国境を越えて、巨大な新都アスタナへ|鈴木舞ニュースレター Vol.95
©︎Yukiko Shibuya
MAI SUZUKI
NEWSLETTER · VOL.95
ヴァイオリニスト
鈴木舞
中央アジアの旅
この秋のステージから
これからのコンサート
国境を越えて、巨大な新都アスタナへ
中央アジアの旅・カザフスタン
皆さま、こんにちは。
以前の便りでご紹介したキルギス・ビシュケクから、中央アジアの旅は隣国カザフスタンへと続きます。
地図の上では一本の線で区切られた隣の国ですが、実際の国境は、ヴァイオリンとスーツケースを抱えて何層ものゲートを抜ける、かなり身体的な場所でした。
今回は、歩いて国境を越えたところから、首都アスタナにたどり着くまでのお話です。
アスタナの広場にて
国境からが「移動の本番」
ビシュケクからは、まずバスでカザフスタンとの国境へ向かいました。
そして、そこからが想像以上に「移動の本番」でした。
いったんバスを降り、ヴァイオリンもスーツケースも、すべての荷物を自分で持って歩いて国境を越えます。
一つのチェックを終えたと思ったら、また次のゲートへ。いくつもの確認を受け、すべてを通過した先で、ようやく別のバスに乗り換えます。
身体の感覚としては、「国境を越える」というより、何層もの扉を一つずつ通り抜けていくようでした。
楽器も荷物も、もちろん途中に置いていくわけにはいきません。
その重さが、そのまま国境の長さになっていくように感じました。
キルギスからカザフスタンへ、国境越えの道中
アルマトイ空港で好きになった味
国境を抜けてたどり着いたのが、アルマトイ空港です。
そこで初めて知ったのが、シーバックソーン。日本では「サジー」として知られているフルーツです。
生の実を使ったフルーツティーを飲んでみると、爽やかな酸味がとてもおいしく、感動して一気に好きになりました。
アルマトイ空港で飲んだサジーティー
「これは日本でも飲みたい」と思い、帰国後にサジージュースを買ってみたのですが、こちらは想像をはるかに超える強烈な酸味。
同じフルーツでも、生の実をお茶にするのと、加工されたジュースとでは、こんなにも印象が変わるのかと驚きました。
今では「サジー」と聞くと、酸っぱいジュースよりも、アルマトイ空港で飲んだあの一杯を思い出します。
「すぐそこ」が、すぐそこではない街
アルマトイから飛行機に乗り換え、次なる公演の地、カザフスタンの首都アスタナへ向かいました。
到着してまず驚いたのは、街のスケールです。
広大な土地に、大きな建物が悠々と立っています。道路も広場も敷地も、とにかく大きい。
ホテルからオペラ座が「すぐそこ」に見えたので歩いてみたところ、実際には25分ほどかかりました。
アスタナのホテルから見た街並み
隣の隣の建物へ行くだけでも、徒歩で5分、10分。
目で見た距離と、実際に歩く距離がなかなか一致しません。
到着したホテルでは、今回のコンサートを主催してくださった財団の代表の方が、プレゼントとともに温かく迎えてくださいました。
長い移動を終え、初めての街に着いた瞬間にこうして迎えていただくと、それだけで緊張が少しほどけます。
旅先で受けた温かな心遣いは、風景と同じくらい長く記憶に残るものだと感じました。
巨大な図面が、そのまま街になったような
アスタナは、計画的につくられた新しい首都です。
都市のマスタープランには、日本人建築家・黒川紀章が関わったことでも知られています。
実際に街を歩いてみると、大通りや広場、建物が大きな軸に沿って配置されていることがよく分かります。
その象徴の一つが、バイテレク・タワーです。
塔の上に載った大きな球体は、伝承に登場する聖なる木と、そこに幸福の鳥が産んだ卵を表しているといわれています。
展望フロアから街を眺めると、道路や建物が、はるか遠くまで整然と伸びていました。
バイテレクから眺める、遠くまで伸びる都市の軸
「こういう線を引いて、都市全体を組み立てたのだろうな」
そう考えながら見下ろしていると、巨大な図面がそのまま現実の街になったようで、圧倒されました。
国境では、重い荷物を持って一つずつゲートを通り抜けました。
その先に待っていたのは、今度はどこまでも大きく開かれた、新しい首都の風景でした。
次なる公演の会場、Astana Opera
そして翌日は、今回の旅でも特に楽しみにしていた、国立オペラハウス Astana Operaでの公演へ。
本番前に起きた思いがけない出来事と、アスタナで出会った音楽のお話は、また次の便りでお届けします。
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この秋のステージから
同じ年に生まれた、異なる音楽
鎌倉・覚園寺では、坂本真由美さんと「1933年」を手がかりにしたプログラムをお届けしました。
アメリカのフローレンス・プライス《ファンタジー第1番》、日本の貴志康一《龍》、ストラヴィンスキー《イタリア組曲》。同じ年に書かれた作品でも、背景にある文化や音楽の言葉は大きく異なります。《愛の喜び》や《ツィゴイネルワイゼン》などの親しみある曲とともに、こうした作品の聴き比べも楽しんでいただける構成にしました。
初めて出会う曲にも、時代や土地を手がかりにすると、聴こえ方が変わることがあります。知っている曲を聴く喜びと、まだ知らなかった音楽に出会う面白さ。その両方をお届けしたいと考えています。
坂本真由美さんと、鎌倉・覚園寺にて
三つの楽器で巡る、音楽の世界
小林侑奈さん、内田麒麟さんとのMYK TRIOでは、山梨市花かげホールへ。ショパンの《ノクターン〈遺作〉》はヴァイオリンとピアノで、《華麗なる大円舞曲》はチェロとピアノで演奏しました。ピアノのために生まれた旋律を弦楽器が歌うと、音の伸び方やフレーズの呼吸にも違いが生まれます。そこから、三つの楽器が複雑に響き合うラヴェルのピアノ三重奏曲へと進むプログラムでした。
MYK TRIO|山梨市花かげホール
能舞台「山水」での後援会コンサートでは、前半にロマンチックなクラシックを、後半には難曲ラヴェルのトリオを軸とした「1900年代初頭の世界旅行」を。同時代に、異なる土地や文化のなかで書かれた音楽を組み合わせました。
同じ時代にも、世界ではこれほど違う音楽が鳴っていたのか。その違いとつながりが伝わるよう、曲の順番までじっくり考えたプログラムです。日頃から応援してくださる方と、この音楽の旅をご一緒できたことを嬉しく思います。
後援会コンサート|能舞台「山水」にて
ホールの外でも、音楽との出会いを
福原彰美さんとのDUO Les Ailesでは、三井オーシャンサクラの船上へ。「ヴァイオリンが人の声のように聞こえた」とのお言葉もいただき、とても嬉しく心に残っています。
また、みなとみらいでの非公開公演や、ロータリークラブでの演奏にもお招きいただきました。ロータリークラブでは、矢口里菜子さんとのヴァイオリンとチェロの二重奏で、ヴィヴァルディ《四季》から《春》《秋》、ショパンの《ノクターン〈遺作〉》などを。二つの弦楽器が旋律と伴奏を受け渡す、ピアノを伴う演奏とはまた違った響きをお届けしました。
みなとみらいでの非公開公演より
ロータリークラブでの演奏会場と、いただいたお花
コンサートホールでじっくり聴いていただく公演も、旅先や特別な集まりで音楽に出会っていただく機会も。会場やお集まりになる方に合わせて、編成や選曲を考えることを大切にしています。
いつも温かく応援してくださり、ありがとうございます。これからの公演でも、音楽をご一緒できましたら嬉しいです。
記念の会や企業・団体の集まりなど、非公開の場での演奏についてもご相談を承っています。
演奏・出演のご相談
これからのコンサート
写真:三井オーシャンクルーズ公式掲載画像(イメージ)
11月14日(土)〜19日(木)|三井オーシャンサクラ
秋の絶景クルーズ ~高千穂峡・寒霞渓・香嵐渓~
東京発着の船旅に、福原彰美さんとのDUO Les Ailesで出演します。秋の風景とともに、寄港地にまつわる作品も交えながら音楽をお届けする予定です。
小田原フィルハーモニー交響楽団 第134回定期演奏会
11月29日(日)14:00|小田原三の丸ホール 大ホール
小田原フィルハーモニー交響楽団 第134回定期演奏会
西口彰浩さんの指揮、小田原フィルの皆さまと、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲を演奏します。神奈川出身の私にとっても嬉しいご縁。現在の楽器、1682年製アマティ「Grand Amati」では初めて取り組むこの協奏曲を、ぜひ聴きにいらしてください。
全席自由:一般1,000円/高校生以下500円
12月10日出演公演|公式チラシより
12月10日出演公演|公式チラシより
12月10日(木)15:00/19:30|Hakuju Hall
第191回 リクライニング・コンサート
杉田恵理さん(ヴィオラ)、伊東裕さん(チェロ)と、弦楽三重奏の作品をお届けします。コダーイ、エネスク、フランセ、ベートーヴェン。それぞれの音が近くに感じられる約1時間を、リクライニング席でゆったりとお聴きください。
各回全席指定:2,750円(税込)/休憩なし
シアターマド 公式公演案内
シアターマド 公式公演案内
2027年2月6日(土)14:00|シアターマド 小ホール(丸亀)
鈴木舞 ヴァイオリン・リサイタル
坂本真由美さんと、丸亀の歴史に思いを重ねるプログラムをお届けします。ベートーヴェン《春》や《ツィゴイネルワイゼン》のほか、《城のある町》なども。楽器の聴き比べも交えながら、音楽と土地、楽器のつながりをご紹介します。
全席指定:一般2,000円/U-18 500円(税込)。チケット発売中。
MAI SUZUKI
VIOLINIST
本メールは suzuki@maiviolin.com よりsuzuki@maiviolin.com 宛に送信しております。
Suzuki Mai Kouenkai Jimukyoku 4-23-17-301, Takadanobaba,, Shinjuku, Tokyo 169-0075, Japan


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