今回、デザイナーのアリエさんからご連絡をいただき、コラボレーションプロジェクトとして特別なドレスを制作する機会をいただきました。
最初に白い生地で仮縫いを行い、身体にフィットするよう調整しながら、演奏に支障がないか確認しました。
ヴァイオリン演奏では、右肩と腕の自由な動きが非常に重要で、動きにくいドレスでは演奏に支障をきたしてしまいます。また、左手で高いポジションを取る際には、腕を身体の前にぐっと入れ込むので、脇の下が圧迫されないことが大切です。血流が滞るとパフォーマンスに影響が出てしまいます。
左肩周りや胸元のデザインにも注意が必要です。ビーズ等の装飾があると楽器に干渉する場合があり、滑りやすい生地やドレープがあるデザインでは楽器が滑ってうまく構えられない可能性があります。
呼吸の自由さも、演奏の質に直結する重要な要素です。音楽表現には深い呼吸が欠かせず、胸や腹部を圧迫しない衣装が理想です。呼吸が楽にできるドレスであることで、演奏中も集中力を保つことができます。
また、立奏時には足を開いて立つため、スカート部分のデザインにも配慮が必要で、足元の自由度は必須条件です。スリットが入ったスカートは動きやすい反面視覚的な美しさを損なうこともあります。動きやすさと見た目のバランスを両立させた衣装が求められます。
さらに、楽屋で一人で着替えることが多いため、衣装の着脱が容易であることも重要です。複雑で手助けが必要なドレスは避け、自分一人で素早く着替えられるものが理想です。こうした配慮は、舞台裏での準備をスムーズに進めるためにも欠かせません。