例えば、従業員の居住地を元にどのエリアに何名用の仮オフィスがいくつ必要か把握の上、あらかじめ具体的な施設をリストアップしておき、いざという時に電話一本で空きと費用を把握し即日契約出来るよう、社内外の体制を整えておくのも一案です。ウィルス感染のような広範囲に影響する非常時というより、ハリケーンや山火事など一部のエリアに限定した非常時には有効な手段かと思います。
検討ポイント【2】 様々なオフィスタイプの使い分け
5Gを始めとしたテクノロジーの発達や働き方改革の推進などにより、働くカタチが大きく進化している中、今回の事態をきっかけに、様々なタイプのオフィスへの需要がさらに加速すると思われます。特に多種多様な働き方や雇用形態が存在する米国では、優秀な人材確保のために様々なオフィスタイプを使い分けることは重要な視点です。
従来の独立したタイプの一般的なオフィス以外に、個室ごとに借りるレンタルオフィス(日系企業が多く利用するタイプ)、本拠地から離れた所に設置するサテライトオフィス、フリーアドレス形式で活用されているシェアオフィスやコワーキングスペース等が挙げられます。様々なタイプのオフィスを有効に活用することは経費削減にも繋がります。
また、そのためには適切な賃料相場や正しい契約内容を検証することも重要です。一方で、こうしたシェア型のオフィスは不特定多数が出入りするため、ウィルス感染などの状況下では逆に感染拡大を助長しかねないというリスクも今回浮彫になりました。企業としてはリスクヘッジの観点も踏まえて、こうした様々なオフィスを正しく活用し、複雑化するオフィス契約マネジメント業務をいかに効率よく行うかもひとつの戦略と言えます。
検討ポイント【3】 テレワークの可能性を再検証
一連の非常事態により、多くの企業が短い準備期間で在宅勤務の導入に踏み切りましたが、ここでひとつの問題提起としては、本来あるべきテレワークの姿になっているか、という点です。
例えば在宅勤務を含むテレワークの主な効果としては、ワークライフバランスの充実による生産性の向上、優秀な人材確保、通勤や移動時間の有効活用などが挙げられますが、逆に孤立感の醸成、チーム意識の欠如、労務管理上の不具合などマイナスにもなりかねない要素もあります。特に急な導入での初期段階ではマイナスの要素が際立つ可能性があり、その中には事前のインフラ整備で解消できる点が混ざっていないか冷静な見極めが必要です。例えば今回のような全面的な導入ではなく、週に何日など定期的な導入で生産性向上が実現できたケースもあります。
生産性向上を期待するには、オフィスワークとテレワークのバランス良い配分と質が重要と言われており、テレワークする場所も自宅のみならず、コワーキングスペースやサテライトオフィスなどを積極的に活用することで生産性向上をより最大化できるかもしれません。今回の事態はひとつのきっかけであり、今後トライ&エラーを繰り返すことで、それぞれの企業に合ったベストなテレワークのカタチができてくるのかと思います。