著作権の保護期間が満了している作品を広告に使用する際の留意点
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著作権保護期間は満了しているけれど!
~広告制作における盲点~
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皆様、こんにちは!
いつも読んでいただき、ありがとうございます。
少しでもお役に立てればと願いつつ、今年最後のNewsletterをお届けします。
さて、広告に携わる我々は著作権についてはさすがに気をつけていて、そりゃあ、戦時加算だ、保護期間が延長したのか?いつからだ、のようなことはあるとしても、まあまあ、どうにか対処してこれているのではないでしょうか。
そこで今日は割とこぼれがちな「著作者人格権」にフォーカスしたいと思います。
おそらく、名誉を侵害したりする表現方法だとNGなんじゃないかな、ということは
検討がつけやすい名前の権利ですが、実はそれ以外にもあるのです。
■公表権=
著作物を公表するのかしないのか、また公表する場合、いつ、どのような方法で公表するのかを決定する権利。
■氏名表示権=
著作物の公表に際し、著作者の名を表示するのかしないのか、また表示する場合、実名にするのか変名(ペンネームなど)にするのかを決定する権利。
■同一性保持権=
著作物やその題号(タイトル)について、著作者の意に反して、これらの改変を禁止できる権利。
この3つが人格権を構成する権利ですが、広告制作においては同一性保持権が一番関わりが深いように思います。
例えば下記の事例をご覧ください。
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作者のエドヴァルド・ムンクは1944年1月23日に亡くなっておりますので、著作権の保護期間は50年後の1995年12月31日に満了していることになります。
よし!では許諾は不要だな、と思って進めてしまって問題ないでしょうか?
ムンクの「叫び」 は以下の左の物ですが、問題なのはケータイの画面の中の作品です。
こちらは作品の一部だけが切り取られた使用(=改変)になりますので、権利者にお伺いを立てる必要があります。
許可を得ずにこのような改変をした場合は、同一性保持権に抵触する可能性があるからです。 これは、うっかりしてしまいそうです。
しかし、よくよく見まわしてみると改変せずに使う事例はむしろ少ないかもしれません。
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そういえば、面白い話を思い出しました。
確か3年ほど前のことですが、老舗のオークション会社「サザビーズ」が
ロンドンで開催したオークションに、バンクシーの作品「Girl with Balloon」(風船と少女)が出品されました。落札額は日本円で約1億5000万円。
しかし、落札のハンマーが振り落とされた瞬間、作品の中に仕込まれたシュレッダーが作動し、作品は破壊されました。
自分で自分の作品を物理的に改変したわけですから、同一性保持権はクリアですが、断裁された際に所有権は落札者に移転していたわけなので、器物損壊罪に問われますし、賠償責任も生じるはずの行為です。
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≪Girl with Balloon≫ 出典:2021サザビーズ・ウェブサイト
https://www.sothebys.com/en/articles/sothebys-gets-banksyed-at-contemporary-art-auction-in-london?locale=en |
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≪Love is in the Bin≫ 出典:2021サザビーズ・ウェブサイト
https://www.sothebys.com/en/articles/banksy-trolley-hunters
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しかしながら、オークション終了後は「Love is in the Bin」(愛はごみ箱の中に)というタイトルに改められ、断裁された作品は「作品を破壊したというより、創造したといえる」と言われ、落札者も落札金額を支払って購入したのだそうです。
現代アートならでは、ですね。
さて、今回はここまで。
皆様、良いお年をお迎えください。
それでは、また来年!
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