まず、不動産投資家にとって便利な税制度と言えば、通称1031 Tax Exchangeと呼ばれる不動産売却益にかかる税金の繰り延べ制度です。
通常、投資物件を売却した際には、売却益に対しキャピタルゲイン税を支払う義務があります。1年以上の長期保有の場合には、売却益税(ニューヨーク市の場合では、連邦税、州税、市税の総額で25%~35%)が課せられます。これでは売却益を元手に、より大きな投資物件を購入しようとしても、再投資できる金額が目減りしてしまいます。
この税金分を繰り延べする制度として、前述の1031 Tax Exchangeを利用することができます。ただしこの制度を利用するためには、主に下記の2つの条件を満たす必要があります。
(1)売却物件のクロージングから45日以内に買い換え物件を指定すること
(2)売却物件のクロージングから180日以内に買い換え物件のクロージングを完了させること
一般的な買い換えの場合、買い換え物件は3件まで指定することができます。通常、先に売却を行ってから買い換え物件を購入しますが、先に買い換え物件を見つけて後で売却することもできます。この制度は投資用物件であれば同じ種類である必要はなく、例えばホテルから商業施設へ、オフィスビルから集合住宅へ買い換えることができます。また、同じ州内で完結する必要もなく、ハワイからニューヨーク、カリフォルニアからテキサスなど、アメリカ国内であればどこでも可能です。
利用回数に制限もないので、何回でも繰り延べができ、投資物件をどんどん大きなものに買い換えることが可能です。ただ、この制度は投資用不動産に限っているため、自宅やセカンドハウスに使うことはできません。また、買い換え物件が売却物件より安い場合は差額にキャピタルゲイン税がかかります。