ニュージャージー州最大の都市であるニューアーク。ニューヨーク市からわずか十数キロメートルしか離れていない同市は、港や空港を要とした交通の要所となっていることで有名です。
そんなニューアークは、シアトルに本社を置くインターネット通販最大手アマゾン・コムの第2本社候補地の一つに選ばれたことで注目を集めています。同社は昨年、第2本社建設計画を打ち出し、世界各都市から候補都市を募りました。カナダやメキシコを含めた北米の自治体から238に上る誘致がありましたが、今年1月、候補地が20都市に絞り込まれました。同社は10~15年間で約50億ドルの投資と5万人の雇用を掲げているだけに、どの都市も誘致に躍起になっています。
候補地には、人工知能(AI)の開発が盛んなトロント(カナダ)のほか、ビジネスや交通の要所となっているニューヨークやロサンゼルス、アトランタ、ボストンなどの大都市が名を連ねる中、70億ドルの州税、市税の控除を掲げるニューアークもその一つに選ばれました。
ただ、ニューアークの足元の経済状況を見ると、失業率は6.3%(今年5月)と、ニュージャージー州や全米平均のそれを約2%上回り、人口の3分の1は貧困ライン以下で生活をしており、治安面の不安も抱えています。熟練労働者を雇用する予定のアマゾンが第2本社をニューアークに構えるとなると、他の候補地に比べて最もその恩恵を受けるだろうと期待されています。
また、第2本社もシアトル本社とほぼ同じ約800万平方フィートに上るキャンパスが建設される予定なので、オフィス市場にも大きな影響を及ぼすだろうと見られています。ニューアークにおける2018年第3四半期のオフィス賃料は1平方フィート当たり$28.61と、候補都市の募集前の2017年第2四半期の$27.30から4.8%上昇。近場のハドソン・フロント($35.86)と比べるとまだ安価ですが、第2本社の誕生を引き金に、テックブームに乗ろうとニューアークにオフィスを構える他のIT企業も出てくる可能性もあり、オフィスの賃貸市場が大幅に活性化すると期待されています。
今年末までに決定される第2本社新設地。目が離せません!