おお!実に様々な「複製」行為が列挙されています。
一般的に思い当たる「複製」よりも多くの行為が、複製なのですね。
ちなみに、複製とセットで覚えたい「翻案」は、既存の著作物を用いるところまでは一緒ですが、その上で新たな創作性が認められる別の著作物を創作することをいいます。
*複製=デッドコピーだけが複製なのではなく、多少の修正・増減などによって、差異があったとしても、
既存の著作物の内容や形式を知覚させるものは、複製となります。
*翻案=既存の著作物を元にして、新たな著作物を創作すること。(小説を元にした映画など)
つまり、新たな創作性がある場合は翻案となり、無い場合には複製ということになります。
❷「複製権」の侵害とは:
複製とは何なのかが、なんとなくわかってきました。
つまり、これらの行為を行う際は、著作者の許諾を得ずに行ってしまうと、著作者の持つ複製権を侵害してしまうわけですね、ふむふむ。
それでは、複製をしたわけではなく、「たまたま、似たものができてしまっただけなの」という
場合はどうでしょう。特に、エンブレム、ロゴマークというような、表現の制約が多い制作物は、似通ってくるリスクが高そうです。
「結果がすべて、それも侵害♪」 なんて言われた日には、創作行為自体が薄氷を踏むようなものになってしまい、似たものが既に世に出ていないかサーチする担当、という新職種が生まれ、ネットという広い海を果てしなくさまようことになりそうで、嫌すぎます。
(簡単サーチで見つかるようなものは、「李下に冠を正さず」 and 「君子危うきに近寄らず」ということで、避けるに越したことはありません)
ある有名な判例(ワン・レイニー・ナイト・イン・トーキョー事件)で、複製と言うためには2つの要件を満たしている必要があるとされました。
その一つ目は、「同一性」。
再現のみならず、「その内容及び形式を覚知させるに足りる」程度の類似性があることをいいます。
そして、二つ目が「依拠性」。
平たく言うと元ネタがある場合は、依拠しているということになります。
つまり、偶然似たものが出来上がっただけで、参考にしたものが無かった場合は、侵害にはならない、と考えられるわけです。
ただし、「オレは本当に知らなかったんや~!」という主張だけで、そこに合理性が無ければ認められませんので、あしからず。
❸「アイデア」と「表現」:
さて、それでは脳が温まってきたところで、ボチボチ本題です。
複製行為がどういうものなのか理解し、侵害要件までわかったところで、二つの裁判事例を
見てみましょう。