さて、そこで私たちが知りたいのは、日本でも著作権は切れたのか?
清水崇監督や中田秀夫監督の作品も観られるんじゃないか、いや、観たいのか?
「切れました!」と明言している情報を探してみましたが、見つからない!
こんなにアメリカでは盛り上がっているのに、です。
なんで、なんで?!
どうもそこには、日本の著作権法の複雑さが関係しているようです。
「そうなんだ、複雑なんだ」 ということをご理解いただくには、気は進まないながらも、
その複雑さを挙げていくしかないので、腹をくくってお付き合いください。
まずは、著作権法改訂の流れをみてみたいと思います。
【著作権法改訂の流れ】
1) 【旧著作権法】
団体名義=公表から33年
個人名義=死後38年
2) 【1970年改訂】 *存続中の作品の保護期間が延びました。
「映画と団体名義作品」=公表から50年
「個人名義の美術」 =死後50年
3) 【2004年改訂】 *存続中の作品の保護期間が延びました。
映画=公表から70年
4) 【2018年改訂】 *存続中の作品の保護期間が延びました。
映画以外の著作権の保護期間は、一律20年延長。
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*映画は、旧著作権法での保護の方が長い場合には、そちらを優先して適用
*第二次世界大戦前のアメリカの作品は、保護期間が約10年5ヶ月プラス(戦時加算という)
これだけでも、なんだかなあ、ですが、これらの改訂の内容と合わせて、ミッキーは果たして
どんな著作物だと考えられるのか、という問題があるのです。
その問題とは、
「ミッキーマウスは、果たして映画の著作物(の一部)なのか、
はたまた、美術の著作物なのか」 です。
そして、さらにそれぞれ(映画or美術)について、団体名義なのか、個人名義なのか、
さらに、さらに(!)、個人名義の場合の著作者は誰なのか、を考える必要があります。
もう、へとへとです。
ミッキーは、<団体名義(=ディズニー社)の 「映画の著作物」である>とする場合が、
一番保護期間が短く、計算は以下のようになります:
・上記1)によって、1928年公開+33年=1961年
・戦時加算が加わるので、1972年まで延長。
・上記2)の1970年改訂時に保護期間が残っていたことになるので、公表後50年に
戦時加算を加えた1989年説。
ええ!アメリカより断然早く著作権切れてたよ。
でも、当時そんな話題、出てましたっけ?
最長は、映画とは別に、ミッキーが 「美術の著作物」 だった場合。
映画が製作される前に、ミッキーのキャラクターは生まれており、原画がありました。
そうであれば、脚本が映画とは別個に著作権で保護されるように、原画もまた、「美術の著作物」 として保護されるという考え方もできるのではなかろうか。