ヴァイオリニスト 鈴木舞 ニュースレター Vol.72

開始30分遅れのリサイタル

南米のツアーでは、コンチェルト、リサイタル、学校コンサート、マスタークラス、お食事とのコラボイベント、パーティー演奏等、幅広い活動を行いました。

 

その中でも一番数が多かったのはリサイタルで、ピアニストのダノール・キンテロスさんと共に様々な地域、会場で計5回のデュオリサイタルを行いました。ベートーヴェンとプロコフィフのソナタを軸にしたプログラムを演奏。

会場の規模は、1000人超を収容できるような大ホールから、アットホームなサロンまで多岐にわたります。

最初のリサイタルの会場は、チリの首都・サンティアゴ市内にある厳かな雰囲気の教会でした。ちょうどチリ独立記念日の直後であり、会場は国旗の色を使ったデコレーションで彩られました。

 

季節は冬。石造りの教会の底冷えのする楽屋で気持ちを鎮めながら開演時間を待っていると、予期せぬ出来事がありました。開始を30分遅らせるとアナウンスがあったのです。

新聞の広告に、実際よりも遅い誤った開演時間が掲載されてしまっていたことが発覚し、新聞を見ていらっしゃるお客様に配慮することになったのでした。

この時のコンサートのお客様は、入場無料だったこともあり、普段クラシックに馴染みのない人が多いと聞いていました。一般的にはそうした観客に向けては、有名な短い作品等、聴きやすい曲を選ぶことが主催者から求められることが多いのですが、今回私たちはそのような忖度を排し、本格的なプログラムで挑みました。

 

お客様はそのようなプログラムを、また開演時間が遅れる予想外の出来事にも関わらず、途中で席を立つこともなく、最初から最後まで集中力を持って耳を傾けてくれました。曲ごとに湧き上がる拍手から、音楽の奥深さや力を感じていただいているのが伝わってきました。

そして、コンサートの最後には一段と大きな拍手と共にオールスタンディングオベーションが巻き起こりました。

 

クラシック音楽の本質的な魅力が伝わったと感じられたことを嬉しく思うと同時に、聴き馴染みのない観客に対しての、プログラムの組み方やアプローチについて考えさせられる契機となりました。

次のリサイタルの舞台は、テムコというチリ南部の街。ここには原住民のマプチェ族が多く住み、私のお気に入りであるチリの特産品、燻製一味唐辛子の「メルケン」の産地です。

南半球では南に行くと気温が下がります。空港に降り立った瞬間から、鼻に刺さるような冷たい空気に身を包まれました。

会場の近くには大きな宣伝の看板が掲げられていて、新聞にも大きく取り上げられていました。

1000席を超える大ホールは、ステージと客席の間にオーケストラピットがあり、観客との距離がかなり離れていました。さらに強く当たっていたスポットライトがとても眩しく、舞台上から見る客席は真っ暗。

この独特な空間では、演奏中に観客の様子がわかりずらく不安を抱えての演奏で、お客様からいただく拍手と歓声も、いつもより遠く感じました。

その後の会食の席で、テムコ出身の演奏家夫婦と話す機会がありました。彼らは「テムコの人々は普段あまり感情を表現しないけれど、今日のコンサートでは、珍しくお客さんが皆すごく盛り上がって喜んでた」と話してくれ、その言葉に喜びと安堵を感じました。

長くなってしまったので、リサイタルの旅は次回に続きます。

これまでのアーカイブはこちらからお読みいただけます。

今年最初の公演は、満員御礼のストラドホールにて、ヴィオラ奏者の杉田恵理さん、ピアニストの守重結加さんとトリオのコンサートでした。

前半はヴィオラとのデュオで、新春にお馴染みの曲「春の海」に始まり、バルトークの小品、それからそれぞれのソロを経て、前半のメインはボヘミア独特の勢いのある曲調の、マルティヌーによる3つのマドリガルでした。

後半はピアノを交えた編成で、シューマンの恋の歌曲とブラームスのトリオを選曲。

ブラームスのトリオは、穏やかなメロディが重なり合い、徐々に濃密で熱情的な音楽へと変化していきます。トリオの編成ならではのエネルギーが生まれて、その音楽の流れに身を委ね、三人が一体となって情感が高まりました。

また、プライベートのイベントでの演奏もありました。

味だけでなく目にも美しいモダンスパニッシュのお料理にと共に7種ものワインを飲み比べる贅沢な会。耳に優しい音楽を演奏し、五感に働きかけるような刺激的な時間となりました。

2/10は奥田 恵悟指揮、東京セラフィックオーケストラとチャイコフスキーのコンチェルトを共演します。

チャイコフスキーがスイスの地で望郷の念を描いた、華やかな大曲です。

先週の最初のオーケストラとのリハーサルでは、皆笑顔で楽しそうに演奏されていて、私もエネルギーをもらいました。

大田区民ホール・アプリコ大ホールにて、14時開演。是非お運びください。

 

3/3には渋谷美竹サロンにて北欧シリーズ第二弾、尾崎未空さんとファンタジーと情熱に満ちた北欧の世界をお届けします。

一般予約が開始されました。是非お運びください。

 

3/30にはわんちゃんと聴けるコンサート。春がテーマの曲を集め、メインはサン=サーンスのソナタの華やかなプログラムです。小さなお子様もお運びいただけます。本格的な演目をお食事と共にお気軽にお楽しみにいらしてください。

 

会場で皆様にお会いできますのを楽しみにしております!

東京セラフィックオーケストラ 第18回定期演奏会
2024年2月10日(土) 開場: 13:00 / 開始: 14:00 
大田区民ホール「アプリコ」 大ホール 地図
共演:東京セラフィックオーケストラ、奥田 恵悟(指揮)
チャイコフスキー ヴァイオリン協奏曲ニ長調
東京セラフィックオーケストラ問い合わせ窓口:tokyoseraphic@yahoo.co.jp
チケットご予約

 

鈴木 舞&尾崎 未空 北欧の巨匠たちvol.2
2024年3月3日(日) 15時開演   
美竹清花さろん(渋谷)地図  
共演:尾崎 未空(ピアノ)
詳細はこちら

Concert with DOGs  Vol.5
2024年3月30日(土) 第1部12:00~、第2部16:00~   
ピアノカフェ・ベヒシュタイン(御成門)地図     
共演:則行みお(ピアノ)  
わんちゃんやお子様にもお越しいただけます。

ヴィヴァルデイ:春

サン=サーンス:ヴァイオリンソナタ、他

ジョン・ウィリアムズ フルオーケストラコンサート
2024年6月1日(土) 15時開演
NHKホール(渋谷)地図     
共演:佐々木新平指揮、日本フィルハーモニー交響楽団

ジョン・ウィリアムズ:シンドラーのリスト

チケット、詳細はこちら

 

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2020年から「鈴木舞 後援会」が発足し、会員の募集がスタートしました。

後援会主催コンサートへの無料ご招待や懇親会へのご案内、一部コンサートの優先案内・優先予約、オーディオ付きお誕生日メールなど盛りだくさんの特典をご用意して入会をお待ちしております。  
詳細はこちらからご覧ください。

https://maiviolin.com/fanclub/

鈴木舞 デビューアルバム 好評発売中!
マイ・フェイバリット ”Mai favorite”
ピアノ:實川風、山田和樹

大好きなフランス音楽の中でもお気に入りの曲を集めました。タイスの瞑想曲 などの名曲から、愛と死、そして政治をもテーマに据えたプーランクのヴァイオリン・ソナタ。銘器、アマティの音色でお楽しみください。

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