いの港町に到着しました。コンスティトゥシオンでは、教会でデュオ・リサイタルを行いました。コンサートの前には、ヴァイオリンを学んでいる小学生くらいの子供達20人ほどと対話の時間が設けられました。好奇心旺盛な彼らの質問に答えるのは、私にとっても刺激的なことでした。なかには「あなたにとって音楽とは何ですか?」というような哲学的な質問も。自分のことを積極的に話してくれた子もいたりと、有意義な交流の時間となりました。

教会でのコンサートの翌日は、街中を少し観光しました。2010年のチリ地震で津波による大きな被害を受けてから、日本人のアドバイザーによって海岸の街を津波に強いデザインに作り替えたそうですが、中には修復が済んでいない建物も残っていました。

ここは、トンネルのある巨大な白い岩場があることで有名です。普段は海の水の中に佇んでいるのですが、訪れた時は幸運にも引き潮で、トンネルを通り抜けることができました。案内してくれた現地の人までも「引き潮の時に初めて来た」と興奮しながらトンネルの中の写真を撮っていたほど、珍しいことだそうです。トンネルを抜けると、すぐ近くの岩に沢山の野生のアシカが寝転んでいました。

白く美しい岩の上には、所狭しとカモメ等の鳥が止まっているのですが、近づくにつれて動物の匂いが鼻に届きました。思わず「臭いっ」と呟いた私に、ガイドさんが衝撃の事実を話してくれました。なんと、「この岩の白は鳥のフンの色」なのだそうです!

チリのお話はまた次回に続きます。

今月はこれまでに2つほどコンサートを行いました。

1つ目は、11日に池袋に新しくできたグローバルリングシアターという野外舞台で、ヴァイオリン、箏、ピアノによるトリオの公演でした。

ピアソラをメインとしたプログラムでしたが、スピーカーやマイクを使った野外でのコンサートという慣れない環境での演奏でしたので、自分たちの音の調整に多くの時間を取られてしまいました。

コンサートホールなどでは、残業や返ってきた音を聴きながらアンサンブルを行いますが、野外でPAが入るとなると、サウンドエンジニアさんと三位一体になって響きを作ることになります。

また、コンサート前にたまたま宣伝の看板を見た中学校の同級生が聴きに来てくれ、久しぶりの再会を喜びました。こんなご縁も野外コンサートの醍醐味ですね。

19日には、千葉工業大学の異文化理解の授業に呼んでいただき、トークを交えた3曲ほどの短いプログラムを2回演奏しました。

クラシック音楽に馴染みのない学生も多いなか、皆真剣な表情で

終了後、講師の先生が受講生に課した感想文をすべて読ませていただきました。

中には「ヴァイオリンの生の音の大きさや迫力に驚いた」「YouTubeで聴くのとは全然違った」という感想があり、やはり音楽を生で届けることの大切さを改めて感じました。

「今度は自分でチケットを買ってコンサートに行きたい」というとても嬉しい感想も。

また、多くの学生さんが、想像力を働かせて聴いてくれて、曲を通して思い浮かんだ場面について書いてくれていたのも印象的でした。

私にとっても有意義な時間となり、またこのような機会をいただけることを願っています。

最後に、今後のコンサートについてお知らせします。

 

5月31日に赤坂ストラドホールにて、ヴァイオリン、箏、ピアノによるトリオで出演します。

チャイコフスキーのバレエ音楽の編曲(佐原詩音さん)のほか、無伴奏でも演奏いたします。新しいチャイコフスキーをどうぞお楽しみに。

 

6月4日には、後援会主催のコンサートを行います。

ピアニストの小林侑奈さんと共に、チリの作曲家エンリケ・ソロのロマンス、さくらさくら変奏曲など、バラエティ豊かなプログラムを予定しています。

どなたでもお聴きいただけますので、是非いらしてくださいね。

 

会場で皆様とお会いできますことを楽しみにしております。

KOTO×PIANO MAI SUZUKI
2022年5月31日(火) 19:00~
赤坂ストラドホール 地図
共演:山水美樹(箏)正住真智子(ピアノ)
芥川也寸志:バラード
佐原詩音:チャイコフスキーの思い出、他
ご予約: que315710@gmail.com
後援会コンサート
2022年6月4日(土) 16:30~
赤坂ストラドホール 地図
共演:小林侑奈(ピアノ)
一般5000円
後援会員ご本人と同伴一名様までご招待(2人目以降は3000円)。
当日ご入会の方も同条件にてお聴きいただけます。
 
 
川崎和憲さんに捧げる ラーチェロ室内合奏団とTGSの世代を超えた共演
2022年6月17日(金)18:30
旧東京音楽学校奏楽堂(上野) 地図
J.S.バッハ:ブランデンブルク協奏曲 第3番ト長調 BWV1048
レスピーギ:リュートのための古い舞曲とアリア 第3組曲 
ドヴォルザーク:弦楽セレナーデ ホ長調 作品22
共演:澤和樹、川崎牧子、他
鈴木 舞&川口成彦モーツァルト・ヴァイオリンソナタ全曲演奏会 第4回
2022年7月13日(祝月) 19時開演 
美竹清花さろん(渋谷)地図
共演:川口 成彦(ピアノ)
お問い合わせはこのメールにご返信ください。

2020年から「鈴木舞 後援会」が発足し、会員の募集がスタートしました。

後援会主催コンサートへの無料ご招待や懇親会へのご案内、一部コンサートの優先案内・優先予約、オーディオ付きお誕生日メールなど盛りだくさんの特典をご用意して入会をお待ちしております。  
詳細はこちらからご覧ください。

https://maiviolin.com/fanclub/

鈴木舞 デビューアルバム 好評発売中!
マイ・フェイバリット ”Mai favorite”
ピアノ:實川風、山田和樹

大好きなフランス音楽の中でもお気に入りの曲を集めました。タイスの瞑想曲 などの名曲から、愛と死、そして政治をもテーマに据えたプーランクのヴァイオリン・ソナタ。銘器、アマティの音色でお楽しみください。

Twitter
Email
Website
正しく表示されない場合はこちら
アーカイブはこちらをクリック

当ニュースレターは、お名刺を交換させていただきました方に配信しております。 配信先の変更・停止は、お手数ですが下記よりお手続きいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。その他コンサート等のお問い合わせは、このメールにご返信ください。


配信停止 | 登録情報更新