ヴァイオリニスト 鈴木舞 ニュースレター Vol.78

バイオリニストの日常と舞台裏

暑い日が続いていますが、お元気にお過ごしでしょうか?

室内での活動が増えるそんな時こそ、音楽を楽しむ絶好の機会ですね。

前回までのニュースレターでツアーの報告が一区切りつきましたので、今回は気分を変えて、これまでみなさまからよくいただく質問にお答えしながら、私たちバイオリニストが日々どんなことを考え、どのように過ごしているのかをお話しします。

バイオリニストとして活動していると、決められたお休みの日はありません。

「休みの日には何をしているのですか?」とよく聞かれますが、休みの日という概念は少し曖昧です。

その時々でコンサートや美術館に行ったり、友人と会ったりと、自分の好きなことをするために時間を作っています。

公演を控えている時は時間ができると、楽譜をじっくり読み込み練習に集中します。

 

日常生活では、本番の他にも打ち合わせやリハーサル、レッスン等、予定が詰まっています。そのため、夜遅くに帰宅してから練習をすることも多いです。毎日最低でも4時間は練習しないと手指の筋肉が落ちてしまうため、夜中まで練習に励むこともあります。練習が終わる頃には外が明るくなっていることもしばしばです。このニュースレターを書いている今も、夜が明けてきました。

 

夜遅くまで起きていることもあるので、よく「何時に起きていますか?」と聞かれますが、午前中から予定が入ることも多く、眠い目をこすりながら起きることも少なくありません。睡眠が足りないと感じるときは、移動中やスケジュールの隙間時間に仮眠をとるように心がけています。食事の栄養バランスにも気を配り、効率的に体力を回復するための工夫をしています。

 

コンサートの曲目選びについてもよく質問されます。主催者から曲目やテーマのリクエストがある場合は、その要望に応じた曲を演奏します。一方、自分で自由に決められる場合は、共演者の個性やコンサートの性質を考慮しつつ、聴き手に楽しんでもらえるプログラムを考えます。新しい挑戦をしたい時には、自分が取り組みたい曲を選ぶこともありますが、演奏者としての成長と聴衆の満足を両立させることを常に考えています。

 

コンサートでの解説トークについても、多くの方から興味を持たれています。デビュー当時の中学、高校生の時は文章をすべて書き出して読み上げていましたが、恩師のアドバイス「一度始まったら引き返せない演奏と違って、トークはいくらでも言い直せる。間違えても訂正できるし、話し忘れたことがあれば後から追加もできる。」という言葉を受けてからは自然体で話せるようになりました。

作曲者や曲の背景についてや、自分の感じたことをそのまま伝えるよう心がけています。

楽器のメンテナンスについても非常に重要な話題です。使用楽器のアマティは340年の歴史を持つ貴重な楽器ですが、定期的に交換しなければならない部分もあります。バイオリンに張られている4本の弦と、弓に張られる馬の毛です。弦は1ヶ月に一度を目安に交換しています。

弓は、現在練習用と本番用の2本を使い分けることで、本番用の毛の消耗を防いでいますが、1本の弓を常に使う場合は、弦と同様に1ヶ月程度で交換が必要です。(趣味でバイオリンを演奏される方の交換頻度はもちろんその限りではありません!半年〜一年に一回が目安といわれています)

また、日常的な手入れも欠かせません。演奏後には柔らかい布で拭き、松脂等の汚れを取り除くようにしています。これらのメンテナンスが、楽器のコンディションと良い音色を保つために必要です。

最後に、一番よく聞かれる「緊張しますか?」という質問にお答えしたいと思います。私は、どんな演奏の場面でも緊張します。たとえプライベートの会の演奏で観客が数人だけだったとしてもです。時には足がガタガタと震えることもあります。

 

10年ほど前に、偉大なピアニストであるファジル・サイさんとお話しする機会があり、緊張をどう克服するかを尋ねました。彼は「私も君くらいの年齢の時は緊張した。歳を重ねればそのうち緊張しなくなるよ」と言ってくれました。しかし、私はまだその境地には達していません。

 

ただ、緊張には良い緊張と悪い緊張があります。良い緊張では、集中力が高まり、感性が研ぎ澄まされます。ネガティブな緊張ではなく、ポジティブに働く緊張に変えていくことを意識しています。緊張を敵とするのではなく、味方として受け入れることで、より良い演奏ができると信じています。

 

皆さんからの疑問や質問に答えることで、少しでもバイオリニストの世界を身近に感じていただけたらと、この度「質問箱」を開設しました。今後ニュースレターで様々な質問にお答えしていきますので、こちらのリンクからどんどんご質問いただけたら嬉しいです。

 

さて、7月は七夕の日に福原彰美さんと、ベルギーの作曲家、フランクとルクーをメインにしたロマンチックなプログラムを演奏しました。どちらの曲も重量級の作品で、猛暑の中全身全霊を尽くして演奏しました。福原さんとの対話は、実際のおしゃべりでも音楽を通してでも絶え間なく膨らみ、尽きることがありません。このプログラムはレコーディングを予定しており、今後福原さんとさらに深めていけることが楽しみです。

21日は、イタリアンレストランで則行みおさんと、ランチ&ディナーコンサートを開催しました。レストランというカジュアルな場で、よりフレンドリーなプログラムをお届けし、リラックスした雰囲気の中で、笑顔あふれるひとときを共有しました。

 

27日は恒例となった、愛犬と聴けるコンサートに出演しました。今回も多くのワンちゃんが集まり、時折可愛らしい合いの手が入り、朗らかな雰囲気に包まれました。私自身もワンちゃんたちからたくさんの癒しをもらいました。

8月のコンサートは、5日に河口湖音楽と森の美術館での演奏でスタートします。

9日には、打楽器奏者の會田瑞樹さんのCD発売記念コンサートに出演します。ヴィヴァルディの「四季」を打楽器とヴァイオリンのデュオで新たに編曲した會田さんの力作。数えきれないほどの打楽器の音色を生で聴ける機会は他にありません。ぜひお運びください。

 

17日は軽井沢の大賀ホールで田部井剛さん指揮、アウローラ管弦楽団とともに、サン=サーンスの協奏曲第3番を演奏します。響きの豊かなホールで大好きなサン=サーンスが演奏できること、わくわくしています。前夜は花火大会が開催されるとのこと、軽井沢で涼をとりながら花火と音楽を楽しみに是非いらしてください。

 

また、22日は大阪で松岡究さん指揮アマービレフィルと、同じくサン=サーンスを演奏します。こちらの公演は仲介者の虚偽による契約時トラブルにより、ソリストの私たちが多くのチケットを抱えることになってしまいました。

このような特別な事情がございますので、チケットは私に直接お問い合わせいただけましたら幸いです。関西方面の方はぜひお越しください。

25日に神戸、31日に東京で、ドイツの音楽仲間であるピアニストの柏本佳央理さんとヴィオラ奏者の杉田恵理さんのメンバーで選りすぐりのプログラムをお届けします。

 

8月は東京以外での公演が多くなりますので、お近くの方はぜひ足を運んでいただければ嬉しいです。

皆さまに会場でお会いできることを楽しみにしています。

會田瑞樹  パーカッションリサイタル 2024

2024年8月9日(金) 18:30開場 19:00開演

東京文化会館小ホール(上野)地図

ヴィヴァルディ作曲/會田瑞樹編曲:四季全曲

入場料:前売3,000円/当日3,500円 (全席自由)

チケットご予約:https://t.pia.jp/

チケットぴあ [Pコード:245-558] (オペレーター対応)

チケットお問合せ:サンライズプロモーション東京 TEL: 03-5685-0650 (平日12:00-15:00)

お問合せ: aitamizuki.vibraphone@gmail.com / 080-6008-1297 (公演事務局)

アウローラ管弦楽団サマーコンサート

2024年8月17日(土)14:00開演

軽井沢大賀ホール 地図

共演:田部井剛指揮 アウローラ管弦楽団

サン=サーンス:ヴァイオリン協奏曲第3番

金席自由(一般 1,000円)

チケット販売先/軽井沢大賀ホールチケットサービス

TEL:0267-31-5555(10:00~18:00)

2024年8月10日(土)以降の予約は、

アウローラ管弦楽団広報担当(masaki@nebulas.com.090-3596-4639)まで

詳細はこちら

コンチェルトシリーズvol.21
2024年8月22日(木)19:00開演

茨木市市民総合センター(クリエイトセンター)センターホール(大阪府)地図

サン=サーンス:ヴァイオリン協奏曲第3番

共演:松岡究指揮 アマービレフィルハーモニー管弦楽団

こちらの公演のチケットは、手持ちのチケットがございますため、鈴木に直接お問い合わせください。

希望と癒しのコンサート ~音楽の響きに包まれ心整う時間~ 関西公演
2024年8月25日(日) 12:00開場 12:30開演
神戸聖愛教会(兵庫県) 地図
共演:杉田恵理(va)、柏本佳央理(pf)
モーツァルト:ヴァイオリンソナタ K.304
ショスタコーヴィチ:5つの小品 、他
全席自由(税込):一般3,000円/学生1,500円 神戸聖愛教会会費の割引有
お問い合わせ infoconcert1123@gmail.com
詳細はこちら
希望と癒しのコンサート ~音楽の響きに包まれ心整う時間~ 東京公演
2024年8月31日(土) 13:30開場 14:00開演
赤坂ストラドホール 地図
共演:杉田恵理(va)、柏本佳央理(pf)
モーツァルト:ヴァイオリンソナタ K.304ショスタコーヴィチ:5つの小品 、他
全席自由(税込):一般5,000円/学生2,500円
お問い合わせ Duck Ken (本間健) Tel: 090-6304-4476 hommasama@gmail.com
詳細はこちら
お問い合わせはこのメールにご返信ください。

2020年から「鈴木舞 後援会」が発足し、会員の募集がスタートしました。

後援会主催コンサートへの無料ご招待や懇親会へのご案内、一部コンサートの優先案内・優先予約、オーディオ付きお誕生日メールなど盛りだくさんの特典をご用意して入会をお待ちしております。  
詳細はこちらからご覧ください。

https://maiviolin.com/fanclub/

鈴木舞 デビューアルバム 好評発売中!
マイ・フェイバリット ”Mai favorite”
ピアノ:實川風、山田和樹

大好きなフランス音楽の中でもお気に入りの曲を集めました。タイスの瞑想曲 などの名曲から、愛と死、そして政治をもテーマに据えたプーランクのヴァイオリン・ソナタ。銘器、アマティの音色でお楽しみください。

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