ヴァイオリニスト 鈴木舞 ニュースレター Vol.66

【真夏の氷点下

暑い日が続いていますが、みなさまいかがお過ごしでしょうか?

日本だけでなく、ヨーロッパでも熱波が襲っているようです。ドイツでは38度を超える猛暑とのこと、人々の暮らしは深刻な影響を受けています。

 

日本に暮らしているとエアコンがないなんて考えられないかもしれませんが、ヨーロッパではほとんどの家庭に冷房がついていないため、夏のピークをどうやって乗り越えるか、毎年大きな課題です。

私がヨーロッパで過ごしていた時は、日中の暑さから逃れ涼をとる方法を積極的に探し、湖やプールで泳いだり、標高の高い場所に出かけたりしました。

空気が乾燥しているため気温が下がる夕方には、川辺で簡易的なバーベキューを楽しんだり、夏ならではのアクティビティを楽しむ機会も多くありました。

中でも印象的だったのは、アルプス山脈の標高1500mにあるヴェルフェンです。ザルツブルクから1時間ほどの電車に乗り、ロープウェイを乗り継いだ先には、なんと世界最大級の氷の洞窟があります。

 

岩肌にぽっかりと穴が開いた洞窟内部は、なんと真夏でも氷点下という極寒の世界。防寒具を着込んで、小さなランプを手に取り洞窟内を観光しました。そこに広がる光景は、氷の巨大なオブジェが立ち並び、神秘的な美しさとまるで別世界のような寒さに圧倒されました。

日本では、夏になると日傘をさしながら街を歩く人をよく見かけますが、ヨーロッパでは、日傘を使うことがあまり一般的ではありません。もし、日傘をさしながら歩いている人がいると、アジア人であることがすぐにわかります。

 

暑い夏でもヨーロッパ人は太陽を楽しむことが好きです。長い冬の間は日照時間が短いため、夏になるとここぞとばかり、皆太陽の下に集まります。夏の長期休暇では、南欧の島などに滞在し、身体をこんがり焼いて小麦色になることが一種のステータスとされているようです。太陽と共存する生活は、ヨーロッパ人の一つのライフスタイルとも言えるかもしれません。

この1ヶ月で、数多くの心に残る演奏会がありました。

まず、先月末に行われた千葉工業大学での演奏です。講義室で、学生たちにトークを交えながら数曲のバイオリンソロを演奏しました。普段はバイオリンの生音を聴いたことのない学生たちも多かったようですが、その後学生たちから届いた感想文からは、演奏から彼らなりの物語を感じ取ってもらえたようでした。また、バイオリンの音色が、人の声のようだったり、実際に生きているかのように感じられたという嬉しい感想もありました。

なにより、次世代の担い手となる彼らが、文化や芸術を守っていく事への意識を持つきっかけとなってくれたようで嬉しかったです。

私たち音楽家として、このような文化活動を継続していくことが重要だと改めて感じ、今後もこのような活動を続けていきたいと思います。

今月には、トップコネクト主催の講演会で講演の機会をいただきました。主な参加者は若手経営者や、独立を目指す方々で、30分間のトークをしました。

個人が社会とどのようにつながることが必要か、自分の名前を背負って活動していく上で考えるべきことについてお話しました。

参加者の皆さんは熱心にメモを取りながら真剣に話を聞いてくださり、トークにも熱が入りました。

講演が終わった後、参加者から「声に説得力があり、想いが伝わった」と言っていただいたことは、私にとって非常に嬉しいことでした。

フリーメイソンという組織には、多くの偉大な作曲家たちがメンバーであったといわれています。そのフリーメイソンのパーティーでの演奏は、私にとって興奮する体験でした。

会場は都内のフリーメイソン日本方本部で、建物は至る所にシンボルが散りばめられており、レッドカーペットの敷かれた天井の高い大広間に集まる参加者は半数以上が外国人。独特な雰囲気に満ちていました。

儀式に使われるお部屋を見せていただいた時には、モーツァルト、ハイドン、リスト、シューマン、シベリウス、ワーグナーなどのメンバーであった作曲家に思いを馳せ、歴史を感じました。

オーケストラとのレコーディングも行いました。

先月に審査に参加をした作曲コンクールの優秀作品がヴァイオリンソロとオーケストラの編成に編曲され、飯森範親指揮パシフィックフィルハーモニアと録音しました。

一流の指揮者、奏者、そして録音技師さんの手腕によりとんとん拍子にレコーディングが進みました。これから編集作業を経てCDに焼かれますが、どんな音に仕上がるのか楽しみです。

7日は二つの演奏会に出演しました。

お昼には老舗のフランス料理店にて、マリーアントワネットと七夕がテーマのお食事演奏会。チェリストのグレイ理沙さんとのアンサンブルで、恋人たちの音楽や、マリーアントワネット作曲の作品のアレンジ、更にはリクエストに応えて現代音楽もプログラムに含め、盛りだくさんな内容でした。

夜はすみだトリフォニー小ホールに移動して、トルコ大震災支援コンサートにゲスト出演し、宮田悠貴さんとサン=サーンスのハープとヴァイオリンのための幻想曲を演奏しました。なかなか演奏の機会がないながらも大好きなこの作品を、豊かな響きの会場で演奏できて、幸せな時間でした。

翌日8日は、「自由で真っ直ぐな演奏会」。この演奏会では、音楽とトークが融合したユニークなスタイルがとられました。単なる演奏会ではなく、聴衆にも積極的に参加してもらうことがコンセプト。出演した作曲家や演奏家がそれぞれ自由なテーマで3分間話し、最後にはお客さまを交えて議論が行われる、まさに「自由」な空間が広がりました。

 

演奏に加え、出演者たちのお話も非常に興味深く、楽屋から集中して耳を傾けていると、自分の出番でなくても休まる暇がありませんでした。朝のリハーサルから夜の公演まで続く昼夜の2公演は、いつもよりも更にアドレナリンが出ていたようです。

お客さまからは白熱した議論が飛び交い、自由な発想が生み出す、新しい現代音楽文化の一端が垣間が見られた、濃い公演でした。

16日は、久しぶりの横浜エリア、大倉山でのリサイタルでした。實川風さんとオールサンサーンスの華やかなプログラムは多くのお客様に嬉しい反響をいただきました。お客さまアンケートで、大倉山ジョイフルコンサートシリーズで初めて、全員が5段階評価で「5」の「大変良かった」をつけてくださったそうです。

コンサートは演奏だけでは成り立ちません。関係者の皆様が、お客さまに音楽に集中し、楽しめる環境を作っていただいているからこそ、良い演奏会が実現します。

いつも心を砕いて演奏会を運営してくださっている関係者の方々に、改めて感謝の気持ちが湧き上がりました。

17日には、後援会主催のイベントがありました。表参道にある普段は非公開の能舞台「山水」で、特注の白木のスタンウェイのピアノで福原彰美さんと演奏。会場は超満員で熱気に包まれました。

コラボレーションの予定だったダンサーの下地優子さんは体調不良で出演が敵わなかったのですが、次回の12/2には再度コラボレーションを企画しています。どうぞご期待ください!

8月も魅力的なプログラムによるコンサートが予定されています。

山梨県清里の森音楽堂にて6日に行われる小林侑奈さんとのリサイタルは、ブラームスとシューマンを軸にお届けします。自然豊かな清里の木造のホールのイメージにぴったりのプログラム。お近くの方のみならず、避暑をかねて是非お越しください。

 

11日は、わんちゃんと一緒に聴けるコンサート、第三弾。今回のプログラムは、同い年であったモーツァルトとマリーアントワネット、二人の作品にフィーチャーしており、会場に設置されたベルサイユ宮殿風のフォトブースでわんちゃんの写真撮影もできます。

動物やお子様にも良い影響を与えると言われているモーツァルトの音楽を、是非ペットも含めたご家族みなさんでお楽しみください。

16日は、初めてのサクソフォンとの室内楽で、現代の個性的な作品を演奏します。管楽器と弦楽器のアンサンブルからどのような響きが生まれるのか楽しみです。

 

20日はヴィオラ奏者の杉田恵理さんとデュオコンサート。弦楽器のアンサンブルの楽曲が多く生み出されたハンガリーの作品や、さくらさくら等の耳馴染みのある曲で組まれたプログラムで、弦楽器の豊かな響きを感じていただけましたら嬉しいです。

 

皆様に会場でお会いできますのを楽しみにしております。

涼風祭 実力派デュオが贈る珠玉のアンサンブル
2023年8月6日(日) 14時開演
清里の森音楽堂(山梨県)地図
共演:小林侑奈(ピアノ)
詳細はこちら
チケットご予約:0551-48-3151(清里の森管理センター)
Concert with DOGs  
2023年8月11日(金祝) 第1部12:00~、第2部16:00~ 
ピアノカフェ・ベヒシュタイン(御成門)地図  
共演:則行みお(ピアノ)
わんちゃん
やお子様にもお越しいただけます
ご予約はこちら
アンフォルメル
2023年8月16日(水)18:30開演
ルーテル市ヶ谷ホール 地図
共演:鈴木崇弘(サクソフォン)他
詳細はこちら
鈴木舞&杉田恵理 デュオリサイタル
2023年8月20日(日)15時開演
美竹清花さろん(渋谷)地図  
共演:杉田恵理(ヴィオラ)
モーツァルト:ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲 ト長調 K.423
詳細はこちら
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2020年から「鈴木舞 後援会」が発足し、会員の募集がスタートしました。

後援会主催コンサートへの無料ご招待や懇親会へのご案内、一部コンサートの優先案内・優先予約、オーディオ付きお誕生日メールなど盛りだくさんの特典をご用意して入会をお待ちしております。  
詳細はこちらからご覧ください。

https://maiviolin.com/fanclub/

鈴木舞 デビューアルバム 好評発売中!
マイ・フェイバリット ”Mai favorite”
ピアノ:實川風、山田和樹

大好きなフランス音楽の中でもお気に入りの曲を集めました。タイスの瞑想曲 などの名曲から、愛と死、そして政治をもテーマに据えたプーランクのヴァイオリン・ソナタ。銘器、アマティの音色でお楽しみください。

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