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July 2017 | Vol.08

商業不動産に特化した最新マーケット情報と、日系企業のオフィスに関するケーススタディをお届けする「リダック商業不動産通信」。

最新号は、Eコマース産業における東海岸大都市圏への配送拠点の中心地を担い、活況を見せる北部ニュージャージーの最新マーケット情報に加えて、近年相談が増えている「移転オプション」への対応法に関して解説致します。


北米における拠点管理・運営を行う上で、少しでも皆様のお役に立てれば幸甚です。

最新オフィス・マーケット情報 | ニュージャージー
Eコマースの屋台骨を担う北部ニュージャージー


お店に直接出向くことなく、オンライン上で注文するだけで欲しい商品が数日以内に手元に届く便利な世の中になりました。Amazonに代表されるEコマース産業の拡大につれ、商品を収納・保管・配送するための物流施設への需要が急増しています。

中でもニューヨークやボストン、フィラデルフィア、ワシントンDCなど東海岸大都市圏への配送拠点中心地となっている北部ニュージャージーは、近年、物流施設への需要が特に高まっているマーケットです。Eコマース業界では、3080万スクエアフィート規模の巨大な配送センターがその主たる需要です。つい4年前まで北部ニュージャージーには物流施設を一切構えていなかったAmazonですが、現在では計600万スクエアフィートまでその規模を拡大しています。また、そういった大箱だけでなく、市場から至近距離に必要な、顧客への最終配送を担うLast-Mile Distribution15,0002万スクエアフィート規模の配送センター)の重要性もこれまで以上に高まっています。

既に65,000万スクエアフィート以上の物流施設を抱えているにもかかわらず、ニューアーク空港、エリザベス港へのアクセスが便利なNJ Turnpike沿いに、現時点だけで計900万スクエアフィート以上の開発計画が進んでいます。

最新物流施設は、最大80万スクエアフィートという規模の大きさもさることながら、3240フィート(9.812メートル)という天井高を誇り、2000年まで24フィート(7.3メートル)が限界とされていた従来型施設と比較して、同じ面積でも大幅に収容能力が向上しています。これは、強度を増した床の耐荷重性や新型リフトの開発など、ハイテク技術の進歩が可能にしたものです。加えて、広大なトレーラー用パーキング及び従業員専用パーキング、トレーラー専用のドックが4,000スクエアフィート当たり1本という数の多さなど、現代のEコマース産業のニーズに対応可能な設備を兼ね備えています。

ただ、新たな物流施設の建設申請は増えつつあるものの、行政許可に時間が掛かることなどから、需要の高まりに供給が追いついていないのが実情です。Eコマース産業が北部ニュージャージーの物流施設・倉庫を含めたインダストリアルマーケットに与える影響力は予想以上のスピードで拡大しており、過去15年来で最低の平均空室率5.5%を記録しています。その中でも最新物流施設が建ち並ぶNJ Turnpike沿いのExit 8A周辺エリアでは、現時点で平均空室率が2.4%まで低下しており、年末までには0%を記録すると見込まれています。

北部ニュージャージーの最新インダストリアルマーケット相場
(画像のクリックで拡大表示)

パナマ運河の改修を受け、2017年中にはベイヨン・ブリッジの高さをかさ上げする改修工事も着工予定です。近い将来カリフォルニア並みの大型船の受け入れがエリザベス港でも可能になると、北部ニュージャージーにおける最新物流施設への需要が更に高まると言われています。

コマース産業における東海岸大都市圏への配送拠点の中心地を担い、活況を見せる北部ニュージャージーにおいて、最新物流施設の賃貸をご検討の際は、お気軽にご相談下さい。

CREアドバイザリーサービス
「移転オプション」 : オーナー都合による強制移転?


ここ数年、「急にオーナーから連絡があり、ビル内でオフィスを移転して欲しいと言われたのですが、どのように対応したら良いでしょうか?」といった相談を受けることが増えています。これは、オフィス賃貸借契約書内に含まれる「Relocation Option」(あるいは「Right to Relocate」)と呼ばれる「移転オプション」を、オーナーが行使したために起こったケースが殆んどです。そこで今回は、この「移転オプション」をオーナーが行使した場合に、テナントとしてどのような対応が可能なのかを解説します。

先ず前提として、「移転オプション」がオフィス賃貸借契約書内に含まれており、オーナーが行使した場合、いくらオーナーの都合であっても(例えば、同フロアの大型テナントが増員するため、1フロア全て賃貸することを希望している、など)、テナントは移転を受け入れざるを得ません。

拒否する選択肢がないということは、移転オプションを行使された時点でテナントには交渉の余地が残っていないことを意味します。従い、行使された時点ではなく、移転契約交渉時(あるいはオーナーが移転オプションを覚書に新たに追加しようとした場合には、契約更新交渉時)に、将来的にオーナー都合で強制的に移転させられる事態に備えて、行使後のテナントの権利をしっかりと交渉しておくことが重要です。

弁護士と協業しながらどのように交渉すべきかというと、テナントにとって「移転オプション」がないに越した事はないため、賃貸借契約書のドラフトがオーナー側弁護士から出て来た段階で、先ずは削除するように要求します。ただ、オーナーは、テナントを同ビル内で自由に移転出来るという柔軟性を保持しておきたいため、殆んどのケースでは削除に応じてくれません。故にここからが肝心で、弁護士と相談しながらテナントにとって有利な条件を勝ち取れるように交渉します。

削除に応じてくれない場合、具体的には以下のような条件をオーナー側に要求します。

● オーナーは、契約開始から数年間は「移転オプション」を行使することが出来ない。

● 現在よりも低層階に移転させることは出来ない。

● 移転先の契約面積は、現オフィスの契約面積の±10%までの範囲内とする。面積が広くなった場合も、賃料は増加しない。一方、面積が狭くなった場合は、それに応じて賃料も減額される。

● 移転に際して発生する費用(設計・施工費用、インターネット・電話線の構内配線、サーバー・電話システムの移設費用、引越し費用、弁護士費用、名刺や封筒など住所が書かれている事務用品の新規発注代、など)は全額オーナーが負担する。

● 移転先スペースは、最新のビルディング・スタンダードの内装材を使用して施工する。

● オーナーが移転オプションを行使してから、実際にテナントが移転先スペースへ移るまでに、少なくとも45~60日以上の猶予をテナントに与える。

● 移転先スペースの内装工事(原則、全額オーナーの費用負担)が完了し、入居可能な状態になってから、実際にテナントが移転して現オフィスをオーナーに明け渡すまでには、少なくとも7~14日以上の猶予をテナントに与える。

● 移転時に使用する荷物用エレベーターの使用料は無料とする。

ただでさえ移転プロジェクトは、担当者に大きな負担を掛けるため、通常業務に支障をきたすこともしばしばです。契約途中にもかかわらず、オーナー都合で望まぬ移転を受け入れざるを得なくなった場合に少しでもメリットが出るよう、交渉レバレッジが効く移転契約交渉段階で対策を練って置くことが肝要です。オフィス賃貸契約の商慣習に精通し、商業不動産領域を専門とする経験豊富な弁護士と協業して、是非、「移転オプション」の条件を交渉してみて下さい。

お知らせ


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