ヴァイオリニスト 鈴木舞 ニュースレター Vol.53

世代を越えてつなぐ音

 

今月はチリ滞在最後の1週間のお話からはじめたいと思います。

最後の週は、立て続けに3つのコンサートに出演しました。

 

1つ目は、サンティアゴの日本大使公邸にて、日本とチリの国交125周年を記念するコンサートで、ピアニストのダノール・キンテロスさんと共に、日本とチリに関連した楽曲とフランクのヴァイオリン・ソナタ、そしてサラサーテの《カルメン幻想曲》を演奏しました。

各国の外交関係者が出席していてさまざまな言語が飛び交い、会場は独特の雰囲気に包まれていました。大使の女性率が高く、世界では女性の政治参入が進んでいることを実感しました。

チリの大統領夫人もご出席くださったのですが、チリでは最近大統領選があったばかりで、勝利したのは若干36歳の大統領とあって、夫人はなんと私と同い年!しかもレストランでウェイトレスをしていたことがあったり、ベルリン留学の経験があるという、異色の経歴の持ち主でした。とてもフレンドリーで、演奏に涙が出たと直接伝えてくださったのが、今でも心に残っています。

出席者からは、若い指導者に期待を寄せているとの声が多く聞かれたのも印象的でした。

2つ目は、日チリ商工会議所でのコンサートで、こちらも国交125周年記念の催しでした。

私とキンテロスさん、そしてチリ在住のソプラノ歌手、小宮美香さんの3人が出演し、お客様はチリ人と日本人が半々くらいでしたので、曲間のトークは日本語と英語の両方でお話ししました。

トークを交えたコンサートでは、演奏とお話とで頭の切り替えをする必要がありますが、今回はそれに加えて英語と日本語を交互に話さなくてはならず、言語の切替をするのがとても大変で、頭はずっとフル回転状態。こんな経験は初めてでした。

この日は、最後に日本の童謡「夕焼け小焼け」を3人で演奏してコンサートを閉じました。

3つ目は、サンティアゴの日本人学校でのアウトリーチ・コンサートで、小学生およそ30人に向けて演奏しました。

質問タイムでは、みんな元気よく、積極的に発言してくれました。特に印象的だったのは、ショパンのノクターンの演奏の後に「どんな風景を思い浮かべましたか?」と子ども達に問いかけた時のことです。答えはさまざまで、「雪が積もっていて、空が澄んでいて月や星が見える様子」や「窓から外を見ると道の街灯がついていて綺麗な様子」など、色々なイメージを思い浮かべてくれていたようでした。

このコンサートの翌日には、出国のためにPCR検査を受け、無事陰性を確認してチリをあとにしました。

そのまま無事日本に辿り着ければよかったのですが・・・この時はまだ、まさかこの後ニューヨークに数日滞在することになるとは夢にも思っていませんでした。

そのお話は、また次回に。

さて、日本では5月末に2つのコンサートに出演しました。

1つ目は三越主催のランチコンサートで、齊藤一也さんとの共演でした。会場は「QED club」というフレンチ・レストランで、元ハンガリー大使公邸だったそうです。

玄関を入るとすぐに螺旋階段があり、階段を降りると広いお庭の見えるガラス張りのホールがありました。

コンサート用の会場ではないため、ピアノの位置や客席をどのように配置するかなど、解決しなくてはいけない課題がたくさんありましたが、主催者やホール・スタッフの方々と話し合い、どの席からも演奏を楽しんで頂けるように工夫しました。

主催側から「春らしいプログラムを」というリクエストがありましたので、ベートーヴェンの「スプリング・ソナタ」やヴィヴァルディの「春」を中心として、そこにフランスの小品を組み合わせました。

2つ目は、「箏×ピアノ」の異色のデュオで活動しているグループのコンサートへのゲスト出演でした。

芥川也寸志とイザイによる「バラード」、佐原詩音さんがチャイコフスキーのバレエ音楽を編曲した「チャイコフスキーの思い出に」と、リムスキー=コルサコフの2つの作品を融合させた「シェヘラザードと熊ん蜂の夢」を演奏しました。珍しい編成で演奏すると、耳慣れた名曲も一味違って聴こえてとても新鮮な気持ちになりました。

6月に入って最初のコンサートは、後援会に主催して頂いてのリサイタルでした。

新型コロナの影響で、後援会のコンサートはしばらくウェブ配信でしたので、久しぶりに対面で開催することができました。

満員のお客様にかこまれて、ピアノの小林侑奈さんと共にバラエティに富んだプログラムを演奏しました。

この日は、音楽を直接届けることの喜びを改めて感じたコンサートでした。

今後も後援会でのコンサートを企画する予定ですので、みなさま応援よろしくお願いいたします。

6月17日は「川崎和憲先生に捧げる」と題されたコンサートに、アンサンブルのメンバーとして参加しました。

こちらのコンサートは、ヴィオラ奏者の川崎和憲先生と芸大で同学年だった演奏家たちで構成される「ラーチェロ室内合奏団」と、同じく芸大で私と同学年のメンバーで結成された弦楽合奏団「TGS」との合同演奏会でした。

芸大の元学長の澤和樹先生を始めとする錚々たるメンバーとのリハーサルは、とても刺激的でした。

的確に方向性を示しながらも、奏者一人ひとりを尊重する澤先生のリーダーシップには感服しました。

しかも、私の席はコンサートマスターの澤先生の隣でしたので、間近で接することができ、貴重な経験となりました。

コンサートでは、世代を超えたメンバーが川崎先生を想う気持ちで一つになり、客席も温かい雰囲気に満ちたコンサートでした。

7月は8日と9日に河口湖 音楽と森の美術館にて、福原彰美さんとのデュオで演奏いたします。ストラディヴァリウスと普通の楽器の聴き/弾き比べもありますので、お近くの方は是非お立ち寄りください。

そして、13日には渋谷の美竹さろんにて、川口成彦さんとの「モーツァルト全曲演奏会」シリーズの第4回もございます。こちらはお席は完売、キャンセル待ちを受け付けております。

 

会場で皆様とお会いできるのを楽しみにしております。

鈴木舞 ヴァイオリンコンサート
2022年7月9日(土)、10日(日)
河口湖音楽と森の美術館(山梨県)地図
共演:福原彰美(ピアノ)
お問い合わせ先:0555-20-4111
鈴木 舞&川口成彦モーツァルト・ヴァイオリンソナタ全曲演奏会 第4回
2022年7月13日(祝月) 19時開演 
美竹清花さろん(渋谷)地図
共演:川口 成彦(ピアノ)
お問い合わせはこのメールにご返信ください。

2020年から「鈴木舞 後援会」が発足し、会員の募集がスタートしました。

後援会主催コンサートへの無料ご招待や懇親会へのご案内、一部コンサートの優先案内・優先予約、オーディオ付きお誕生日メールなど盛りだくさんの特典をご用意して入会をお待ちしております。  
詳細はこちらからご覧ください。

https://maiviolin.com/fanclub/

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ピアノ:實川風、山田和樹

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