皆様、こんにちは!
Sygnite Tokyoの小林です。
前回取り上げた表現についてのテーマは過去一の反響でした。
おそらく現場はモンモン、ドキドキ、ハラハラと思いつく限りのオノマトペをお供に、これらの企画を立案されていたのだろうなと推察されましたので、今回は少し角度と深度を変えて、表現手法の理解を深めていこうという趣旨でお送りします。
さて前回の問いは、これらの表現手法を用いた場合「元ネタの許諾は必要か?」であり、
答えは「正しい匙加減であれば問題ない」(が、問い合わせのほとんどは「危険ゾーン」)
として、心持ち勇気づける方向で結びました。
しかし、ただでさえ勇気のある方々をさらに勇気づけ、慎重派の方々においては、「そうは言われても「危険ゾーン」がほとんどなんでしょ」というところで終わっていやしないか、という思いもあり、宗旨替えとまではいかずとも、これを機に向こう側の世界もちょっと覗いてみませんか?という思いを込めて、もう少し深掘りしていきたいと思います。
まず前回は、法的なお話を一切しませんでしたので、そのあたりについて。
皆さんが作る「元ネタ」ありの新たな創作物(=創作性が認められるもの、つまり著作権で保護されるもの)のことを著作権法においては、「二次的著作物」といいます。
「二次的著作物」は基本的には元ネタの著作者(=「原著作者」といいます)に断り無く創作することはできません。
なぜならば、原著作者は「翻案権(著作権の一つ)」と「同一性保持権(著作者人格権の一つ)」を以って、これらに抵触する行為を禁ずることができるからです。
■翻案権:
自分の著作物の翻訳・編曲・映画化など、表現方法を変えて新たな著作物を作る権利
■同一性保持権:
自分の作品を意に反して改変されない権利
*補足:
「二次的著作物」の著作権は、その創作者が持ちますが、原著作者も「原著作物の創作的表現が二次的著作物に引き継がれている部分について」は同様に権利行使が可能です。
例えば小説(原著作物)を映画化し、それを広告に利用したい場合は、映画のみならず、小説家の許可も必要という仕組みです。
このような権利背景があるため、著作権の在り方を意識せずに冒頭の表現手法を行うのは「危険ゾーン」へ直行ということになってしまいがちです。
腹を据えて許可を得る前提であれば、そこまでおっかなびっくりでなくて良いと思いますが、「元ネタは使用したいけれど、許可は取りたくない」という思いがある場合は
「匙加減がモノをいう」ということになります。
例えば、「設定だけ借りて人物はオリジナル」など、原作と距離があればあるほど別の
創作物と判断される可能性が高くなりますが、広告の場合は「元ネタの存在を感じさせる」ことにこそ意義があるケースが大半だと思います。
離れすぎると起用意図も不明になり、痛し痒しです。
また権利元は法のプロではないため、皆さんがいかに用心深く企画したとしても、広告を目にして、「これって許可してませんけど」と思ってしまう可能性は排除できません。
その点も鑑みると、法的には不要な許可であろうとも「異議申し立てはしないでね」
程度の事前挨拶はした方が良さそうな気配もします。
その際は、理論武装せずに行くと藪蛇ということもあり得ますので、事前に広告主の気質(事の正否はともかく、クレームは嫌い、など)や、その他の事情を検討しつつ、対策を立てたいところです。
結論としては「ほかの企画よりもいろいろと配慮が必要なため、十分に議論し、社内、社外の専門家の意見も聞きながら最善を尽くしましょう」ということで、
ご相談、いつでもウェルカムです!
さて、最後にご紹介するのは、いい頭の体操になる面白い事例です。
お時間のある時にでも考えてみてください。
本日はここまで!
次回をお楽しみに。
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