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Jan 2019 | Vol.13

商業不動産に特化した最新マーケット情報と、日系企業のオフィスに関するケーススタディをお届けする「リダック商業不動産通信」。

最新号は、アマゾン第2本社の開設が決まり、エリアの開発が進むロングアイランドシティのオフィスマーケットについてと、商業物件の賃貸時に預託するセキュリティ・デポジットについて解説致します。


北米における拠点管理・運営を行う上で、少しでも皆様のお役に立てれば幸甚です。

最新マーケット情報 | ニューヨーク
加速するロングアイランドシティの開発とオフィス市場動向

シアトルに本社を置く通販最大手アマゾンは昨年11月、第2本社を2か所に分け、そのうちの1か所をニューヨーク市クイーンズ区のロングアイランドシティ(以下、LIC)に設けると発表しました。新規雇用者数は2028年までに25,000人を予定しており、その平均給料は15万ドル(約1,700万円)に上ると言われています。また、アマゾンに続き、グーグルもハドソンスクエア地区(チェルシー地区の南側)へのオフィス2倍拡張計画を12月に正式発表しました。ニューヨークの不動産市場は、今後さらにテクノロジー企業の動きに大きく影響を受ける市場となりそうです。これを受け、今回はLICのオフィスマーケット動向をご紹介したいと思います。

LICとは

LICはマンハッタンからルーズベルト島を挟んで対岸にある、クイーンズ区の西側に位置しています。地下鉄8路線が走っており、7番線に乗ればマンハッタンの中心地、グランドセントラル駅まで約10分、タイムズスクエアまで約11分で行ける至便さが魅力です。LICに拠点を置く企業としては、2012年に本社を移転したジェットブルー航空、55万平方フィートに上るオフィスを構える高級百貨店ブルーミングデールズ、配車大手ウーバー・テクノロジーやリフトなどがあります。同地ではおしゃれなホテルや飲食店が次々にオープンするなど、近年再開発が進んでいます。ビジネスマンや若い家族層が好んで移り住むようになり、「次のブルックリン」として少しずつ注目を浴びています。

インフラへの投資

LICは次々に住宅が建設されているわりには、インフラが整っておらず、受け皿がない状態に直面しています。飲食店やスーパー、薬局、学校なども他のエリアに比べると圧倒的に少なく、大手コーヒーチェーンのスターバックスが2017年にやっと1軒オープンしたところです。そうした状況を打破しようと、市はLICの開発に1億8000万ドルを投資すると約束しています。

投資額の内訳は、以下の通りです。

1. 老朽化が進んでいる下水や給水設備の復旧(9,500万ドル)

2. コート・スクエアエリアでの学校新設(6,000万ドル)

3. 公園や空き地の開発(1,500万ドル)

4. より安全を確保するための歩道や自転車用レーンの再建設(1,000万ドル)

こうしたインフラ投資により、住みやすい街が今後作られていくことに地元住民は期待を寄せています。

候補物件のOne Court Squareについて

オフィスの場所はまだ最終決定していませんが、予定している全体規模は400~800万平方フィートに上ると言われています。その足掛かりとなる候補地のひとつとして、マンハッタンを除く市内で最も高い建物として有名なOne Court Squareを実質的にほぼ一棟賃貸する方向で交渉中と言われています。

同ビルは52階建てのクラスAビル(計約150万平方フィート)で、シティグループ・ビルディングとしても知られています。ニューヨーク市に本社を構える不動産開発大手サバンナが手掛けたもので、グーグルやフェイスブックなどのTAMI企業(テクノロジー(Technology)、広告(Advertising)、メディア(Media)、情報産業(Information)を総した名称)が多くオフィスを構えるミッドタウン・サウスを中心にオフィスビルを所有するオーナーです。

主要テナントであるシティグループは2020年中に計31フロアから退去する予定で、現在は下層および中層階を中心に9フロアが空室、2020年6月までに19~27階及び33~42階など20フロアが新たに空室になる予定です。

賃料、及び開発への影響

LICでのオフィス年間賃料は、平方フィート当たり$46.21と、前年比で20.5%上昇、5年前に比べると倍以上に跳ね上がりました。その中でも、クラスAビルやリポジショニング(大規模改修)ビルにおける平均賃料は$47.86と、昨年の$39.50から21.1 %上昇しています。新しい建設計画も進んでおり、今後の需要が見込まれています。

アマゾンが交渉中のオフィスビルがあるハンターズ・ポイントと呼ばれるエリアのオフィス平均賃料(第3四半期)は他のLICエリアと比べて高く、平方フィート当たり$54.85です。その中でも同ビルの年間募集賃料は平方フィート当たり$55~65と言われています。オーナー側は賃料についてはコメントを拒否していますが、アマゾンがそこまで支払うとは見られていないようです。

一方、住宅市場をみると、1ベッドルームの平均賃料はLICでは3,000ドル弱と、マンハッタンの3,700ドルに比べると割安です。また、2019年には2,800戸が新しく完成するほか、2020年には3,100戸を超えるユニットが建設中と言われており、住宅においても近い将来の需要増に備えて供給が加速しています。

アマゾン第2本社のオフィスの規模やロケーションによってLICやその周辺エリアに及ぼす影響も変わって来ると思われ、今後の同社の動向が注目されています。

CREアドバイザリーサービス
賃貸時のSecurity Deposit(敷金)とGuaranty(保証人)(1)

商業物件を賃貸する際にオーナー側から要求される条件に、Security Deposit(敷金)とGuaranty(保証人)があります。どちらも、賃貸契約期間中にテナント側の契約不履行があった際にオーナーが損失を補てんできる様にする目的でテナントが契約締結時に預託・差し入れるものです。これらは、合わせて交渉することが多いですが、今回はSecurity Depositについてご説明致します。

Security Depositは契約交渉時にオーナーがテナントの財務諸表等をレビューし、預託額を要求してきます。もちろん交渉の余地はありますが、あまり激しく減額交渉すると、テナントとしての資金力に対するオーナーの不信感にも繋がるので適度な交渉に留めるのが無難です。

そのSecurity Depositには、現金(チェック)かL/C(信用状)、2つ預託方法があります。契約締結にはSecurity Depositの預託が不可欠です。つまり、契約締結時はテナント側が署名済みのサインと一緒に、Security Deposit等も提出しないとオーナー側が契約書に署名しません。現金とL/Cのどちらにするかは、これも契約交渉時に確認・交渉します。

現金の場合は企業のカンパニーチェックで済むケースが殆どなので速やかで簡単に済みます。一方でL/Cは、文言調整や銀行で発行して貰うのに手間と時間が掛かります。状況によっては、契約書は署名してもL/Cが発行されないために契約締結できないケースがあります。発行に数週間程度掛かることも多く、この間契約締結を待つことになり物件を確保できたことになりません。

そうしたことを踏まえて、弊社でお勧めしているのは、契約締結時にはまず現金で預託し、L/Cが発行された時点で現金と差し替える様に交渉することです。オーナーによっては頑なにL/Cのみでの預託を要求してきますが、受け入れるオーナーも多く交渉する価値は十分にあります

 

 
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